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絶品料理に空腹が止まらない!グルメ漫画おすすめ18選

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細部まで描き込まれた料理、味わう主人公の美味しそうな顔、美味しそうな白米やお酒……グルメ漫画は読むだけで幸せな気分になります。定番中の定番『美味しんぼ』(花咲アキラ / 雁屋哲)から、松重豊さん主演の実写ドラマがブレイクした『孤独のグルメ』(久住昌之 / 谷口ジロー)まで、良作に事欠かないジャンルですが、作品数が多いだけに傾向もさまざま。

一流シェフの技が冴える「シェフ活躍系」、読者も食べに行ける「実店舗レポ系」、食を通じたドラマが感動的な「ヒューマンドラマ系」、ココロを満たしてくれる「ひたすら美味しいものを食べる系」などなど、本当に多種多様ですが、今回はそんなグルメ漫画の中からおすすめの18作品をご紹介します。ぜひぜひ、お気に入りを見つけてください!※2019/7/9に5作品を追加しました。

『山と食欲と私』

山と食欲と私

『山と食欲と私』 1〜13巻 信濃川日出雄 / 新潮社

山で食べるご飯の素晴らしさを伝える人気作

登山専門誌「山と渓谷」で再現レシピが特集されるほどの人気「山ゴハン」漫画、それが本作です。

主人公は、登山が趣味のOL・日々野鮎美(ヒビノ アユミ)。山ガールと呼ばれるのを嫌い、単独登山女子を自称する彼女は、休日になるとリュックを担いで、一人で山へ。自分のペースを守って、黙々と集中して登ることに喜びを感じるタイプです。

彼女の登山の一つの大きな楽しみは、山での食事です。第1巻の第1話で描かれるのは、シンプルな塩おにぎり。小休止の時に立ったまま食べる行動食で、塩を多めに振ったそれは疲れを癒やし、失ったエネルギーを充填させてくれるのでした。しかし、おにぎりは序の口。美味しそうな「山ゴハン」が、次から次へと登場します。

「山ゴハン」には、普通の自炊とは違う工夫が必要です。たとえば、乾物の有効利用。彩りや風味を添えて食事を豊かにしてくれるし 重量が軽くて長期保存できる「山ゴハン」の基本食材だと、鮎美は言います。彼女がハマったのは、天かす。メスティン(飯ごう)でお米を炊き、その上に天かすをたっぷり、桜えびを少々、刻みネギをパラパラかけて、味ぽんで味付けした「ぽんかす丼」をぱくっと一口。富士山がはっきりと見える山頂で食べれば、このシンプル過ぎる料理がご馳走になります。※第2巻

巻が進むと、凝ったレシピがいくつも登場することに。第6巻で描かれるのは、インド風本格ヨーグルトカレー。ヨーグルトにしょうがやにんにくなどを加えた「どろ〜ん液」(命名・鮎美)に予め漬けておいた鶏肉を山頂で煮込み、ターメリックを投入。市販のカレールーに頼らない本格料理の完成です。

だんだんと会社に登山仲間ができて、第7巻では男女のグループで日光白根山へ。登山後はキャンプ場でダッチオーブンを使ったローストポークに舌鼓。山頂で自炊する「山ゴハン」だけでなく、時には大勢でのキャンプ料理や、山小屋で食べる名物メニューなども登場。とにかく、どの巻も読むと食べてみたくなる料理のオンパレードなのです。

最新の第9巻では、若い頃に友達と登ったことがある富士山へ単独行。富士山は、かつて鮎美が山ゴハンのタブーを犯して、汚してしまった山でもあり、「あの時はすいませんでした!」と山に頭を下げるシーンも。楽しいだけでなく、山でのマナーや登山のコツ、そして危険回避法もしっかり教えてくれる作品です。

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『八雲さんは餌づけがしたい。』

八雲さんは餌づけがしたい。

完結『八雲さんは餌づけがしたい。』 全11巻 里見U / スクウェア・エニックス

綺麗なお姉さんが高校生男子に料理をふるまう

アパートで独り暮らしする八雲さん(八雲柊子・ヤクモ シュウコ)は、料理を趣味とする28歳。彼女にはちょっとした秘密があり、それは隣の部屋に住む男子高校生の大和くん(大和翔平)を「餌づけ」していることでした。

八雲さんが大和くんにご飯を食べさせるようになったのは、彼女が引っ越しの挨拶に行ったのがきっかけ。大家さんから、大和くんが名門野球部に入部するため、親元を離れて暮らしていることを聞いていた八雲さんは、挨拶代わりにおにぎりを持っていったのでした。ドアを開けて出てきた大和くんは、なんとその場で、いくつもあったおにぎりを完食。その見事な食べっぷりを見た八雲さんは、「お腹空いたら うちにご飯食べにいらっしゃい」と思わず声をかけてしまったのです。

そうして始まった二人一緒の食事。練習でヘトヘトになった大和くんが、炊飯器にたっぷり炊いたご飯をいつも平らげてしまうため、八雲さんは大型の高級炊飯器に買い換えるほど。そんな出費も、大和くんの「おかわりください」という明るいひと言を聞く喜びのためには苦にならないのでした。

白米をもりもり食べる大和くんの姿は実に健康的。八雲さんはスタイルのいい美人で、時々、無意識に醸し出す大人の色気にどきりとさせられることもありますが、二人の関係は、あくまでご飯によって結ばれている、ご近所付き合いです。大和くんが食べることに夢中すぎて、高級炊飯器で炊いた米の味には無反応だったり、ツナ缶に醤油をかけただけのおかずで、いつも以上にご飯が進んだりして、料理上手の八雲さんをがっかりさせることも。それでも、八雲さんは大和くんのために、毎晩のメニューを考え続けます。

二人の微妙な関係性が面白い作品ですが、もちろんグルメ描写も魅力たっぷり。最初はハンバーグやカレー、オムライスといった続きますが、巻が進むと、アイディア料理がお目見えします。

大和くんの実家から送られてきた高級牛肉を焼いた脂を使ってのガーリックチャーハン、カレーのようにご飯に乗せて食べる八丁味噌入りのクリームシチュー(※ともに第3巻)、缶詰と残り物の野菜を使った、サバの水煮と玉ねぎの炒め物+コンビーフとキャベツの炒め物+カニ玉風オムレツなどなど。どれも、家庭料理の域にとどまっているところが逆に魅力的で、美味そうにたいらげていく大和くんに、少し分けてもらいたくなります。

野球部の厳しい練習シーンや公式戦の描写もあって、青春漫画としての面白さも。仲睦まじい八雲さんと大和くんの関係には、この先、何か変化が起こるのか? ほんのちょっぴり漂う恋の雰囲気が本作の隠し味です。

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『侠飯』

侠飯

完結『侠飯』 全7巻 福澤徹三・薩美佑 / 講談社

ヤクザの組長が作る家庭料理をマネしたくなる

ヤクザの組長が、家庭の調理器具とどこにでも売っている食材を使って、いかにも美味しそうな料理を作っていく任侠×グルメ漫画。福澤徹三先生の小説を、薩美佑先生が漫画化した作品で、2016年に生瀬勝久さんの主演でTVドラマ化もされました。

就活に行き詰まっていた大学生の若水良太(ワカミズ リョウタ)は、ある日、自宅アパートの前でヤクザの抗争に巻き込まれます。パトカーのサイレンが近づき、逃げ場を失ったヤクザ者二人は、良太の部屋に転がりこむことに。そのままずっと居座ってしまうのでした。

ヤクザ二人とは、柳刃組の組長・柳刃竜一(ヤナギバ リュウイチ)と、組員の火野丈治(ヒノ ジョウジ)。二人はまず散らかり放題の良太の部屋を掃除してピカピカにします。火野が偵察のために外に出て行った後、「何か食い物はあるか」と良太に尋ねた柳刃は、。コンビニに買い物に行く振りをして逃げ出そうとする良太を引き止めて、冷蔵庫を開き、その中にあった残り物で調理を始めるのでした。

良太の冷蔵庫にあったのは、玉子が3つ、カマボコとチーズ、レモンにリンゴに青ネギ、オイルサーディンの缶詰などなど。これらの食材を巧みに使って3品を作り上げた柳刃。良太がご相伴にあずかると、料理はどれも、あり合わせの物で作ったとは思えないほど美味しかったのです。

当分、良太の部屋に身を潜めることに決めた柳刃は、ネットの通販を使って冷蔵庫や炊飯器、フライパンなどの調理器具を一新して、料理する気満々。男三人の奇妙な同居生活が始まっていきます。

麻婆豆腐とチャーハンに始まり、柳刃の作る料理はどれも、一般家庭で普通に作れるもの。しかし、ちゃんとした手順と調味料の知識によって、お店で出てくるものと遜色ないレベルに仕上がります。いつもはニヒルな柳刃が、調理する時だけは饒舌になるのが面白いところで、作り方を懇切丁寧に解説してくれます。

良太が二日酔いの時は、カレーをトマトジュースで伸ばすことで、アルコールが作り出したアセトアルデヒドを分解する成分をたっぷり含んだ「柳刃流酔い覚めスープカレー」を(※第2巻)、火野が敵対するヤクザに腕を斬りつけられて帰ってきた時は、自然治癒に有効なレバーを使った「柳刃流スタミナ料理 レバニラ炒めと玉子スープ」(※第4巻)を作ってやるといった気づかいも。ヤクザ者に怯えていた良太は、すっかり柳刃の人柄と料理の腕に心酔していきます。

各巻に、柳刃が作った料理のレシピが詳しく紹介されているのもポイント。ストーリー的にも面白く、全7巻でオチも見事に決まっています。

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『三十路飯 肉』

三十路飯 肉

『三十路飯 肉』 1〜2巻 伊藤静・dancyu編集部 / 小学館

東京で美味しい肉を味わう前に、これを読め!

食べ歩きの参考になるグルメ漫画。美食探訪誌「dancyu」の協力により、東京にある実在のお店を毎回、紹介していきます。まずは『三十路飯』全3巻で23店を取り上げ完結。本作はその続編で、肉料理に特化したシリーズとなっています。

主人公は、工事現場で働く三十路女性の間宮。質実剛健かつ有能で、同僚からは”間宮軍曹”とあだ名されているクールビューティーです。額に汗してこつこつ働く彼女の楽しみは、ずばり美味しい肉を食べに行くこと。

第1話で紹介されるのは、目黒区祐天寺にある三宿トラジ。炭火焼肉の人気店です。一名様で予約して、カウンターに陣取った彼女は、まずは名物メニューの「トラジ焼き」をオーダー。高まる期待の中、網に最初の肉を置いていきます。

「慎重にじっくりと… まるで一人娘の成長を見守る、親の気持ちで!」。そんなふうに心の中でつぶやきながら、火が通っていく肉を見つめる間宮。そこにあるのは「肉と私の真剣勝負」です。そして、頬張った瞬間、至福の表情に。食べ終わった後は自分のブログ「お肉大好き♥」に、さっそく写真と記事をアップ。それが間宮の肉の味わい方です。

前シリーズと同じように、各話の終わりにはお店の詳しいデータと、dancyuの植野広生編集長による「激旨コラム」を掲載。また、劇中には小コラム「まみやの肉知識」があり、登場した肉の部位や特徴について解説してくれます。

「肉は私の燃料」という間宮。毎日がんばって働く社会人のみなさんなら、その言葉に深く共感できるのではないでしょうか?

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『深夜食堂』

深夜食堂

『深夜食堂』 1〜23巻 安倍夜郎 / 小学館

連載開始から12年を越え、変わらぬ味を届ける激渋グルメ漫画

グルメ人情漫画として、確固たる地位を得ている本作。小林薫さんの主演によるTVドラマ、映画も話題になりました。漫画は2006年からスタートし、現在も続行中です。

舞台は、街の一角にある食堂「めしや」。営業時間は夜12時から朝7時という、人呼んで「深夜食堂」です。マスターが一人で切り盛りするその店のメニューは、豚汁定食とビール、酒、焼酎だけ。「勝手に注文してくれりゃあ、できるもんなら作るよ」というのが営業方針です。

第1話は、ふらりとやってきたヤクザが注文した「赤いウインナー」。マスターがタコの形に切って炒めて出すと、コワモテが笑顔に変わり、彼は店の常連になるのでした。

店にやってくるのは、ゲイバーのマスターやキャバレーのホステス、売れない演歌歌手などなど、人生にドラマを隠し持ってそうな人々。時には空き巣と刑事がカウンターに隣り合って座り、同じメニューを味わうことも。マスターの寡黙な人柄も相まって、滋味深いストーリーが展開していきます。

長期連載になっても、ネタになる料理は日常にありふれたものがほとんど。第20巻では、イカ焼き、ビフカツ、ニラチヂミ、ホルモンとキャベツのみそ炒めといった素朴な品々が登場。時には、トリュフ塩(乾燥させたトリュフと海塩を混ぜたもの)なんていう洒落た調味料が題材となる回もあり、料理に巧みに活かしていくマスターの、料理人としての奥深さを感じさせてくれます。

何年経っても、ずっとそこにあり続けてほしい。それが「めしや」という店であり、「深夜食堂」という作品です。

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『いつかティファニーで朝食を』

いつかティファニーで朝食を 1巻

完結『いつかティファニーで朝食を』 全14巻 マキヒロチ / 新潮社

おしゃれな朝食ブームのはしり

主人公の麻里子はアパレル業界で働くOL。同棲中の彼・創太郎は仕事が忙しく、すれ違いばかり。気晴らしに友人たちを誘って、おしゃれなカフェのモーニング・タイムに行った麻里子は、そこで素晴らしい朝食との出会いを果たします。

テレビドラマ化もされ、朝食ブームを生んだと言われる本作は、主人公の麻里子をはじめ、作中のアラサー女子がさまざまな悩みを抱えています。そんな彼女たちの心を軽くしてくれるのが、美味しい朝食。ここで紹介される朝食は、ふわっふわのリコッタチーズのパンケーキや、パリパリ新鮮な野菜をたっぷり使ったサラダボウルなどのおしゃれなものから、築地で食べる銀ダラ定食や、タイ料理屋のグリーンカレーなど、夜ごはんでもいけそうながっつりメニューまでさまざま。ぐるぐると悩んでいたことも、食べた瞬間、すべてどうでもよくなってしまう……そんな麻里子たちの「美味しい」表情を見ていると、自分も明日は早起きして美味しい朝食を食べに出かけてみようかな、なんて気分になってしまいます。

グルメ漫画としてももちろんですが、麻里子の恋愛模様からも目が離せません。後輩・菅谷への想いを自覚しながらも、あと一歩を踏み出すことができない、そんなアラサー女子の複雑な恋心がリアルに描かれていて、同世代女子の共感を呼んでいます。

本作で麻里子にフラれた創太郎が、出張して日本全国の美味を食べ歩くスピンオフ作品『創太郎の出張ぼっちめし』も、グルメガイド的な要素とサラリーマンの哀歓のバランスが絶妙な良作でおすすめです。

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『新米姉妹のふたりごはん』

新米姉妹のふたりごはん1

『新米姉妹のふたりごはん』 1~8巻 柊ゆたか / KADOKAWA

姉妹になった女子高生コンビのほんわかラブラブなごはんライフ!

サチは食べることが大好きな女子高生。父の再婚により、同い年のあやりと突然「姉妹」になります。サチはあやりと仲よくなろうと試みますが、無表情で何を考えているかわからないあやりに戸惑うばかり。そんな2人のもとに、出張中の父が「ハモン・セラーノの原木」、すなわち生ハムの固まりを送ってきて……。

ちょっと無愛想だけど料理上手なあやりが、うんちくを語りつつ作る料理がとにかく美味しそうで、読んでいるだけでお腹が空いてきます。土鍋で作るふわっふわの卵焼きや、ネギの皮で作る自家製ソーセージ、ハイジのチーズとして有名なラクレット(とろとろになったところをパンにのせて食べるシーンも、もちろんあります!)など、ちょっと変わったメニューや調理器具が出てくるのも本作の特徴です。

当初はギクシャクしていたサチとあやりでしたが、食を通じて徐々に家族になっていきます。食べることが純粋に好きなサチと、美味しいと思ってもらえる喜びに目覚めたあやりは、本当にいいコンビ。二人が共に食べる仲睦まじさに、こちらまでデレデレしちゃいます。クールなあやりが食材の前では目をキラキラ輝かせたり、髪を結ぶときはサチにもらったシュシュを大事に使ったりしている様子がかわいらしく、胸キュンものです。ほのかな百合要素も感じられる、可愛い作品ですよ。

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『バンビ~ノ!』

バンビ~ノ!(1)

完結『バンビ~ノ!』 全15巻 せきやてつじ / 小学館

厨房は料理人の戦場だ!

伴省吾は威勢のいい大学3年生。郷里・福岡のイタリア料理店でバイトしていたところを、腕を見込まれ、六本木の老舗トラットリアへ修業に出ることになります。しかしそこは、多数の料理人が激しいポジション争いをし、秒単位の速さを競って料理を作る「戦場」でした。「バンビーノ」(坊っちゃん)扱いされ、一度は自信を失う省吾ですが、一流の料理人をめざし、しぶとくたくましく成長していきます。

先輩やお客から勝負や試練を課せられた省吾が、努力を重ねて腕をあげていく様子が描かれた、スポ根なみに熱いグルメ漫画です。一流のイタリア料理が続々登場し、その調理の秘訣やプロの技が描かれます。門外漢であるドルチェ場への配置換えがおこなわれた後も、全身全霊で努力する省吾。ひと皿の料理の背後にある大勢のスタッフの心意気、料理人の喜怒哀楽、華やかなレストランの裏側なども見えてくる、スケールの大きな作品です。

テレビドラマ化もされた本作は、続編『バンビ~ノ!セコンド』も出ていますので、省吾たちのその後が知りたい方はこちらもぜひ!

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『最後のレストラン』

最後のレストラン 1巻

『最後のレストラン』 1~16巻 藤栄道彦 / 新潮社

料理だけでなく、歴史のネタも豊富!

園場凌(そのば しのぐ)は、流行らないレストラン「ヘブンズドア」のオーナー兼シェフ。ある日、ヘブンズドアにまさかの、「あの」織田信長とその側近らが現れます。彼らは本能寺で明智光秀に襲撃され、死ぬ直前に現代へタイムスリップ(?)してきたのでした。信長は凌に、誰も食べたことのない空前絶後の料理を持ってこいと命令します。

歴史上の有名人が死の直前、ヘブンズドアに来店して「最後の晩餐」を食べるというアイデアが面白い、ギャグ要素もあるグルメ漫画です。偉人たちはみんな無茶ぶりをしてくるのですが、凌は自らの腕と機転で彼らの望む料理を作ってみせます。信長の好物である焼き味噌を使ったドリアなど、歴史上の人物の好みや逸話などを盛り込みつつ、「彼らが本当に欲しているものは何なのか」を突き詰めていくところが面白く、胸にじんわりと響く作品です。

ほかにも、マリー・アントワネットや坂本龍馬など、有名な人物が数多く登場します。「実際はこんな人だったらしい」など、興味深い歴史ネタも豊富。2016年4月26日から放送開始の、田辺誠一さん主演のテレビドラマも話題です。

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『くーねるまるた』

くーねるまるた(1)

完結『くーねるまるた』 全14巻 高尾じんぐ / 小学館

ポルトガル女子の節約日本ライフ!

ポルトガル人の女の子・マルタは日本が大好き。留学期間が終わった後も日本に住み続けています。その日暮らしの貧乏生活ですが、手に入った食材や値下げ品をフルに活用して巧みに料理し、楽しく暮らしています。そんなマルタの、のどかでほんわかした生活ぶりが描かれている、ほのぼの系グルメ漫画です。

パンの耳で作ったエッグタルトや、鰻のたれに浸した油揚げを使ったひつまぶし風ごはんなど、安くても美味しそうなメニューがたくさん! お金がなくても気にせず、その場にある物を楽しげに調理するマルタ。出来上がった料理を食べる姿があまりに幸せそうなので、こっちまで笑顔になってきます。本名の一部「マルタ・クウネル」を「食う寝るマルタ」と勘違いされたのも仕方ないかも(笑)。みかんの皮まで活用するところは、古き良き日本のもったいない精神と通ずるものがあり、また、お財布が寂しいときの参考にもなります。

地方へ旅して名物を紹介する話や、日本文学のトリビアを語るシーンもあり、食に留まらず日本文化を取り上げているところも魅力ですよ。

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『異世界居酒屋「のぶ」』

異世界居酒屋「のぶ」(1)

『異世界居酒屋「のぶ」』 1~12巻 ヴァージニア二等兵・蝉川夏哉・転 / KADOKAWA

日本の「イザカヤ」は異世界でも大人気!?

二つの月が夜を照らす、異世界にある古都アイテーリア。兵士のハンスは同僚ニコラウスに誘われ、「居酒屋のぶ」へ飲みに行きます。その店は、高級な(!?)ガラスがドアやコップにふんだんに使われている飲み屋で、「トリアエズナマ」と呼ばれるエールが冷えていて……。初めて食べる「オトーシ」や「オデン」の美味しさ、それにウェイトレス・しのぶちゃんのかわいさに、ハンスはもうメロメロです……!

中世ヨーロッパを思わせる異世界に現代日本の居酒屋があり、人々に癒しを与えるという、ほのぼのとしたファンタジーです。仕事に疲れた人が明日へのエネルギーをもらったり、飲みながら人生を見つめ直したりと、居酒屋の持つぬくもりが伝わってきます。アイテーリアの人たちが日本人には当たり前のメニューに対して過剰に驚く様子がほほえましく、一癖も二癖もありそうな片眼鏡の紳士が、初めて食べるナポリタンの美味しさに驚愕し、天使とともに召されるシーンなど、思わず吹き出してしまうエピソードも満載です。

「小説家になろう」のライトノベルコンテスト「なろうコン大賞」受賞作のコミカライズである本作。続巻が楽しみな作品です。

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『そばもんニッポン蕎麦行脚』

そばもんニッポン蕎麦行脚(1)

完結『そばもんニッポン蕎麦行脚』 全20巻 / 山本おさむ / 小学館

そばという食文化の奥深さにシビレる!

そばのみにフォーカスして長期連載を続ける、驚くべきグルメ漫画です。そばの種類から、名前の由来、そば打ちの技のうんちくがぎっしり詰まっていて、普段何気なく食べているそばの奥深さに感動すること請け合いです。

主人公はそば打ち名人の矢代稜。自分の店を持たず、道具一式を車に積んで流れ歩く稜は、間違った知識を振りかざして他の客に迷惑をかける「自称・そば通」に一泡吹かせたり、苦闘しているそば店主を助けたり、そばについての豊富な知識を披露したりする、「そば界のお助け人」。稜が行く先々で出会う人々のそば愛は熱く、そば打ち職人の人生も描かれていて、ジンとくるエピソードが多いです。「白いそばはまがい物で黒いそばのほうが本物」という世間の常識が、実はまったくの誤解であることなど、役に立つ知識も身につきます。「そばってこんなに語れることの多い食べ物だったんだ」と、認識があらたまること間違いなしです。

作者の山本おさむ先生は、『どんぐりの家』が第24回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞したベテラン漫画家。震災後にかかれた話題作『今日もいい天気 原発事故編』、青春漫画『ぼくたちの疾走』等、多数の作品を世に送り出しています。

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『おとりよせミッドナイト』

おとりよせミッドナイト 1巻

完結『おとりよせミッドナイト』 全1巻 ハナムラ / 講談社

編集者&漫画家が繰り広げる、深夜のおとりよせバトル!

新連載のネームを見てもらうはずが、気がつけばヤンマガ編集部で取り寄せた夜食のレポ漫画を描かされる羽目になった漫画家・ハナムラ。誰の取り寄せた夜食が一番おいしいか、深夜のバトルが今はじまる──!

『ハナムラさんじゅっさい+』が好評を博したハナムラ先生の、お取り寄せレポ漫画がこちら。対決する編集者の顔が『美味しんぼ』のキャラそっくりになったり、「聞こえないスね、20Q以上でしゃべってくださいよ」(Qとは級数のことで、文字の大きさを表す出版業界用語)など、編集者ならではの台詞が飛び出したりと、クスッと笑えるシーンもたくさん。いい年をした男性2人がキャッキャしているのが面白くて、なんだか親近感をおぼえてしまいます。また、2人に振り回されている作者のキャラもいい味を出しています。毎回、ネームをろくに見てもらえず、気づけば美味しい夜食に舌鼓をうっている……というお約束の流れも楽しいです。

肉まんやご当地カレー、北海道名産のジュンドッグ(洋風おにぎり)など、お手軽B級グルメが多いので、自分も取り寄せてみようかなという気持ちになります。はたしてハナムラ先生はネームを見てもらえるのか!? ということにも注目してもらいたいグルメ漫画です。

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『食の軍師』

食の軍師 1

完結『食の軍師』 全8巻 泉昌之・久住昌之・和泉晴紀 / 日本文芸社

食べ方にこだわる異色のグルメ漫画

まさかの実写ドラマ化で話題になった本作は、とことん「食べ方」にこだわった異色のグルメ漫画。『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』の原作を手掛ける久住昌之先生が、和泉晴紀さんとの漫画家コンビである「泉昌之」名義で連載しているのですから、一筋縄でいくわけがありません!

『食の軍師』というだけあって、何か食べるたびに三国志になぞらえた台詞が繰り広げられます。その濃くうざい(笑)演出が、なぜか癖になるんです。おでんの屋台で隣の男が注文した「大根とコンニャクとごぼう天」というラインナップを見て、「こやつ……デキル!」と心の中で叫ぶ主人公。おでん軍師(!?)として負けられない! と対抗意識を燃やします。

ハードボイルド風にキメた主人公・本郷と、彼が勝手にライバル視しているパーカー姿の男・力石との脳内バトルがシュールでおかしい! 「通(つう)」だと思われたいばかりに葛藤する本郷の姿は、馬鹿馬鹿しくもどこか共感を呼びます。毎回、本郷は力石に負けてしまうのですが、力石本人はもちろん勝負をしているつもりなどなく、顔見知りになった本郷を焼肉のテーブルに誘うことも(もちろん、そこでも本郷の激しい一人バトルが!)。

「おでん」「もつ焼き」「寿司」「蕎麦」「とんかつ」など、身近なグルメを扱っているので、本郷のこだわりを実践してみるのも楽しいかも。他にはないグルメ漫画の世界、ぜひ体験してみてください。

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『極道めし』

極道めし 1巻

完結『極道めし』 全10巻 大西祥平・土山しげる / 双葉社

刑務所を舞台に「うまいもの」を語る!

『喰いしん坊!』『闘飯』、久住昌之先生原作のコミカライズ『漫画版 野武士のグルメ』など、グルメ漫画に定評のある土屋しげる先生。実写映画化もされたこちらの作品は、なんと刑務所が舞台。まさかムショ飯をレポするの? と思いきや、そうではありません。本作は、囚人たちがおせち料理を賭けて「自分が食ったうまいもの」の話をするというストーリー。話を聞いて喉を鳴らした囚人の数が多いほど勝ち、というシンプルながらも、奥深い構成になっています。

「どれだけうまそうに語るか」が主題なだけあって、出てくる料理のおいしそうなこと! 立ち食いそばやお好み焼など、ごく庶民的な食べ物を扱っているのですが、それだけに読んでいるこちらの記憶も刺激され、作中の彼らと一緒に喉を鳴らしてしまいます。

「かきあげをつゆに沈め…かきあげの油が染みたつゆを少し飲み…」

など、想像しただけで口の中が唾液で溢れそうな描写がいっぱい。読み終わったあと、財布を持って定食屋に駆け込みたくなります。

また、食語りの中で、彼らが刑務所に入ることになった理由など、ひとりひとりの人生についても触れられるのですが、こちらがまた泣かせるのです。単なるグルメものではなく、人情ものとしても優れた作品です。

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『もぐささん』

もぐささん 1

完結『もぐささん』 全10巻 大竹利朋 / 集英社

可憐なクラスメイトは驚くべき大食い女子だった!

同じクラスの女子・百草(もぐさ)さんの異常な食べっぷりを知ってしまった主人公・小口くん。よく見ると、彼女は授業中にもひそかに食べ物を口にしていて……?

おしとやかで可愛いのに、食い意地がはってる百草さんのギャップがかわいくてたまりません! 授業中のステルス食い(鉛筆を持っていると見せかけて、実はプレッツェルを食べている)など、百草さんの食い意地はもはや「芸」の域。でも、百草さんはそんな自分を恥ずかしく思っているらしく、自らを「意地汚いぶたですっ!」と卑下します。秘密を共有する小口くんと、百草さんとの恋の行方も甘酸っぱくてキュート。大きな辞書のケースに白飯のつまった弁当箱を隠していたり、ハンバーグの焼ける音を聞いてよだれをだらだら流したりと、百草さんはちょっとおかしな女の子。小口くんはそんな彼女の素の姿をかわいいと思いつつも、ついついちょっと意地悪をしてしまったりします。

『幸腹グラフィティ』『ラーメン大好き小泉さん』など、女の子が美味しそうにごはんを食べる漫画が流行中ですが、本作もそんな漫画のひとつ。ヒロイン・百草さんの美味しそうな表情に、思わずにっこりしてしまうこと間違いなしです。

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『おしゃべりは、朝ごはんのあとで。』

おしゃべりは、朝ごはんのあとで。(1)

『おしゃべりは、朝ごはんのあとで。』 1~2巻 秀良子 / 小学館

ほっこり癒やされる、人気作家のグルメレポ漫画

映画化もされた『宇田川町で待っててよ。』などのBL作品から、『ロメオがライバル』などの一般作まで、幅広く活躍されている秀良子先生のグルメエッセイ漫画がこちら。

編集者と秀良子先生の2人が、美味しい朝ごはんを求めて西へ東へ大奔走! 国内はもちろん、パリやハワイなど、海外にまで足を伸ばします。しかも、取材費は「自腹」。普段は引きこもりな作者の自虐ギャグもほのぼのとしていておかしく、等身大のグルメレポが楽しめます。おいしさを言葉だけではなく、心象風景で表現するところなども、漫画家さんならではの感性で面白い! お醤油味の葛あんをとろりとかけた瓢亭のお粥や、バターとメープルシロップをたっぷりかけた沖縄のパンケーキなど、見ているだけでよだれの出そうな料理がたくさん出てきます。食事のイラストが美味しそうなのは当然なのですが、沖縄のゆったりとした空気や、NYの風景など、その場の雰囲気も含めて「いいなあ」としみじみ感じられる作品です。

2巻のNY編では、秀良子先生の『BANANA FISH』マニアっぷりが炸裂! ニューヨーク市立図書館や、アメリカ自然史博物館など、ファンなら一度は訪れたいあの場所たちもバッチリレポートされていますよ!

『おしゃべりは、朝ごはんのあとで。』を試し読みする

『フードファイタータベル』

フードファイタータベル 1

完結『フードファイタータベル』 全7巻 うすた京介 / 集英社

グルメ(?)漫画の異端児!

『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』『ピューと吹く!ジャガー』など、独特のギャグで一世を風靡した、うすた京介先生の最新作がこちら。グルメ漫画のカテゴリに入れていいのかもよく分かりませんが、フードファイトものなのでグルメ漫画です! NOとは言わせません!

うすた作品といえば、奇人(マサルやジャガーさん)と普通の人(フーミンやピヨ彦)とのコンビが魅力的ですが、本作も、謎のフードファイター・タベルと、おいしいものが好きな青年・ウマミチという名コンビが結成されます。

ウマミチの実家である定食屋を救うため(?)、タベルはフードファイターの兄弟と戦うのですが、兄弟たちの技も破天荒なら、タベルはさらにその上を行きます。

「そろそろ外しとくか このオモリ…」

そう言ったタベルは、なんと胃の中から大量のオモリを……!

と、文章で説明してみても、なかなか面白さが伝わらないのがもどかしいのです。少しでも気になる方は、ぜひ一読を! うすた先生のシュールなギャグが冴えまくりの『フードファイタータベル』。グルメ漫画界の異端児ともいえる作品です。

『フードファイタータベル』を試し読みする

最後に

美味しそうな料理を見ているだけで、笑顔になってくるグルメ漫画。食を通じて人生観や人間ドラマが描かれていたり、スリリングなグルメバトルもあったりと、多彩な魅力があります。人気ジャンルなだけに長期連載作も多く、また、新作も続々と生まれているので、今後も目が離せませんね。

グルメ漫画一覧はこちら

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