熊谷達也のレビュー一覧

  • 鮪立の海
    文章が方言のせいか少し読み辛かった。
    人生すべてうまくいくなんてことはなくて、良いことと思い通りにはいかないことが半々くらいで出来てるんだなと考えさせられた。
    長めの小説だが、時の流れを感じながら読めるので流れとしては読みやすかった
  • 調律師
    第一話から大好きなOp.64-2が登場し、
    文字を追っているのに脳内にはメロディーが流れ、
    とても爽やかに読み進めていたのに、
    突如起きた予期せぬ転調。

    しかし、そうだったではないか、あの体験は。
    日常を急に破壊した14時46分のあの瞬間が、
    フラッシュバックした。

    仙台在中の小説家が、
    目下執...続きを読む
  • 漂泊の牙
    2020.6.15
    日本で狼がまだ絶滅してない設定に激しくロマンを感じた。動機とクライマックスが物足りなかったけど、読み始めると止められない。狼カッケー!
  • 調律師
    たくさんのこうなるはずだったということが、大きな音をたてて崩れてしまった2011年3月。この物語も、予定していたラストとは違ったのだろうな。それでもここまでの作品となるのは、すごいと思う。評価が辛めなのは著者のファンだからであるのと、今の気分とはちょっと違っていたから。3との4の間にしたい。成澤くん...続きを読む
  • 希望の海 仙河海叙景
    最初は ん?という感じだった。
    震災前と震災後。その落差に驚愕。日常が、これほどまでに劇的に変わってしまったのか。
  • ウエンカムイの爪
    ゴールデンカムイが好きなので、それに近いものを感じて読んだ。ハラハラするヒグマとの闘い。人間のおろかさを感じる。
  • 調律師
    ピアニストだった鳴瀬は、妻を失う事故に遭った後は調律師として生きている。
    音によって色を感じる色聴、においを感じる嗅聴という共感覚が興味深い。
    いくつかのピアノの調律を通して、彼の持つ嗅聴の背景が描かれていくが、
    ある時点で、急に静かな世界観が一変する。
  • 山背郷
    今までであればたぶん自分からはなかなか手を出さないジャンルの小説だったが、「幻の漂白民・サンカ」を読んでいてその話をM浦さんにしたら、「ちょうどこんなのを読んでいるよ」と言って貸してくれた。

    タイトルからしてもう少し山の民や生活によっているかと思ったが、実際には「旅マタギ」「御犬殿」「皆白」以外は...続きを読む
  • 銀狼王
    明治期の北海道を舞台に、老猟師と銀色の毛皮の巨きなオオカミの戦いを描いた作品。デビュー作の『ウエンカムイの爪』、直木賞の『邂逅の森』など、熊谷さん得意のマタギものです。
    思いっきり良く言えば『老人と海』の山版です。むしろ、それより北海道、猟師といえば、吉村昭さんですかね。
    いずれにせよ、比べるものが...続きを読む
  • ティーンズ・エッジ・ロックンロール
    バンド活動や音楽が話の中心になるのかな、と期待していたのですが、匠と遥の恋愛話がメインのお話でした。青春小説としてはありなのかもですが「音楽もの(バンドもの)」と期待したいち読者としては、物足りなさが先立ってしまうのは否めません。

    また、その恋愛話もうまくいきすぎていて、好きになっていくきっかけや...続きを読む
  • まほろばの疾風
    アテルイを主人公にした作品は、陸奥甲冑記(澤田ふじ子)、火怨(高橋克彦)に続いて三作目ですね。
    前半を過ぎまでは、なかなか良いのです。アテルイの登場の仕方もモレとの出会いも。熊谷さんらしい力強さが有って、次々にページをめくってしまいます。しかし、最後はちょっと。というより、「火怨」の余りにヒロイッ...続きを読む
  • 相剋の森
    熊谷さんが「東北」に戻ってきました。
    「ウエインカムイの爪」の続編に当ります。「爪」の主人公であるカメラマン・吉本は今回の主人公・美佐子の相方として主要な役割を果たし、またヒロインだった玲子も登場します。
    ライターの美佐子を中心に、熊猟を行うマタギ達(+吉本)と熊を生かそうとするNPOの三角関係...続きを読む
  • 漂泊の牙
    主人公の城島・女性ディレクターの恭子・警察官の堀越、カメラマン、音声さんなど、なかなか良いキャラクターも揃っています。
    また、山中の追跡シーンは迫力があり、冒険小説としての面白さはありますが、動物視点からの描写がないのが、ちょっと残念です。
    難点はミステリー仕立て(実は人間が起こした事件)にした...続きを読む
  • 迎え火の山
    物語の中間でグッと加速。一気に読み終えると思いきや、最後にちょっとガックリ。
    元々、幽霊とか霊魂とか信じていないし、この手のオカルト小説も余り好きでは有りません。それでも平井和正の「幻魔大戦」や白石一郎の「黒い炎の戦士」などに嵌ったことはあるので、もう少しSFチックな仕掛けなら、私には受け入れやす...続きを読む
  • 希望の海 仙河海叙景
    連作短編集。
    東北の港町、仙河海(気仙沼がモデル)が舞台。スナックを経営する親子、両親の離婚に悩む女子中学生、認知症の夫を持つ老女、苛めにあう小学生、中学教師などの日々の暮らしを、震災前2編、震災後7編の全9編で綴る。
    登場人物があちらこちらにリンクすることで、街の様子が目に浮かぶ。
    個人的には「永...続きを読む
  • 調律師
    なんだろう、やはり途中で投げ出されたって印象なのかな。それは地震のせいなんだけど、本来こうなるべきではなかった物語なのがわかってしまったから、この評価。
  • 調律師
    やわやわとしたいい感じのお話しなのかと思ったら、途中で転調。
    解説を読んで納得。作者自身の精神が、あの日を境にまるで違ってしまった、のか。
    無理もないと思うけれど、主人公の能力は初めから描かれたような解決方法だったのかな。
    違うのなら、それだけでもいいから読んでみたい。余りにもサラリとやられて、ちょ...続きを読む
  • 光降る丘
    宮城県にある実在する市をモデルに描かれた一冊。
    戦後、地区を開拓した祖父、
    二代目 三代目と続く父親、息子の話。

    開拓一世になる祖父たちのなんと力強いことか。
    東京生まれ東京育ちの私には想像もつかないけれど、
    自らの手で生活を築き上げてきた主人公たちは
    想像以上に、一日一日を丁寧に生きていってるの...続きを読む
  • リアスの子
    シリーズ3部作?の最終、と言っていいのか分りませんが、和也とナオミがよそよそしかったのは残念だった。
  • モラトリアムな季節
    「七夕しぐれ」の続編ですよね。
    カーコ「・・・そんな弱音を正直に口にしたり、夢を語り合ったりするのが、ほんとうにつきあっているっていうことだと、わたしは思うんだけど」
    そうだよね。付き合うってそういう事。人間にしかできない事と思います。