熊谷達也のレビュー一覧

  • リアスの子
    熊谷達也が自らの体験をもとに書いた青春小説かな。舞台は仙河海市となっているが、情景から気仙沼の様子が良く浮かんでくる。
    震災後に東北のために書かれた一冊だそうです。
  • 海峡の鎮魂歌
    昭和の函館を舞台に、函館大火、大空襲、洞爺丸沈没と3つの大災害を生き延びた夫婦を主人公にした物語。
    やはり熊谷さんは、平穏な世界を舞台にしたものより、こうした緊迫感を描くのがお得意なように思います。
    もっとも次から次に起こる危機は面白いんですけどね、少々やり過ぎという気もします。特に最後の息子と娘の...続きを読む
  • リアスの子
    震災前の東北の一都市を舞台に、陸上競技を介した若い中学教師と転校してきた女子生徒の交流を描いた作品。
    著者の経歴から(中学教師の経験)から自伝的な小説らしいと思っていたのですが、後書きにもそのような事が書かれています。
    物語の途中で「熱血教師が出てくる学園ドラマとか、見すぎなんじゃないの?」な...続きを読む
  • 翼に息吹を
    熊谷さんは私にとって当たり外れの多い作家さんなのですが、これは当たりでした。
    大戦末期の知覧を描いた作品。そう、特攻隊です。
    ただ特攻隊員では無く整備士を主人公に置いたところが目新しく。
    特攻隊員のために昼夜を忘れて修理・整備を行う一方で、それが結局は多くの若者を死地に送り込むことに矛盾を感じて行く...続きを読む
  • 調律師
    書店平台でタイトルに惹かれ購入。
    思いもかけぬ展開で 心を掴まれた。

    読み始めた時には…まさか東日本大震災に
    この物語が繋がってゆくとは思わなかった。

    素直に設定にひきこまれ
    綿密な取材に裏打ちされた調律師の世界に
    感心させられた。

    共感覚という言葉の実在も 初めて知った。

    そんな...続きを読む
  • 調律師
    久しぶりの熊谷達也さん。
    この人の描く小説は、東日本大震災がやはり切っても切れない一つの契機を与えていることがわかる。ある小説に、突如として違和感を持って現れてくるところが、未曾有の大災害が普通の日常に与える影響の大きさを感じずにはいられない。
    調律師である鳴瀬が向かい合うピアノ達と、そのピアノに関...続きを読む
  • オヤジ・エイジ・ロックンロール
     バンドをやったことのあるオジサンは書かれていることがまるでかつての自分のことのようだ。とんとんとステージを成功させ、コンテストものぼりつめていくストーリーは話がうますぎると思いながらも、ストレスがなくてほっとした。
     「邂逅の森」の同じ著者とは思えない軽快さだが、それは「ゆうとりあ」でも感じた。ギ...続きを読む
  • 氷結の森
    「邂逅の森」を読んだのは5~6年前のことであり、森3部作なるものの存在は知っていたが手が出ないでいた。
    順番でいけば、相克→邂逅→氷結となっているようで…完全に順番間違えているし!しかしながら今作も中々の佳作であると思う。

    マタギを主人公に据えるのが3部作においての不文律のようである、そこには人と...続きを読む
  • 翼に息吹を
    実際に戦地に向かうわけではない整備兵の、
    心の葛藤が痛いほどで、
    辛くて、悲しくて、苦しいくらいだった。
    でも、実際はこんなもんじゃなかっただろう、きっと。
    教科書で習うだけの、有名な歴史や史実だけじゃなくて、
    こういうことがあった、
    こういう人がいたってことを、
    忘れてはいけないと思うし、
    だから...続きを読む
  • 相剋の森
    「邂逅の森」の続編ということで期待たっぷりに読み出した。前作ほどのインパクトはないが、登場人物を含め、現代との絡みが巧みに表現されていて作者の手腕に感心した。
  • 相剋の森
    編集者である美佐子は、マタギを取材する際に出会ったカメラマン吉本の「山は半分殺してちょうどいい」という言葉が心に深く残る。
    山に生きるマタギという存在、熊と人、自然との真の共生、非常に読み応えがある。
    個人的な好みとして、美佐子の恋愛はここまで書かなくても良いような気もしますが。
  • 漂泊の牙
    東北の雪深い地方で、愛妻を殺された動物学者の城島。
    狼なのか野犬なのか、事件を追い始める城島、テレビのプロデューサー恭子、鳴子警察署の刑事堀越。
    狼の生態についてや、サンカといった民俗学についてなど、あまりよく知らなかった分野だが、興味深く読めた。
    東北の厳しい自然の描写や、その中で狼を山の神と崇め...続きを読む
  • オヤジ・エイジ・ロックンロール
    直木賞作家が書くオヤジバンド物語。直木賞受賞作のマタギ社会を書いた『邂逅の森』とは世界観が全く違う内容。しかしマニアックぎみの凝った解説を含みつつもスムーズに読ませるテクニックは健在であり、更に磨きがかかった感じがする。作者みずからもバンドをやっているということで、そこへの思い入れが伝わってくる。お...続きを読む
  • 七夕しぐれ
    部落差別やいじめなど、考えさせられる内容もあるが、子供たちの世界が生き生きと描かれていて気持ちが良い話。その後の話もぜひ読んでみたい。
  • 相剋の森
    マタギシリーズ3部作の1部目。マタギとそれを取材するカメラマンとライターの話。
    それらを通して、自然との共生とは何か? 狩は現代においてひつようなのか?と言ったことを考えさせられる。
  • オヤジ・エイジ・ロックンロール
    主人公にそのまま感情移入できます。「あっ、それ、俺もやりたい。」って感じ。何でも出来ると思っていた頃から、いつの間にか年をとり、出来る事、やりたい事が少なくなって行く。仕事や家族のせいにして我慢しているけど、それだけじゃないって事も知っている。そんな人が読めば、気持ちが明るくなると思います。
  • 七夕しぐれ
    自分の中にある正義、それに気付く事とそれを貫く事。
    少年がこれに迷いなく邁進していくさまが、とっても気持ちよかった。
    良質な一冊。
  • 七夕しぐれ
    最近ハマっている熊谷達也
    文章が優しくて丁寧な言葉使いでお行儀のイイ文体という感じ
    お話しは、少年時代の思い出。転校してきた和也が、差別やいじめを体験するお話し。子供ならではのキラキラとした視線があって正義があって。。。間違いに立ち向かおうとする。
    放送室を占拠して自分たちの思いをぶつけたビラを屋上...続きを読む
  • バイバイ・フォギーデイ
    2013/6/22
    すごく読みやすかった。

    憲法9条についてを学ぶと考えれば読みやすくて良い本だった。ただ、ストーリーやキャラは好きになれなかった。
  • バイバイ・フォギーデイ
    文化祭を題材にした小説が好きです。
    高校や大学の良いところや、楽しいところをギュッと詰め込むのに、最も適した題材だと思っています。

    本作は高校の文化祭のお話。
    ご多分に漏れず、楽しいお話なのですが、そこに憲法9条改正の話が絡むところが、普通の小説とは違うところです。

    お話としては冒頭から憲法9条...続きを読む