東浩紀のレビュー一覧

  • 日本の歪み
    養老先生の人生観は時代から来るものだとしみじみと感じました。三者三様ですが鼎談で多岐に渡る分野をこんなにも深くわかりやすい形で言葉に出来るのは素晴らしいです。示唆に富む素晴らしい鼎談です。編集も良さそうです。注釈の配置は常に左のページにあるので読みやすいです。
  • 訂正可能性の哲学
    これは時宜に適った哲学書だ。

    民主主義の行き過ぎ、純粋性を時間的継続性の枠組みからガッチリ捉え、訂正可能性を実装させる取り組みだ。

    個人的にはローティの思想が広く取り上げられていることに深い印象を持った。
  • 訂正可能性の哲学
    正しさとは正しさを求め、訂正し続ける姿勢にしかあり得ない。結論にはとても勇気づけられた。政治に限らず、生き方や行動のあり方として、非常に納得のいく考えだった。
    アカデミックなところもなくはないが、哲学書としては非常に読みやすく、かつ内容が充実していて読み応えがあった。
  • 訂正する力
    「じつは…だった」をキーフレーズに進んで行く本書。
    どっち付かずの方法論。
    何でも正しいか間違っているかと白黒つけないと気が済まない昨今。
    昨日と違うことを言えば怒られる。

    でもホントはゆるく考えるのが大事。
    方向転換をするだけで過去との連続性を断ち切らず同じ流れの中で変化して行くようにすればうま...続きを読む
  • 日本の歪み
    この三人の鼎談は、奥行きもしなやかさもあって実に面白い。
    不快なものは不快。
    関係ないものは無理をして理屈をこねることもない。
    黙っていてもいいが、態度 行動で表すには、腹を据えたり超越する必要があるな。
  • 弱いつながり 検索ワードを探す旅
    訂正する力→ゲンロン戦記ときてこれを読んだ。時系列的に遡ってる感じ。ある意味、著者の考えの筋道とか一貫性とかが見通せる感じで、良い流れではなかったかと思う。次に読むのは近々くるはずの「訂正可能性の哲学」になる(その前にゲンロン15か?)と思うけど。本棚で「存在論的、郵便的」が待っているのではあるが。
  • 訂正する力
    読後、救われた気分になった。「こんなはずではなかった」「こうであるべきなのに」そうやって自分を追い詰めてしまう事が多かったが、確かに「じつは・・・だった」と捉えなおすと、前向きに考えることが出来る場面が多いことに気が付かされる。
    「ひとはだれでも交換不可能で、固有の存在」この記述に励まされた。

    ...続きを読む
  • 訂正可能性の哲学
    人間への諦念を前提とした内容ながらも、これをポジティブ、いやニュートラルに捉えられる読後感だった。人間とは、決して合理的で強い存在ではなく、情念に振り回され他者を傷つける弱い存在である。これを、だからといって単純に人間を排除する思想に走るのではなく、それでも過ちを訂正し続けていくからこそ持続可能であ...続きを読む
  • 訂正可能性の哲学
    観光客の哲学の続編として、同書で序説に留まっていた家族の哲学を、ヴィトケンシュタインとクリプキを参照した言語ゲームをもとに訂正可能性の哲学として発展させ回収している。

    後半はシンギュラリティ肯定論への反証論理の提出という形で、上記の訂正可能性の概念を活用しながら、著者の過去の著書たる一般意志2.0...続きを読む
  • 訂正可能性の哲学
    観光客と家族との繋がりがいまいちよく分からない。観光客の章がない方がスッキリ読める
    なぜ観光客という概念を強引に入れているのだろう?そこにこそ著書のこだわりがあるのではと思います。
  • 訂正可能性の哲学
    この本は、これからも何度も読み返すことになる。考え続けることの意味を、こんなにも優しく分かりやすく語りかけるような本を書いてくれたことに感謝する。人間とは、迷って間違ってどうしようもなく、だからこそ愛おしいんだ。
    それから、理系の夫と文系の私で、「自然」という言葉の定義が違うのだろうな、という事に気...続きを読む
  • 訂正可能性の哲学
    『訂正可能性の哲学』を読んでいるあいだずっと感じてたのは「とてもエヴァっぽい」ということだった。「AI民主主義」に対する否は、要するに「人類補完計画」を拒否するということにあたる。LCLの海に溶けてATフィールドを失うということは、つまりは固有名を失うことだ。だからこそ『Q』においてシンジがシンジと...続きを読む
  • 観光客の哲学 増補版
    哲学書ながら読みやすい一冊だった。グローバリゼーションとナショナリズムの狭間でどう生きるのか。経済的に結び付きゆく世界の中で、自分と他者の壁をどこに設定するのか。難しい問題について考えさせられた。
    ゆるく生きる、というのとは少し異なる気がするが、概ね筆者の意見には納得した。ナショナリズムに限らず、例...続きを読む
  • 観光客の哲学 増補版
    この本は、哲学は決して高尚な取っつきにくい学問ではなく、身近で面白いものなのだということを、読みやすい文章で示してくれている。図らずもコロナ禍を経て「観光客」というキーワードが、初版の時以上に意味を持つようになった。「親」として生きることに対するメッセージが深い。カラマーゾフの兄弟を再読せねばと思う...続きを読む
  • 観光客の哲学 増補版
    「観光客の哲学」初版は既に購入して読んでいたのだけれど、今回の増補版で再読して
    新たな発見がいくつもあったので、備忘録として記しておくことにした。

     まず第4章の「二層構造」。カント、ヘーゲルの時代から哲学者が考えてきた国家と市民社会のことがものすごくわかりやすく述べられている。21世紀はネーショ...続きを読む
  • 観光客の哲学 増補版
    新たに「2章2万字」が追加された増補版。そのこと自体が、まるで家族の拡張可能性そのもののようだ。イラストの小鳥が、帯でそのことをお知らせしてくれています。かわいい。
  • 弱いつながり 検索ワードを探す旅
    人生にノイズを入れる必要がある、と思わされた一冊。

    情報に溢れた社会の中では、それ自体が強い繋がりとなって自分を固定化してしまう。それに抗い、人生にノイズを入れること、弱いつながりをつくることで、その情報をもっと豊かにでき、一度きりの人生を豊かにできるのだ、と。
    深く入り込まなくてもいい、浅く、好...続きを読む
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる
    会社として活動することと自分のやりたいことのギャップを埋めるのが如何に大変かを追体験させてくれる本。
  • 忘却にあらがう 平成から令和へ
    読み始めて数ページは「なんだ週刊誌のコラムのまとめか」と思ったが、読み進めていくうちに引き込まれた。
    毎日の日常を当たり前に生きていると漠然と変化を感じることはあるけどその正体はよくわからない、しかも日常だから深く考えずに過ぎてしまう。でも冷静に去年の今頃とか3年前とかを思い返すと、だいぶ変わってき...続きを読む
  • ゲンロン13
    ゲンロンの最新刊。
    ロシア情勢についての座談会、辻田氏と三浦氏の座談会、梶谷氏らとの座談会、、、座談会だけでも読み応えが十分。ただやはり東氏の最新の論考が一番興味深い。特にルソーをデリダ的に読み直し、
    一般意識と訂正可能性を結びつける議論は唸らされる。2010年代以降のIT論壇批評も鋭い。批評家とし...続きを読む