ストーリーに『感動』と言ってしまえば簡単だけども、それだけじゃない。
その細かな描写に『そうそう』と笑い納得しながら心をチクッとさせられるし登場人物のお互いの思いが交錯した時にはグッとくる。特に楓の立場にいる人は思いだしたくない出来事が描かれていると思う。
なかなか感情の鋭いところを抉られるけれども
...続きを読む、ポップな可愛い絵に救われる。
私はまだ80歳にはなれていないけれども老いる痛みを知っているし、若い頃の疲れない身体を忘れてしまった。
私自身も漫画を読みながら昭和と令和のギャップに驚く。
そして幸子さんもそのギャップに怯え、二の足を踏んでしまう。だけども色んな人に出会い少しずつ前に進んでいく。
幸子さんの周りに登場する人たちは距離感が令和なのに近い。でも嫌な感じが全くない。
今の時代、他人との距離感大事。相手の個性を尊重しプライベートに踏み込まない。時間や手間をなるべく省き、なんなら恋人だってスマホで探せる。その場しのぎの恋人なら別れる時もあっさりとスマホで。別れを切り出された方も慣れたもので『じゃあ次』と。まあ別れの連絡をするだけでも良しなのかな?
距離感や時短は合理的だし正論だと思う。踏み込まないから誰も傷つかないし傷つけない。
だけどもそこには人間味がない。自分が傷つけられたと思いたくないからより感情を押し殺す。深く考える前に考えることをやめてしまう。
人間なのに気持ちはどんどん通り過ぎていく。まるで工場のベルトコンベアに乗せられた箱。
せめてその箱を取り出し蓋を開け中身をよく吟味してもらいたいと思う。
話がそれてしまったが、幸子さんはとにかく今の日々にいちいち傷つく。でも距離感の近い個性豊かな登場人物のおかげと幸子さん持ち前の立ち直りの速さでストーリーは進んでいく。
今流行りの『異世界』ではなく若返った幸子さんと登場人物が『現代』を模索しどう生きるか。
絵柄とは裏腹に結構シビアな問題が山積みで3巻が待ち遠しい。
トラウマになりそうなストーリーがいくつかあるので『私にも感情が残ってるか』を確かめるにはうってつけの漫画だと思う。
私は心臓がキュっとなったら『おっ』と思いながら何回も読んでます。
マゾかもしれません。