【感想・ネタバレ】18=80(エイティーン エイティ)(2)のレビュー

主人公は飴屋幸子(あめや さちこ)、80歳。
死を目前にやり残したことを考えたら海外旅行や勉強でもなく、すべて人への執着でした。
臨終の間際、大事な人間に会うのを避けてきた臆病な自分に気づき、心から「どんな姿でもいいから、もっと生きたい!!」と強く願ったところ、なんと18歳に若返ってしまったのです!!
ふとしたことで仲良くなった隣のアパートに住む、胡桃仙太郎(くるみ せんたろう)に助けてもらいながらなんとか第2の人生を歩み始めた幸子ですが、仙太郎に命のリミットがあることを知り、お互いがやり残したことをふたりで協力して叶えることを提案します。

80歳が18歳に若返るとだけ聞くと、若返って色々できて良いことづくめ!と思ってしまいますが、実際にはそんな単純な話ではないようです。
幸子がバスに乗ろうとするも小銭を出すのにまごついてしまった際、80歳の時は動作が遅くても周りはそれを許してくれていたのに18歳の姿で同じことをしたら「ちっ!早くしろよ」と言われてしまったり、駅で道を聞いた際も、お年寄りには親切丁寧に教えてくれるのに、18歳の姿の幸子には「自分で調べてよ」と言われて終わってしまったり…。
「突然若返るとこんな問題が発生する」ということを老人視点から描いており、それが妙なリアル感があるのです。
もしや作者の岩渕竜子先生は本当に若返った方なのでは…!?と思ってしまうほど、読者側に様々な気づきを与えてくれます。

若返ったことで様々な問題にぶつかる幸子ですが、諦めずに立ち向かう姿は読んでいて勇気を貰えます。
中でも
「やればできるんだって思いたい 心まで老化させちゃ駄目なんだ」
というセリフが胸に突き刺さりました。
何歳でも新しいことにチャレンジできるとは言いますが、心が老化してしまうとチャレンジしたいとも思わなくなってしまいます。
この発言に至った幸子のバイタリティは眩しいほど!
恐らくはそんな幸子と一緒にいることで、体が弱い仙太郎も救われているのだろうと思います。

心が疲れてしまった方、心の老化を感じる方は、彼女の前向きな姿を見て元気を貰ってください!

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匿名

ネタバレ 購入済み

読み手の年齢で共感ポイント変幻

ストーリーに『感動』と言ってしまえば簡単だけども、それだけじゃない。
その細かな描写に『そうそう』と笑い納得しながら心をチクッとさせられるし登場人物のお互いの思いが交錯した時にはグッとくる。特に楓の立場にいる人は思いだしたくない出来事が描かれていると思う。
なかなか感情の鋭いところを抉られるけれども、ポップな可愛い絵に救われる。

私はまだ80歳にはなれていないけれども老いる痛みを知っているし、若い頃の疲れない身体を忘れてしまった。
私自身も漫画を読みながら昭和と令和のギャップに驚く。
そして幸子さんもそのギャップに怯え、二の足を踏んでしまう。だけども色んな人に出会い少しずつ前に進んでいく。

幸子さんの周りに登場する人たちは距離感が令和なのに近い。でも嫌な感じが全くない。

今の時代、他人との距離感大事。相手の個性を尊重しプライベートに踏み込まない。時間や手間をなるべく省き、なんなら恋人だってスマホで探せる。その場しのぎの恋人なら別れる時もあっさりとスマホで。別れを切り出された方も慣れたもので『じゃあ次』と。まあ別れの連絡をするだけでも良しなのかな?

距離感や時短は合理的だし正論だと思う。踏み込まないから誰も傷つかないし傷つけない。
だけどもそこには人間味がない。自分が傷つけられたと思いたくないからより感情を押し殺す。深く考える前に考えることをやめてしまう。
人間なのに気持ちはどんどん通り過ぎていく。まるで工場のベルトコンベアに乗せられた箱。
せめてその箱を取り出し蓋を開け中身をよく吟味してもらいたいと思う。

話がそれてしまったが、幸子さんはとにかく今の日々にいちいち傷つく。でも距離感の近い個性豊かな登場人物のおかげと幸子さん持ち前の立ち直りの速さでストーリーは進んでいく。
今流行りの『異世界』ではなく若返った幸子さんと登場人物が『現代』を模索しどう生きるか。
絵柄とは裏腹に結構シビアな問題が山積みで3巻が待ち遠しい。

トラウマになりそうなストーリーがいくつかあるので『私にも感情が残ってるか』を確かめるにはうってつけの漫画だと思う。
私は心臓がキュっとなったら『おっ』と思いながら何回も読んでます。
マゾかもしれません。

#笑える #泣ける #深い

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2023年06月01日

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