宮城県気仙沼市が、この書に出てくる「仙河海市」のモデルになっている。これは、2011年の東日本大震災に関連した物語である。
第一部:仙台で働いていた川島聡太は、東日本大震災に遭い、両親と連絡がつかないことが気にかかり、故郷の仙河海市に向かう。
仕事中にビルの大揺れから始まり、歩いて塾生を送り、ライ
...続きを読むフラインの復旧のないまま車を走らせて避難所まで…という被災状況が非常にリアルに描かれている。
第二部:東日本大震災から50年後の仙河海市に住む小学生の呼人は、海を見たことがない。
少し先の未来を描いているのだが、ここで待人と呼ばれているちょっと変わった爺さんと出会う。
爺さんが呼人に託したものとは…。
第三部:川島聡太が仙台を離れ、生まれ故郷の仙河海市に戻りタクシー運転手として暮らし始めて3年後のこと。同級生たちとの交流、そして高校時代に付き合っていた笑子との再会。
ここから以降の出来事が、第二部の爺さんとなるまでだとわかる。
東日本大震災のことを知ることは辛いが、震災で失われた命や風景を悼むことも必要だと今になって思う。
地震はいつどこで起こるかわからないからこそ、常に心していなければならない。