舞城王太郎のレビュー一覧
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”愛”の存在自体は永続的とも言えるが、一瞬の感情の交わりで愛を成立させるのすらわりと無理だし、フィクション的だと言い続けたい。しかし、虚構もまた存在である。だから祈ったらいいよ。わたしも祈ってみようかな。愛について語る人は、愛を持ってる人と、そうでない人だが、後者のほうが自己愛が強そう。つまり愛だよ...続きを読むPosted by ブクログ
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舞城王太郎作品をおすすめしてもらったので読んでみました。
序盤からどぎつくグロテスクな表現が続き、顔をしかめながら読み進めると、軽快な一人称の語り口に気づけば引き込まれています。
ぶっ飛んでいながらも友情、恋愛、青春の機微が切なく描かれています。
中毒性が高いと思います。
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正しさと優しさは両立しないことの方が多いと、つくづく思った。不思議の中に優しい物語を入れ込むのが舞城王太郎の凄さ。
「畏れ入谷の彼女の柘榴」
タイトルの語呂が良くていい。でも、モヤモヤする話だった。千鶴が不倫して出来た子供を「おめでたい出来事」と言い、そこから夫婦の関係が悪くなっても「雨降って地固...続きを読むPosted by ブクログ -
3つの話はどれも面白かった。
特にトロフィーワイフが面白かった。
「人はどんな状況でもある程度は幸せになる」っていうのは確かにそうだなって思った。その人がいないとダメだとか、その人がいるから特別幸せなんだっていうわけではないということがわかった。
読み終わって、自分はその人とって特別じゃないんだって...続きを読むPosted by ブクログ -
結構ポップというか軽い文体だけれど、起こっていること、主人公が小説に書くことの周囲との隔絶は結構辛いですね。
自分の経験を元にしたことって、絶対に説得力が出るし、なにより、だからこそ書き残す意味があるんですよね。
まあ、自己満足と言われればそれまでなのかもしれませんが…Posted by ブクログ -
元々は『みんな元気。』という単行本で出版されたのが、文庫化にあたって『みんな元気。』と『スクールアタック・シンドローム』に分冊されている。『みんな元気。』の収録作は「みんな元気。」「Dead for Good」「矢を止める五羽の梔鳥」。『スクールアタック・シンドローム』は「我が家のトトロ」「スクール...続きを読むPosted by ブクログ
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3作品とも舞城作品の中でもかなり上位の完成度。
どの物語の主人公たちも試行錯誤してたまに思い直したりを重ねながら"自分の本質"や"本意"にせまろうとしていく。そして、その果てに高度な言語化や行動化を行う姿はまるでドストエフスキーの登場人物たちみたいだ。そういった"純粋性の探求"は舞城作品ではかなり頻...続きを読むPosted by ブクログ -
とても良かった。
中短編3作の短編集で、過去の作品ほどのぶっ飛んだ設定やキャラクターもなくて、文章も大きく規範から逸脱せず、構成も素朴なんだけど、過去作からも一貫した世界や私に対する肯定的な視点があって、読んでると穏やかな気持ちになる。
舞城王太郎の他の作品のように劇的に世界に対する愛を語れるように...続きを読むPosted by ブクログ