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原文の「歯ごたえ」を残しながら、いかに日本人に伝わる言葉を紡ぐのか――「名人芸」が生まれる現場を、『ダ・ヴィンチ・コード』訳者が紹介。本を愛するすべての人たちに贈る、魅惑的な翻訳の世界への手引き。
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Posted by ブクログ
翻訳家、越前敏弥さんのエッセイ。 二〇二〇年、「なんだか日々疲れるから夢中に読書をして癒されたい」という思いからエラリー・クイーンを読み返そうと決めたとき、越前さんは「エラリー・クイーン作品の新訳をしている人」として私の人生に登場した。それまで翻訳者の名前など気にしたことがなかったが、越前さんがこの...続きを読む新訳にまつわるあれこれについて語るトークイベントのアーカイブ動画を見つけて視聴したらとても楽しかったので、「気になる翻訳家」としてばっちり胸に刻まれた。 そして同じころにたまたま見つけて読んだ、『世界物語大事典』(二〇一九)というファンタジーやSFに重きを置いた文学事典の翻訳者も、偶然にも越前さんだった。この事典に収められた系統の作品が私はけっこう好きだと自覚したので、その後この事典をきっかけとしていくつかの翻訳作品を読み、楽しんだ。 これまでなんとなく「翻訳ものってなじみにくい」という印象を少なからず持っていたのだが、そういうわけでここ最近急激に翻訳作品づいている。しかも例の動画視聴のおかげで、「そういえば今まで当たり前のように思っていたけど、ほにゃらら語で書かれたこの作品を汗水流して日本語に訳した人がいるんだ」ということを、今さらながら強く意識して読んでいる。 と、このように、私にとっては翻訳作品を読む楽しさに目を開かせてくれた張本人である越前さんの翻訳業四方山エッセイが、面白くないわけがない。どんな仕事なんだろう?舞台裏は?修業時代は?そのさらに前史は?同業者は?といった興味がほどよく満たされ一気読み。特に印象に残ったのは、邦題の決め方(特に『夜の真義を』)、『思い出のマーニー』の超短期翻訳プロジェクト(華麗なチームプレーに感嘆、と同時にどんな仕事も肝は同じ?という親近感も)。 誰の訳は好きだとか素晴らしいとか言えるような見巧者の域に達する日がくるかどうかはわからないが、翻訳者がいて翻訳してくれていることがなんと有難いことか!それだけで幸せ!という思いを持ってこれからも楽しく生きていけそうです。 (それから、翻訳そのものの話ではないが受験勉強についての話も胸に刺さった。努力したという経験が大事、と。。。)
またまたおもしろかったーっ! 途中、マーニーを読むために中断したけど、マーニーも含めてほぼイッキ読み。 今回は英文読解のテクニック指南本ではなくて、翻訳者としての日常および翻訳業についてのエッセイ。 やっぱり修行時代の話は感動するなぁ。 全力で頑張る人の話は、それがどんな職業の話だろうとおもしろい...続きを読むものだけれど。 すべての章が興味深かったけれど、一番印象に残ったのは東江一紀さんについての章。 何に驚いたって、「センターピース」という作品の冒頭、"ハートリンゲン家の大黒柱" の訳! 英文を読み、4人の訳例を見た瞬間、うおぉぉぉ! これすごい!と東江さんの訳に身体が震えた。この人の訳だけが、カラー映像つきに見えたよ・・・ (でも、東江さんのすごさを一番わかりやすい形で紹介できる越前さんも相当スゴイと思ったが) 東江一紀って記憶にないなぁ、たぶん読んでないんだろうなぁ・・・と思ったけど、マイケル・ルイスを訳されている方なのか! 納得。 いい訳だと、読んでいる時、訳のことなんてまったく考えないものです。 以前、本屋で洋書が500円くらいで叩き売られていて、マイケル・ルイスを見つけたので、買おうかどうしようか迷ったけど、「いや、あの人のは日本語版で読む方がいいな」と思って買うのをやめたんだった。 そうかー、読書量が全然多くない私でも、やっぱりしっかり恩恵は受けているんだなぁ、と感動した。 越前さんの本を読んでいると、外国文学がどんどん読まれなくなっている、という危機感をすごく感じられているのが分かる。 私はむしろ日本の小説を読む方が苦痛に感じる方なので、「世間ってそうなのかー」とぼんやり思った。 外国人の名前が覚えづらい、とかよく聞くけど、全く理解不能な感覚だわ。日本人の名前だろうと外国人の名前だろうと、いっぱい出てきたら覚えにくいし、少ないと普通に問題ないのは同じじゃないのかと言いたいが・・・ あ、でも、高校の世界史の名前は憶えづらかったなぁ。ああいう感覚なのかな? たぶん生まれた時代のせいもあるのかな。 私の子どもの頃、家にあった児童書って、圧倒的に欧米のものが多かったような気がする。たくさん買ってもらえなかったから、同じ本を何度も何度も何度も何度も・・・子供ならではの狂気に近いリピーティング。 それはさておき、越前さんはただ危機感を感じて憂いているだけでなく、裾野を広げるいろんな活動をされていて、そういう点でもとても尊敬した。
翻訳について小難しく書かれている本かと身構えて読んだが、 とても読みやすく、楽しみながら読むことができた。 またそれだけでなく、濃い霧の中をさまよっているような状態の自分の心の中に一筋の道を照らしてくれたような、厳しくもあるが温かい励ましをいただけたような、そんな気持ちにもなった。 読みながら、本の...続きを読む中に線を引きたくなる箇所がたくさんあった。私のように翻訳に携わりもっと上を目指している者はもちろんだが、どんな職業でもスキルアップを目指す人々にとっても指南となる箇所が多くあったのではないかと思う。 私自身、英文科出身なのですが、学生の頃読んだ、というか、読まされた古典文学はどれも難解で(笑)いや、きっと私の読解力が悪すぎただけなのだろうけど。。。それ以来海外文学は避けて通る羽目となった。 しかし越前氏の訳書「ダ・ヴィンチ・コード」を読んだことがきっかけで、海外小説にも手が伸びるようになった。 言葉の力って偉大だ。選んだ言葉ひとつでその作品の良し悪しに影響する。読者の心にどれだけ響くかも変わってくる。読者をその作品の世界へと誘い魅了できる文芸翻訳という仕事ってやっぱり素敵だな。
翻訳を志す人はもとより、英語が好きな人、本が好きな人、すべてにお勧めしたい。売れっ子翻訳者である一方、翻訳文学をもっと多くの人に読んでほしいと積極的な活動家としての一面があることも知った。 なかなか知り得ない訳者と編集者とのタグの組み方の話も面白ければ、著者の職人気質が垣間見える翻訳秘話も面白い。 ...続きを読むそして最後の、東江一紀さんに捧げる一章は胸を打つ。 プロとしてたゆまない努力を続け、なおかつ仕事を心から楽しむ著者の姿は大きな刺激となる。そして、本書を読み終えたとたんに何か本が読みたくなる!のである。
翻訳家が洋書、特にミステリーの翻訳の難しさをつづった一冊。 洋書を翻訳する上での苦労を色々と知ることができた。 また、洋書がなぜ読みにくいかということが理解できた。
実は、翻訳小説が得意では無い。 名前がカタカナだし、聞き慣れない地名だし、習慣だし、世界観を理解するのに時間が掛かる。しかし、最初は読みつらいのだが、中盤で理解し終えた後の加速感というのはすごく面白くて、読み終えると読んで良かったなぁと感じる。 翻訳家による、文芸翻訳にまつわるエッセイなのだ...続きを読むが、言葉に対するこだわりはもちろん、構成や物語に対する情熱がすごい。そしてミステリ小説の翻訳の謎を丁寧に読者にしめすことになれているせいか、このエッセイでも情報の提示のタイミングが見事。 ああ、問題があるとすると、また読みたい本が増えた。
一章二章は、翻訳者として心がけていることや裏話で、1読者として、そうそう!翻訳にはまさにそれを求めているのよ~!ということばかりである。三章は、勉強の方法や講師という立場での話で、読者のためというよりは、翻訳者を目指している人にとって身になるのではないだろうか。 四章の、「思い出のマーニー」をチー...続きを読むムで訳していく翻訳秘話は面白かったが、先行する岩波少年文庫について全く言及がなされていなかったのが、ちょっとだけ不満だった。まあ、私が出会って心に残っているのがそれだったからというのもあるわけだけれど、先行作品には常に敬意を払うべき…と思っている。 「日本翻訳大賞/読者賞」の「ストーナー」に1票を投じた1読者としては、最後のほうの東江さんの話に、しみじみしてしまった。 「ストーナー」は実に素晴らしい作品である。私は、ことあるごとに人に、本を読む大人に、薦めている。薦め続けるだろうと思う。 翻訳のご苦労は、1読者になんか計り知れないものだろうと思うが、読者はいつも待っている。どうかどうか頑張って届け続けていただきたい。
風呂読書用に購入。 今まで著者のことを存じ上げなかったが、作品に向き合う真摯な姿勢に心を打たれ、早速ツイッターをフォローした。 そこで書かれていた英語勉強法を実践してみている。
実践的アドバイスが書かれているのではなく、もっと根本的な、翻訳における考え方について書かれているもの。 外資系の会社に勤めるものとして、思いを同じくするところが多い。 ただ、英文の雰囲気とか文体を反映させるような翻訳という所がイマイチ理解できない。 また、語呂合わせなどの例や、原文が1文であれ...続きを読むば翻訳も基本的に1文であるべきというのもやはりしっくりこないのだか…
『ダヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン著)の翻訳者によるエッセイ。 原作、映画(続編含め)が世間を賑わしている頃は、走りバカやってたので、本を手に取ることもなかったし、映画も『天使と悪魔』を機内上映で見た覚えがある程度。『ダヴィンチ・~』が世界的にも空前のヒット作だったとは知らなかったな~。そのあた...続きを読むり(2000年前半から2010年頃)の出版界、翻訳業界の狂乱ぶりが知れたのが本書の一番の収穫だったかも。 もう少し英語と日本語の言語的な違いや、翻訳における苦労が多く語られているのかと思ったけど、翻訳家の仕事、周辺の日常などを綴った部分が多かった。ブログ等、いろいろな媒体に寄せた文章を集めたものとのことなので、途中から、これは翻訳家によるエッセイだなと、気持ちを切り替えた。そう思って読むと、なかなか興味深く味わいがあった。 翻訳家になる前の、塾講師の頃の話とか、駆け出しのころの著者の心意気などが、とてもいい。 ”締め切りは「守る」ものではなく、「攻める」ものだと考えていたからだ” こういう前向きな気持ちのある人が、その世界の一人者となっていくのだろうなぁ。 でも、そんな内面とは裏腹に、筆致はとても優しくて読みやすい。原作に合わせて様々な文体を駆使する翻訳者ならではなのだろうか。ブログ、エッセイならこのトーンと、文体も巧みにコントロールしているのかもしれない。 いろいろな翻訳文例、セミナーの生徒の訳の例などを紹介しているが、「どれが正解ということではない」と、他言語の翻訳の難しさを語る。ひとつの単語に、いくつもの訳し方があるだろうことは想像できたが、そのヴァリエーションは、想像を超えていて非常に面白かった。 さぁて、本書を読んで翻訳ものアレルギーが、多少は治るだろうか。 翻訳家の苦労を知って、読まず嫌いはやめようとは思った。一歩、前進?(笑)
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越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文 あなたはこれをどう訳しますか?
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