寺山修司のレビュー一覧

  • あゝ、荒野
    60年代の、ネオンの煌く新宿という荒野でたたかう人々の物語。直接的な場面が多かったのに嫌悪感なく読めたのは、彼らの中の闇に共感していたからなのか。「愛するために、愛されたい」主人公のラストにちょっと泣きました。
  • 寺山修司少女詩集
    大変、美しい詩集でした。
    この詩集を読むまで、はっきりいって私は詩に興味がなかったのですが、この詩集が持つスケールの大きさ、瑞々しさ、優しさ、美しさに心惹かれて、少しだけ詩を読むようになりました。
  • 戯曲 毛皮のマリー 血は立ったまま眠っている
    戯曲は面白い。小説と異なり物語の情景が、観客席から舞台を観ている視点と状況として目に浮かんでくる。大きな劇場ならば豪華なセットを想像できるし、小さな小屋を想像するならほとんどが見立てとなる。奥行きだけは曖昧にならざるを得ないし、想像と実際では上下は異なるかもしれないが、たぶん想像する動きは違わないだ...続きを読む
  • 戯曲 毛皮のマリー 血は立ったまま眠っている
    5篇を収録する戯曲集。篇中の白眉はなんといっても「毛皮のマリー」だろう。この作品は、こうして戯曲として読んでも、想像力が拡がって十分に楽しめるのだが、やはり舞台で見てみたい。寺山自身による演出で、1967年新宿文化劇場で初演されている。その時には都内21件のゲイ・バーが協力したというから、さぞかし賑...続きを読む
  • 寺山修司青春歌集
    読み直すたびに、その時の自分に響く作品が変わる。
    自分のバイブル的な本。



    草にねて恋うとき空をながれゆく夏美と麦藁帽子と影と

    マッチ擦るつかの間海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや

    ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲のかくまで苦し
  • 寺山修司少女詩集
    現実と非現実の狭間が不明瞭でかつ、不明確であるがゆえに無限の事象を目の当たりに出くわしてしまう詩集作品。奇才ならではの視点に圧巻、この人の目となりたかった。
  • 寺山修司少女詩集
    これもまた読み応えのある詩集でした。
    寺山修司って方は、すごい才能の持ち主だったってことが
    たった一冊のこの詩集で、誰にでも難なくわかるのです。

    難しい言葉はありません。

    誰もが奥底に潜ませる匣に持っているような
    さみしさや悲しみ。
    追っても戻らぬ大事にしていたなにか。
    今、夜の隅から捧げたくな...続きを読む
  • あゝ、荒野
    群像劇。

    「モダンジャズの手法で書いた」と本人は言っているけれど。

    ポールトーマスアンダーソンの映画みたいな。

    それぞれが闇を抱えていて、それぞれの人生が交差する場所としてのリング。

    世の中に問題提起している感じがする。


    荒野。

    って、いいことばだな。

    バーのカウンターは、荒野。

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  • ポケットに名言を

    サルトル、サン・テグジュペリ、ドストエフスキー、マルクス、太宰治、三島由紀夫、ゲーテ、ブルース・リーといった著名人の名言集です。

    『涙は人間のつくる一番小さな海です』
    という言葉はとても美しいと感じました。

    読みやすくて,気のむくままにページをめくっていきながら,自分にあった言葉を見つ...続きを読む
  • 書を捨てよ、町へ出よう
    ことばで人を、世の中を斬ろうとしている人。

    本質の、大きなところに遡って思考するようにしたい。


    ・ぼくたちには日常生活内の「冒険」が必要である。
    生き方としての一点豪華主義。

    ・ホームに帰ることがよしとされていた時代の、ホームベースに帰る野球人気。

    ・あらゆる既成概念への造反は、やがて国家...続きを読む
  • 寺山修司少女詩集
    物事を、うまく例えるなぁと。

    目から入って、口から出る。

    その間は物理的には10cmくらいなんだけど、
    その間にうまく編集されている。

    そんな人になりたい。

    余白の使い方。

    相手の心に絵を描かせる方法。
  • 戯曲 毛皮のマリー 血は立ったまま眠っている
    戯曲集。冒頭からぐいぐい寺山ワールドに引っ張られる。「血は立ったまま眠っている」のテンポの良さ、台詞回しは圧巻。声に出して読みたい。
  • 寺山修司少女詩集
    日本の詩歌のレポート書こうと思って久しぶりの読み返してみた。
    何も考えずにまっしろな状態で読むのが一番心地よい。
    そんなに長くもないし難しい内容でもない、どっちかっていうとある種ファンタジー風味なんだけど、ところどころに本物の現実がちりばめられてあって、そこに惹かれるのかなぁ。何回読んでも好き。
  • 寺山修司少女詩集
    中学1年の時に出会った本です。
    どっぷりと はまって
    抜けられないまま20年経ちます。

    表紙は、以前の林静一さんのものを
    持っていますが、そちらの方が好きです。
  • 戯曲 毛皮のマリー 血は立ったまま眠っている
    寺山修司の世界観に引き込まれた!
    どす黒くもキラキラしててエロティックなキャラクターたちは皆感情剥き出しで、そこが人間らしくて魅力的だった
    綺麗事で塗り固められた教科書の何百倍も、想像力をかきたてられる
  • 寺山修司青春歌集
    歌は映像だと初めて意識した作品

    一遍一遍に目を通す度に、様々な映像が頭の中に浮かんでは動き出す。初めての体験でした。

    寺山修司が、ようやくあぶりだした、日本の暗き田舎像についても、共感まではいかないまでも、理解できるような気がします。
  • 幸福論
    一番好きな作家。
    正直文章自体は理系の自分には中々難しく、かなり読み飛ばしている部分もある。
    けど、この人の書く文章には力学がある。秩序を前提とした「当たり前」の矛盾に立ち向かってるパワーがひしひしと感じられる。

    私の詩のなかには
    いつも汽車が走っている
    だが私はその汽車に乗ったことがない

    心を...続きを読む
  • 寺山修司少女詩集
    二冊買った。
    一冊は自分用、もう一冊はプレゼントとして。

    叙情的で、半ばセンチメンタルな詩。
    詩と詩の行間も良い余韻として使われている。

    こんな感性を枯らさずにいたい。
  • 誰か故郷を想はざる
    切ない刹那。故郷がないと嘘ぶくやつの、生命をめぐる抒情詩。父の銃口向かう先にアナーキズムと努力を感じる。太宰よりも軽く、安吾よりも伝わる青春讃歌は思い出したいというより、思い出すべき。悲しみから得られるものも、何気に種類豊富だなぁ。
  • 戯曲 毛皮のマリー 血は立ったまま眠っている
    ・毛皮のマリー La Marie-Vison

    2009年 美輪明宏 さん主演「毛皮のマリー 」。

    マリー「あたしは、その中でできるだけいい役を演じたいの。芝居の装置は世の中全部」

    このセリフが聴きたくて帰国した。

    何年も待ちわびた演目で今でも目の中に浮かぶ。

    下男 
    「ああ、うまいこと自...続きを読む