東浩紀のレビュー一覧
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批評家 東浩紀氏が2007年に発表した著作。大きな物語が終焉を迎え、個々の物語にシフトした現代を呼称するポストモダンをオタク文化から眺める2001年の「動物化するポストモダン」の続編です。今回は、ライトノベルや美少女ゲームをスタートにして、一般文芸へと橋渡ししています。取り扱っている題材から、どうし...続きを読むPosted by ブクログ
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「私は批判が起きる事を良しとして書いていますよ」と批判が起きることを狙っていると先に示してから持論を展開することで、まずは全ての読者に持論に耳を傾けてもらう、という表現スタイルが巧妙だと感じた。そのうえで、
・チェルノブイリ観光地化計画
・裕福なYOU TUBER達が中流の暮らしを演じていること
・...続きを読むPosted by ブクログ -
年明けくらいに本著の前編『動物化するポストモダン』を読みました。そのときに「東氏の著作のつながりが見えてくると面白いのだろうなあ」と記していました(以前のInstagram)。続編である本書はまさにつながりが見えてとても面白かったです。
「前著を前提としているが,単独でも読めるように書かれてい...続きを読むPosted by ブクログ -
東浩紀(1971年~)氏は、東大教養学部卒の、批評家、哲学者、小説家。
1999年に発表したデビュー作『存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて』は、浅田彰氏が「自著『構造と力』が過去のものとなった」と評して脚光を浴び、哲学書としては異例のベストセラーとなった。
領域横断的な「知のプラットフォーム...続きを読むPosted by ブクログ -
いわき、あるいは福島という土地のバックヤード性・周縁性に触れた後、当事者を限定せず「不真面目」に広く議論を求めたのが印象的。具体的な住民目線の意見が多く、報道では網羅しきれない現状に触れられていた。
復興に批評性が欠けていたとする説得力のある指摘は、今後答え合わせをする時期に入るだろう。Posted by ブクログ -
本書は現代文化,ポストモダンについてオタクを切り口に論じた書籍です。本書は中身が濃いので色々な論点を取り出せると思いますが,個人的には「データベース(・モデル)」と「動物(化)」がキーワードだと感じました(し,多くの人はそう読み取るのではないかと思います)。
近代(モダン)の世界像は,ツリー...続きを読むPosted by ブクログ -
"そこで求められているのは、旧来の物語的な迫力ではなく、世界観もメッセージもない、ただ効率よく感情が動かされるための方程式である。"
"しかしポストモダンの人々は、小さな物語と大きな非物語という二つの水準を、とくに繋げることなく、ただバラバラに共存させていくのだ。分かりやすく言えば、ある作品(小さ...続きを読むPosted by ブクログ -
ポストモダンを「オタク文化」の観点から論じた本書は、以前から関心があった。長らく「積ん読」になっていた本書だが、期待にたがわぬ内容だった。ポストモダンという思想が支配した90年代以降は、文化的に「オタク」が席巻した時代でもあったが、オタクの指向も時代と共に様変わりした。その変化の様子をつぶさに観察し...続きを読むPosted by ブクログ
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自然科学と人文学が融合した本書は、非常にボリューミーな上に内容も難しい。そのため、読み進めていく間に何度も挫折しそうになりながらも、なんとか読み終えることができた。「ヒトはみな同じ文字を書いている」という事実に驚嘆した。全てを読まなくても良いから、その項目だけでも読んでほしいくらい(笑)Posted by ブクログ
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文理の壁をアクロバットに飛び越えまくる、脳汁出まくりの論展開。
メディア・テクノロジーに媒介され成立してきた記号論を、情報処理と結合させる事で新たに捉え直す試みは猛烈アハ体験。Posted by ブクログ -
読後の率直な感想として、哲学の限界と弱点に対して徹底的に向き合って、哲学書として哲学的なアプローチで真っ向から乗り越えようとしている姿勢を強く感じた。20年以上も人文・哲学のジャンルで戦ってきたから東さんだからこその、使命を感じた。
本書の中でも触れられている通り、しばしば人文・哲学の言葉は抽象的...続きを読むPosted by ブクログ -
「最初に人間=人格への愛があり、それがときに例外的に種の壁を越えるわけではない。最初から憐れみ=誤配が種の壁を越えてしまっているからこそ、ぼくたちは家族をつくることができるのである。」
「人間とは何か?」を考えていたわけではなく、「人間とは何であるべきか?」を考えてきたのが哲学で、大衆化に応じて語...続きを読むPosted by ブクログ -
見田宗介、大澤真幸ら、気鋭の社会学者の言う理想の時代、虚構の時代という枠組みは、よく理解できる。
だが、オウム事件や阪神大震災以降の大澤真幸の言う、不可能性の時代というのは、非常に、解りづらい。
その点、この東浩紀の言う、オタク社会から切り取った動物化という概念は、大澤の持つ熟慮や深みには欠けるが、...続きを読むPosted by ブクログ -
現実味としては薄い感じがするし、たぶんルソー研究者から見たら異端なのだろうけど、「見える一般意思」という概念はワクワクしてしまう。
著者が真摯に考え抜いていることもよくわかり、その考えを一般読者に伝えたいという思いも伝わる。
賛否はあろうが、現代社会を考えるうえで目を通しておいた方が良い本であろう...続きを読むPosted by ブクログ -
さすが『物欲なき世界』を書いた菅付さんのキュレーション。VUCA時代を生き抜くための最新かつ普遍的な思想をもつ各界のイノベーターたちの言葉はすごくしっくりくる。
テーマ偏らず、幅広い教養の基礎を身につけることかでき、ここから深掘りしていくことが、これからの時代を賢く楽しく生き抜く近道だと思う。Posted by ブクログ -
対談が「父として」を超えてその周辺テーマ・領域を広く縦横無尽に語られているのが面白い。しかし、良く読んでみると出発点はやはり「父として」であり、その微妙さ加減が興味深い。対談という形式によって、お二人の特徴も良く表れていると思う。Posted by ブクログ
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内容は難しいのだけれど、「そうか!」と視界が開ける瞬間が多々ある。著者はたくさんの文献にあたってそれらをきちんと把握し、その延長線上にこれまでの著者自身の思索との結晶として、この哲学を出現させている。とはいえ、延長線上でありながら、その行き詰まりゆえにオルタナティブなものになっています。持続的イノベ...続きを読むPosted by ブクログ