レイモンドチャンドラーのレビュー一覧

  • リトル・シスター
     マーロウのもとを訪れた娘は、行方不明の兄を探してほしいと依頼した。

     チャンドラーの「可愛い女」の村上春樹訳です。
     最後の解説に「結局何があったか人に説明しろといわれると上手くいえない」ってあったけど、まさにその通り。
     一応兄の行方不明から始まって、殺人事件がいくつも起こるのだけど、じ...続きを読む
  • さよなら、愛しい人
    チャンドラー作品、二作目(村上春樹訳)。訳者自身がかなり影響を受けているためか、“ハルキっぽさ”というのは“チャンドラーっぽさ”と同一のものなんだなぁ、と読んでてずっと思いました。これは内容を愉しむものではなく雰囲気、またはマーロウという人物の言動、行動、仕草などを愉しむもののようだ。この点もハルキ...続きを読む
  • 湖中の女
    私立探偵フィリップ・マーロウの四作目。

    愛してはいないが妻の行方を捜してほしいという化粧品会社の社長。
    湖近くの別荘に探しに行くと、別の女性の水死体があがる。

    女性二人の体格が似ているとあったところから、
    そこがポイントとなるのかと思いきや、
    思いがけない方向に話が転がっていった感じ。
  • 高い窓
    私立探偵フィリップ・マーロウの三作目。

    裕福な未亡人に盗まれた金貨探しを依頼される。
    今回は際立った個性の脇役がいなかったせいか、今一つ。

    ハードボイルドの生みの親とされているが、
    暴力シーンは思いのほか少ない。
    死人はでるが、酷くはない。
    物足りないという訳ではないが、肩透かしなのかも。
  • さらば愛しき女よ
    私立探偵フィリップ・マーロウの二作目。

    唐突な事件の始まり方、というか、巻き込まれ方が、
    とてもハードボイルドっぽい。
    というとハードボイルドに対する冒瀆だろうか、偏見だろうか。

    富豪の枠美しい妻や謎の女、沖合に停泊すると賭博の船と、
    まるで映画化してくれといわんばかりの設定のようの気がするのは...続きを読む
  • 大いなる眠り
    待望の新訳!丁寧で整った訳のおかげでわかりづらかったところも読み取れるようになった。表裏一体だった冗長さも本作では気にならない。しかしギャルゲ―かと思うくらいガンガン来る娘たちだ……(だからこそそれを捌くマーロウが引き立つのだが)。
  • 大いなる眠り
    チャンドラー作品を読むのは四作目。本作が長編一作目らしい。マーロウの荒っぽい行動と冷静な分析力は相変わらず。村上氏もあとがきに書いていたが、細かい整合が取れているかは考えず、マーロウの動きに身をゆだねて読むくらいが一番楽しく読めると思う。
  • さらば愛しき女よ
    人物表現の多彩さにくらくらした。
    正直、ミステリーはあまり好きではなく、今回も「どうなるのか?」てきな興味はなかったけれど、会話や比喩のお洒落さに惹かれてページをめくった。
    村上春樹が影響を受けるのもよーくわかる。というか、ほぼ真似? と思われる箇所も。でも、いいのだろうけれど。
    次は村上春樹が訳し...続きを読む
  • さらば愛しき女よ
    こんな有名な小説を、勘違いしていました。私。
    ハードボイルドと言えばチャンドラー。
    なのに。

    フィリップ・マーロウ。
    「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」という台詞で有名です。
    確かにある意味タフですし、優しいとも言えますが、想像とは全然違うキャラクターでした。...続きを読む
  • 湖中の女
    1943年発表だが、いささかも古臭さを感じさせない。

    本作は、ファンが泣いて喜ぶ名台詞も、マーロウ自身のロマンスも、魅力溢れる脇役やシビれるシーンも、チャンドラーマニアからの人気もあまりなく、いうならば地味な作品に位置する。

    けれども、警察権力に傷め付けられながらもストイックに謎を追うマーロウの...続きを読む
  • 大いなる眠り
    レイモンド・チャンドラーの村上春樹翻訳シリーズ。過去に読んだ「ロング・グッドバイ」、「さよなら、愛しい人」がいずれも素晴らしかっただけに期待していたけれど、期待を裏切らない作品。

    チャンドラーの作品における印象的な主人公である探偵フィリップ・マーロウが初めて登場する作品である本作も、自由に、かつシ...続きを読む
  • リトル・シスター
    映画はイマイチのと村上氏のコメントをみたので、逆にどんなものか観てみたい。初めて読んだチャンドラーがこれでよかったのか、と今になって思う。
  • さよなら、愛しい人
    本作でも相変わらずフィリップ・マーロウはクールでタフでハードボイルドなわけですが、「ロング・グッドバイ」に比べると、やはり少し見劣りします。

    「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」のような名言もなく、マーロウさんがぐだぐだ言うセリフが多いです。

    また、人生の悲しみに対する描写もイマイチです。...続きを読む
  • さらば愛しき女よ
    ハードボイルドてわかりにくい。心理描写は少ないけれど、すべての推理が終わったときの、マーロウの心中描写は見事だった。いわゆる「砂の器」系の小説だと、すべて読み終えてわかった。誰にも知られたくない過去がある、と書くのは日本の推理小説家。「私は空しい冒険から戻ってきたお人好しのばか者だった」とチャンドラ...続きを読む
  • さらば愛しき女よ
    フィリップ・マーロウとの付き合いは今後またまた深くなるに相違ない。
    その実、「ロンググッドバイ」以前にも邂逅を果たしていた私であったがたぶんそれは渋柿信介という一少年にだいぶ昔出会ってしまっていたからだ。
    私自身のこういったタイプの人間との出会いの原点がそこにはあった。
    既存のという枠にはめられた人...続きを読む
  • さよなら、愛しい人
    ”タフガイ”の私立探偵がフィリップ・マーロウが活躍する
    チャンドラーの小説シリーズ。


    推理モノ、として楽しむよりは、
    ハリウッド界隈の上流階級のスキャンダルを覗き見たり、
    警察内部の人間模様を垣間見たり。
    そういったいろんな人間の生き様を見ながら、
    主人公マーロウをはじめ、
    小洒落た台詞の押収を...続きを読む
  • さらば愛しき女よ
    ハードボイルドはミステリーの一ジャンルであるわけだけど、この作品に謎解きもプロットも求めちゃいけないと思う。マーロウのかっこよさとセリフや喩えといった表現のすばらしさ、そして何より作品全体に貫かれているチャンドラーの美学を楽しむ作品。続きが気になると、次へ次へとページをめくるのてはなく、一字一句を味...続きを読む
  • さよなら、愛しい人
    マーロウのなんだか気障ったらしい台詞回しは、訳者である村上春樹の小説の登場人物に通じるところがあるように思った。
    ハードボイルド=やせ我慢、と思ってしまうのは僕だけか?
  • プレイバック
    マーロウが落ち着ける安息の場所へと導くために、チャンドラーはこの本を書いた気がする。途中で本筋のストーリーとは関係ない人々が出て来て、寄り道のような会話のやり取りがあった。でもこの本の訳者の清水さんもその意図がいまいち把握できてなかったような感じが多分あって、翻訳にその?がにじみ出てしまってた。結果...続きを読む
  • さらば愛しき女よ
    今度のマーロウは、咽喉を締め付けられても薬中にされても諦めない

    皆があっと驚くやり方で事件を一気に解決へと向かわせる

    マーロウは分かっていたようだが、その推理は最後の最後になってようやく語られる

    真犯人を警察に任せるのは、フィリップ・マーロウらしい

    ということで、畳み掛けるようなラストは見応...続きを読む