うん、これは良い食漫画だ。
何度も言っているけど、私にとって、良い食漫画とは、読んでいて空腹感を覚えてしまう作品。
正直に言っちゃうと、この『すべっちゃいけない芸人ごはん』は、読み手を空腹にさせる力、それがあるにはあるにしろ、そこまで強いって訳じゃない。だけど、他の点で、私に良い食漫画だ、と感じさせ
...続きを読むてくれる作品だった。
私が、良い食漫画だ、と感じた点、それは、誰かと美味しい食事をする時の幸福感を伝えてくれるところだ。
『女優めし』のように、一人で美味しいモノを食べる、それも悪くない。けれど、友人と食事をする、それも楽しいものだ。
どっちが良いか、は決められない。と言うか、決めちゃいけないだろう。どっちにも良さがある、それで良いだろう。世の中、時には、お茶を濁し、答えをぼんやりとさせた方が良いもんだ。
まぁ、そのあたりはさておき、この『すべっちゃいけない芸人ごはん』は、基本的に、ペナルティのヒデさんが、第一線で活躍している同士たちと共に、酒食を楽しむ、幸せな時間を描いている。
主役を、決して、派手に目立っている訳じゃないのに、しっかりと、自分の存在をアピールして、前に出るべき存在を引き立てる動きが出来る、名アシストを熟す、ペナルティのヒデさんにしているってのも、これまた、乙だ、と感じさせてくれた。
そんなヒデさんが贔屓にしているだけあって、登場する実在の店は、どれも良い雰囲気で、提供される料理が、どれも美味しそうだった。また、ヒデさんが美味しそうに、なおかつ、正しく、お酒を楽しんでいるってのも高ポイント。
こういう風に、食事を楽しめる、カッコいいオジさんになりたい、と思わせてくれる作品が、単巻で終わっちゃうのは、実にもったいない。間が開いても良いから、(2)を出してほしいなぁ、と強く願っちゃう、それは、やっぱり、これは良い食漫画だからでしょう。
この台詞を引用に選んだのは、ヒデさんへの好感度が、そりゃ、もう、グンッとデカい音が聞こえるくらいの勢いで高まったので。
ヒデさんに、こうやって、厳しくも、愛のある釘の刺し方をして貰える金田さんは、縁に恵まれている。
私がカエルってのもあって、カッコいい大人の条件に、お酒を楽しめる事ってのがあるもんだから、余計に、ヒデさんの、やんわりとしながらも、威厳を感じさせる物言いには痺れた。
何か、誰かを愛したい、愛して欲しいのであれば、敬意を持って接するのが大事。
自分よがりな「好き」に振り回されて、好きなものを蔑ろにし、イメージを下げてしまうようでは、カッコいい大人からは程遠いんだろうな。
ヒデさんのコレに対し、反発せず、真摯に受け止め、反省し、前を見直せる金田さん、きっと、彼なら大丈夫だ。
「金田・・・・・・」
「なんですか?」
「せっかくだし・・・老婆心で一言・・・酒が好きなら、酒のイメージを悪くするような飲み方は、やめたほうがいい。そうしないと、おまえ自体が避けに愛されなくなる。ましてや、身体を壊して、飲めなくなったら、最悪だしな」
「・・・・・・はい」(byヒデさん、金田さん)