熊谷達也のレビュー一覧

  • 漂泊の牙
    いや~、面白すぎ。
    一気に読み入ってしまいました。

    東北を舞台に、ニホンオオカミを題材として物語が進んでいきます。
    サスペンス、推理小説の要素もふんだんですが、山の中をマタギ並に駆け抜ける、アニマルトラッカーは凄いです。

    雪の山々が目に浮かんできます。

    本書は、第19回新田次郎文学賞...続きを読む
  • 山背郷
    熊谷達也の短編集。
    マタギ物、漁師物など9編が納められている。
    彼が描く家族像がとても清々しい。

    現代の日本は「家族」を失ってしまっていないだろうか。

    収録作
     潜りさま
     旅マタギ
     メリイ
     モウレン船
     御犬殿
     オカミン
     艜舟
     皆白
     川崎船

    熊谷達也、...続きを読む
  • 七夕しぐれ
    同和問題を扱った作品です。とは言うものの、主題はむしろ少年の成長の物語でしょう。
    良い話です。いじめがあり、友情があり、淡い恋があり、生き生きした中にどこか照れくささや懐かしさもあります。安子ねえ、沼倉のおんちゃんと言った脇役も個性が際立っているし、主人公の3人の少年少女も見事に描かれています。そし...続きを読む
  • 七夕しぐれ
    少年の日の思い出的な作品かと思って読み始めたら、そんな単純な話ではなかった。部落差別の町に引っ越してきた少年が、差別に巻き込まれ・・・という話。差別やいじめ、先生の無関心など、重いテーマで、考えさせられた。部落差別の存在は知っていて、差別が今現在もあることも頭ではわかっているけれど、実際に差別に遭遇...続きを読む
  • まほろばの疾風
    高橋克彦の「火怨」とあわせて読むと、それぞれの解釈の違いが面白い。
    こちらは青年らしさがのこる阿弖流為で、朝廷との戦いだけではなく阿弖流為自身の成長を描いた作品でもあると思います。
    あ、姉さん女房っていいよね!っていうことも一応言っておこう。
  • 漂泊の牙
    雪山の描写の迫ってくる現実感が凄く好き。
    山って開けているように見えて実のところ閉塞感が凄い場所だと思う。
    舞台が結構ご近所なのでちょっとニヤニヤさせられました。
  • ウエンカムイの爪
    相克の森を読んだ後だったので、
    吉田と小山田はコレからだったのかと。
    この人の文章はぐっと来ます。
  • まほろばの疾風
    実在していたことは確かなのだけど詳細は不明となっている蝦夷の軍事指導者アテルイ・・
    彼の人生を生い立ちから描いたストーリーは壮大で、躍動感溢れる記述には見事に引き込まれた。
    著者の筆力には毎度驚かされる。
  • モビィ・ドール
    平成20年11月19日購入

    クマもオルカも人間です。
    と言いたくなる。

    「邂逅の森」ほど感動しないのは
    人知を超えた何物も登場しないからだろう。
    なんだか世界が狭い気がする。

    あ〜正直、殺せないなら書くなよ、と言いたい。

    まあ厳しいことを書いたが
    物語であるからこうでないといけないのかもしれ...続きを読む
  • 漂泊の牙
    冒頭で衝撃を受け、そのままテンポ良く引き込まれて一気にラストへ。
    文章が、ほんと良くて、背景描写もスラスラっと頭に入ってきて、まさに雪山に狼を追う主人公になりきりでした。
  • 漂泊の牙
    2007.10.19 了/
    とても大胆な設定.スリルあふれる展開,民俗学・動物学の専門知識による裏づけ,そして家系の絆・家族の愛からなる人間ドラマ.小説という枠で言えば文句なく中身が詰まった作品.読後感としては大作にめぐりあえた喜びと同時に,「で,結論は・・・?」誰一人として幸せになった人がいないの...続きを読む
  • 迎え火の山
    鬼とかミイラの話。
    親友が採燈祭っていう昔やってた霊を下ろすお祭りをやりたいとか言い出す。のを止めたりとか。女関係とか。
  • 相剋の森
    いわゆる「森シリーズ」の一作目。森に生きるマタギの生き様と現代の自然保護の潮流との衝突。自然との共生というものを深く考えさせる作品である。この作品でも語られているが「共生」という言葉は深く考える必要のあるものであると思う。そもそも、自然と人間というものの関係を如何に考えるか?といのが大きな問題であり...続きを読む
  • 漂泊の牙
    動物行動学から民俗学まで幅広いミステリです。
    最初の殺人から、臨場感があってほんとに怖かった。
    ニホンオオカミがほんとにいるのかも、、、と最後まで私に夢をくれた本です。
  • 山背郷
    昭和初期の東北を舞台にして、農村の人々の生活の中のドラマを、史実を背景に描いた作品群である。ほどよく使われる方言が心地良い。
  • まほろばの疾風
    荒蝦夷を読んだ後のこれ。阿弖流為を悩み苦しむひとりの人間として描く。なかなかに面白い。ある人物の扱いについては、荒蝦夷のほうが好きかな。
  • ウエンカムイの爪
    凄いスリリングで、北海道におけるヒグマに対する信仰的なものが見えた。
    人を襲う熊なのか、熊に襲われる人なのか。
    よく動物の生息域を人間が侵したというが、それもまた自然の姿のような気がする。
    それでも人間には知力があるので、自然を守る為になすべき事をなすべきである。
    …ということかな?
  • 悼みの海
    宮城県気仙沼市が、この書に出てくる「仙河海市」のモデルになっている。これは、2011年の東日本大震災に関連した物語である。

    第一部:仙台で働いていた川島聡太は、東日本大震災に遭い、両親と連絡がつかないことが気にかかり、故郷の仙河海市に向かう。
    仕事中にビルの大揺れから始まり、歩いて塾生を送り、ライ...続きを読む
  • ウエンカムイの爪
    1997年に書かれた作品。東北で熊が人を襲うニュースが多い昨今、旬なテーマといえるかも。

    北海道の山中で、殺人ヒグマを追いかけて駆除するストーリー。ボンボンの私大大学生や、アウトドア雑誌に雇われたカメラマンといった、いかにも90年代的な登場人物が現れることはご愛嬌。

    会話主体の文体なので軽く読め...続きを読む
  • 荒蝦夷
    なかなかに知識が乏しく、ネットで調べながらの読破でしたが、読みやすい文体でした。
    もともと、その土地に住む者と支配したい者。
    戦国時代より生々しい、戦いというより殺し合い、力で奪い合う時代を感じました。
    朝廷との時代背景が 今一つ掴めず難儀しましたが、特に、阿弖流為と田村麻呂が出てきた辺りから、俄然...続きを読む