『歯磨きというものは途中で終わらせることのできない営みなのだ。』
『悪いってそういうものなの。見た目には判んないものなんだよ』
『疑わない奴は考えられない奴だよ。賢くなろうと思ったら、まずはいろいろ疑いな』
『私がここで大変だみたいに勝手に言わないでよ。決めつけないで。私の状況は私が作ってる状
...続きを読む況なんだから。』
『次第に涙も引いてくる。良かった。僕はゆっくり全身が溶けて全て涙になっちゃうのかと思ったのだ。』
『これは命令ではありません。トマス・ホッブスは言いました。「命令とは、それをいう者の意志以外の何らかの理由も予想せず、これをせよとかこれをするなとか言う場合である。すなわち、命令する人は彼自身の利益を望んでいるに過ぎない」のだ、と。「忠告を与えるものは、彼がそれを与える相手の利益だけを、望んでいる」』
『はじめまして。牛山罰太郎です。「罪と罰」のバツです』
『名前だの血液型だの生まれたときの星座だの、そういう属性や情報に意味を見出してくってのは自分の殻に閉じこもってくってことでさ、そういうのって人生の複雑さを無視した話だし、まあそもそも遊びなんだからさ、いつか飽きるのよどうせ。んでさ、飽きればいいのよ別に。』
『世界をちゃんと理解しようと思ったら疑わなあかんのやし、疑わな考えられんし、考えれんと信じられんやろ?まずは疑うことから始まるんや。だからほやで、疑うことは義務に近いもんでねえ?ちゃんと生きるためにさ。』
『僕は世界のことはまだよく判らないよ。知らないことばっかりだから、疑うことも難しいんだよ』
『そうじゃないんだったら放っておいてよ』
『…そうじゃなかったから、じゃあ放っておくわ』
『梨木由和や。ブルーフェアリーに頼らない、不屈のゼペットじいさん』
『新しい蛇には名前を付けました。ミッフィーです。ウサギのあれからとりました。』
『…成雄、何してもいいで、とにかく死ぬなよ。危ねえと思ったら、即座に逃げていいでな。恋愛も正義も自分の生き様も大事やけど、死んだら元も子もねえんやでな。逃げろ。死ぬな。これはお願いでなくて命令やでな。兄貴として命令するから、絶対に死ぬなよ』
『そうだ。楡は僕を裏切らない。僕は嬉しい。何もかもがあやふやで謎めいていて不安定で恐ろしげなこの世界で、僕には楡がいて、楡だけは信じていいのだ。』
『なあ楡、戦争がもしこれから起こるとしても、それは楡のせいじゃないよ。皆が楡の操り人形じゃない。皆自分で考えていろんなことを決めてるんだ。楡が責任を感じる必要なんてないよ』
『でも全てこれでいいのだ。僕の経験と感覚の全てに意味がある。』
『ある日、川のほとりで向こう岸に渡りたいのに泳げなくて困ってるサソリがいた。そこにカエルが泳いでやってきた。サソリは背中に乗せて川を渡すように頼む。そんなことしたら自分を尾の毒針で指すだろうとカエルは
拒む。そんなことをするはずがない、とサソリは言う。そんなことしたら自分も一緒に川で溺れてしまうじゃないか。なるほど、と思いカエルはサソリを背中に乗せて川を渡り始める。川の途中でカエルの背中に激痛が走る。サソリがやはり毒針で刺したのだ。どうして刺したんだ、溺れながらカエルは責める。仕方ないじゃないか、とサソリも溺れながら言う。それが僕の性なんだから。』
『人間も結局自分の性に従って生きてるだけだ。自分に正直に、自分を偽りつつ、複雑で、難解で、でもそれを踏まえれば大まかには単純で、判りやすい性を。』