竹本健治のレビュー一覧
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これは、ストレートなミステリーではない。
ミステリーとしてではなく、一種の文学として読むべきだ。
溢れる蘊蓄、幻想的な世界観、メタ的趣向にアンチミステリー。
と、日本三大奇書のエッセンスを凝縮したような作品である。
冒頭から不確定性原理を全面に押し出していて、入れ子細工になった構造も美しい。
好...続きを読むPosted by ブクログ -
20年くらい前にミステリーランドで「闇のなかの赤い馬」を読み、なんだか印象に残る作品で続きが出ないかなと思っていたら、10年くらい前に「汎虚学研究会」が出て更に続きが気になりすぎ、遂に「これはミステリではない」を読んで、まだ続きが読みたい作品。私はとても好き。匿名
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素直に読めば奇数章の物語が「現実」で、所謂解決編が欠けている偶数章の物語が、ナイルズの書いた小説になるのだと思う。そう読まなくったって良いのだけれど。で、そんな風に読めば、意外なくらい(アンチでない)ミステリとして、かっちりとまとまっている。発表当時ならともかく、今となってはそうしたところや全然読み...続きを読むPosted by ブクログ
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2年前に新装版講談社文庫が再発されて、特別短編「匳」が収録されたので購入して再読。
たしかン十年前に講談社文庫で「虚無への供物」に続く第四の奇書という謳い文句で紹介され、手にとって寒い夜に読んだのが初見だった。
始まりからして霧のかかった夜に一人歩きしている大学生のシーンだったんで、あまり期待はして...続きを読むPosted by ブクログ -
『虚無への供物』の後に読むとほんとに工夫されてるなと思う。別の角度から再表現してるというか。虚無への供物もそうだけれど、酩酊感で作中に気を取られているところに終盤のラッシュがあって、正気に戻って現実世界に立ち返ると、現実にいながらにして作中に巻き込まれてる。哲学の思考実験とか、不確定性原理とかスリッ...続きを読むPosted by ブクログ
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いやー、奇書。奇書だ奇書だとは聞いていたが、やっぱり奇書だった。22歳の青年がこれを書いたって?うそでしょー!?
さしずめ現代に蘇る黒死館殺人事件ってとこか。全編を通じて醸し出されるペダンティックで奇妙な空気は、僕のようなある種の人間を熱狂させる。
次から次へと姿を見せる謎、そして謎解き→その謎解...続きを読むPosted by ブクログ -
この本を読んで、最初『読解力が足りないんじゃないか?』そう思った。
しかしもう、そう思った段階で作者の罠にはまっていたのだけど(笑)。
読んでいくうちに、幾重にもかこまれた迷宮に落ちていった。
そして、真実とかそういうものがあまし意味をなさなくなっていく。
仲間の殺人を信じ、それを暴こうという...続きを読むPosted by ブクログ -
五年以上積読だったのを、ようやく読む。
「虚無への失楽」と「死霊」に大きく影響されているなと思いながら読んでいたが、解説を読むと確かに「ドグラ・マグラ」や「黒死舘」からの影響も。
ミステリはとくに、登場人物が魅力的かどうかが重要視されるが、
本作では人物の描きわけができていない、というより、...続きを読むPosted by ブクログ -
前に双葉文庫版を読んでいるから、一応再読に入るのかしら?やはり凄い作品だ!一体どちらが現実で、どちらが作中作なのか全くワカラナイ…この終わり方では彼ら自体もしかしたら存在などしていなかったのでは?・・と、思ったり思わなかったり。とにかく頭の中がパニックになること必須。これを機にたくさんの人に読まれま...続きを読むPosted by ブクログ
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ページの多い本だったけど、集中して面白く読めた。
勿論、古い作品で謎な部分も多いので、全てを読みつくしたのではないことは
わかっているが、それでもやはり面白い。Posted by ブクログ