東浩紀のレビュー一覧

  • 訂正可能性の哲学
    私はSNSはやらないが、SNSには、白黒ハッキリさせるような論議を生む機能が内蔵されており、その意見の差が大きい程、人は反論の熱意が高まるようだ。それは宗教論争のように相手を屈服させ、自らの正義を知らしめようとする。その根底には論に仮託した承認欲求の維持、自意識を失いたくないという気概すら見える。
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  • 訂正する力
    考える力、考え方、現代の日本で必要な自分の持ち方を教えてくれる。私を持つには自分の頭で考えること。それは常に自身を訂正し更新していくこと。それでいいんだ、そう思える一冊。私にはめちゃくちゃ良かった。世の中を自分で見られる、それができるような気になれる。
  • 日本の歪み
    1人ずつの考えが面白いのに、3人まとまったらどうなるんや?って思いながら読んでました。

    幅広いテーマで日本のことを考えられるのでおすすめです。
  • 訂正する力
    訂正する力がないと、自分の話したことにこだわり動けなくなる。時が経てば考えかたも変わる。そういう時に、自ら訂正することは普通な雰囲気を作っておく。訂正は何か問題あるの、といった空気を作っておく。周りからは、朝令暮改かよ、と言われるかもしれないが、それが通常なのだ、と自分に思い込ませておく。
  • 訂正可能性の哲学
    事後的に解釈やルールを変えられる、それが人間と言語の本質にある、だから社会の無意識的な理想、一般意志の実現を目指すAIによる統治は、人の本質を欠いていて理想にはなり得ない。分人は責任を負わないので異なるポジションを取るのではなく、全人的に訂正していこう、とも理解した。こじつけ感あるなと思うところもあ...続きを読む
  • 訂正可能性の哲学
    著者がおわりで述べている哲学とは、過去の哲学に対する再解釈であるという姿勢が体現された著作だったなと。 過去の文献の丁寧な読み込みと再定義から発する「訂正可能性」の意義。人間に対する親しみを込めた諦観が、著者の人間愛を醸し出す。

    ところで過去の作品から文体が変わったとのこと。ぜひ、『一般意志2.0...続きを読む
  • 訂正可能性の哲学
    クリプキのある種詭弁ともいえるような議論から「家族とは訂正可能性の共同体だ」(p88)と驚くべき議論が展開されていく。そして、AI・ビッグデータのような技術で人間社会のリセット(いってみれば完全最適化)はできないと説き、「私」という固有性の感覚に直面しない思想は「欠陥」(p258)と切り捨てる。
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  • 訂正可能性の哲学
    「動ポ」の頃の東さんのような文体と、まるで大学で講義を受けているかのような懇切丁寧な脚注。
    文系軽視の日本社会を「人文学への信頼の失墜」と自己批判しつつ、著作によって回復させようとする試み。
    当時は近しい考えを述べていた、と吐露しつつ徹底されている落合・成田(というか、人工知能民主主義への)批判。
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  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会
     知人から面白い本だと紹介され本書を手に取りました。哲学史のテキストならまだしも哲学書には壁を感じており、壁を乗り越える意味も込めて読みました。
     著者はオタク系文化はポストモダンの社会構造をよく反映しているとしており、ポストモダンの考え方を現代(当時)のオタク文化に当てはめることで分析を試みていま...続きを読む
  • 訂正可能性の哲学
    久々ずしんと来た一冊。

    ヴィットゲインシュタインの言語ゲーム、ハンナアーレントの公共の議論、ルソーの一般意志と『新エロイーズ』などなど、読み応え盛りだくさん。


    「家族」って一言で言っても全然違うんちゃうか。
    「公共」って何。
    「民主主義」(人工知能民主主義)ってほんまに大事なとこどこなん。
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  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる
    「訂正する力」を読んだ上での「ゲンロン戦記」。この二冊が思索編と行動編のニコイチのセットであることがあまりに感動的でした。「観光客」とか「誤配」とか著者ならではのキーワードも決して理論の意味深なメタファーなのではなくゲンロンというリアルな模索から生まれたド直球の意味であることを知りました。なので「修...続きを読む
  • 訂正する力
    オトラジシリーズ。
    白黒つけた方が立場がハッキリしていてわかりやすい。
    だけれどそのわかりやすさが対立を生む。
    分断が深まる現代において、東さんの主張は、とても成熟した大人の考え方だと思った。
    人によっては、「どっちつかず」とか「優柔不断だ」とか取られかねない。
    でもそんな意見さえも包括できそうな包...続きを読む
  • 日本の歪み
    ふわっと読んでも面白い本。ああ確かに、日本ってそうなのかな、と素直に納得できる所が多い。東さんの本をいくつか読んだ流れで読んだが、養老先生の本をこの流れで読んでみたい。
  • 訂正可能性の哲学
    浅田彰が『構造と力』が「完全に過去のものとなった」と、お世辞とも本音ともつかないコメントを寄せた処女作『存在論的、郵便的』から25年、スタイルや力点は随分変化したかに見えるが、東哲学の集大成とされる本書は処女作で既に予告されていたようにも思う。「脱構築」から「訂正可能性」への進化は何を意味するだろう...続きを読む
  • 訂正する力
    訂正する力とは、物事を前に進めるために現在と過去をつなぎなおす力で、「リセット」と「ぶれない」の間でバランスをとる力である。
    明治維新や配線による国の一新という成功体験、東日本大震災後の「災後」のように、日本はリセット願望が強い国であるため、変化や老いの要素を含む訂正は嫌われ、謝罪は忌避される。
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  • 訂正する力
    あなたのうんまあ?いれ?とれものとにらげんめつ、がんまんがそふにもてつかない、ひびやてんかいまさきのうてきさいかんや、だらいまんまみやぶるはなつきつきいたかんがだにいかたがいまたがたくてきにかたんや、ぶうたにん、おやじとおなじしきいのみかたたがやせいさいやどくさいかっこずけ、ずかいはつ、ずんずら、や...続きを読む
  • 訂正可能性の哲学
    素晴らしかった。第一部はリベラルなソーシャルセクター界隈で「家族」を語ることの難しさがどこにあるのか、それをどう乗り越える対話を考えていけば良いのかヒントを得たし、第二部では多面的で一貫性のない私たちという前提を受け止めた上で民主主義というものをどのように考えうるかルソーの「一般意志」の新解釈を語る...続きを読む
  • 訂正する力
    安直に言語化してしまうと「地に足をつける」や「時間をかけて考える」といった範疇に収まってしまいそうな題材でもあるが
    消費としての思考が加速する中でのカウンターカルチャーとして、本著の訂正する力が埋めるべきニッチは広がっているのだと考えさせられる。

    東氏の著作では専門に2,3歩足を踏み入れた哲学入門...続きを読む
  • 訂正可能性の哲学
    東浩紀による観光の哲学のその後の哲学。訂正可能性の哲学とは乱暴に要約すればかのようにの哲学であり、動詞的に考える哲学でもあり、フランス現代思想の系譜にあるように思えるのだけれど、民間にいることもあり、アカデミズムな文脈では評価されていないという。ご本人はそんな評価は望んでいないのだろうけれど。一般意...続きを読む
  • 日本の歪み
    養老先生の人生観は時代から来るものだとしみじみと感じました。三者三様ですが鼎談で多岐に渡る分野をこんなにも深くわかりやすい形で言葉に出来るのは素晴らしいです。示唆に富む素晴らしい鼎談です。編集も良さそうです。注釈の配置は常に左のページにあるので読みやすいです。