石井光太のレビュー一覧

  • ルポ 誰が国語力を殺すのか
    冒頭、小学校の授業。「ごんぎつね」でお母さんが死んでしまった後に葬儀の準備で、何かを煮てる。何を煮てるか尋ねると、かなりの数の子が母親の遺体を煮てると答える、という衝撃的な始まり方。

    日本の子供たちの国語力が下がっているという事を証明しつつ、その原因は何かを、学校なのか家庭なのかネットなのか論じつ...続きを読む
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    良書。暗澹たる気持ちになった。
    16歳向けということで平易にかつ網羅的に書かれていて、教育レベルに関わらず読みきれる本というのも良い。

    この本を手に取る"階層"にいる若者にとって、学歴と職業、貧困の再生産と格差の拡大、ジェンダー問題あたりまでは容易に想像がつくと思う。いわゆる、自分ごととして捉えや...続きを読む
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)
    東京大空襲によるどれだけの人の人生が変わったか、この本を読むまで考えたことがなかった。

    学校の授業でも映画でも原爆に焦点を当てることが多い中、浮浪児の話はあまり知られていないのではないだろうか。

    これを感じさせないぐらい、東京の発展と当時の人のがむしゃらさはすごかった、ということを物語っていると...続きを読む
  • ルポ 誰が国語力を殺すのか
    表現する力を取り戻す、この国の歪み、深く考える喜びを知る。教育に出来ることって?受け入れて時間をかけて取り戻す。大事なことはなんだ?
  • 43回の殺意―川崎中1男子生徒殺害事件の深層―(新潮文庫)
    最初の一ページから胸が苦しくなる。
    ちょっと前まで小学生だった少年が、酷寒の2月の深夜、全裸で体中に切り傷を負い、それでも助けを求めて川から23.5メートルを道路に向かって這っていた。
    どうしてそんなことに。

    あまりに残虐な事件に、犯人の少年たちへの怒りが込み上げる。
    だけど、読み進めるにしたがっ...続きを読む
  • 赤ちゃんをわが子として育てる方を求む
    あとがきに「この物語は、実在の医師・菊田昇の人生に基づいたフィクションです」と書いてあったので「小説」に分類しました。でもほぼ時系列で、菊田医師の子供時代から、医師になった動機、医師として赤ちゃんの命のために奔走した過程、病に侵されながら多くの人の協力で特別養子縁組の制度の成立にこぎつけたところまで...続きを読む
  • 本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式
    漠然とした世界の貧困事情、サイクル事情がリアルに伝わる。厳しい現実だけど動かないと考えていかないと変わらない。再認識、意識を新たにできる機会になった。既に難しい世の中だけど地域で子供を見守り育てていくことと、その地域の神社を中心に暮らしていくのがいいと思うのと、監視カメラはもはやいたるところにあった...続きを読む
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    所得、職業、男女、家庭、国籍、福祉、世代。あらゆる場面にある格差と分断を挙げ原因と対策を示す。
    困っていない人は社会の恩恵に助けられている人であり、困っている人は助けが届いていない人であろう。未来と希望を若者に託すためにやるべきことを説く。
  • 育てられない母親たち
    事例が中心で読みやすかった。
    いわゆる世間の価値観からずれていることを行えば、犯罪となったり、保護の対象となるが、その価値観は本当に当人たちにとって幸せなのだろうか、と福祉に関わっていたときは常に迷っていたのを思い出した。
    何が普通なのか、何が幸せなのか、判断することは厳しいけれども、子どものために...続きを読む
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    本書では、所得格差、職業格差、男女格差、家庭格差、国籍格差、福祉格差、世代格差という7つの格差がどのように生まれるのか、その格差によってどういうことが起きるのかが書かれている。「16歳からの〜」とあるだけあって、言葉もわかりやすく大人でも頭に入りやすく、幅広い年代におすすめしたく、また幅広い年代が読...続きを読む
  • 「鬼畜」の家―わが子を殺す親たち―(新潮文庫)
    こういうのを読むと「明日は我が身」と思う。子育てしていると、些細なことでイライラし、つい強く叱ってしまうことが時々ある。普通はすぐに我に返って落ち着くが、エスカレートして自分でコントロールできなくなると、虐待になる。特に配偶者が同じタイプだと、加虐性が増長してしまうような気がする。全く他人事と思えな...続きを読む
  • 本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式
    貧困についてわかりやすく、読みやすくまとめられています。

    大人の貧困、子どもの貧困、女性の貧困。
    日本の貧困、世界の貧困。

    貧困によって起きてくること。

    暴力。性被害。トラウマの再演。犯罪。
    ストリートチルドレン。児童労働。少年兵。

    そして、人生を切り開いていった人の物語。

    豊富な内容が、...続きを読む
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    若い人向けに書かれていることもあり、わからない用語が出てくることもなく、とても分かりやすく世界のことについて書かれていた。
    すごく参考になったし、良かった。
    高校生に特に読んで欲しい本だ。
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)
    戦後の浮浪児の証言からその実態がまとめてあり、とても勉強になった。
    今の季節はテレビでも戦争のドキュメンタリーやドラマを毎年やっているが、大半は軍の話だったりしている気がする。
    戦争によって失ったもの、すべてを失ってもなお生かされている現実を受け入れざるを得ずがむしやらに生きてきた人がいること。
    ...続きを読む
  • 虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか
    少年院などを実際に取材しているので勉強になる。
    生育した環境が人格形成に大きく影響しているのだと思う。
    周りの支援があれば、少しは生きやすい世の中になるのかも。
    自分も含めて、正しい知識を持てるようになりたい。
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    大きい事件をのニュースを深読みすると、その時の容疑者が置かれていた立場や状況がなんらかの形で関わっていることが必ずあり、自分はそんなことしないだろうと思っていてもそれは相手の立場を理解していないから言えることであり、自分は狭い世界で生きてるなと思うことがあります。
    このような社会問題の本を読み何が起...続きを読む
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)
    戦後何十年と経ち、風化どころか有耶無耶にされそうな浮浪児のことや戦後の日本の有様を、これだけの資料や証言を地道に集めたのは凄い。浮浪児だけでなくパンパン、アメ横、テキ屋、ヤクザ、朝鮮人(←差別的な意味ではなく)等々の歴史を知ることができる大変貴重な一冊だと思う。
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    「格差社会」と言われて久しいです。

    しかしその格差を身を以て体験していない人
    にとっては、格差とは収入の差なのだろうな
    ぐらいにしか思っていないはずです。

    しかし今は収入の格差どころではないのです。

    米国社会で起きているような「分断」が日本
    でも起きつつあるのです。

    しかも収入の差だけではな...続きを読む
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉
    「いま、国を動かしている政治家、実業家、あるいは発言力のある有名人を考えてほしい。彼らのうち、どれだけの人たちが日本で起きているリアルを知っているだろうか。
    彼らの大半は格差社会の中で超エリートのレールを歩いてきた人たちばかりだ。そんな人たちが教育格差の底辺にいる子供の気持ち、夜の街で働く女性の気持...続きを読む
  • 世界の美しさをひとつでも多く見つけたい
    千葉さんと、赤ちゃんを亡くした夫妻との再会。両者をつなげた石井さんの本の力。
    現場を体験し、当事者となった責任。
    小さな神様、小さな物語が誰にでもある。
    12歳の自分ならどう言うか。
    自分の恥ずかしい部分も出さなくては。

    題名にふさわしい内容。これからも石井さんの本をたくさん読みたい。