須賀しのぶのレビュー一覧

  • 紺碧の果てを見よ(新潮文庫)
    文通相手との読書会のために、文庫で再読しました。
    何度読んでも惹きつけられ、度々出てくるタイトルが切ないです。美しいタイトル。
    戦争の行く末が分かっていても、彼らの辿る運命の悲惨さに胸が潰れそうになります。
    誠実に丁寧に、迫力はあるのですが冷静に描かれていて、それが戦争の悲惨さをしみじみと感じさせま...続きを読む
  • 雲は湧き、光あふれて
    高校野球にまつわる話三編からなる短編集。爽やかな青春小説だと思ってきゅんきゅんしてたのに、最後の話にやられました。
  • 紺碧の果てを見よ(新潮文庫)
    細かい。
    艦コレやっとけば、戦艦の名前とか特徴とか、出撃した場所とかわかってて、別口でもより一層おもしろいなと思いました。

    戦後70年だからなんですね。
    表面的に見えていたものと、裏側に佇んでいたものが入れ替わる時間なんですね。
  • 北の舞姫 芙蓉千里II
    1巻は終始駆け足だったが
    今回は趣き変えてちゃんと行ったり来たりを繰り返すふつうのお話
    終盤からはフミがカリエと見分けつかなくなってくる
    主人公がお話を動かす機関になっているつくりごと感はあるが
    そこで展開される様が作者の本領なのかもしれない
  • 紺碧の果てを見よ(新潮文庫)
    海軍兵学校を出た海軍士官たちの太平洋戦争の物語。主人公の父は会津出身、日露戦役の生き残りというところに思わず引き込まれてしまいました。
    士官側からみた戦争小説ってあんまり読んだことがなかった気がするな。ぐっと胸にくる小説でした。

    この作家さんは、実際には見たことがないはずの時代をなぜこんなに生き生...続きを読む
  • 紺碧の果てを見よ(新潮文庫)
    文通相手との文通読書会二回目の課題本。
    自分では戦争ものを選べないので、こうして課題本にしてもらって、読むことができてよかった。

    鷹志は幼い頃より父に「逃げるは最上の勝ち」「ねらぬものはならぬ」と教えられて来た。その教えは男子としての生き方を否定されているようで、心の中でいつも反駁を繰り返していた...続きを読む
  • 夏空白花
    著者得意の甲子園もの。戦技甲子園を復活しようとする人々が描かれます。主人公の奥さんとマーカット局長の「一言」が良かった。でも、甲子園ものでは、「雲は湧き、光あふれて」の方が好き。近代東欧史ものでも「革命前夜」とか「また、桜の国で」などの傑作をものにしているので、そろそろ直木賞に届いてほしいなあ。最高...続きを読む
  • 紺碧の果てを見よ(新潮文庫)
    戦争そのものは決して肯定はしないし、賛美するものではないが、こういった戦争(を題材とした)文学はいつまでも書き継がれていってほしい。
  • 夏空白花
    戦争による高校野球の中止。終戦後に再開させたくてもなかなか目処が立たないなかなんとしてもという決意のもと動き出す神住。野球に対する強い想いと元球児としての願い。GHQの壁。困難なことがたくさんある中で日本の復興のひとつのシンボルとして野球を、それも高校野球の復活。アメリカ側とのやりとりで見えてくる日...続きを読む
  • 夏空白花
    文庫化まで待ちきれず。

    戦後の甲子園再開に奔走した人々の群像劇、と思いきや、主人公の奮闘がメイン。
    しかし、周囲の人物たちもしっかりと魅力的。
    (とくに主人公のオクサマ)

    表紙カバー絵の構図、こういう意味だったのか。

    この作品にも取り上げられているとおり、日本の高校野球のあり方については賛否両...続きを読む
  • 神の棘II
    戦争中の人々と宗教との関わりの深さがよくわかりました。日本とは全く違うなー。
    歴史に残らない人々の感情を垣間見られるのは、小説のいいところだよなーと思いました。
  • 神の棘II
    第二次世界大戦下のドイツ。かつて親友だった二人が、SS将校と修道士として対峙する。あまりにも重い時代。とてつもなく重いものを背負った二人。戦争の行く末を知っているだけに読み進むのがつらくて、それでも二人の生き様をなめるようにじっくり読んでしまった。後半の『神の棘Ⅱ』は戦闘の描写が多くて本当につらかっ...続きを読む
  • また、桜の国で
    ただただ圧倒された。多くの人に読んでもらいたいと、あの子に読んでもらいたいと何度も人の顔が浮かんだ。

    戦争を回避しようとぎりぎりまで遠い地で情報を集め、さまざまな人たちと粘り強く交渉した人たちがたしかにいたのだ。すべては人と人との信頼。今やインターネットで何でも知れると思ってしまう時代になったけれ...続きを読む
  • また、桜の国で

    桜は咲いただろうか

    桜は咲いただろうか。
    いや日本において散る姿が美徳とされる桜にそれを問うのは愚問かもしれない…そんな感想が残った。

    フィクションであろうが史実が本流となっており戦争を知らない世代の日本人でも「戦争を内側から観ることが出来る」貴重な作品である。ましてや難しいであろう東欧を混血の視点で描くことで...続きを読む
  • 雲は湧き、光あふれて
    私達の部活でも同じことがあり、
    みんなで話し合ったことが思い出されました。

    共感出来る部分も多々あると思います。

    ぜひ読んでみてください!!
  • 神の棘II
    神の棘

    Ⅰ、Ⅱ総じての感想。

    ナチスの支配するドイツにおける、マティアスとアルベルトという、ふたりの男の物語。

    かつては友と呼べる間柄だったふたりの生きざまを、想いを、この小説で追っているうちに、いつの間にか自分の中の「正義」と「信仰」に対峙することになる。

    激動の時代の中で神を信じたマティ...続きを読む
  • また、桜の国で
    なんとも重い読後感でした。
    冒頭、日本とポーランドのつながりを知って驚きました。
    途中から、アンジェイ・ワイダの映画「地下水道」のラストシーンを思い出して、なお辛くなってしまいました。
    それでもこの時、ポーランドという国に何が起きたのか知らなければならない。そう自分に言い聞かせて読み終えました。
    ...続きを読む
  • 帝国の娘 上
    正統派のファンタジー小説。

    ライトノベルだと、ギャグが入ったり
    キャラクター同士のボケツッコミに
    終始してしまいがちだけど、
    この本ではそういったラノベっぽさが
    全くないのが安心できる。
  • エースナンバー 雲は湧き、光あふれて
    シリーズ2作目といえど、こちらから読んでも良さそうな一冊になっていてすばらしい。けれど前作を読んでからのほうが、あのときここではこんなことが起こっていた! というたまらない構成を楽しめるとおもう。どこをとっても爽やかで、わたしのような野球をしたことがない人間が望んでしまう、しかし絶対にあるとおもえる...続きを読む
  • 神の棘II
    上下巻一気に読み終わってしまった。須賀しのぶらしい、骨太な作品で、読み終わったあとの充足感はひとしお。第二次大戦前から戦後にかけてのドイツの、社会や人々の生活がリアルで、映画を見ているような気分にもなった。
    修道士・マティアスと、軍人・アルベルトの軌跡をたどっていると、作者はドイツを舞台にしたかった...続きを読む