東浩紀のレビュー一覧

  • 訂正する力
    とても分かりやすい。実に現代的。動物的に言論ごっこしている場合じゃない。まずは「訂正」に道を開こう。漠然と考えていた現代の政治の隘路を打開する道筋を、明快な言葉で示してくれた。
  • 観光客の哲学 増補版
    観光客=誤配=他者といった認識。

    意図しない偶発性が生み出す関係に基づく、グローバリズムとナショナリズムの二者択一ではなくて、新しいアイデンティティを。そこには政治的なや経済的なつながりではなく、「憐れみ」のような感情的なものに促される連帯がある。

    過去の哲学者や事象による思想を乗り越えようとい...続きを読む
  • 訂正する力
     訂正する力とは何か?それは老いる力で、持続しながら変化する力でもある。世の中に絶対なものなどなく、日々変化し続ける。そんな中で人類はルールを作り統制していくのだが、必ずルールには穴があり、そこから綻びが出る。
     しかし我々は綻びに手を加えて直すことができる。その綻びから生まれるものもある。
     如何...続きを読む
  • 訂正する力
    誰もが日常的に行なっている「訂正」を自覚して、現実の変革に活かそうとする提案が示される。
    内容は、時事問題、政治、歴史、サブカル、文学、AIに至るまで、多岐にわたる。まっさらな状態にするリセットではなく、読み替えて価値を再発見することが、著者の主張する「訂正」である。

    人間は、「じつは……だった」...続きを読む
  • 訂正する力
    東さんというと、『動物化するポストモダン』以来。
    現代思想系の本としては読みやすい方だったが…
    そんなイメージで本書を手にすると、よみやすさにびっくりする。

    さて、「訂正する力」とは。
    「過去との一貫性を主張しながら、実際には過去の解釈を変え、現実に合わせて変化する力」とのこと。
    ものごとを持続的...続きを読む
  • 訂正可能性の哲学
    『観光客の哲学』の続編である本書は前書の主張を引き継ぎつつ新たに”訂正可能性”という概念にポジティブな可能性、それは究極のところ、民主主義社会における新たな可能性を見出す。

    本書の主張は、末尾に収められた以下のようなテクストで要約される。

    ”だからぼくたちはけっして、民主主義の理念を、理性と計算...続きを読む
  • 日本の歪み
    養老孟司、茂木健一郎、東浩紀による鼎談。3人の議論は噛み合っているようで噛み合ってないような。東さんだけが何とか議論を前に進めようとしている感じだけど、養老さんは超然としていて受け流す感じ。自然のように捉える姿勢が徹底していて人為的なものに対する価値が著しく低いのだろう。
    このあたり、いまの新自由主...続きを読む
  • 弱いつながり 検索ワードを探す旅
    言葉→メタ化する、抽象化する×

    旅(リアル)→言葉では表象不可能なもの/科学的には言語化できない痛み(ホロコースト等)を空間として認識させ、自己の中に表象可能なものとして受け取らせる。(感情を操作する)◯

    検索エンジンに支配された固定的な人生から脱するためにも、自らの検索...続きを読む
  • 観光客の哲学 増補版
    4章 二層構造 が見事。
    人間の層、政治、理性、ナショナリズム
    動物の層、経済、欲望、グローバリズム
    の対比と「共存」の時代という認識。

    順番を違えて、訂正可能性の哲学から読んでしまったが、確かに訂正可能性の哲学で本書はひとまとまりの結論を出すつくりになっていた。

    第6章の家族以降が軽快、発散的...続きを読む
  • 日本の歪み
    東大卒3人による対談。時々小難しいことを言う笑。
    養老さんみたいに、あいつなら何言っても許される。その域に達したいもんです。
    だって日本に大地震がきて、復興するには中国の属国になるしかないなんて言ったら「炎上」間違いなし。
  • 訂正する力
    超線形性の時代に入った21世紀の人類。

    ここに必要なものが、「 訂正の力 」と考えるといいか。

    モダン化が、線形性の極みに至り、ポストモダンへ移行し、そこにグローバル化が、識字率拡大に拍車をかけ、更にAIの進化も相俟って超線形性を前提にする必要が生まれた、と。

    いよいよもって、やっと日本人も本...続きを読む
  • 訂正する力
    『訂正可能性の哲学』に比べて密度は落ちるが、その分、軽快さがある。語り降ろしという本書の成立プロセスも関係しているだろう。

    脱線(=余剰)が魅力的だ。
    生活の全ては政治というスローガンの行き過ぎへの指摘も目から鱗だ。
    リセットの限界を説くことから、訂正する力を説くことも説得力がある。

    人間理解に...続きを読む
  • 日本の歪み
    日本で生きるなかで「これって違うんじゃない?」と思うような違和感や歪みが、指摘・言語化されてるから読んでいてスッキリする。
    3者それぞれの思想や主張も強いが、客観的に見た意見もしっかり入ってるからバランスが良く読み易い。そして読み応えもある。
    議論の余地がある話題が多いからこそ、読みながら自分の意見...続きを読む
  • 日本の歪み
    歪みについての考察。さくさく議論が進むので読みやすかったです。

    西郷隆盛が日本の歪みを背負い、最期を迎えたという見方を興味深く読みました。

    また、「何歳の時に何を経験したかという心の地層としての世代論」という整理がおもしろく、これからの自分のものの見方に活用していこうと思いました。
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる
    「訂正する力」を読んで、ゲンロン友の会に興味を持って、入ろうかどうしようかと思って参考にしようと買ったのだが、結局先に友の会に入会してから読むことになった。「訂正する力」の実践版のような感じで読めた。
  • 訂正する力
    この本を読むと、ブレない考えの単純さが強調される。コロナ対策を例に、日本の試行錯誤の難しさを感じた。日本の失敗を許さない文化がイノベーションの障壁として描かれており、訂正する力の重要性に深く感銘を受けた。
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2
    金田一秀穂さんは
    日本語は緊急事態に向かないと言う

    緊急事態を宣言します、には
    本当に緊急事態なの?

    緊急事態宣言を発出します、だと
    ああそうですかとどこか他人事

    日本語の得意は落とし所を探す事

    ロックダウンより20時閉店
    和を持って貴しとなす、それでいい
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    世界の頭のいい人たちからコンパクトに要点教えてもらおう!という、ある意味とても今っぽい本。中公新書で出た企画が成功したので、後追いという印象もある。
    後追いとはいえ、世界は変わっており、最新の状態を前提にスピーディに新書化してるので、つまらないということはない。
    今回はコロナとウクライナを前提に話し...続きを読む
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義
    『エマニュエル・トッド』
    (2022年現在、今後の世界情勢について)私は歴史家が本職。でも歴史の話はまったく役立たず。なぜなら、私たちが経験しているのは、まったく新しい何かだから。
    歴史と違う点
    ・20世紀初めは各国人口増加したが、今は中国も含め減少する見通し
    ・冷戦時は、ロシアとNATOが直接対決...続きを読む
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる
    今ではなかなかお目にかからなくなった、ガチの評論家のエッセイ。
    「ゲンロン」よりも先にこれを読むことをおすすめする。
    その後、ゲンロンを楽しみやすくなる。

    評論できてないのに評論家ぶってコメントするタレントじゃなく、彼のような評論家に戻ってきてほしい。