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【英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞】四名が死亡した現金輸送車襲撃事件の共犯として十年の刑に服していたオーディ・パーマー。奪われた七百万ドルの行方を知るとされる彼は、服役中どれほど脅されても金の在処(ありか)を吐くことはなかった。時は経ち、出所日前夜。オーディは突如脱獄を果たす。もう一日待てば、自由も金も手に入ったはずなのに……。彼の決断の裏には恐るべき陰謀と悲劇が――スティーヴン・キングが絶賛した著者の代表作!
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Posted by ブクログ
人を溺れさせる仕組み 「金と権力」。この物語は検事、警察、FBIが結託し、現金輸送強奪襲撃事件の真相証拠書類を改竄、不利となる確たる証拠を隠滅させ莫大な金を奪い取ったミステリー事件だ。その裏には大金を隠し持ったという嘘を仕立てられ犠牲者(犯罪者)となり10年の投獄を科せらる。だが、最後の日の前日に脱...続きを読む獄する。背景には家族と金が絡む。人は時代が変わっても「金と権力」には弱い。現代、世を創る、守る側がその一端に加担するケースが多く、世間に告発する者がいない限り闇の中だ。政治家を含め暗黒の世界に足を入れた者は永遠に安楽な夢は見ることができないだろう。
刑務所入りする原因となった現金強奪事件の真相がじわじわと浮かび上がってくる過程が見事。それとともに何故釈放1日前に脱獄しなければならなかったのかという理由にも一応納得。さすがCWA賞。 主人公オーディがあまりにも鉄人すぎるのも、安心して読める要素の一つ。
出所を翌日に控えた男が刑務所から脱走する。不可解な行動の背景から浮かび上がってきたのは、かなわなかった過去の夢と闇に葬られたはずの強盗事件の真相だった。現在と過去の出来事が不規則に記述されながらまったく戸惑わされることなくサスペンスを高め、救いようがない悲劇の先に覗くわずかな曙光が眩しい。
ニュージーランドの作家ベン・サンダースが地元ニュージーランドのシリーズから離れ、アメリカを舞台にした作品『アメリカン・ブラッド』でブレイクしたと同様に、オーストラリア生まれの作家マイケル・ロボサムは、永く住んだイギリスを舞台にしたシリーズから離れ、アメリカを舞台にしたこの作品で何ともはや、ゴールド...続きを読む・ダガー賞(英国推理作家協会賞)を勝ち得てしまった。 二冊の外国人によるアメリカの小説を立て続けに読んでしまったために、ぼくの中で混乱が起きているのは、どちらも三人の目線を主として書かれた小説であり、その一人は女性刑事、どちらも正悪入り乱れ、バイオレンスとサスペンスに満ちた伏線だらけの作品であるからだ。 『アメリカン・ブラッド』は二十代新進作家の若さに満ち溢れたラップテンポとでも呼べるリズミカル作品にウエスタン・ヒーローを配した娯楽作品であるのに対し、本書『生か死か』は、じっくりとスロウテンポで描かれながら、圧倒的な謎の深さで勝負する正統派ミステリであり、同時に純文学的描写力ですら読みごたえを感じさせる重厚無比な大作である。 刑期満了し明日は出獄を迎えた日に敢えて脱走したオーディという主人公像そのものが本書最大のミステリだ。その同僚であったモスは刑務所長により特例で釈放され、オーディの後を追う。さらにFBIの女性捜査官デジレーが別の角度から事件の真相に関わってゆくというトライアングルな視点で、本書は年月を超えた謎の気配を満たしたまま大河のように流れてゆく。 その中で過去の罪を隠蔽しようと現代に悪の手を再び振り上げようとしている権力社会に潜んだ一派らしき存在が次第に見えてくる。罪深い罠にかけられた無罪の主人公こそオーディであるのか? 多彩な登場人物が繰り広げる神話のような物語はどこでどう繋がってゆくのか? 迷宮を歩く不安と謎への探求心がページを否応なく繰らせてゆくパワフルなミステリ。 だからこその受賞である。イギリスを舞台とした臨床心理士ジョー・オローリンのシリーズ、またはそのスピンオフ作品も多く書いてきた作家である。日本語翻訳作品はオローリン・シリーズ第一作『容疑者』のみとなるが、今後注目を集める作家のひとりとなるのに違いない。良い作家と出会えた幸運を感じさせられる。
大変面白かったです。読書時間が通勤時がほとんどですが、駅を乗り越しそうになるほど、読みだすと止まらなくなりました。 刑務所からの釈放される一日前に脱獄したオーディ・パーマー。あと一日で自由の身になれるはずなのに、なぜそんな事をする必要があったのか? 読者は何も分からないままオーディの逃亡劇をまるで今...続きを読むまさに目の前で起こっている出来事かのように、臨場感たっぷりの筆致で追っていく。 そしてこの脱獄劇の裏に隠された陰謀と愛など、予想だもしなかった意外な理由を知ることになる。 それにしてもオーディ・パーマーの半生とは何と過酷なものなんだろう。なんて強い人なんだろう。この人こそ今後はもっと幸せな人生を送るべきと思う。 物語の最初と終わりはともに水辺での場面。泳げないオーディが水面でもがく姿が象徴的だ。冒頭の回想場面でで父が語っていた言葉「崖でくすぐられている一本腕の男みたいにしがみつくんだ」が結末あたりにも登場してきたときにはフッと目頭が熱くなった。。。 スケールの大きな感動作、映画化されたらいいのになぁと思う。 そして続編も出たらいいなぁと、欲を言えばまた越前さんに翻訳していただければなぁと願う! 人生は短い。愛は果てしない。あすがないつもりで生きよ。
テキサス州のスリー・リバーズ連邦刑務所から強盗犯オーディ・パーマーが脱走した。彼は4人の被害者を出した現金輸送車強盗の一味で10年の服役を終えてあと1日で出所という日に脱獄した。犯人グループは4人で強奪金額は7百万ドルだった。 オーディは裁判・服役中にもお金の行方は一切語っておらず警察・刑務官...続きを読む・囚人等がその在りかに興味津々だった。 オーディの兄カールは、定職に就かずドラッグと犯罪の常習者だったが、オーディは兄が原因で大学を中退させられ各地を転々としたが、兄や家族を慕って居た。賢く寡黙なオーディは、やがて最愛の人ベリータと知り合い駆け落ちする。 大金とあと1日で出所という日に、オーディに何が起きたのか自らの命を賭けてまでやりたかった事は、ベリータとの約束を果たす為だった。 本作は、2015年英国推理作家協会最優秀長賞(ゴールドタガー賞)を受賞した。著者のマイケル・ロボサムはオーストラリア出身1960年生まれ。
釈放前夜に脱獄した主人公。設定から面白かったが、主人公、その友人、FBI捜査官の3者の視点が交差しながら物語が進行していき、引き込まれた。最後ちょっとあっけなかった感じはするが、非常に面白かった。
「出所前夜なぜ男は脱獄したのか?」 帯のコピーが読む気を大いにそそる。 主人公のオーディ・パーマーは、現金輸送車強襲・強奪事件の犯人として服役。 模範囚として刑期を終える前日に脱走した。 なぜ、前日だったのか、その理由が知りたくて、ページをめくる。 事件に関係する人達やオーディの生い立ち、事件以...続きを読む前の出来事などをおりまぜながら、徐々にその理由に近づいていく。 その理由は? 「人生は短い。愛は果てしない。明日がないつもりで生きよ」 ラストシーンがちょっと良い。
主人公の設定がありえないほどのスーパーマンで人間ができすぎていてありえない話なんだけど、最後まで読むのに苦労はしなかった。ストーリー展開が面白かったということ。最後はあっさりしていたけど、ハッピーエンドでよかったかな。
主人公オーディは、勉強もスポーツもできて、おまけに正義感の塊 自分とは正反対の不出来な兄貴の面倒も見る 刑務所内でも聖人さながらの立ち振る舞い 読んでいてだんだん「いくらなんでもこんな奴おらんやろ~」とつっこみたくなった クズ兄貴の方がまだ生身の人間ぽくてリアルだと思う モス&クリスタル夫妻 この...続きを読む二人の深い愛の結びつきは、よかった
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