井伏鱒二のレビュー一覧

  • 駅前旅館
    昭和30年代、江戸っ子の生き方とはこんなものだったのかな。粋と言われる生き方、言葉のやりとり、今の時代には理解不能。
    女性には生きづらい時代、男性優位の男性には楽しい時代か。
    高沢の嘘話、江ノ島の番頭の呼び込み、人間くさく、そんな時代もあったのだな、こんな時代に生まれなくてよかったと思ってしまった。
  • 黒い雨
    日常の底にいつも沈められている、人間の狂気は正義ですらある。
    僕らが立っているこの大地のすぐ下には、いつ起き出すかわからない猛獣を飼っているようなものだ。

    手懐けていた家畜はいつのまにか手に負えぬ代物になっていて、飼っていた人たちだけさっさと逃げる用意をしていて、なにも知らないひとたちが逃げ遅れる...続きを読む
  • 井伏鱒二全詩集
    好きな詩
    『春暁』『聞雁』『田家春望』『紙凧』『泉』。
    特に好きな詩の抜粋
    『田家春望』p.56
    ウチヲデテミリヤアテドモナイガ
    正月キブンガドコニモミエタ
    トコロガ会ヒタイヒトモナク
    アサガヤアタリデ大ザケノンダ

    『勧酒』p.59
    コノサカヅキヲ受ケテクレ
    ドウゾナミナミツガシテオクレ
    ハナニア...続きを読む
  • 黒い雨
    サンマの肝みたいな一冊。極上の脂をまとった白くふっくらとした身を陽とするなら、血生臭くどろりと黒い肝が陰。そして両者は隣同士で接する位置にある。ただ思い切って味合えば、肝特有の苦味の中にサンマの本質とも言うべき滋味も感じることができる。

    ひたすら戦争と原爆のエグさ、そしてその後遺症についての生々し...続きを読む
  • 黒い雨
    正義の戦争よりも不正義の平和の方がいい。

    辛い描写も多く、読むのがなかなか進まなかったが、日本人として後世へ伝えなければという使命感のみで頑張って読み進めました。
  • 駅前旅館
    駅前旅館

    著者:井伏鱒二
    発行:1960年12月15日
    新潮文庫
    単行本:1957年11月(新潮社)
    初出:1956年9月~1957年9月「新潮」

    井伏鱒二の名作ユーモア小説。森繁久弥主演で映画化された。観た人は多いことだろう。駅前旅館「柊元(くきもと)旅館」の番頭、生野次平を中心に、ライバルで...続きを読む
  • 黒い雨
    面白かったし読みやすかったが、何かページが進まなかった。重いテーマのせいか、過去の振り返りの手記が多くそれに閉口したのか?原爆と戦争の恐怖を伝え続ける小説としての価値は高いと思う。
  • 黒い雨
    戦争はやはりやってはいけないと教えてくれる本

    耳にうじ虫がわく兵隊さんの話などがすごく印象に残った。

    戦争は恐ろしい。
    核爆弾の怖さが淡々と書かれていた。
  • 黒い雨
    淡々とした描写が悲惨さを増長するようで怖い。こう言う描き方もあるんだ、と作品としての素晴らしさもあるので読んでおきたい本。
  • 駅前旅館
    「井伏鱒二」の傑作ユーモア小説『駅前旅館』を読みました。

    『黒い雨』に続き「井伏鱒二」作品です。

    -----story-------------
    日本映画史上に輝く人情喜劇『駅前シリーズ』第1作原作! 
    抱腹絶倒傑作ユーモア小説。

    昭和30年代初頭、東京は上野駅前の団体旅館。
    子供のころから女...続きを読む
  • 山椒魚
    初めての伊伏鱒二でした。表題作の「山椒魚」が一番好きかな。これ彼のデビュー作なんですね。天才だ...。

    全体通しては、大きな山が何もないのに文章が上手いから話が先に進んでいく...という印象。いや、勿論山はあるんですけど、いつの間にか文章が終わっている。結構突然ラストが来るので余計そう感じるのかも...続きを読む
  • 黒い雨
    新潮文庫の100冊にて選んだ。司馬遼太郎が影響を受けたと言われる作家、井伏鱒二の代表作。昭和20年8月6日午前8時。日本人なら学校で誰もが教わる、広島へ原子爆弾が投下された日。
    本編から言葉を借りると「光の玉が煌めいた瞬間」、市井の人々はどのような朝を過ごしていたのか。戦後も数年になる頃、主人公...続きを読む
  • 黒い雨
    8月6日の、原爆投下の正にその当日からの日記を主人公が清書する、という形でその悲惨な状況がリアルに綴られています。
    また、場所や立場が違った何人かの手紙なども差し込まれており、別の視点での状況や気持ちも伝えられています。
    戦争反対や原爆廃止の必要性、今平和に生活していることが当たり前と思わない為に、...続きを読む
  • 駅前旅館
    正確に書くと星3.5。
    私はずっと純文学系は苦手だと思っていたのだが、これは少し読みやすかった。
    井伏鱒二の他の小説も読んでみる。
  • 黒い雨
    姪の矢須子が、広島で被爆したために原爆症になったといううわさがひろまり、彼女の結婚話が進まないことに悩む閑間重松を中心に、八月六日前後の広島のようすをつづった作品です。

    見合いの相手方から、原爆が落とされたころの矢須子の足どりを知りたいという要望があり、これにこたえるために重松と妻のシゲ子は、彼女...続きを読む
  • ドリトル先生のサーカス
    (レビューを書きあぐねたまま時間が経って書いていないのを失念していました。30年以上前に月へ行く手前位まで読んだのにシリーズ全部を読まないままになっていたので今度こそ全部読もうかなと1作目から読み始めたものの前回よりも早い段階で挫折する結果となり、無念です。)
  • 黒い雨
    広島への原子爆弾投下後の街や人々の凄惨な状況を日記を清書していくという形式で綴られます。
    その昔、読み終えた時は、ただ痛ましい印象が残ったが、さて、冷静な状況描写に、驚きと何か意思を感じました。

    小説と思っていたものが、実在の被爆者の日記と、作者自身が多くの被爆者からの聞き取りを基にしたものでした...続きを読む
  • ドリトル先生の郵便局
    オシツオサレツをアフリカに帰してやるための航海中に奴隷船に行き遇い人助けをしたドリトル先生たちは、助けた人の住むファンティポ王国では王様の肖像を使った切手を発行しているものの肝心の配達機能がなっていないことを知り(その為に親類に出した助けを求める手紙が届けられず奴隷として売られてしまった)、行きがか...続きを読む
  • ドリトル先生航海記
    そうそう、こういう感じだったんだっけ、と思い出しながら2冊目を読みました。ちょっとした事件は次々起こるものの、さして興味深い展開になるでもなくサラサラと流れていき、困難も起こるものの「ドリトル先生だから」というだけで特に工夫するようでもなくそれらを乗り越えてゆくのでした。優しい味で歯応えのない柔らか...続きを読む
  • ドリトル先生のキャラバン
    子供への読み聞かせ、ドリトル先生6巻目。「実際に動物と話せたらサーカスでもやればお金はいくらでも儲けられるよね」という話で、ドリトル先生の世界と現実世界が交差してしまっていまいち面白くない。子供の頃も、ドリトル先生はこの辺(月へ行くまで読んだか、そのあたり)で読み止めてしまった記憶があるが、子供は相...続きを読む