『何とかと煙は高いところが好きと人は言うようだし父も母もルンババも僕に向かってそう言うのでどうやら僕は煙であるようだった。』
『でも僕までここで一緒に泣いていたら、誰が明るい明日を運んでくるんだ?』
『ポテトチップスさえあれば全てがOK。』
『頭働かせよう、何かちゃんと考えようと思って考えるの
...続きを読むが最近習ったばかりの受動態の構文で、ビーサプラチズドアット、ビープリーズドウィズ、ビーボーンインとか一生懸命唱えちゃって訳が判らない。ビーパンチトバイやげ俺。』
「ふざけんなって、ねー?奥さん妊娠させといてこっちも妊娠させようって、それは虫が良すぎるってもんでしょ。こっちの子宮は甘くないっつの」
『くそ、こうなりゃ踊るか?ヴィッツのボンネットの上に登ってシャバダバデュワップデュビデュバとやってやるか?それとも得意のロボットダンスか?それとも後部座席でいきなり漫談でも始めるか?泣いてる女の子の背後で必殺の一人漫談。』
『「その愛のハンカチ、私に頂戴」。え。「いいですよ」。何?「ありがと」。それから僕は埼玉のどこかの国道の脇で、初対面の女の子に、出会って二時間でキスを奪われるという、唐突過ぎて素敵なんだかどうだか判らない経験をする。それは短いキスだったが、でも唇と唇は乱暴なくらいにブッチュ〜とぶつかり合って離れた。僕の凄いところは、その瞬間咄嗟に手を出して彼女の胸をばっちり触っておいたところだ。あらゆるチャンスを逃さない男・西村友紀夫。』
『何しろ僕は修学旅行中の中学生で、場所は旅行のルートを大きく外れた埼玉で、相手はそこに住んでいる、僕より二つ年上の、何度も言うけどまだ出会って二時間しか経っていない、それもその内一緒にいたのはまだ一時間ほどの、色々複雑なものを抱えていそうな女の子だった。謎の理由でワーンと泣いて涙も拭かず、一言「愛」を口にしただけでキスを求めてくるような情緒不安定な女の子だった。』
『「はい、西村です」「う、もしもし。うう、ヒノウエですけ、ど」。エノキは最初からもう涙声でグジグジだった。僕の全身に結構たくさんある普段は寝ていていいはずの細胞がザーッと起こされる気配があった。うわわわわわわエノキさん泣いてるよ!』
『何事も一つ一つ順番に片付けなくてはならないのだ。もし何かを本当にちゃんと片付けたいのなら。』
『女の子の肩は、見た目よりずっと小さい。
お風呂で熱いと思うお湯の温度が、口に入れてみると全然ぬるいのと同じだ。何かを適切に計る器官は、対象によってそれぞれ決まっているのだ。女の子の肩の大きさは、抱いてみなけりゃ判らない。』
『人生皆、それぞれにいろんな楽しみ方がある。どんな楽しみ方をしようと、それは人の勝手である。』
『どうして泣いちゃいけないの?→エノキが泣くと、僕まで悲しくなるじゃないか。だからエノキ、泣くな。僕まで泣いちゃうからエノキ、泣くなよ。頼むから。』
『「俺の父親と母親、どうやって殺してやるかなと思って考えたやつやで」
うーんそりゃ燃えて良かったね。』
「思い出したわボケ。おめえ何してるんじゃこんなところで。涼ちゃんの命日なら、こんなところで自殺なんて図ってんと、墓参り行け、墓参り」
『それからごめんごめんと繰り返し謝った。助けられなくてごめん。あの時助けられなくてごめん。本当はどうにかして助けたかったのに、弱くてそれができなくて、助けられなくてごめん。ごめん。ごめん。ごめん。』
『「私先帰ってるね。友紀夫、今日これからどうする?」
「まず布団の洗濯手伝って、ほやな…」
「デートしよか」
それいいですね。』