熊谷達也のレビュー一覧

  • 邂逅(かいこう)の森
    ・明治から大正・昭和へと移り変わっていく中での東北の山村の生活風景を軸に、阿仁マタギや炭鉱での生活を丹念な筆致で描き出した快作。山岳小説を期待してたけど大正物の一冊として面白く読んだ。淡々と書かれているようで実に膨大な内容が盛り込まれていて、惹きつけられて一気に読み進めた。面白かった。
  • 冒険の日々(小学館文庫)
    最初、読み始めはつまらなかった。
    私は熊谷氏と同じ昭和33年仙台生まれ。読んでいるうちに昔を思い出し相槌をうっていました。いい本です。
  • オヤジ・エイジ・ロックンロール
    ただの家族持ちのおっさんになって会社も大学生になった息子も妻も自分になんの関心も持っていない寂しい生活をしていた主人公が、偶然楽器店に入ってしまったところから始まるお話。

    「年をとってもくだらない人間にはならないッ」などと単純にイキってる自分には丁度いい出会いになりました。人生のイベントは偶然発生...続きを読む
  • 七夕しぐれ
    私は作者と同い年、そして仙台生まれ仙台育ち。
    仙台市内の地名町名などを思い浮かべながら少年時代を思い出しました。
  • 漂泊の牙
    東北の山奥で、謎の獣により人が喰い殺され、「オオカミだ」という噂が流れる。妻を殺された動物学者の城島が追う先にいるのは、はたして…。
    完全な動物ものではなく、半分はミステリ。それでも、日本では絶滅したはずの狼というロマンとスリリングさ、装備や動きの描写が真に迫って面白かった。
  • 邂逅(かいこう)の森
    マタギの村に育ち、何の疑問もなくマタギになった男が、あることをきっかけに村を追われる。その人生を描いてます。
    特殊な世界、今とは違う時代背景が興味深く、村を追われてからもじりじりと生きていく主人公の生き様も読ませてくれた。
  • 邂逅(かいこう)の森
    かなり読み応えがあり、雪山でのシーンは 思わず 迫力ありすぎて ぐったりです(笑)
    す、すごいなぁ~マタギさんって・・・
  • バイバイ・フォギーデイ
    9/14

    この2012年より少し先の、でも非現実とはいえない年代と設定が良いなぁと。ツイッターとかの用語も普通に出てきて無理がない感じ。

    扱うテーマは憲法九条の改正っていうヘビーなものなんだけど、キャラの魅力とテンポの良さでサクサク読めました。

    震災の時日本にいなくて、あの揺れを体感してないの...続きを読む
  • 漂泊の牙
    幻のニホンオオカミに関する話かと思ったら、出だしはミステリ、中盤で凶獣の正体は明らかになるが、ここから一転、謎の山間漂泊民・山窩を巡る戦後史となる。信じ難いが、一応そういう説もある様だ。話としては面白い。最後に姿を見せる7匹の…。ところで狼と言えば、和歌山と奈良の県境沿いに、古より「谷幽かにして嶺遠...続きを読む
  • 氷結の森
    常に最善を尽くす男、矢一郎。合理的な思考を持ち、勇敢で義理堅く硬派である。恨みを買って追われていたり、それによっていろんな事件を誘発した。いろいろがなければ、彼は何を目指したのか?多分普通の暮らしがしたかったのだろう。しかし、すごい奴だ。
  • バイバイ・フォギーデイ
    テーマの割りに読みやすかった!
    憲法改正の要素がなかったらたぶんちょっと軽過ぎて物足りなかったと思うので、バランスよかったと思います。
    作中に掲示板とかTwitterが普通に出てくるあたり、今時なカンジがしましたね。映画化しても面白いかも。
    初めて読んだ作家さんだったけど、ちょっと過去の作品もチェッ...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    マタギ×クマ。
    っていう大好きなジャンルなので前から読んでみたかった。予想に反して一人の男の波瀾万丈の半生記で読み応えたっぷり。深夜に「ちょっとだけ読み進めておこうかな~」と思って開いたら、最後までやめられず朝になっていたくらい。
    マタギ言葉とか風習とかの描写が細かくて、かなり綿密かつ専門的な調...続きを読む
  • バイバイ・フォギーデイ
    高校生が憲法改正について話し合う場面にまずは驚きました!
    未来では実際に起こりうることなのかなとかいろいろ考えました。
    今までに読んだことのないジャンルで面白かったです(o^-^o)
  • 七夕しぐれ
    いじめと差別。小学生の主人公の目を通してみる、社会の歪みの縮小版。友達を通して、真実は何なのか、正義を貫く様子は痛感に気持ちがいい。振り返れば、きっといい少年時代。
  • 迎え火の山
    フィリピン出張のお供に持っていきました。僕にとっては「邂逅の森」以来の熊谷作品。これは全くジャンルが違うのですが、邂逅〜と同じく、ストーリテリングのうまさ、読ませる技術が凝縮された作品でした。さすが直木賞作家。もっと売れてもいいと思うんですが…
  • 漂泊の牙
    狼好きは読めというレビューを読んで、本書を手に取ってみました。深い雪山での追跡、日本狼の存在、謎の漂白の民。どれも興味深い内容でした。
  • 相剋の森
    「自然と調和して生きる」 壮大なテーマを題材にした力作。伝統的な熊狩りと野生動物の保護という視点で読者に分かりやすい形で論争を提示している。主人公は女性のライター。シンポジウムにて偶然耳にした「山は半分殺してちょうどいい」という言葉。物語が進むにつれ、意識が少しずつ氷解していく。筆者渾身のマタギ三部...続きを読む
  • 氷結の森
    「冬は寒ければ寒いほど良い。冬に全てが凍りつけばそれだけ春や夏が素敵に思える」。九州育ちの私は全く想像がつかない氷点下の世界を物の見事に描く筆致力。大正時代の極寒の地シベリア、サハリンに生きる人々の息吹が胸に染みてくる。 モデルのいない主人公と歴史的事実を無理やり繋げている感じはするが 裏切り、人種...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    骨太というか重厚というか、読後にいろんなこと考えさせる書物です。

    時代は20世紀初頭、今から100年ほど前の東北地方。自然に翻弄されながらも自然に寄り添って生きるマタギの若者が主人公です。

    失われた日本の風土の中で、因習に囚われ、過酷な運命に抗いながらもマタギであり続けようとした主人公富治の...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    「マタギ」がテーマのネイチャー系小説を予想していたが、完全に裏切られた。いい意味で。もちろん期待していた「自然との共生」もテーマの一つではあったのだが、それ以上に物語としてとても面白かった!昼ドラ的ドロドロの愛憎劇あり、官能的な濡れ場あり、ホラー映画のごとくグロい熊との対決シーンあり…かなりの長編だ...続きを読む