石井光太のレビュー一覧

  • 世界の美しさをひとつでも多く見つけたい
    千葉さんと、赤ちゃんを亡くした夫妻との再会。両者をつなげた石井さんの本の力。
    現場を体験し、当事者となった責任。
    小さな神様、小さな物語が誰にでもある。
    12歳の自分ならどう言うか。
    自分の恥ずかしい部分も出さなくては。

    題名にふさわしい内容。これからも石井さんの本をたくさん読みたい。
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)
    戦後の福祉を研究する人間として読んでて良かった本です。浮浪児、パンパンと呼ばれた売春婦、障害児。すべてが戦後にうごめいていて、それらは助け合っていたこと。いずれも戦後の回復過程で、差別されクリアランスすべき対象も捉えられたこと。それらを有機的に理解するために必読だと思います。
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    自分の知らない世界が存在していることを認識するべき。
    人生のステージが進むにつれ、自分とは異なる階層にいる人達は少なく(見えにくく)なっている。自分のスタンダードが社会のスタンダードではないということを理解したほうがいい。
  • 原爆 広島を復興させた人びと
    原爆が落とされた広島を復興した男たちを描く。
    人からバカにされ、自身が放射能に汚染されながらも原爆投下直後から瓦礫を収集し、どこに原爆が落とされどのような被害だったのが研究した長岡省吾(広島平和記念資料館初代館長)や、記念公園の設計に携わった丹下健三、公園の設置に向けて予算獲得や土地確保に奔走した浜...続きを読む
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    16歳に向けて書かれているけど、大人でも知らない現実が次々に出てきて驚きの連続。
    かなり興味深い内容だった。
    これからも日本を含め世界の格差は広がり続けると言われているけれど、自分だけ助かればいいという考えのままではよくないことがわかる。
    社会が分断されてしまうと、対立は避けられない。
    「平和を守る...続きを読む
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)
    太平洋戦争の戦災孤児。
    空襲などで焼け野原になり、家族を失った孤児たち。
    インタビューを通じて、その当時のことを洗い出したルポ。

    上野「ノガミ」に集まってくる孤児たち。
    寒さをしのぐため駅の地下道に集まり寝る場所もないなか過ごす。トイレに立ったら自分の場所はなくなる。

    上野の繁栄は、闇市。
    テキ...続きを読む
  • 遺体―震災、津波の果てに―(新潮文庫)
    ショッキングなタイトルですが、東日本大震災直後の遺体安置所を取り巻く人々を真摯に丁寧に描いた記録です。私自身も真摯な気持ちで読みましたし、人間の暖かさや強さを再認識しました。オススメ!
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    いまの日本は階層ごとに断ち切られている状態
    かつては学力がなくても手に職を身に付ければ稼げる時代だったが、オートメーション化が進み、シャッター街は潰れ、大型店の雇われ社員になり、給与が抑えられた。大型店の小売やサービス業は価格争いの最前線で、
    重要なのは自ら望んでその生活をしているかどうかということ...続きを読む
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    こういう本が今必要だなと思っていた。新書で同じような格差や能力主義の本が出版されているが、それらを読むのは意識の高い人だけになってしまう。専門書よりは裾野は広がるとはいえ、若者の手にまでなかなか届かない。
    この本は16歳くらいの若者を対象としているが、大人も手に取れる体裁である。
    格差がどうして起こ...続きを読む
  • ルポ 餓死現場で生きる
    貧困や飢餓、ストリートチルドレン、少年兵、性犯罪、エイズ。
    漠然と大変な問題という認識はあったが、こんなにも悲惨な事だったとは。
    改めて自分が如何に満たされた生活をしているのかを認識し、何が出来るのかを考えさせられる本でした。

    著者が現地で聞いた話がリアルに書かれており、ショッキングな内容が多い。...続きを読む
  • 43回の殺意―川崎中1男子生徒殺害事件の深層―(新潮文庫)
    報道だけでは分からない事件の詳細が、丁寧な取材に基づいて書かれている。個人に責めを負わせるのではなく、社会の問題として伝えようとする作者の思いが伝わってきた。
  • 育てられない母親たち
    世の中にはまだまだ親の愛情をたくさん受けることができていない子どもが沢山いるということがわかった。発見されている分でもすごい件数なのに、発見されていない家庭もあると思うと、目も開けられないほど、悲しくなってしまう。
    もっと沢山の世の中の人たちが日本にこんな現状があるということをしっかり理解して日本全...続きを読む
  • 地を這う祈り
    これほど心に強い衝撃を覚える作品はなかなかない。
    僕たちが蓋をしたまま無関心でいる世界の現実を、現場からこれでもかと突きつけてくる。
    悲しすぎて、苦しすぎて、身を引き裂かれるようだ。
    1ページ1ページ、めくるのがつらい。
    知っておくべきでは足りない、経験しておくべき作品だと思う。
  • 夢幻の街 歌舞伎町ホストクラブの50年
    さすが石井光太。ホストの見方が変わりました。愛田会長が0から1を産み、零士さん、高見翔さん、森沢拓也さん、香咲真也さん、手塚マキさんが1を100にした。0-1も1-100も運と努力と時代ですね。
    大魔神佐々木の奥さんの話が突然ぶっ込まれてホント驚いた。この波の中にいたんだね。愛田会長の相続問題の中に...続きを読む
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)
     年端もいかぬ小学生、恐らく10歳にもならない子が煙草を吸っている。
     そんな衝撃的な表紙とタイトルに惹かれ、購入。一気に読みました。

     私も、1970年代生まれの筆者と同世代。戦後世代です。生まれた時から戦争の雰囲気は周囲にありませんでした。学校や親から、戦争はよくないとか、食料の大切さをアフリ...続きを読む
  • 虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか
    凶悪な事件を起こす位なら、虐待されて死んでしまった方が酷い目にあう被害者を出さずに済んだので、その方がいいんじゃないかって思わされる程の衝撃的な内容だった。
    特に兵庫県高一リンチ殺人事件は、そう思わざるを得ない気持ちになるくらい気分害する事件だった。読んでても加害者達の更生の価値なし。
    親は選べない...続きを読む
  • 虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか
    非行少年少女の置かれている「厳しい現状」を更生施設や更生過程にある少年少女(元を含む)への取材も交えながらつまびらかにする一冊。

    「厳しい現状」には親からの虐待のようなものから、友人・社会環境の悪さ、本人の能力的な問題、そしてなにより手を尽くしても「そうそう簡単に更生はできない」という現実、そんな...続きを読む
  • 育てられない母親たち
    これの反対に「育てられない父親たち」が読みたくなっ た。育てられない母親よりも相当な数がいると思うので。
    両親揃ってまともに子育てしてれば虐待なんてそもそも起こらないと思う。作者が取材した養護施設に預けられてる子供が全員片親なことが現実なように。

    元々生来の気質から「死にたい」と精神的に弱っている...続きを読む
  • それでも生きる ──国際協力リアル教室
    貧困だからって、遊びたいし虚栄心も射幸心もある。自分の意思を持って、与えられた環境の中から最善を目指して判断している。始終心を殺して機械のように労働しているわけでもない。
    強制労働も売春も児童婚も、貧困に比べれば楽しい人生だと本人はノリノリな場合も全然ある。

    「世界の子どもの何分の何がが飢えていま...続きを読む
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)
    この時の孤児がシワの刻まれたお爺さんお婆さんになっているのかと思うと不思議でならない。
    戦争の実態を知れば知るほど自分はわがままで甘い人間だなとつくづく思い知らされた。毎日を生き続けるってこんなにもしんどいものなのかと当たり前のことを思い知らされた。与えられた命震わせながらがむしゃらに生きなきゃな。