熊谷達也のレビュー一覧

  • 相剋の森
    相剋の森とは時代設定が変わり、
    現代の世の中で自然と人間はどうあるべきか
    というかかわり合いの話がテーマになっている。

    物語としても読ませるし、
    読み手として考えさせられるところも多い。
  • 邂逅(かいこう)の森
    近年のライトノベルでは「異世界転移モノ」が活況だそうで、本作もある意味で異世界転移モノといえる。
    主人公は親に倣いマタギとして狩りに出始めた若者であったが、とある事件により故郷を追われ、同じ山でも鉱山という別世界に飛び込む羽目になった。
    なんとか鉱夫として独り立ちし、弟分もできて落ち着いてきた頃、そ...続きを読む
  • 希望の海 仙河海叙景
    「リアスの子」以来の熊谷作品です。
    仙台に暮らし続けるからこそ、描ける情景。

    あれから、もう五年の歳月が流れた。
    よほど意識しておかなければ、かの地の「今」は
    かの地以外の人には、なかなか伝わりにくいことになっているような気がする。
    そんなときだからこそ
    読まれ続けてほしい作品である。
  • 調律師
    ピアニストを断念し調律師として働き始めた主人公の物語。

    ピアノの音が臭いでわかる嗅聴という不思議な共感覚の持ち主、というちょっとファンタジーな感じ。

    物語としておかしいというわけではなく、むしろピアノの音が持つ表情や感情の揺さぶりをとてもうまく表現しているように思う。

    ピアノの音がいかに環境に...続きを読む
  • 相剋の森
    「邂逅の森」も面白いが、こちらもまた面白い。自然と人間がどんな距離感でいるべきか、筆者の言いたいことはそこなんだろう。きれいな直線で分ける論理は逆に危なくて、いい感じの落としどころを探っていく。そんなスタンスに共感する。マタギとしての話も面白いが、滝沢の悩み(妻との関係)など、伏線となる設定も面白い...続きを読む
  • 相剋の森
    熊谷達也さんの作品は「邂逅の森」で衝撃を受けてからたくさん読ませてもらいました。少し前に山背郷を読んでからの森シリーズ第一作目の本作に辿り着いております。ですから物語終盤の主人公のルーツの件で邂逅の森と繋がる部分などホント、ワクワクしながら読み進められ非常に面白く本作も読ませて頂きました。とにかく山...続きを読む
  • 銀狼王
    熊谷達也の狩猟シリーズ(?)
    幕末直後の北海道で、仙台藩から移転してきた猟師が幻の狼を追いかける。

    なかなか面白いものの、ちょっと物足りなさを感じました。
  • 邂逅(かいこう)の森
    石井光太氏がおススメしていた一冊。

    東北弁を文字に起こすのはとても難しい。鼻濁音・音としてはっきり発しない「息」のような発音。。。
    しかしながら、方言も含めてとても臨場感がある表現がちりばめられている。
    深々と雪が降り積もる季節に読めて良かった。
  • 邂逅(かいこう)の森
    大正3年頃から昭和初めにかけて秋田の山奥でマタギ(熊を獲る猟師)として活躍する富治の数奇な運命。若い日の地元の名士娘・文枝との恋、そして地元を追放されてからの鉱山夫、また猟師に戻っての日々と小太郎、その姉で妻になったイクとの出会い。そして猟仲間の鉄五郎などの脇役との出会いも魅力的です。小説の終盤での...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    マタギって全国区の名詞なんでしょうか?

    マタギとは、主に東北地方で熊やカモシカを狩猟して生計を立てていた人たちの呼び名です。本書ではそんなマタギを生業とする男の半生を記しています。とはいえ現代人から遠い昔のおとぎ話などではなく、実に生々しい人間模様と恋愛、家族、故郷について語られています。
    ...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    時代は大正初期、秋田県月山山麓。深い山に入り熊やカモシカなどの獣を猟とするマタギの物語。2004年直木賞受賞作。その時代の歴史物語としても民俗資料としても内容が濃く重厚な作品で読み応えがあった。マタギの家の次男として育った富治の生涯は波乱。東北の厳しい冬を思いめぐらしながら最初から最後まで圧倒される...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    直木賞アーンド山本周五郎賞受賞作です~。
    大正時代の東北を舞台にした猟師マタギの生き様を描いた長編小説です。

    いや~~~~~。
    これは凄かった!!

    最初読み始めたときは
    「え~?猟師のはなし~?」てな感じでちょっと躊躇したのよ。
    でも、それがどっこい。
    こんなに奥の深い小説を読んだのは初めてです...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    本を広げると、大正三年とある。昔の話かぁ、しかもテーマがマタギって、どんだけとっつきにくいんだよ、と思いながら最初のペースは妙にゆっくり、読み返しながらなんとなーく世界観が分かりだす。
    そう、舞台は東北。出だしは山形県の月山麓、肘折温泉とあるものだから、妙に親近感が沸き、会話も東北弁。そのまま読んで...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    マタギの富治、文枝、イク。東北地方の厳しい生活を描く。
    普段聞かれないマタギの世界がリアルに描かれている力作。
    富治の青年から老年になるまでのマタギを通した人生がすごい。
    それを支える文枝、イクも重要なキャラクターだ。
  • バイバイ・フォギーデイ
    「邂逅の森」「箕作り弥平商伝記」
    での熊谷達也さんとして意識していたので、
    ちょっとびっくりした。
    主人公達が高校生、それでやっていけるのかな
    は 読み始めてすぐに杞憂に変わっていった

    ストーリーテラーとしての
    熊谷節はきちんと流れていて、
    「女子高校生」「憲法九条」「ロックンロール」
    の三題噺を...続きを読む
  • バイバイ・フォギーデイ
    高校三年生が憲法改正のことを真剣に語り合う場面にはちょっとビックリ!というか違和感というか・・・高校生って本当にこんなに考え深く世の中を見ているのでしょうか、比して大人がだらしないのでしょうか。

    とにかくも、胸キュンモノのスパイスも効いて読みやすく涙する場面も多かった。
    カリスマ性ってことでも得る...続きを読む
  • バイバイ・フォギーデイ
    憲法改正の議論が新聞を時たま賑わしてますよね。国民投票は18歳以上にしようとか、それだったら成人も18歳以降にしなければなんて。
    で、このほんの舞台はその世界が実現したもの。国民投票に参加する高校生が学園祭を通してその是非を考える。

    正直、そんなに考えたことはなかったけど、この本をきっかけになりま...続きを読む
  • モビィ・ドール
    御蔵島をモデルにした架空の島での、不思議なシャチとの邂逅。なぜか潜る事が出来なくなったダイバーの青年とイルカの研究者である主人公の女性との色恋的なことはどうでもよくて、ひたすらイルカやシャチの姿が素晴らしく、ついシャチの生態についていろいろ調べてしまった。
  • 邂逅(かいこう)の森
    直木賞受賞作ということで何の予備知識もないまま読んだ1冊。
    著者のことさえこの本を読むまで知らなかったのだけど本当にこの本に逢えて良かったと思わされた。
  • 漂泊の牙
     雪深い山中のログハウスで愛する妻を野獣に食い殺された動物学者の城島。足首を噛み砕かれ、喉元を鋭い牙で刺され、腹を食い破られるという凄惨な現場写真をみて、その顎力の強さから大型犬の仕業ではないことを悟る。妻はオオカミに殺されたのか… しかしニホンオオカミははるか昔に絶滅しているはず。悲しみを胸の奥深...続きを読む