★5 テッドたちが帰ってきたよ! ニューヨークの美術館で絵を盗んだ犯人を探せ #グッケンハイムの謎
■あらすじ
『ロンドン・アイの謎』に続く、少年テッドたち大活躍するジュブナイルミステリー。
今回の場所はニューヨーク、火事の騒動に紛れてプライスレスな絵が盗まれてしまった!容疑者になってしまった叔母
...続きを読むを救うため、可愛い子供たちが少年探偵団よろしく捜査に奔走する物語。
■レビュー
待ちに待った『ロンドン・アイの謎』の続編、楽しみにしてました!
残念ながら前作の作者/本作の原案者シヴォーン・ダウト氏は亡くなってしまいましたが、作品の魂を引き継いだロビン・スティーヴンス氏が執筆をされています。本当にありがたいですね。
さて本作のレビューですが、前作に引き続いて主役の子どもたちが可愛すぎで尊い…
・人とのコミュニケーションが苦手だけど、誰よりも高い記憶力と論理的思考を持つ主人公、テッド
・心根は優しいけど、中学生という大人になりかけ世代で何もかも不満気味の姉、カット
・家族と仲間想い、新しい街での生活に希望を膨らませている、いとこのサリム
まだ小さい子どもたち、元気で無邪気に生きているように見えますが、実はいつも生きるのに必死、不安でいっぱいなんです。時には喧嘩したり、ギクシャクしたりしながらも、手を取り合って難題に立ち向かう姿に自然と涙がでちゃうの。
特に主人公デッドが人との付き合い方に苦心する描写があまりにも強烈。親世代の私としては只々抱きしめたくなってしまいました。
そして今回のミステリーは、犯人探しと不可能犯罪の解明です。
前作よりも昔ながらの推理小説が如く解き明かしていく展開で、さらに綿密な内容になっています。
あいかわらずテッドの分析能力が鬼スゴで、たくさんの容疑者と可能性をリストアップし、ひとつひとつ潰していく。
児童書とは言いつつも、完全に本格ミステリーで、終始ロジカルな考察を繰り広げられていきます。たくさん提示された情報から、少しずつ見えてくる真相には興奮がとまらず、中盤以降は完全に一気読みでした。
前作に引き続き、作品全体から愛情がぎっしり詰まった本作。大人から少年少女まで、どんな世代にも読んでほしいミステリーでした。
■推しポイント
とくかく可愛い子どもたちの成長が胸に刺さる。
彼らへのメッセージを贈らせてください。
お姉ちゃんカットへ:
あるきっかけから、自分の夢から逃げたりごまかすのではなく、立ち向かうことができるようになりました。
熱意と勇気があれば、みんながあなたの味方になってくれますよ。
そして今後も、誰よりも弟想いのお姉ちゃんでいてあげてください。
いとこのサリムへ:
自分の未来がかかったプレッシャーのかかる困難にも関わらず、最後までくじけずに頑張ることができました。
チームのまとめ役になって、みんなを元気づける姿が眩しかったです。
これはあなたの強みですよ、将来は社長さんですね。
テッドへ:
弱い人を守るためには、事実や分析結果ではなく、嘘や曖昧さが必要になることがあります。あなたはそのことを学習し、今回ある人を守ってあげることができましたね。
自分を犠牲にしたり、変化させたりするのは、チャレンジングで難しいことなんですよ。大変よく頑張りました。
さあ皆さん、人生はこれからです。
さらなる課題や困難がでてくるでしょうが、愛情と成長の意識をもってさえいれば、きっと良い結果が得られます。これからも楽しく、元気に、胸を張って歩んでいきましょう。