またまたおもしろかったーっ!
途中、マーニーを読むために中断したけど、マーニーも含めてほぼイッキ読み。
今回は英文読解のテクニック指南本ではなくて、翻訳者としての日常および翻訳業についてのエッセイ。
やっぱり修行時代の話は感動するなぁ。
全力で頑張る人の話は、それがどんな職業の話だろうとおもしろい
...続きを読むものだけれど。
すべての章が興味深かったけれど、一番印象に残ったのは東江一紀さんについての章。
何に驚いたって、「センターピース」という作品の冒頭、"ハートリンゲン家の大黒柱" の訳!
英文を読み、4人の訳例を見た瞬間、うおぉぉぉ! これすごい!と東江さんの訳に身体が震えた。この人の訳だけが、カラー映像つきに見えたよ・・・
(でも、東江さんのすごさを一番わかりやすい形で紹介できる越前さんも相当スゴイと思ったが)
東江一紀って記憶にないなぁ、たぶん読んでないんだろうなぁ・・・と思ったけど、マイケル・ルイスを訳されている方なのか! 納得。
いい訳だと、読んでいる時、訳のことなんてまったく考えないものです。
以前、本屋で洋書が500円くらいで叩き売られていて、マイケル・ルイスを見つけたので、買おうかどうしようか迷ったけど、「いや、あの人のは日本語版で読む方がいいな」と思って買うのをやめたんだった。
そうかー、読書量が全然多くない私でも、やっぱりしっかり恩恵は受けているんだなぁ、と感動した。
越前さんの本を読んでいると、外国文学がどんどん読まれなくなっている、という危機感をすごく感じられているのが分かる。
私はむしろ日本の小説を読む方が苦痛に感じる方なので、「世間ってそうなのかー」とぼんやり思った。
外国人の名前が覚えづらい、とかよく聞くけど、全く理解不能な感覚だわ。日本人の名前だろうと外国人の名前だろうと、いっぱい出てきたら覚えにくいし、少ないと普通に問題ないのは同じじゃないのかと言いたいが・・・
あ、でも、高校の世界史の名前は憶えづらかったなぁ。ああいう感覚なのかな?
たぶん生まれた時代のせいもあるのかな。
私の子どもの頃、家にあった児童書って、圧倒的に欧米のものが多かったような気がする。たくさん買ってもらえなかったから、同じ本を何度も何度も何度も何度も・・・子供ならではの狂気に近いリピーティング。
それはさておき、越前さんはただ危機感を感じて憂いているだけでなく、裾野を広げるいろんな活動をされていて、そういう点でもとても尊敬した。