「ロンドン・アイの謎」の続編です、著者はシヴォーン・ダウド氏ではないので、実は少し心配してました、前作が良かっただけに。
ですが、そんな心配はいりませんでした。
テッドとカットとサリムの3人の成長が目覚ましく、私も謎解きに夢中になりました。
夏休みを迎えた12歳のテッドは、母と姉カットと一緒に、グ
...続きを読むロリアおばさんといとこのサリムが住むニューヨークを訪れる。グロリアおばさんはグッゲンハイム美術館の主任学芸員で、休館日に特別に入館させてくれた。ところが改装中の館内を見学していると、突然、まさかの火事発生。
テッドたちは大急ぎで美術館の外に避難しましたが、なんと火事は見せかけで館内の全員が外に出た隙に、グロリアおばさんが大好きなカンディンスキーの名画く黒い正方形のなかに>が盗まれてしまった。
そして、なんとグロリアおばさんが犯人だと疑われて逮捕されてしまう…
なんとしても絵を取りもどして、おばさんの無実を証明したい3人。
“”ほかの人とはちがう“”不思議な頭脳を持つテッドは、絵の行方と真犯人を探すために探偵になります。
そして、冴える冴える、大活躍しちゃいます。
今作は、なにより愛と3人の成長です。
17章、障害を持っているテッドに対して、カットの泣きながら今まで抑えていた感情をぶつけるシーンは印象的でした。
テッドのことは大事だし認めている、
「けど、楽じゃないんだよ、あんたの家族でいるのはさ。自分じゃわからないだろうけど、あんたにはすごくたくさんのことが必要なの。いつもずっとね。診察とか、レッスンとかーーいろいろ。あんたが必要なものが増えれば、それだけあたしにまわってくるものが減る。あんたにそんなつもりはないし、しかたないのはわかってるけど、ときどき思うんだ…何もかもがあんたのためじゃなければいいのにって。」
「ぼくだって、ぼくでいるしかないんだよ、カット」
そう、テッドは即答。
姉のカットは涙を拭い、
「わかってる。あんたがあんたでいるのは、いいことだよ。ほんとに。だって、こういう事件が起こったとき、あんたなら解決できるんだから。あたしにはわかる、テッドならできるって」
そう言ってあげられるカットは、テッドのことを誰よりも信頼しています。
そして、とてもとても優しい子なんです。
今回はサリムにとって、とても悲しい事件でした。
でも、ただ怒り落ち込むだけではなく、事件に向き合い理解しようとするサリムは、人として立派です。
自分の夢を叶える為に必死になれるカット、素敵です。
テッドの推理を披露するシーン、見事でした。
「ずいぶん運がいいな」と言った警部補に対し、
運が良かったのではなく、仮説をひとつひとつ消し真実を推理し断定に至った、運なんかでは解決出来ないと、テッドは即座に反論しました。
頭が良いです、今は比喩・隠喩・直喩を使い分け言葉遊びを楽しんでいます。
なんか、みんなの成長がとても嬉しいのですが、実は寂しくも感じてしまったんですよね。
もうこんなに立派になったんだから、もう心配いらないなって。
これから先、問題はいつも常にポンポン出てくる、でもこのチームなら必ず解決できる。
他人に優しく、強く生きていける。
親の手から離れて立派に生きていくんだなぁ、寂しいなぁ…
でも、最後の一文を読んだ時、読者はみんなとっても嬉しかったんじゃないかな。