熊谷達也のレビュー一覧

  • ウエンカムイの爪

    熊が人の世界に現れる。
    いま、とても身近な話題。

    熊谷達也のデビュー作で1997年のすばる新人賞受賞作。

    本当は「邂逅の森」を読むべきと思ったけど、ある意味原点では?として、短い方を選んでしまった。

    短い中にも、「自然」というものに対する人間の感覚の過ちを露わにしており、ひとつ腹に落ちる物語...続きを読む
  • 調律師
    音に匂いを感じる調律師の話が東日本大震災と絡めて展開していく。熊谷達也らしい緻密な下調べが効果をあげている。
  • 相剋の森
    邂逅の森に引き続きこちらも重量感ある内容でした。
    そしてやはり、登場人物の男性陣が魅力的。
    滲み出る哀愁と存在の重量感(?)がなんか渋いわー

    今回は女性ライターの立場から見れたので、読者としても狩猟と動物保護の葛藤など同じ立場から考えることができ興味深かかったです。
    そしてライターの取材、写真て壮...続きを読む
  • 孤立宇宙
    小惑星が衝突した後に電脳に精神だけをアップロードして生きる地球人と、近傍恒星系で居住可能な惑星を探す人々の、小惑星再突入を避ける攻防。軽いタッチで読みやすかった。サイバー内で生きる将来への道標となる作品。
  • 箕作り弥平商伝記
    秋田の若い箕職人が群馬へ行商に向かい苦戦しながら世を学びまた恋をする話。方言を交えながらも分かりやすい文章で読者を異次元へ誘う。
  • オヤジ・エイジ・ロックンロール
    オヤジバンドの話。
    著者とは同学年なので、話の内容が私とほとんどシンクロしてます。(前半は)
    学生の頃、喉から手が出るほど欲しかったフェンダーやギブソンは当然買えないのでコピーモデルを買った。
    就職と同時にバンド活動は中止。
    50才に近づくにつれ、久しぶりにギターでも弾いてみるか。
    昔はとんでもない...続きを読む
  • 明日へのペダル
    ダイエットの為にロードバイクを初めて、痩せると共に新たな趣味を獲得する話でかなりべたな展開で、特別劇的な事は無いのですがこういういい話でまとめた本嫌いじゃないです。作者がきっと自転車にはまって、そのすばらしさを喧伝したくて書いたのではないかと邪推しますが、多分当たっているんじゃないかと。
    実際に自分...続きを読む
  • 孤立宇宙
    電脳空間で永遠に生きるか、それとも人間として限りある命を生きるか…。
    二者択一ならどちらを選びますか?

    本書中盤に出てくる質問です。
    … 
    … /(´・ω・`)\ウーン


    やっぱり自分は人間を選びます。

    電脳世界では病気にならず、痛みも感じず、どこへでも行けて何にでもなれるといいます。それ...続きを読む
  • 揺らぐ街

    震災を描いた物語を期待していたが、震災をどう文学にするか作家の内面を掘り下げる物語だった。
    編集者である主人公が登場する担当作家からやたら信頼されているが、なぜなのか腑に落ちないし、元カレとの偶然の再会はご都合主義を越えて投げやりな感じがしたり、期待して読み始めた分イマイチな印象が残った。
  • 明日へのペダル
    主人公が自身の年齢に近いせいか、自分の身に置き換えて考えさせられる、つまり、これからの事に焦りのようなものを感じさせられるような内容でした。最後はハッピーエンドだったので良かったぁと思いつつも、現実もこんな風にうまく行けばいいのになぁと感じないではいられませんでした。あと、昔読んだ、邂逅の森とは随分...続きを読む
  • 海峡の鎮魂歌
    海で生きていく主人公がさまざま形で海に向き合っていく。函館の大火と荒れる海、戦争の海の特高隊、青函連絡船洞爺丸事故、その中、子供たちがつながっていく。後半、若干駆け足に感じたが、読み応えのある作品でした。
  • 明日へのペダル
    55歳本間、コレステロール値が高いと言われるが、ジョギングは昔膝を痛めたので気が進まない。部下の女子社員に勧められたのは自転車。そしてロードバイクの世界に魅せられていく。

    既に知ってる情報が多いのとほぼ想像通りに進むストーリーは安心できるものの、ちむどんどんはしない。しかしこれからロードバイクを買...続きを読む
  • 明日へのペダル
    暗いコロナ禍の中、定年間近のおやじが、仕事と趣味の両立を図りながら、色々悩みながら結局ハッピーな生活を手にして行くストーリー。

    仙台の印刷会社の室長として働く本間優一は、健康診断でのメタボでイエローカードを貰い、今一歩対処出来ずにいた。ふとした事から若い女子部下の水野唯からロードバイクの紹介を受け...続きを読む
  • 相剋の森
    マタギというのを初めて知ったし、登山経験もほとんどないので、どれだけ理解できてるかというのはあるが、興味深く読んだ。「山は半分殺してちょうどいい」という言葉はパンチラインだと感じる。伝統的な熊狩りと野生動物との共生・保護に関して読みながら学んでいった。
  • 七夕しぐれ
    著者の実体験に基づく小説。

    昭和40年代。小学生五年生の主人公は、父の仕事(当時まだ地方では珍しかった塾の経営)のために宮城県の地方都市から仙台市に引っ越す。彼が住んでいるところは実は被差別部落の人々が住む場所だった。
    そうとは知らずにヒロユキとナオミの二人と親しくなった主人公は学校でいじめを受け...続きを読む
  • エスケープ・トレイン
    湊人は最初、陸上部で活躍していたが、脚を故障してしまった。リハビリのつもりで、自転車を使った練習をしていくうちに、いつしか、ある自転車の監督の目に留まり、チームに所属することになった。数年後、チームに世界で活躍されていた選手が加入してきた。なぜ、比較的弱いチームに入ってきたのか?選手の加入により、湊...続きを読む
  • ティーンズ・エッジ・ロックンロール
    やはり私はこういう熱い青春小説が好きだ。仲間で壁を乗り越えていくことや、想い人のことを知るために行動することができるなんて羨ましい!というおばさん目線で読んでしまった。

    舞台は気仙沼で、実在する店なども登場する。私が仙台に行くときに時々立ち寄っているアンカーコーヒーも「錨珈琲」として登場してくれて...続きを読む
  • 冒険の日々(小学館文庫)
    大名作「邂逅の森」の前に書かれている、少年時代を描くノスタルジー小説です。妖怪、心霊、都市伝説方面に舵を切り過ぎな感じがしますが。
    田舎の自然をダイナミックに生かしたわんぱく三人組の活躍は、和製スタンドバイミーの趣が有って、こんな地域で少年時代過ごしたかったなあと思いました。
    30年後の再会から始ま...続きを読む
  • 調律師
    「共感覚」というのを初めて知りました。もし自分に共感覚があったら、、と想像しながら読みました。そして後半は仙台在住で3.11を経験した小説家だからこその内容でした。
  • 邂逅(かいこう)の森
    マタギの話。明治〜昭和初期の時代の流れのなかで、当時の険しい生活が知れた・・のはいいけど、性的描写が多いな。そんな時代?