歴史・時代小説 - 講談社作品一覧

  • 新装版 震える岩 霊験お初捕物控
    3.9
    事件の予兆と、恋の予感。これが宮部みゆきの世界---。死んだはずの人間が生き返る「死人憑き」が本所深川で起きた。甦った人物が以前より若返っていると感じた「姉妹屋」のお初は、老奉行の御前さまから紹介された与力見習の右京之介と探索を始めた。だがその時、油樽から女の子の遺体が発見される。人は過去にも家族にも縛られる。霊験お初シリーズ第一弾。 事件の予兆と、恋の予感。 人は狡いし、汚い。だけど優しくて、美しい。 これが宮部みゆきの世界。 「霊験お初」シリーズ第一弾! 死んだはずの人間が生き返る「死人憑き」が本所深川で起きた。甦った人物が以前より若返っていると感じた「姉妹屋」のお初は、老奉行の御前さまから紹介された与力見習の右京之介と探索を始めた。だがその時、油樽から女の子の遺体が発見される。人は過去にも家族にも縛られる。霊験お初シリーズ第一弾。
  • 新版 平家物語 全訳注 全四冊合本版
    -
    「おごれる人も久しからず」――12世紀末、平家はたちまちに権力の座に就くものの専横から反発を招き、東国の源氏勢によって急速に滅ぼされる。この平家一門の栄華と滅亡を物語った『平家物語』は、日本史上もっともあざやかな転換期の全容を語る叙事詩であり、民族的遺産といえるものである。かつて刊行された講談社学術文庫版全12巻をまとめ、新版として刊行。年表、地図、系図を併録。
  • 戦端 武商繚乱記(一)
    3.5
    大坂・東町奉行所の同心、山中小鹿(やまなか・ころく)は、上役の筆頭与力・和田山の娘をわけがあることを 承知で娶ったにもかかわらず、裏切られてしまう。妻の不貞を許せなかった小鹿は、 義父の和田山に妻を公然と突っ返すという方法に及ぶ。これが原因で、東町奉行所内では、 同僚たちからも距離を置かれて居心地がよくない日々を過ごしていた。 鬱憤をはらそうと大坂の遊郭に足を向けたものの、なぜか客引きをされない。 理由は、大商家が「総揚げ」すべての見世を貸し切っていたからだ。 その商家の名は、淀屋。西国三十藩以上の年貢米を大坂へ廻送、売る権利を持ち、莫大な富を得ていた。 淀屋に借金をする大名もあらわれ、参勤交代の折には淀屋に寄って挨拶をするほどの力関係に至る。 幕府も忸怩たる思いで、ついに時の老中首座・土屋相模守が手を打つことに。 一介の同心・小鹿は、商魂たくましい上方の豪商と武士の沽券をかけた争乱に巻き込まれていく。 吉川英治文庫賞受賞作家が送る新機軸の書下ろし時代小説、堂々開幕!
  • 消えた狐丸 公家武者 信平(一)
    4.0
    公家大名として知られる実在の人物・松平信平の物語。公家から武家となった信平が、幕府転覆を目論む強敵を秘剣・狐丸で倒してから三年、愛妻・松姫、愛息・福千代との平穏な生活を送っていた信平だったが、命を狙われた松姫の心の傷は未だ癒えない。しかし、剣客を狙う辻斬りが出没していると聞いた信平の心に正義感が蘇る。封印した愛刀がついに鞘から抜かれるのか? 大人気・公家武者新シリーズ、講談社文庫より見参!
  • 徳川家康(1) 出生乱離の巻
    4.3
    竹千代(家康)が生まれた年、信玄は22歳、謙信は13歳、信長は9歳であった。動乱期の英傑が天下制覇の夢を抱くさなかの誕生。それは弱小松平党にとっては希望の星であった――剛毅と希望を兼ね備えて泰平の世を拓いた名将家康の生涯を描いて、現代人の心に永遠の感動を刻む世紀のベストセラーの発端篇!
  • 天子蒙塵 1
    3.8
    さまよう溥儀。 紫禁城を追われた最後の皇帝(ラストエンペラー)は、日本の庇護下に。 混沌の中国で天命を、龍玉を抱く者は誰か。 累計590万部! 「蒼穹の昴」シリーズ第五部、堂々開幕!!(全4巻) 1933年春。 父の築いた国と軍を失った張学良は、欧州へ向かった。 清朝最後の皇帝・溥儀は「満洲国」の執政となっていた。 北京では前の大総管太監・李春雲が、一人の女性の許を訪れる。 紫禁城を去ってからの溥儀がいかにして生きたか、 その証言者は史上はじめて皇帝を離婚をした、元皇妃であった。
  • 蒼穹の昴 全4冊合本版
    4.5
    汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう――中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児(チュンル)は、占い師の予言を信じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀(ウェンシゥ)に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた二人を宿命の覇道が待ち受ける。万人の魂をうつベストセラー、待ちに待った合本で登場!
  • 三国志演義 全四冊合本版
    -
    西暦220年、後漢王朝の崩壊後、群雄割拠の時代の中から魏、蜀、呉の三つ巴の戦いへと発展した。その約1000年後。複数の「三国志」の物語や資料を整理・編纂し、フィクショナルな物語世界を構築してたのが、本書『三国志演義』です。中国文学に精通した訳者が、血沸き肉躍る、波乱万丈の物語を、背景となっている時代や思想にも目配りしたうえで、生き生きとした文体で翻訳した決定版です。(講談社学術文庫)
  • イクサガミ 天
    4.1
    新直木賞作家による、3巻完結・新シリーズ開幕! 〈デスゲーム×明治時代〉 カバーイラスト・石田スイ(「東京喰種」「超人X」) 金か、命か、誇りか。 刀を握る理由は、何だ。 明治11年。深夜の京都、天龍寺。 「武技ニ優レタル者」に「金十万円ヲ得ル機会」を与えるとの怪文書によって、 腕に覚えがある292人が集められた。 告げられたのは、〈こどく〉という名の「遊び」の開始と、七つの奇妙な掟。 点数を集めながら、東海道を辿って東京を目指せという。 各自に配られた木札は、1枚につき1点を意味する。点数を稼ぐ手段は、ただ一つ――。 「奪い合うのです! その手段は問いません!」 剣客・嵯峨愁二郎は、命懸けの戦いに巻き込まれた12歳の少女・双葉を守りながら道を進むも、 強敵たちが立ちはだかる――。 【文庫オリジナル】 《絶賛の声、声、声!!!》 王道ネタで覇道を突き進む、圧倒的な牽引力。もう止まらない。 お願いですから早く続きを読ませてください。 京極夏彦(小説家) 風太郎忍法帖+現代のデスゲーム。『天』で巻を措けるのは、ただ死人のみか。 悪のゲームに身を投じ、一瞬の光芒に命を散らす兵法者たちは、切なくも美しい。 貴志祐介(作家) 時代劇とアクション、サスペンスの超絶ハイブリッド。 デスゲームに挑む武人たちと共に、この快楽を味わい尽くせ。 大友啓史(映画監督) 魅力的なキャラクター、迫力あるバトルシーン、息もつかせぬ怒涛の展開! 最高のエンタメ時代小説! 望月麻衣(作家)
  • 漫画版 徳川家康 1
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 松平竹千代(のちの徳川家康)が生まれた年、武田信玄は22歳、織田信長は9歳だった。 群雄割拠の戦国時代に、天下統一を目指す武将たち。弱小の松平家にとっての 希望の星・竹千代の身の上は・・・。 剛毅と智謀を駆使して天下を平定、徳川300年の礎を築いた、家康の生涯を描く世紀を超える一大巨編の開幕! ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 大江戸閻魔帳
    3.6
    蔦屋重三郎の娘から、店に持ち込まれた写楽の大首絵の真贋を確かめたいと相談を受けた若き戯作者、青山麟太郎。落款がないだけで、出来はすこぶるよい。だが持ち込んだ御家人は、自宅で殺されていた。臨時廻り同心や岡っ引と知り合い、麟太郎は次々と事件に巻き込まれていく。麟太郎を見守る南町奉行・根岸肥前守との拘わりは? 大江戸の「探偵」は、非道は許さないが、人を救う優しさがある。人情味あふれる事件帖!
  • 海賊とよばれた男(上)
    4.4
    すべてのビジネスマンに捧ぐ。 本屋大賞の話題作、早くも文庫化! ページをめくるごとに、溢れる涙。これはただの経済歴史小説ではない。 一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。 石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かす。 「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した男。
  • 新装版 小説太平洋戦争 全6冊合本版
    5.0
    和平のため奔走する首相・東条英機だが、ルーズベルト大統領は対日戦争の肚を固めていた。開戦か和平か混乱する中、山本五十六は連合艦隊司令長官就任の祝賀会の席で「天命を待つのみでは祖国の安泰は期しがたい」といってのけた……。報道班員として従軍した著者による、太平洋戦争全史を描いた唯一の大河小説。 開戦から終戦までを描き切った、現代人必読の名著、全6巻。
  • 新太平記 全5巻合本版
    -
    天皇親政を願う後醍醐天皇の檄に応じた楠木正成は、金剛山の小城赤坂に兵を挙げた。自軍に百倍する幕府軍を翻弄するも、天皇は捕われ、隠岐に流された。潜伏した正成の奪回工作は成功し、隠岐を脱出した後醍醐天皇は、船上山に倒幕の旗をかかげた。機を見るに敏な足利高氏は幕府を裏切り京都を占領、新田義貞もまた関東に兵を挙げ、鎌倉を攻撃した。権勢をふるった北条氏は遂に亡んだが、公家は驕りたかぶり、諸国武士は恩賞をめぐり争い、騒乱は続く。征夷大将軍の座を狙う足利尊氏と新田義貞の対立は激しさを増し、世は南北朝対立の時代に突入していった。
  • 孟嘗君(1)
    4.2
    斉の君主の子・田嬰(でんえい)の美妾・青欄(せいらん)は、健やかな男児・田文(でんぶん)を出産した。しかし、5月5日生まれは不吉、殺すようにと田嬰は命じる。必死の母・青欄が秘かに逃がした赤子は、奇しき縁で好漢風洪(ふうこう)に育てられる。血風吹きすさぶ戦国時代、人として見事に生きた田文こと孟嘗君とその養父の、颯爽たる人生の幕開け。全5巻。(講談社文庫)
  • 四千万歩の男 全5冊合本版
    -
    忠敬は下総佐原村の婿養子先、伊能家の財をふやし50歳で隠居。念願の天文学を学び、1800年56歳から16年、糞もよけない"二歩で一間"の歩みで日本を歩き尽し、実測の日本地図を完成させた。この間の歩数、4千万歩……。定年後なお充実した人生を生きた忠敬の愚直な一歩一歩を描く歴史大作。全5巻が合本にて登場!
  • ジョン・マン 1 波濤編
    4.2
    土佐に生まれた作家が渾身の筆で描いた初の歴史大河小説。わずか14歳。寺子屋にも満足に通えなかった貧しい漁師が鎖国日本から身ひとつで漂流。初めて西洋文明(アメリカ)の中で暮らした日本人となり、初めて欧米の高等教育を受けた日本人となり、初めて世界の大洋を巡った日本人となり、ゴールドラッシュのカリフォルニアで金を掘り、唯一、自力で帰国を果たした日本人漂流民となった。帰国から2年後、あのペリー艦隊がやってくる。この男がいなければ、日本は植民地になっていたかもしれない。
  • じんかん
    4.5
    その男、悪人か。 主人を殺し、将軍を暗殺し、東大寺の大仏殿を焼き尽くすーー。 悪名高き戦国武将・松永久秀の真実の顔とは。 直木賞作家による、圧巻の歴史巨編。 〈第11回山田風太郎賞受賞作〉
  • 夢介千両みやげ 完全版 上下合本版
    -
    痛快娯楽時代劇として宝塚歌劇団雪組により舞台化された古典名作! 大枚千両を使い江戸で道楽修業してこい。小田原の豪農である父親から途方もない宿題を与えられ、若き夢介は旅立った。力は強いが底抜けのお人好し。懐中を狙った名うての美女道中師・お銀も、そのとぼけた温かさに、いつしかベタぼれに。よき女房になろうと、ともに江戸に入ったまではよかったが……。 おおらかなヒーロー夢介に女スリお銀がほれ込んだ。戦後日本の心を潤した山手樹一郎の代表作! 上下巻合本版
  • 夫には 殺し屋なのは内緒です
    3.7
    ごく普通の結婚をした隠密同心の嫁は、じつは優秀なアサシンだったのです!──待望の書下ろし時代小説シリーズ、スタート! 月(つき)は北町奉行・柳生久通の庶子。武芸に秀で、中でも殺しの才に恵まれていたため、柳生の一族は月を殺し屋に育て上げた。一方で久通は月を可愛く思い、隠密同心の花川戸要(かなめ)に嫁がせることにした。真面目で堅物なのが取り柄。そんな月のもとに夫には内緒で、今日も暗殺の指令が届いた……。
  • ヒトごろし
    4.8
    鬼と恐れられた新選組の副長・土方歳三。幼き日に目にした光景が忘れられず、「ヒトごろし」に囚われていく。怒濤の幕末を最凶の男が駆け抜ける!
  • 兵諫
    4.0
    著者代表作にして大ベストセラー『蒼穹の昴』シリーズ第6部。1936年、蒋介石を張学良が拉致した西安事件の胸熱くする真相とは。
  • 新装版 捨て童子・松平忠輝 上中下合本版
    -
    捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物! 徳川家康の第六子でありながら、容貌怪異なため、生まれ落ちてすぐ家康に「捨てよ」と言われた“鬼っ子”松平忠輝の異形の生涯を描く、傑作伝奇ロマン小説。新鮮な発想や史観、壮大なスケールで完結をみた、著者最後の長編。一気に読める合本版。
  • 捻れ家 古道具屋 皆塵堂
    4.0
    若い筆職人の念次郎が飲み仲間の取引先の若旦那松助と夜、迷い込んだ大きな料理屋。広い宴席には誰の姿もなく、二階にあがると、なぜか真っ昼間の明るさだった。いったい、ここはどこなのか? いつなのか? そして松助も「煙のように」姿を消した。外に出た念次郎はさんざんさまよったあげく、深川の皆塵堂の大家の清左衛門に救われる。 松助の祖父の亀松は、明和の大火のときに、目黒の料理屋で飲んでいて火事に巻き込まれた。その後金貸しとして儲けるが、十八年後に姿を消し、死体で発見された。松助の父の松蔵は、それから十八年後にやはり突然姿を消し、やはり死体で発見されている。松助は、祖父と父の死について、叔父の継右衛門からくわしくは聞かされていなかった。そして今年は、父の松蔵が死んで、十八年後にあたる。松助は大丈夫なのか? 清左衛門から曰くものを扱う古道具屋皆塵堂を教えてもらった念次郎は、皆塵堂を拠点に、姿を消した松助を探しはじめる。 幽霊の見える太一郎も、さすがに時空がねじれていると、気配が読めず、今回は役立ちそうにない。 料理屋、二階建ての長屋、湯屋、大店など建物にまつわる因縁のある屋敷で繰り広げられる幽霊譚。 大江戸版ホーンテッド・マンションに、皆塵堂の面々は、どう立ち向かうのか?
  • 春秋戦国志(上)
    4.0
    中国故事名言の9割以上を産んだとされる春秋戦国時代は、また、国家形態の原型が造られ、諸子百家などすぐれた思想家を輩出させた、世界的に稀有な時代でもあった。その550年を軽妙につづる、出色の歴史物語。本巻は東周王朝成立から、管仲、鮑叔が大活躍する斉桓公の「覇王時代」までを描く。(全3冊)
  • 大江戸神仙伝シリーズ 全7冊合本版
    -
    現代の東京から花のお江戸へと転時(タイムスリップ)した男が見た150年前の姿とは? そこには、見るもの聞くものすべて、現代人の常識を覆す、実に魅力的な暮らしがあったのだ。彼は、持参した文明の利器や医学知識で大活躍、世にも不思議な能力を持つ“神仙”として、女たちにも大もての大尽暮らしとあいなったが……。 『大江戸神仙伝』シリーズ(全7巻)合本版
  • 無間の鐘
    3.0
    修験者のなりをして国々を放浪する謎の「十三童子」。 役者と見まがうこの色男は、錫杖を鳴らし銀のキセルをふかしながら、欲にまみれた人間たちをこう誘う。 ーー来世で地獄に堕ちてもよいなら、ひとつだけ願ってこの鐘を撞け。 ただし、撞いた者は来世に底なしの無間地獄に堕ち、子も今生で地獄に堕ちる。 撞くか撞かぬは、本人次第。さあ、あなたならどうする? 人の欲をためす不思議の鐘、鳴らすか、やめるか? 今が人生の分かれ道。 ストーリーテリングの凄さ際立つ新星が放つ傑作時代小説! 心の奥底に響く物語。深い、深すぎる。ー細谷正充(文芸評論家) 読むと、心のひだをじゃらんと撫でる音が聞こえる。ー三宅あみ(ジャパネスク・ナビゲーター/江戸文化研究家)
  • 三国志全八冊合本版
    4.8
    不朽の名作、吉川三国志を一気に読める完全版。日本では卑弥呼が邪馬台国を統治する頃、中国は後漢も霊帝の代、政治の腐爛は黄巾賊を各地にはびこらせ、民衆は喘ぎ苦しむ。このとき、楼桑村の一青年劉備は、同志関羽、張飛と桃園に義盟を結び、害賊を討ち、世を救わんことを誓う――以来百年の治乱興亡に展開する壮大な世紀のドラマ。その華麗な調べと哀婉の情は、吉川文学随一と定評のあるところである(吉川英治歴史時代文庫)。
  • 黄砂の籠城(上)
    4.1
    今こそ読むべき、日本の快挙。圧倒的歴史エンタテインメント元防衛大臣 石破茂推薦!―1900年春、砂塵舞う北京では外国人排斥を叫ぶ武装集団・義和団が勢力を増していた。暴徒化して教会を焼き討ち、外国公使館区域を包囲する義和団。足並み揃わぬ列強11ヵ国を先導したのは、新任の駐在武官・柴五郎率いる日本だった。日本人の叡智と勇気を初めて世界が認めた、壮絶な闘いが今よみがえる。
  • 密封 奥右筆秘帳(一)
    3.6
    立花併右衛門は江戸城の書類決裁に関わる奥右筆組頭。権勢を誇った田沼意次の孫意明の死亡届を見て、12年前の田沼意知刃傷事件に疑念をはさむ。その帰路、何者かの襲撃を受け、隣家の次男柊衛悟を護衛につけるも、2人はすでに幕政の闇の渦中にあった。読み応え抜群、気鋭の新シリーズ開幕。2009年この書き下ろし時代小説がすごい! 第1位。(講談社文庫)
  • 中原の虹(1)
    3.8
    「汝、満洲の王者たれ」予言を受けた親も家もなき青年、張作霖(チャンヅオリン)。天命を示す“龍玉”を手に入れ、馬賊の長として頭角を現してゆく。馬と拳銃の腕前を買われて張作霖の馬賊に加わった李春雷(リイチュンレイ)は、貧しさゆえに家族を捨てた過去を持つ。栄華を誇った清王朝に落日が迫り、新たなる英雄たちの壮大な物語が始まる。(講談社文庫)
  • 侠

    4.2
    江戸時代。博奕から足を洗った余命あとわずかの貧乏蕎麦屋と、店に集う社会のはみだし者達が紡ぐ、どん底ながらも圧倒的な人間賛歌!
  • 孟徳と本初 三國志官渡決戦録
    4.0
    「友よ、お前は強い。だが、俺はどうしても勝たねばならぬ」帝を擁する奸雄・曹操孟徳と名門袁家の王者・袁紹本初。中原の覇者となり天下を望むには、かつての友が最大の障壁となった。劉備、関羽、筍イク、筍攸、許緒、田豊、郭図、文醜、顔良、英雄たちが、荒ぶり謀る三國志前半の大決戦「官渡の戦い」を描いた長編歴史小説。
  • 伊達政宗 全8巻合本版
    -
    奥羽米沢城に、伊達政宗が呱々の声をあげた永禄十年(一五六七)。一代の英雄織田信長によって、戦国も終熄に向かい始めていた。しかし、奥羽はこの時期こぞ、まさに戦国動乱のさなかだった。政宗を万海上人の生まれかわりとする期待が大きいほど、反動もまた大きい。生家と伊達家の滅亡をおそれ、政宗殺害を企てる実の母と実の弟。肉親ゆえに激しく渦巻く愛憎。ついに政宗は、涙をのんで弟を斬る。血がたぎるほどの叛骨魂を秘めながら、豊臣秀吉という悍馬を操って、さまざまな危機を脱していく政宗、だが関白秀次と結んで企てたという謀反の嫌疑がかかる。関ヶ原、大阪冬の陣、夏の陣、そして徳川の世。天下制覇の野心を秘めて激動の時代を生きた英傑独眼竜政宗の生涯をえがく長編。
  • 珍妃の井戸
    3.8
    列強諸国に蹂躙(じゅうりん)され荒廃した清朝最末期の北京。その混乱のさなか、紫禁城の奥深くでひとりの妃が無残に命を奪われた。皇帝の寵愛を一身に受けた美しい妃は、何故、誰に殺されたのか? 犯人探しに乗り出した日英独露の高官が知った、あまりにも切ない真相とは――。『蒼穹の昴』に続く感動の中国宮廷ロマン。(講談社文庫)
  • 新装版 忍びの女(上)
    3.6
    豊臣家の猛将・福島正則の前に現れた徳川方の女忍者・小たまは、正則を籠絡し、巧みに城内に入り込んだ。探索をはじめた小たまは、武辺一方の正則を次第に愛しく想うようになる。豊臣秀吉亡き後、諸大名は自らの野望を抱き覇権をめぐる戦いは必至。ついには関ヶ原での天下を分ける決戦へと向かうのだった。
  • 私本太平記(一)
    3.8
    ※本作品は 2011年1月31日~2014年8月31日まで販売しておりました『私本太平記』全13巻を、全8巻に再編成した作品です。 巻の切れ目が違うのみで、本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。 大作『新・平家物語』を完成した著者は、息つく暇もなく、南北朝を題材とする『私本太平記』の執筆にかかった。古代末期から中世へ――もはや王朝のみやびは影をひそめ、人間のどす黒さがあらわに出てきた時代、しかも歴史的には空白の時代である。史林の闇に分け入るとき、若者は使命感と創作意欲の高まりを禁じえなかった。開巻第1、足利又太郎(尊氏)が颯爽と京に登場する。
  • 闇試し 古道具屋 皆塵堂
    3.4
    古道具屋銀杏屋の若旦那太一郎は、幽霊が見える。修業先だった曰く物ばかり集める皆塵堂に降りかかる幽霊騒ぎの数々にかかわってきた。 銀杏屋に浅草森田町の札差大和屋の養女お縫がやって来た。まだ十歳くらいに見えるが、年は十三歳。綺麗な女中と下男を連れ、ふるまいは堂に入っていて、売りたい壺があるという。太一郎は壺に執着する幽霊に気づき、札差を贔屓にしたい番頭の勧めで壺を買おうとする。お縫は太一郎を一軒の袋物屋に連れて行く、その家で太一郎は壺に執着するおかみさんの幽霊を見るが、それに気づいたお縫は、皆の目の前で壺を叩き割ってしまう。壺に執着していた幽霊は消え去ってしまった。 お縫は、太一郎が幽霊が見えるのを知っていて、自分にも見えないものか試したくて、幽霊の出そうなあちこちに太一郎を引きずりまわしたいらしい。 だが太一郎は、お縫の人懐っこい笑顔に悪い予感を抱いていた……。 太一郎のように幽霊を見たいお嬢様に皆塵堂の面々が翻弄される。はたしてその正体は? 「皆塵堂」シリーズに新キャラクター登場!
  • 吉田松陰(1)
    4.4
    長州藩きっての俊才として吉田大治郎(松陰)の前途は明るい。だが時代の嵐を察知する彼の目は外へ外へと向けられた。九州遊学中に出会った山鹿万介、宮部鼎蔵らの烈々たる尊皇攘夷の弁、平戸で見た数多くの黒船や異人の姿、大治郎は外圧の高まりを身に刻んで知った。彼は叫ぶ、神州の民よ、めざめよ、と。
  • 源頼朝(1) 平治の乱の巻
    4.0
    平氏一門の横暴に抗して立った源氏最後の反乱は失敗に終わる。この平治の乱に初陣した13歳の頼朝は、落ち武者となって吹雪の近江路をさまよう。父義朝は非業の死、兄の義平も捕らわれて斬られた。頼朝も捕まり京へ送られる。源氏一統の血を残らず絶やし、後顧の憂いを除かんとする平清盛の断は、むろん斬首……。
  • 箱根の坂 全3冊合本版
    4.8
    応仁ノ乱で荒れる京都、室町幕府の官吏、伊勢氏一門の末席に、伊勢新九郎、後の北条早雲がいた。家伝の鞍作りに明け暮れる、毒にも薬にもならぬ人間で生涯をことなく送るのが望み、と考えていた。だが、妹分の美しい娘、千萱の出現が、彼の今までの生き方を激変させる契機となり覇者への道を歩み出した……。 北条早雲の生涯を描いた傑作長編。全3冊セットで登場!
  • 火怨 上 北の燿星アテルイ
    4.4
    辺境と蔑まれ、それゆえに朝廷の興味から遠ざけられ、平和に暮らしていた陸奥の民。8世紀、黄金を求めて支配せんとする朝廷の大軍に、蝦夷の若きリーダー・阿弖流為は遊撃戦を開始した。北の将たちの熱い思いと民の希望を担って。古代東北の英雄の生涯を空前のスケールで描く、吉川英治文学賞受賞の傑作。(講談社文庫)
  • 隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動
    3.8
    南町奉行所きっての腕利きと噂される臨時回り同心・月浦波之進に特命が下った。「江戸の食いもの屋の動向を探れ」と。調べに必要な飲み食いの掛かりは、すべて請求できるという。十手を羽織の下に隠し、隠密捜査を始める波之進。―その折、金貸しが殺された。生前にその男が告げたある料理。波之進は、その料理を手がかりに、下手人を捜す。謎をはらんだ珍妙な食物が次々登場。軽妙洒脱、仰天推理の傑作時代小説開幕!
  • 白洲次郎 占領を背負った男(上)
    4.2
    日本でいちばん格好いいといわれている男・白洲次郎。明治35年に兵庫県で生まれ、英国へ留学。戦後、吉田茂の側近として日本国憲法制定の現場に立会い大きく関与した。しかし、彼は表舞台には立たずに、在野精神というダンディズムを貫き通すのであった。初めて知る方にもお勧めの白洲次郎評伝決定版。(講談社文庫)
  • 殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一)
    4.1
    品川台町に住む鍼医師・藤枝梅安。表の顔は名医だが、その実、金次第で「世の中に生かしておいては、ためにならぬやつ」を闇から闇へ葬る仕掛人であった。冷酷な仕掛人でありながらも、人間味溢れる梅安と相棒の彦次郎の活躍を痛快に描く。「鬼平犯科帳」「剣客商売」と並び称される傑作シリーズ第1弾。
  • 新選組斬人剣 小説・土方歳三
    3.5
    武州・多摩郡(ごおり)の郷士の家に生まれた若者は、放浪の中で自由と放縦(ほうしょう)の楽しさも知った。実戦で力を発揮する天然理心流の剣を学び、心許した友、近藤勇とともに動乱の京都に赴くが……。幕末の乱刃の下をくぐり抜けながら、凛々しく冴えた男ぶりを失わなかった、新選組副長・土方歳三の士魂の気概が、乱刃血風の京に舞う、傑作長編小説。
  • レジェンド歴史時代小説 琉球の風 上下合本版
    -
    中国・明からの使節を迎え沸き立つ17世紀初頭の沖縄・琉球王国。だが、この国の平和は幕府を後ろ盾にした薩摩によって侵されつつあった。侵攻に膝を屈するか? 独立をかけて抵抗するか? そして宗主国・明は助けてくれるのか? 生き残りを賭けて琉球の闘いが始まる。 『レジェンド歴史時代小説 琉球の風(上)』『レジェンド歴史時代小説 琉球の風(下)』上下巻合本版
  • 決戦!忠臣蔵
    4.5
    三百有余年、日本人が愛し涙を流し続けた続けた歴史物語『忠臣蔵』。多くの文学賞を受賞している歴史小説界の至宝とも言うべき作家たちが、日本最大の歴史サーガに挑む。傑作アンソロジーが待望の文庫化。
  • かなりあ堂迷鳥草子
    -
    あの鳥が、綺麗な声で鳴いてくれたら。 飼鳥屋で夢をもって働くお遥、十六歳。 江戸の「鳥」たちが謎をよぶ、書下ろし時代ミステリー! 講談社時代小説文庫 赤ん坊の幽霊が出る噂の真相、盗まれた八百屋の売り上げの行方、婚約者の父が犯した重罪の理由――、 小さな飼鳥屋「かなりあ堂」の周囲で起きる「謎」の数々を、兄想いのお遥が解き明かしていく。 メジロ、ホトトギス、カナリア…小鳥たちが鳥籠で羽ばたきをしている。 近頃江戸では小鳥を飼うのが大人気。 兄と二人で飼鳥屋「かなりあ堂」を営む十六歳のお遥は、お転婆などと言われても気にしない。 噂の幽霊の正体を知ろうと駆けだしていく。 江戸の「鳥」たちが謎をよぶ時代ミステリー。 〈文庫書下ろし〉
  • どうした、家康
    4.0
    人質から天下人へ。徳川家康のドラマチック人生! 幼少で母と生き別れ、少年時代は人質として各地を転々とした徳川家康。戦国の世を勝ち抜き、天下人として幕府を開くまでに、何度も訪れる人生の節目で、都度難しい選択を迫られた。織田家に囚われてから大坂の陣まで、歴史時代小説の精鋭十三人が趣向を凝らす、歴史改変もありの短編集。〈文庫オリジナル〉 織田家の人質となっていた少年時代 桶狭間の戦い 三河一向一揆 三方ヶ原の戦い 本能寺の変後の伊賀越え 小牧長久手の戦い 関東移封 関ヶ原の戦い 大坂夏の陣 など。 徳川家康の節目となった事績や事件をテーマに、ついに天下を手中に収めるまでの分かれ道を彼がどう切り抜けたか、史実に忠実な作品だけではなく、「あのときこうなっていたら」という歴史改変ものも含むバラエティー豊かなラインナップで、超短編を集めました。
  • 随筆三国志
    3.0
    流行りの梁父吟(ロカビリー)が大好きな諸葛孔明は当時のアプレ・ゲール! 強靱なレトリックと博覧強記で縦横に古典を論じ、同じく乱世の修羅にある現代の貌を浮き彫りにする花田流三国志論。戦争中に書かれた比類なき抵抗の書『復興期の精神』から最後の著作『日本のルネッサンス人』まで首尾一貫、転形期の人間像を描き続けた花田清輝が、三国志に託して今の世界を、さらに歴史の未来を透視する知的興奮に満ちた1冊。
  • カーリー <1.黄金の尖塔の国とあひると小公女>
    3.6
    第二次世界大戦前夜、故郷ロンドンを離れ、英国統治下のインドへと渡った14歳のシャーロット。駐在英国人の子女が通うオルガ女学院の寄宿舎で出会ったのは、神秘的な美少女・カーリーガードと個性豊かな仲間たちだった。時代に翻弄されながらも懸命に生きる少女たちの姿を描き、熱狂的なファンを生んだシリーズ第一作。
  • マンチュリアン・リポート
    3.9
    昭和三年六月四日未明、張作霖を乗せた列車が爆破された。関東軍の暴挙に激怒した昭和天皇の密命を受けて、若き軍人が綴った「満洲報告書」で明かされる「真相」とは? 該博な知識と丹念な取材に裏打ちされた浅田史観で、闇に葬られた昭和史最大のミステリーを追う。絶好調『蒼穹の昴』シリーズ第4部。(講談社文庫)
  • ハプスブルクの宝剣(上)
    5.0
    18世紀前半のヨーロッパ戦国時代を駆け抜けた隻眼の風雲児エドゥアルト(エリヤーフー・ロートシルト)の波瀾に満ちた生涯。ユダヤ人ゲットーをのがれ、戦乱の渦中に身を投じ、ハプスブルク家マリア・テレジアとの恋の確執のなかで、たび重なる挫折を繰り返しながら、主君フランツとの友情を奉じつつ成長してゆく姿を描く。
  • 月の輪草子
    3.5
    崇拝する中宮定子を慰めるため「枕草子」では美しいことばかり描いた。智識と才気で紫式部と反発し合った清少納言も、いまは山の庵でひとり九十を迎える。自分の定命がわからないのも仏の慈悲。心には華やかな宮中での日々が甦える。九十歳の著者が九十歳の清少納言に乗り憑ってのモノローグ。著者畢生の意欲作。
  • 八丁堀の忍
    3.7
    忍びが牙を抜かれた文政の世に、伊賀の山中に、わらべの頃から人体兵器として養成する裏伊賀の集団があった。十五の若者・鬼市は、決死の思いで抜け忍となり江戸に出る。執拗な追っ手に追われ、鬼市は隠密廻り同心・城田新兵衛に出会い、その腕を見込まれ、同心屋敷にかくまわれた。はじめて人の優しさに触れた鬼市。義賊として生きようとしていた裏伊賀の若者が、江戸の闇を守る。活劇と人情の忍び物語。新シリーズ、開始!
  • 帰蝶さまがヤバい 1
    4.0
    天文十七年(1548年)、世の中は群雄割拠でみなが天下統一を狙っている。もちろん美濃もそうだ。そんな折、「結婚するわ」と国主・斎藤道三の娘の帰蝶は稲葉山城で父に向かって言い放った。「なぜおまえが決めるのだ」「どうして決めてはいけないのですか?」押し問答の末、帰蝶は結婚相手が尾張の織田三郎信長だと告げる。「いやいや、ご冗談でしょう」侍女の皐月が思わず口を挟む。「でもする」とすかさず返す帰蝶。帰蝶と信長は本当に結ばれるのか──時代を先取りする夫婦魂。新機軸・恋愛歴史小説!
  • 萌がさね 藤原道長室明子相聞
    4.0
    「己が時を汚すことなく生きていきたい」……左大臣家に生まれながら、心ならずも政敵・藤原道長へ嫁いだ、美貌の女・明子(めいし)。優しく儚(はかな)げながら、凛乎(りんこ)たる心を持つ彼女こそ、権勢を恣(ほしいまま)にした道長が、愛を得ることに苦悩した唯一の女だった。正妻・倫子(りんし)とともに「二人妻」として記憶される、明子の生涯を綴る、絢爛たる歴史絵巻。道長を懊悩(おうのう)させた美貌の女!
  • ひねくれ一茶
    4.4
    江戸の荒奉公で苦労の末、好きな俳諧にうち込み、貧窮の行脚俳人として放浪した修業時代。辛酸の後に柏原に帰り、故郷の大地で独自の句境を確立した晩年。ひねくれと童心の屈折の中から生まれた、わかりやすく自由な、美しい俳句。小林一茶の人間像を、愛着をこめて描き出した傑作長編小説。田辺文学の金字塔。
  • 李巌と李自成
    3.6
    明朝末期、度重なる戦と凶作、そして苛酷な税に喘ぐ民の負担は限界を超えていた。各地に反乱の烽火が続々と上がる。叛徒を率いる李巌と紅娘子は、四川で反乱勢力を指導する李自成に合流し、厳しい軍規を掲げて明朝打倒の先頭に躍り出た。さらに、明を狙う強大な女真族も南下を始め、時代は大転換へ向け動き出した。
  • 観音妖女 十時半睡事件帖
    3.0
    泰平の世では、武士の生活もたるみ勝ち。そこで、隠居した老人たちが結集して、息子や嫁に活を入れる相談をすることにした。だが、その寄合いの中味は、老人の愚痴と嘆声ばかり。ところが、ひとりだけ型破りな老人が現われて……。黒田藩の総目付、十時半睡が珍事難事を巧みに裁く、連作シリーズ第2集。NHKでドラマ化もされた名作。武士の悩みは、サラリーマンの悩みと変わらない!
  • ヌルハチ 朔北の将星
    3.5
    清の初代皇帝、英雄・ヌルハチの生涯。 父と祖父を殺されたヌルハチは、復仇のために立ち上がった。 挙兵後、敵対勢力を次々と制圧し、全女真人の頂点に上り詰める。 それは強大な明との対決を意味していた。 圧倒的な大群に対し、ヌルハチの策はーー
  • 新装版 間宮林蔵
    4.2
    19世紀初頭、世界地図の中で樺太は唯一謎の地域だった。樺太は島なのか、大陸の一部なのか。樺太調査に挑んだ間宮林蔵は、苛酷な探検行の末、樺太が島であることを確認する。その後、シーボルト事件に絡んで思いがけない悪評にさらされ、さらには幕府隠密として各地を巡った、知られざる栄光と不運の生涯を克明に描く。(講談社文庫)
  • 劉裕 豪剣の皇帝
    3.5
    “史上最強”皇帝を生んだ下剋上! 1000人をこえる叛乱軍をたった一人で殲滅した稀代の剛勇の一代記。 貴族政治が民衆を苦しめた四世紀末の中国・東晋に歴史を激変させる男が出現。 その名は劉裕、貧しい家の出で食うために軍へ入った博徒だ。 戦地では先頭に立ち強敵を次々撃破。 出世すれども学はなく、政治に無関心。 規格外の男が剣の腕だけで切り拓いた道とは。 町の無頼漢から頂点へ。史上最強皇帝の一代記。
  • レジェンド歴史時代小説 庖丁ざむらい 十時半睡事件帖
    4.0
    黒田藩の要職を歴任して、いまは隠居の身の十時半睡(とときはんすい)だが、藩の生き字引として尊敬を集め、藩士がらみのさまざまなトラブルの相談がしばしば持ち込まれる。刀剣マニア同士の悲喜劇、ノミの夫婦にまつわる騒動など、泰平の武士の人間的な側面に対して、半睡が経験にもとづくさばけた"十時さばき"をしてみせる。現代でも大いなる共感を呼ぶ時代小説の傑作。
  • 新・平家物語(一)
    4.0
    12世紀の初め、藤原政権の退廃は、武門の両統“源平”の擡頭をもたらした。しかし、強者は倶に天を戴かず。その争覇興亡が古典平家の世界である。『新・平家物語』も源平抗争の歴史を描くが、単なる現代訳でなく、古典のふくらんだ虚像を正し、従来無視された庶民の相(すがた)にも力点を置く。――100年の人間世界の興亡、流転、愛憎を主題に、7年の歳月を傾けた、著書鏤骨の超大作。
  • 呉越春秋 湖底の城 一
    3.9
    春秋時代末期の揚子江流域で覇権を争う呉と越。越王勾践に覇を唱えさせた名将・范蠡(はんれい)の類稀な生涯を壮大なスケールで描く。春秋時代後期に覇権を争う、楚、呉、越。楚の人、伍子胥は堂々たる体躯で将来を嘱望される青年。伍子胥は、呉との国境近くの邑・棠を治める兄・伍尚を助けるため船に乗り、江水を往く。「人材こそ国と家の宝だ」伍子胥は、地位や身分を越えてさまざまな人と出会い、歩むべき道を探る。(講談社文庫)
  • コルトM1851残月
    3.9
    江戸の裏世界で存在感を増す男、残月の異名を持つ郎次は、さらなる力を得んと欲するが──。壮絶なアクションと重厚なドラマの融合が好評の「機龍警察」シリーズで文学賞を立て続けに手にしている著者が、月村印エンターテインメントのもうひとつの柱として力を入れている、時代小説。時代小説なのに「コルト」という拳銃をメインアイテムとし、著者ならではのユニークかつ読みごたえたっぷりの娯楽小説を完成させた。
  • レジェンド歴史時代小説 見知らぬ海へ
    4.5
    戦国末期、武田水軍の海将・向井正綱は、留守中に城が徳川軍の攻撃を受け、父と義兄を失う。彼は父の遺志を継ぎ、北条水軍との駿河湾決戦で奮戦、水軍の長として汚名を返上する。そんな正綱の元に父の仇、徳川軍への誘いが来た。家康からも一目置かれた海の侍の活躍を描く隆慶一郎、未完の海洋時代小説!
  • 襲来 上
    3.0
    安房国の港町・片海で漁師をしていた見助は、京の寺々に遊学していたという僧侶と出会う。僧はやがて日蓮と名を改め、鎌倉の松葉谷に草庵を構えて辻説法を始める。見助も鎌倉まで従い、草庵で日蓮の身の回りの世話をするようになる。その後日蓮は、他宗派への攻撃を強め「立正安国論」を唱える。幕府がこのまま邪宗を放置し法華経を用いなければ、国内の災難が続き他国からの侵略を受けると主張した。そして見助は日蓮の予言に伴い、九州の対馬に一人で赴くことになる。日蓮の目となり耳となるために。鎌倉から京の都までは陸路、京から博多さらに壱岐・対馬までは海路だ。遥か遠国の地への、見助の苦難の旅が始まった。
  • 天風の彩王(上)藤原不比等
    4.0
    不遇から甦った男の知謀と野望! 天皇に疎(うと)まれながらも不屈に生きる、中臣鎌足の子・不比等の凄烈な生涯――天智天皇と中臣鎌足(なかとみのかまたり)が築いた近江朝は、壬申の乱により大海人皇子(おおあまのみこ、後の天武天皇)に倒される。鎌足の子・不比等(ふひと)は山科で戦乱を逃れたが、中臣氏を疎む天武天皇は、不比等に出世の機会を与えなかった。だが彼は、知謀と強運を武器に昇進をとげ、律令国家の基礎を作っていく。古代史小説の第一人者が描く、凄烈な男の実像。<上下巻>
  • 介子推
    4.3
    山霊がつかわした青年、長身清眉の介推は、棒術の名手となって人喰い虎を倒した。やがて、晋の公子重耳に仕え、人知れず、恐るべき暗殺者から守り抜くが、重耳の覇業が完成したとき、忽然と姿を消した。名君の心の悪虎を倒すために……。後に、中国全土の人々から敬愛され神となった介子推を描く、傑作長編。
  • 漂民宇三郎
    1.5
    天保9年、金六、宇三郎兄弟は、松前を出帆、江戸に回航途中、西風に遭い、漂流6ヵ月、天保10年、米捕鯨船に救助され、ハワイ群島オワフ島に着く。兄と仲間3人を失った宇三郎達生残りは、ロシア領カムチャツカ、オホーツク、シトカを経て、エトロフに送られ、天保14年9月上旬、宇三郎をのぞいて、松前城下に着いた。"自選全集"版未収録の芸術院賞受賞の鏤骨の名品。
  • 伊達政宗(1) 朝明けの巻
    4.2
    永禄10年(1567)、伊達政宗は奥羽米沢城に呱々(ここ)の声をあげた。時は戦国、とはいえ、一代の英雄織田信長によって、その戦国も終熄に向かい始めていた。しかし、ここ奥羽はこの時期こそ、まさに戦国動乱のさなかだった。激動の時代を生きた英傑独眼竜政宗、その生涯の幕開けである――。
  • 風雲 戦国アンソロジー
    4.0
    命懸けの、夢。 黒田官兵衛、前田利家、松永久秀…… 野望うずまく乱世を豪華布陣が描く、傑作小説集! 矢野隆「一時の主」 関ヶ原の戦いを前に、天才軍師・黒田官兵衛が息子に命じたのは―― 木下昌輝「又左の首取り」 傾奇者の前田”又左衛門”利家は、戦の作法などお構いなしで―― 天野純希「悪童たちの海」 大内義隆の重臣の子・冷泉新五郎は、かつて明を目指して船に乗り―― 武川佑「鈴籾の子ら」 上杉景勝に謀反を起こした新発田重家の胸には、亡き兄の言葉が―― 澤田瞳子「蠅」 豊臣秀吉に新大仏建造を命じられた木食応其は、高僧らしくなく―― 今村翔吾「生滅の流儀」 織田信長の大軍に包囲された松永久秀は、信貴山城で死を覚悟し―― ※本書は単行本『戦国の教科書』収録の短編小説を再録したアンソロジーです
  • 大江戸釣客伝(上)
    3.9
    時は元禄。旗本、津軽采女は小普請組という閑職がゆえ、釣り三昧の日々を送っている。やがて、義父・吉良上野介の計らいで「生類憐れみの令」を発布した、将軍綱吉に仕えることになるが・・・。同じ頃、絵師朝湖と俳人基角は江戸湾で土左衛門を釣り上げた。果たしてその正体は? 釣りの泥沼から覗く元禄時代。(講談社文庫)
  • 髪追い 古道具屋 皆塵堂
    3.8
    遊び人の茂として、ふらふらしていた茂蔵も、巳之助の弟分におさまり、小間物屋・大黒屋で真面目に働いている。その茂蔵が花見の後、酔った勢いで祠の戸を開けて、紐で固く結ばれていた箱を開けてしまう。箱の中にあったのは女の長い髪。するすると伸びて、茂蔵の足に触れたとたん、大音響が響き渡った。逃げるように立ち去った茂蔵は、翌朝、帳場の観音像が真っ二つに割れているのを見つける。観音像が身代わりになってくれたのか。幽霊が見える太一郎によると、「封じ込めている」ものを茂蔵が開けてしまったらしい。祠の場所には昔、三十年前に焼け落ちた履物問屋備前屋の寮があった。今の主の徳五郎によると、先代はかなり悪辣で、借金漬けにして潰した下田屋から寮を強奪したらしい。下田屋の亭主は行方知れず、一人娘も病で失ったお此という不幸なおかみさんが失意の末に自害して、長い髪を残したというのだ。茂蔵が開けてしまったのは、備前屋が封印したお此の髪だった。この世に怨みを残すお此を太一郎や茂蔵は救えるのか? 人気シリーズ第九弾!
  • 重耳 全3冊合本版
    4.0
    流浪の末、晋を再建し、後に中国・春秋随一の名君と謳われた、重耳(ちょうじ)の生涯を描いた歴史小説。芸術選奨文部大臣賞受賞作が、全3冊セットで登場!
  • 戦百景 大坂夏の陣
    -
    慶長20年(1615年)3月、戦乱の気配が再び漂い始める。前年の暮に成った、いわゆる「大坂冬の陣」の和議が早くも崩れようとしていた。和議の条件で棄却された二の丸、三の丸の堀や柵が再建され始めていたのだ。それに対し徳川方は、牢人の解雇か豊臣家の移封を求めるが、豊臣家はそれを拒否。徳川と豊臣はついに手切れとなった。総勢15万を下らない徳川方に対し、豊臣方はその約半分。しかも「冬の陣」のときと違って、堀のない城では豊臣方は打って出るしかないのだ。──緒戦で命を懸けて戦う後藤又兵衛や藤堂高虎、浅野長晟。豊臣を滅亡させることを躊躇う徳川家康。牢人集を制御できない大野治長。乾坤一擲を狙う真田信繁。呪縛を乗り越えようとする豊臣秀頼。諸将の思惑が入り乱れるなかで、いよいよ戦乱の世の終止符が打たれる!
  • 江戸繁昌記 寺門静軒無聊伝
    4.0
    在野の儒者・寺門静軒は、仕える先も見つからず悶々と困窮の日々を過ごしていた。自分のせいなのか、世間のせいなのか。苦悩する静軒は、漢文戯作で諧謔味たっぷりに江戸の町を活写し出板することを思いつく。思いのたけをぶつけた『江戸繁昌記』は当時のベストセラーとなるのだが……。痛快なる波乱の生涯。
  • 三国志(一)
    4.2
    日本では卑弥呼が邪馬台国を統治する頃、中国は後漢も霊帝の代、政治の腐爛は黄巾賊を各地にはびこらせ、民衆は喘ぎ苦しむ。このとき、楼桑村の一青年劉備は、同志関羽、張飛と桃園に義盟を結び、害賊を討ち、世を救わんことを誓う。――以来百年の治乱興亡に展開する壮大な世紀のドラマ。その華麗な調べと哀婉の情は、吉川文学随一と定評のあるところである。
  • 星火瞬く
    3.5
    その男が、幕末を動かした――清河八郎 小栗忠順 勝海舟 高杉晋作 動乱の地で会わなければならなかった日本の「革命家」とは、誰なのか?時代小説の正統派が描く、まったく新しい幕末青春小説。作家・葉室麟がどうしても書きたかった時代、人物、物語がここにある。
  • 藪の奥―眠る義経秘宝
    3.0
    後にトロイア発掘によって世界的な名声を得ることになるシュリーマンは、「黄金郷ヒライズミ」の地図を預かる。一攫千金と名声獲得の野望を胸に、シュリーマンは奥州藤原氏の財宝探しに幕末の日本に渡る。稀少な手がかりを元に財宝の在処を平泉北西の北上山地と割り出し、山道険しい藪の奥を分け進む。財宝目当ての争いに、シュリーマンも短銃を手に持ち構える。はたして財宝は見つかるのか、そして義経北行伝説の真相とは?(講談社文庫)
  • 新装版 柳生非情剣
    4.5
    剣に生きる一族として、将軍家指南役となった柳生。連也斎、友矩、宗冬、十兵衛、新次郎、五郎右衛門。尋常でない修行による技、将軍家と関わることによって起こる惨憺たる一族の相克、死を見据えてなお剣の道に生きざるを得ない激烈な生きざまを、乾いた筆で描き切る。作者が生前に世に問うた唯一の短編集。
  • 潜入 味見方同心(一) 恋のぬるぬる膳
    4.2
    大人気シリーズ「味見方同心」が帰ってきた! 同心の兄・波之進の後を継いで味見方となった弟・月浦魚之進は南町奉行から密命を受ける。将軍暗殺計画の気配があり、毒見役の鬼役とは別に、城内に忍び寄る悪事を阻止してほしいというのだ。気弱な魚之進にそんな大役が務まるのか? 兄の後家・お静への思いが募るなか、魚之進は美味で怪しい江戸の食べ物を追う! 【南町奉行所・味見方とは?】 江戸市中の食べ物の動向を探る特別役職。水戸藩が南町奉行所に働きかけてつくらせた。同心の月浦魚之進のみが味見方を拝命する過酷な一人役。横行する悪質な抜け荷の現状把握がもともとの目的だったが、捜索の間に様々な食にまつわる事件が発生する。初代味見方の月浦波之進は何者かにより暗殺、それを弟の魚之進が引き継いだ。兄弟の努力と活躍によって悪事は暴かれ、魚之進は兄・波之進の仇を討った。 本巻『潜入!味見方同心(一) 恋のぬるぬる膳』までの顛末は、「隠密 味見方同心」全9巻をお読みください。面白さと美味しさが倍増します!!
  • 新装版 アームストロング砲
    4.0
    幕末随一の文明藩、佐賀藩の鍋島閑叟(かんそう)は、若い秀才たちに極端な勉学を強いた。近習・秀島藤之助は、世界最新の高性能大砲の製造を命じられ、頭脳の限り努力する。酷使された才能は斃(たお)れたが、完成したアームストロング砲は、彰義隊を壊滅させ、新時代を開いた。風雲の中に躍動する男達を描く、傑作9編を収録。
  • 蔦重
    4.3
    2025年、大河ドラマの主人公。 絵師、戯作者の才能を巧みに操り、次々と流行を生み出した 蔦屋重三郎の光と影を描く。 細谷正充さん絶賛! ――吉森大祐、長篇だけでなく短篇の名手でもあったのか。   喜びと悲しみ、希望と絶望、令和の日本人と変わらぬ人間の姿がここにある。 喜多川歌麿、東洲斎写楽、恋川春町、山東京伝、曲亭馬琴…… 鋭い閃きと大胆な企てで時代を切り開いた稀代の出版プロデューサー・蔦屋重三郎が世に送り出した戯作者や絵師たち。 江戸の精華として誰もが知る彼らの人生の栄光と悲哀を描いた、連作短編集。
  • 悪道 最後の密命
    -
    伊賀忍者の末裔・流英次郎とその一統は、影将軍に隠密の護衛役として仕え、幕府の危機を幾度も救ってきた。その影将軍が正統の血筋に返すため、後代家宣に将軍職を譲ることを決意する。だが、幕閣、大奥、御三家と思惑と野心が交錯し、すさまじい抗争が勃発する。闇の世界で刺客と刃を交える英次郎一統は、影将軍の治世を護るため、最後の戦いに向かう。そして英次郎を慕うものの、生き方を異にする天才女医おそでとの結末は!?
  • 黄砂の進撃
    3.8
    不死身の義和団と列強の激闘! 驚愕の真相が今、明かされる。清朝末期、辮髪と纏足で自由を縛られ、満州族に虐げられていた漢人は、宣教師にも生活を蹂躙され不満は頂点に達していた。彼らは扶清滅洋の旗印のもと蜂起し、駐在武官・柴五郎らの立て籠もる北京公使館区域に攻め入る。中国近代化の萌芽となった「義和団の乱」の内幕を描く、『黄砂の籠城』と対をなす面白さ抜群の歴史小説。
  • 決戦!三國志
    3.4
    累計7万部突破「決戦!」シリーズに三国志が登場!舞台は大陸。広大なスケールで贈るファン必読の書き下ろし豪華絢爛! 英雄たちの無双演舞田中芳樹 『アルスラーン戦記』『銀河英雄伝説』東郷 隆 『信長 覇王の海』『センゴク兄弟』木下昌輝 『宇喜多の捨て嫁』『人魚ノ肉』天野純希 『信長 暁の魔王』『破天の剣』吉川永青 『戯史三國志シリーズ』『誉れの赤』
  • 剣法一羽流
    3.0
    諸流派が日本各地に盛名を競った天正年間、常陸の剣客諸岡一羽斎の、剣の理法と謎の秘伝書は、3人の高弟たちを翻弄する。力と技では及ばない、「剣の心」を渇望する剣士たちの死闘を描く表題作他、人斬りに失敗した刺客、秘命に斃(たお)れた隠密、悪名高い復員兵等、男の人生の風雪を鮮烈に描く、初期傑作短編集。
  • あやかし長屋 嫁は猫又
    4.0
    たまは猫又。尻尾の先が二つに分かれたネコの妖怪である。岡っ引きの平次のところに押しかけ、妖怪に取りつかれて廃屋となった両国橋近くの長屋にいっしょに住んでいる。だから近所づきあいは、雪女のお雪などの妖怪とばかり。平次は人間にはモテないが妖怪ウケはいいので、それで満足している。そんな折、町奉行の榊原が平次のもとを訪ねてくる。最近江戸で、人間の盗賊と妖怪が手を組んでいるので、平次も妖怪といっしょに賊を取り締まってほしいという要請だった。見返りは長屋を正式に貸し与えることと、役所として二人を夫婦と認めることだった。破格の条件にたまは飛びつき、平次は押し倒される形で賊退治へ……。
  • 東海道をゆく 十時半睡事件帖
    3.8
    著者の死生観が結晶した終わりなき旅路。人気シリーズ最終作! 「生きる者は生き、死ぬ者は死ぬ」。福岡藩江戸屋敷総目付を務める名物老人・十時半睡(とときはんすい)は、重病の息子弥七郎(やしちろう)を見舞うため、国許(くにもと)への旅に出る。息子の天運を信じる半睡は、あえて陸路・東海道を悠々と旅してゆくのだが、道中には様々な事件が巻き起こる。惜しくも著者の絶筆となった人気シリーズ最終作。
  • 奥羽の二人
    4.0
    不敵な野望と奔放さに満ちた若き伊達正宗と、奥羽で対峙する蒲生氏郷――二人にとって越えることのできない大きな存在が、秀吉であった。天下に志を得ずに終わった彼らの胸中の苦悶を描く表題作のほか、抗いがたい力に翻弄され、結局は身を滅ぼしていった武将たちの運命と悲話10編を収録。待望の歴史小説傑作短編集。
  • うちの旦那が甘ちゃんで 1
    3.6
    はっきり言って月也は「ぼんくら」である。月也とは、北町奉行で風烈廻方同心を拝命している、沙耶の旦那のことだ。のほほんとした性格から、盗人を取り逃がすことが多く、付き人である小者たちは愛想を尽かして次々に辞めていった。小者は捕り物の補助や身の回りの世話をする重要な存在で、小者がいなければ同心は能力の半分も発揮できない。次の小物をどうやって手当てすればいいのか。沙耶が思いついたのは、なんと自分だった!
  • まぼろしの城
    4.0
    越後の上杉、甲斐の武田、小田原の北条。関東管領が実質的な力をなくし、覇を争う武将たちに取り巻かれながらも、上野の沼田万鬼斎はしたたかに生き抜こうとしていた。しかし愛妾・ゆのみとその父・金子新左衛門に翻弄され、一族は過酷な歴史の渦に飲み込まれていく。小国の衰亡に光を当てた凄絶な戦国雄編。
  • 講談名作文庫2 水戸黄門
    -
    天下の副将軍として諸大名を縮み上がらせた水戸光圀公。隠居してからは百姓姿に身をやつし、助さん格さんという剣術の名人をお供に連れ、諸国漫遊に出かけた。お役人やお侍が、百姓爺だと馬鹿にすると、あに図らんやそれが光圀公。びっくり仰天して大騒ぎ! 山賊退治や孝子の助太刀等、痛快愉快の大活躍。
  • 甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1)
    4.3
    家康の秘命をうけ、徳川三代将軍の座をかけて争う、甲賀・伊賀の精鋭忍者各十名。官能の極致で男を殺す忍者あり、美肉で男をからめとる吸血くの一あり。四百年の禁制を解き放たれた甲賀・伊賀の忍者が死を賭し、秘術の限りを尽くし、戦慄の死闘をくり展げる艶なる地獄相。恐るべし風太郎忍法、空前絶後の面白さ!
  • 異域の人 幽鬼 井上靖歴史小説集
    4.0
    半生を西域に捧げた後漢の人・班超の苦難に満ちた道と孤独な魂の彷徨を追った「異域の人」、留学僧・行賀の在唐31年の軌跡と、入唐した日本人のさまざまな生の選択を描いた「僧行賀の涙」、謀反へと明智光秀を導く心の闇に巣くった亡者に迫る「幽鬼」など、歴史小説の名作8篇を収録。時代の激動を生きぬいた人間の姿を比類なき語りの力で描破する井上文学の魅力溢れる1冊。
  • 水壁 アテルイを継ぐ男
    4.2
    著者のライフワークとも言える東北の大河小説「最新刊」がついに完成! 朝廷の容赦ない仕打ちに苦しめられ続ける民を救うべく、伝説の英雄・アテルイの血をひく若者が立ち上がる。やがて彼のもとには、その志に共感する、力ある者たちが集まってくる。圧倒的な数の差を知略で制し、不利と思われる状況にも臆せず力を尽くして立ち向かってゆく、蝦夷たちの気高い姿に心がゆさぶられる歴史長編。

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