舞城王太郎のレビュー一覧

  • みんな元気。
    純文学雑誌「新潮」における舞城王太郎の方向性。
    非常に素晴らしく、文庫としての手軽な値段は非常にお買い得。

    初めて舞城に触れる方は、こちらの作品をオススメします。
  • みんな元気。
    「みんな元気。」は声に出して読みたい日本語。もうたまらない長い台詞。これは外人ですね。お話の国あたりで市村正親に読んでもらいたいな〜
    「矢を止める5羽の梔鳥」は非常にロジカルな言葉遊びの連続のような作品。庄野頼子と似てるようで何か大きな違いを感じるんだけど、ずっとその何かがわからなかったんだけど、発...続きを読む
  • 熊の場所
    ピコーン!はもう何度読んだか分からないくらいですが、何度読んでも素晴らしすぎる。
    「クレッソワーントなのでございます」でガッチリ掴まれました。声に出して読むと分かりますが、文章のリズムが完璧なんです。
    アクセルガンガン吹かしたテンションで、読んでてちっとも飽きない。一見考えなしにまくしたてているよう...続きを読む
  • 山ん中の獅見朋成雄
    なんだか平和な感じです。いや、これも結構なことをやっていらっしゃるから、平和というのは危ない気もしなくもないのですが、やっぱり「煙か土か食い物」とか「九十九十九」と比べるとのほほんとしてます、舞城さんの中では。それでも十分面白いですよ!一気に読んでしまう。私も一日で読みました。やっぱり舞城さん素敵。
  • 好き好き大好き超愛してる。
    ”愛”の存在自体は永続的とも言えるが、一瞬の感情の交わりで愛を成立させるのすらわりと無理だし、フィクション的だと言い続けたい。しかし、虚構もまた存在である。だから祈ったらいいよ。わたしも祈ってみようかな。愛について語る人は、愛を持ってる人と、そうでない人だが、後者のほうが自己愛が強そう。つまり愛だよ...続きを読む
  • 世界は密室でできている。
    舞城王太郎作品をおすすめしてもらったので読んでみました。

    序盤からどぎつくグロテスクな表現が続き、顔をしかめながら読み進めると、軽快な一人称の語り口に気づけば引き込まれています。
    ぶっ飛んでいながらも友情、恋愛、青春の機微が切なく描かれています。
    中毒性が高いと思います。
  • 畏れ入谷の彼女の柘榴
    正しさと優しさは両立しないことの方が多いと、つくづく思った。不思議の中に優しい物語を入れ込むのが舞城王太郎の凄さ。

    「畏れ入谷の彼女の柘榴」
    タイトルの語呂が良くていい。でも、モヤモヤする話だった。千鶴が不倫して出来た子供を「おめでたい出来事」と言い、そこから夫婦の関係が悪くなっても「雨降って地固...続きを読む
  • バイオーグ・トリニティ 1
    とにかくついてこいと言わんばかりの破天荒な展開だが、きれいな絵と相まって、読み進めやすい。多用される見開きも素敵だった。
  • 短篇七芒星
    舞城王太郎って感じ。この人の真似は誰にも出来ないんじゃなかろうか。発想とか。感想を言葉にするのも難しい。魅力を伝えるのには話の筋とかではないから。

    奏雨。足切りという殺人鬼、ソウとはSAWという映画。
    狙撃。スナイパーの撃った弾が悪人の体内にワープする話。
    落下。マンションで飛び降り自殺の落下音が...続きを読む
  • 煙か土か食い物
    個性的な文体で、スピード感があった。あまり改行もなく、文量が多いが不思議と読みづらいということはなかった。主軸が傷害事件と家族の話。主人公の語りも含め好感を持った。タイトルが祖母のセリフというのも印象的だった。
  • 煙か土か食い物
    密度の濃い文章で、スピード感ある展開。
    タイトルは、祖母の死に際の言葉
    「人間死んだら、煙か土か食い物や」から。
    とても印象的で収まりの良いフレーズなので、どこか古典に出所があるのかと思いましたが、舞城さんの創作のようですね。
    アメリカで働く腕利の外科医四郎。本人は、神の一人とまで言う。そこへ、日本...続きを読む
  • されど私の可愛い檸檬
    3つの話はどれも面白かった。
    特にトロフィーワイフが面白かった。
    「人はどんな状況でもある程度は幸せになる」っていうのは確かにそうだなって思った。その人がいないとダメだとか、その人がいるから特別幸せなんだっていうわけではないということがわかった。
    読み終わって、自分はその人とって特別じゃないんだって...続きを読む
  • 短篇七芒星
    「代替」は『淵の王』からの擬似二人称シリーズに見えて、途中から語り手が対象に代替してしまうという話。『好き好き大好き超愛してる。』などポジティブなエナジー=リビドーに対する底なしの受容の話が多かった舞城作品の中で、今回は死に向かうエナジー=タナトスの承認の話であり、おーすごいことやってるぞと驚かされ...続きを読む
  • キミトピア
    舞城王太郎作品では、感動と切り離されているようでいて人とは別の道で誠実さや愛にたどり着く主人公が多く登場するが、本作の主人公たちの世界や人間に対する興味のなさはかなり徹底していて突き放されているような冷酷な印象を受ける。特に「やさしナリン」や「あまりぼっち」「真夜中のブラブラ蜂」の主人公たちは冷たい...続きを読む
  • 短篇七芒星
    「ろくでもない人間がいる。お前である。
    くだらないことに執着して他人に迷惑をかける人間がいる。これもお前である。
    何を触っても誰と関わっても、腐敗と不幸をもたらす人間がいる。まさしくお前である。」

    SNSでバズっていた印象に残る書き出しがキッカケで手に取った本。短編集なので非常に読みやすく、内容も...続きを読む
  • ビッチマグネット
    舞城作品の中で特に好き。
    これまでの舞城作品では、どこかしらファンタジー的だったり、SF的な要素があったが本作はそういったものがほぼない。かなりリアリティラインが高く
    設定されている。本作の主人公は、ひたすらうじうじ悩むタイプ。卑屈さこそないけれど、自分で考えを広げた先から否定してその先に進もうとし...続きを読む
  • 好き好き大好き超愛してる。
    結構ポップというか軽い文体だけれど、起こっていること、主人公が小説に書くことの周囲との隔絶は結構辛いですね。

    自分の経験を元にしたことって、絶対に説得力が出るし、なにより、だからこそ書き残す意味があるんですよね。

    まあ、自己満足と言われればそれまでなのかもしれませんが…
  • スクールアタック・シンドローム
    元々は『みんな元気。』という単行本で出版されたのが、文庫化にあたって『みんな元気。』と『スクールアタック・シンドローム』に分冊されている。『みんな元気。』の収録作は「みんな元気。」「Dead for Good」「矢を止める五羽の梔鳥」。『スクールアタック・シンドローム』は「我が家のトトロ」「スクール...続きを読む
  • されど私の可愛い檸檬
    3作品とも舞城作品の中でもかなり上位の完成度。
    どの物語の主人公たちも試行錯誤してたまに思い直したりを重ねながら"自分の本質"や"本意"にせまろうとしていく。そして、その果てに高度な言語化や行動化を行う姿はまるでドストエフスキーの登場人物たちみたいだ。そういった"純粋性の探求"は舞城作品ではかなり頻...続きを読む
  • 私はあなたの瞳の林檎
    とても良かった。
    中短編3作の短編集で、過去の作品ほどのぶっ飛んだ設定やキャラクターもなくて、文章も大きく規範から逸脱せず、構成も素朴なんだけど、過去作からも一貫した世界や私に対する肯定的な視点があって、読んでると穏やかな気持ちになる。
    舞城王太郎の他の作品のように劇的に世界に対する愛を語れるように...続きを読む