井伏鱒二のレビュー一覧

  • 夜ふけと梅の花 山椒魚
    定本 夜ふけと梅の花 (単行本)のほうを読みました。
    表紙は井伏氏が描いた、地図。

    どの話も最初から最後まで貫き通される主人公のだめだめさが、
    なんだか気持ちいいというか、文体との不思議な調和があって、
    「よし、この主人公を反面教師にして頑張ろう」なんて気には塵ほどもならない不思議な心地よさがあり...続きを読む
  • 仕事部屋
    教科書に載っていた黒い雨の印象しかなくて、
    なんか暗いのばっか描いているかとおもえば、
    交友関係が広くて、出てくる人出てくる人のキャラが濃い。

    芸術家たちの交友関係はなかなかおもしろい。

    ただの白髪のおじいさんじゃなかったんだなー。
  • ドリトル先生と緑のカナリア
    ピピネラと窓ふき屋との経緯は気になっていたから、続きが読めてよかった。岩波では一応、シリーズ12作目ということになっているけれど、連続性としては『ドリトル先生のサーカス』『キャラバン』『緑のカナリヤ』の順番で続けて読むのがお奨め。白ネズミの台詞「あんなことを言っているのは誰でしょうね?」のくだりが好...続きを読む
  • ドリトル先生のキャラバン
    ドリトル先生のシリーズのなかで、『サーカス』とか『動物園』とか、この『キャラバン』のような、人間の街で先生や動物たちが活躍する話のほうが、外国を冒険する話より好み。マシューも活躍するし、サラが絶妙のタイミングで登場してはぶっ倒れたり、ガブガブやダブダブも、家の中の方が生き生きとしているから。この本も...続きを読む
  • ドリトル先生の楽しい家
    犬の話が最高。クスクス笑いながら読んでしまった。子どもたちが大きくなって、この物語を喜んで読む日を楽しみにしている。(2008-04-03L)
  • ドリトル先生航海記
    こんなお医者様が近くにいたらなぁ! ウチの猫も看てもらうんだが。ガブガブの活躍がなかったのが残念だが、ポリネシアが大活躍したのでいいか。ポリネシアにも傍にいてほしい。時に煩いだろうけどね。で、…雄だっけ、雌だっけ? 原作ならheとかsheとか書いてあるんだろうけど、日本語だとわかんないな。(2008...続きを読む
  • ドリトル先生アフリカゆき
    子どもの頃、父親が買ってきてくれたので、実家には全巻揃っているのだが、実は2巻までしか読んでいなかった。この面白さがわかんなかったんだなぁ、勿体無い。長女の目の前で読んで「これは今の風花ちゃんには難しいけれど、大きくなってから読んだらいいよ。ふうちゃんが読んだときにこの本のお話がしたいから、おかあさ...続きを読む
  • ドリトル先生航海記
    「ドリトル先生」シリーズ第二弾。

    今回も、ドリトル先生は船の旅にでかけます。

    夢があってすごくいいお話だから子ども向きだなぁ〜とは思ったけれど、穿った読み方をすれば、かなり白人優位主義の立場で書いてあるねぇ。白人は文明があり、優れた人間として書かれているのに対し、黒人は文明もなく、原始的な生活を...続きを読む
  • ドリトル先生の郵便局
    「ドリトル先生」シリーズ第三弾。

    今回ドリトル先生は、寒いイギリスを出て再びアフリカへ行きます。

    ドリトル先生ってよっぽどアフリカ好きだったんだろうなぁ。毎回×2飽きもせずに行くなんて(笑)

    というか、この作品が書かれたときって、今よりもっとアフリカ情勢が知られてなかったから、未知なものへの好...続きを読む
  • 井伏鱒二全詩集
    死んだ後で何といってもらいたいかという石川淳の質問に「詩人」と答えたという逸話を記憶してます。これを読むと詩の方が寿命が長そうな気がします。いいです。岡山出身の内田百間は中世が現代に顔を突き出したという評言(種村季弘の言葉だったか)がありますが広島出身の井伏も同じ気配があります。中国地方の文学風土は...続きを読む
  • 駅前旅館
    旅館の番頭、生野次平が主人公。
    旅館にくるさまざまな客、あるいは旅館の女中や板前、番頭同士のドタバタ人情劇。
    戦後、敗戦の憂鬱を吹き飛ばすかのような、上を下への、多忙を極めた番頭仕事。小気味良くテンポよく、読み手の心を楽しませる。
    あるときは旅館の女将と。またあるときは芸者上がりの女工と恋の駆け引き...続きを読む
  • 厄除け詩集
    「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」
    これよ、これ。
    井伏鱒二さんが五言絶句とか漢詩を井伏節に訳している詩集デス。
    ううううんと唸ってしまう、雰囲気の良い訳詩がたくさん。
  • ドリトル先生の楽しい家
    わくわくする、その一言に尽きるシリーズ。ドリトル先生のなんとものほほんとしたキャラクターがたまらない。大体、何ヶ国語もしゃべれるキャラっていうのはそれだけで偉大。ましてや動物としゃべれるなんて。
  • 山椒魚
    目が滑って読めたもんじゃない。
    初井伏鱒二だったのだけれど、特色も魅力も掴むことができず。小説の中に突然2コマ漫画が乱入してくるような。意味のあることを言ってるんだけど意味がまるでないような。もう少し私の経験値が必要なのは明らかなので、それまで積読。
  • 山椒魚
    時代物の文学作品を読むのは厳しいな

    表題作を含めて12の短編集だが、山椒魚を読んだあとは1番少ないページ数の「へんろう宿」を読んで終わりにした

  • 黒い雨
    原爆投下後の個人の日記という設定だが、被害の描写が克明で頻繁で、なかなかストーリーがすすんでいかない。肉体への被害は多種多様に描かれているが、決して十分な生活とは言えないだろうが、食事したり出勤したりする人がいたことは意外だった。
    こんな兵器があと何発、日本に落とされるのだろう。
  • 山椒魚
    18年ぶりくらいに読んだ。

    最後の蛙の台詞の「てにをは」が気になって仕方がない。

    「今でもべつにおまえのことを怒ってはいないんだ。」

    「今で『は』」じゃなくて?
    現在の蛙の心境として『は』よりも『も』の方が適当なのだろうか、としばらく考えていた。

    完全なるフィクションなのに、心に期する感情は...続きを読む
  • 太宰治
    文学ファンじゃないが、唯一定期的に読んでいる太宰治。その師匠であり、晩年の友人で会った井伏鱒二による太宰の解説?的な一冊。

    文章の丁寧さと本人のやさしさと太宰へのリスペクトも相まってか、愛すら感じた。太宰の生き様だけ見るととてもまっとうには見えないが、井伏や中畑さん、北さん、ほか女性陣含め、人間性...続きを読む
  • 黒い雨
    戦時中という非日常の中で日常を営んでいる所に落ちる原爆。
    姪のお見合い成就の為、当時の有り様を日記に落とし込む形で再現している。

    正直、現実味がわかないくらいの出来事が現実に起こっていた。
    そして現代でも起きないとは限らないという潜在的な危険が世界にはあるってことを改めて思い出した。
    仮に今この様...続きを読む
  • 駅前旅館
    上野の本屋さんで見つけた本。井伏鱒二はこんな本も書いていたんだなぁ。昭和30年代の旅館業の様子を垣間見られ、楽しく読めた。