熊谷達也のレビュー一覧

  • 邂逅(かいこう)の森
    職場の上司に勧められて読んでみた。
    最初あんまり乗り気じゃなかったのに、ガッツリはまってしまいました。

    山形から秋田にかけて獣の狩猟を生業とするマタギの話・・・かと思いきや、主人公である富治の運命は二転三転します。
    テンプレ通りの展開も結構ありますが、伏線の回収はとても上手いなぁと思うし、目の前に...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    時は大正時代、東北の山深い村に住むマタギの青年・松橋富治は
    身分の違う娘との恋に落ち故郷を追われてしまう。
    その後採鉱夫として働くこととなりさまざまな経験、さまざまな人との出会いをしていく中で
    富治はマタギへの情熱を再燃させてゆく。

    とても壮大な自然が目前に見えてくるような小説だった。
    序盤はマタ...続きを読む
  • 氷結の森
    熊谷達也の「森」シリーズの「マタギ」三部作の最終巻。
    これまでの『邂逅の森』や『相克の森』も良かったですが、本書もとても良い。

    主人公の矢一郎の性格が清々しい。
    樺太の自然と彼を取り巻く人物達が魅力的だ。

    熊谷達也、恐るべし。
  • 山背郷
    再読です。
    読んでいて、やはり吉村昭との類似性を感じます。最終的には記録文学の方向に行った吉村さんですが、初期の作品は物語性が高く、そのころの吉村作品に近い雰囲気があります。ただ、熊谷さんの方がより奔放です。
    印象に残るのは「ひらた船」と「川崎船」。自然との厳しい戦いと対比するように人(夫婦間、親子...続きを読む
  • 迎え火の山
    熊谷達也の伝記ホラー小説。
    これまで読んだ『邂逅の森』『相剋の森』『ウェンカムイの爪』などとは異色の作品だ。

    舞台は東北地方であるが、ストリーは内田康夫シリーズのように歴史と現代とがつながっていく。

    主人公工藤が活躍する続編が出たら面白いかなと思います。

    山登りをしているときに、ふっと冷たい空...続きを読む
  • 相剋の森
    いや~、とても面白く一気に引き込まれてしまった。
    『邂逅の森』と話が交わる部分もあり、『邂逅の森』を先に読んで両方を読むのがお薦めです。

    時代は現代、マタギの取材をする編集者の視点から、マタギ文化や自然保護が語られていく。
    最後の山巻きは臨場感があり、とても良かった。
  • まほろばの疾風
    最近熱い東北小説家の一人の熊谷氏の傑作だと思います。
    著作では「邂逅の森」などの現代もののほうがメジャーな気がしますが、私的にはこちらの方が東北人ならではの本だと思うので好きです。
    歴史小説も大好きですし。
  • 相剋の森
    マタギの物語。
    自然保護云々もあるけれど、あくまで対等に自然、熊と向き合って生きてってるんだろう。
    「熊を殺す代わりに、己の欲も殺す」
    わざわざ苦労して熊狩りをしなくても食べていけるこの時代に、あくまで狩りを続けていくのは、文化の継承もあるんが、それよりも先祖から受け継いだ血が騒ぐっていうとこ...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    何とも骨太な一冊だった。
    何かの雑誌の書評を読み、読んでみたいと思い、美和子さんにリクエスト。
    読み始めは秋田弁で書かれた会話やマタギの専門用語の出現で、少々もたつく。
    でも、読み進めるうちにそれが快いリズム感を伴ってくるから不思議だ。
    そう、これは大正時代に厳しい冬山で野生の獣たちと「共生」してき...続きを読む
  • 相剋の森
    ご存知“森シリーズ”。

    「邂逅の森」が、一昔前のマタギの生き様を描いたのに対し、
    こちらは、“現代のマタギ”と“自然愛護”という対極の文化が、どうあるべきかを描いたもの。

    結論的なラストではないものの、だからこそ一考に価する。

    個人的には、またしてもマタギの男に惚れ込んでしまいました…...続きを読む
  • 邂逅(かいこう)の森
    厚みよりも長い長い物語を読んだ感じ。
    くま小説だと思って読み始めたけど、富治の生涯の話だった。面白かった!
    最後の熊との戦いはキツかったー
  • まほろばの疾風
    ミュージカル『刀剣乱舞』 〜陸奥一蓮〜 を観に行くにあたって、蝦夷の文化や関連の歴史に一度触れておきたくて読んでみたところ、足がかりとしてちょうど良さそうだった。

    蝦夷の文化・習俗についてが、信心深くない現代の日本人の目線から見ても噛み砕きやすいくらい理性的に描かれていて、大和側の歴史の動きも最低...続きを読む
  • 漂泊の牙
    雪山にて追う人間と、その対象である動物との緊迫感はすごかった!

    MAN WITH A MISSIONが好きで狼が出てくるから購入。
  • オヤジ・エイジ・ロックンロール
    黒沢巧也
    五十歳を目前にしてエレキギターを購入する。高校生の頃、ギター小僧だった。地元仙台ではそこそこ大きな印刷会社に勤務。第二企画室長。G大五大バンドのひとつ「パープル、ヘッド」に所属していた。

    妙子
    巧也の妻。

    大輔
    巧也の一人息子。大学二年生。ベースをやっている。

    杉本亜紀
    巧也の部下の...続きを読む
  • 我は景祐―幕末仙台流星伝―(新潮文庫)
    私は新撰組が好きで維新志士が大嫌いです。

    新撰組◎
    薩摩△
    長州×
    勝海舟××
    一橋慶喜×
    西郷隆盛△
    松平容保○
    坂本龍馬××
    桂小五郎×
    高杉晋作×
    榎本武揚△
    吉田松陰××

    軍事クーデターにより政権を転覆させた薩摩と長州の武力は、江戸城無血開城という肩透かしを受けて、行き場を失った凶刃の矛...続きを読む
  • エスケープ・トレイン
    暑苦しいスポーツのお話ではないのがとても良かった。ロードバイクに乗り始めたばかりでこの本に出会い自転車のことや競技のことなどたくさん知ることができて、読み終えたらもっともっとロードバイクに乗りたい、レースを観てみたいという気持ちになった。実際に宮城にあるお店やサイクリングコースなどが出てきておもしろ...続きを読む
  • 調律師
     本書を読みながら、宮下奈都さんの『羊と鋼の森』(ピアノ調律師の青年の成長物語 2016年本屋大賞受賞作)を思い出していました。
     本書の単行本は2013年刊なので、『羊と鋼の森』より少し前ということになりますね。

     7話からなる連作短編集で、ピアノ調律師・鳴瀬の再生の物語です。
     元ピアニストの...続きを読む
  • 明日へのペダル
    コロナ禍を背景に、50代半ばの主人公がロードバイクに挑戦する物語。

    主人公は健康診断で脂質異常をD判定と診断された本間優一。
    体質改善を考え会社の部下に勧められたロードバイクを始める事を決意する。

    自転車ショップ「ベルマシーヌ」の場面だけで、その情景が目に浮かんで来る。

    ロードバイクの師匠・水...続きを読む
  • 孤立宇宙
    小惑星が地球に激突するというので外宇宙に向けてテラフォーミングを目的として旅立つもの、またシェルターを作り生き残りを賭けるもの、そして意識をサイバースペースに移して生きていくもの、様々な人間模様を描き出すポストアポカリプスなSF小説。
    普段SFってあんまり読まないのでたまに読むと新鮮でとても楽しい。...続きを読む
  • 孤立宇宙
     蓮と彩音の物語、そして、レンとアヤネ、ミク、ユイのストーリー。
     電脳空間、宇宙空間で肉体を離れて存在する意識、なかんずく人間たちの物語。


    (内容紹介)
     小惑星の衝突で地殻、気象ほかあらゆる環境が破壊され、生存の危機に陥った人類は、他の星への移住を目指すものと世界各地のシェルターで生き残りを...続きを読む