竹本健治のレビュー一覧

  • 涙香迷宮
    暗号ミステリってちょっと腰が引けちゃうというか、あまり考えずに読んで「へー」ってなりがちなタイプなんだけど、これは凄かった。いろは歌は日本人には馴染みのもので、読んでいて「なるほど」と思うことも多くどんどん没頭した。
    それにしてもこの怒涛のいろはには圧倒された。どんな頭脳の持ち主なんだろう!だいたい...続きを読む
  • 涙香迷宮
    囲碁の若手実力者 牧場智久の的確な推理により殺人犯を暴き出すストーリーだが、黒岩涙香の業績の展開も含め、かなり複雑な構成だ.山極の旅館での殺人事件に立ち会った智久が推理を開始する場面が発端だが、碁盤上に倒れた被害者を見た彼は碁石が異常に多いことを指摘する.場面は変わって涙香が作ったとされる隠れ家で1...続きを読む
  • 閉じ箱
    短編集。この作者の短編集の中では一番好きかもしれない。この作品は第一短編集であり再文庫化らしい。結末が予想しやすい話もあれば一捻りも二捻りもある話もあってバリエーションに富んでてどれも楽しく読めた。好みの話は「けむりは血の色」「夜は訪れぬうちに闇」「仮面たち、踊れ」かな。
  • 将棋殺人事件
    囲碁殺人事件に続くゲーム三部作の二作目。終盤に至るまであっちこっちに散りばめられた謎がどう解かれるのかさっぱりわからなかったな。謎解きされてようやく「あー、あれがそういうふうになるのか!」と気持ちよかった。
  • 涙香迷宮
    小学生の時、涙香が翻案した「死美人」という小説が結構好きで、大人になってから読みたいと思い青空文庫で探してみたけど見つからなかった。
    それが4年前の夏、子どもの頃に読んだ本を実家が送りつけてきた本のなかにそれがあったので読みなおしてみたところ、やっぱり面白かったと当時のブログに書いていました。

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  • 涙香迷宮
    「黒岩涙香」という遊芸に通じた知の巨人を巡る暗号ミステリ。暗号解読と殺人事件の解決という二段階からなるが、前者の暗号の凝りに凝った内容に感嘆させられる。作中では涙香の作品として登場人物からの絶賛を浴びているが、それがそのまま作者に対する評価になるのは間違いない。

    黒岩涙香という人物は恥ずかしながら...続きを読む
  • 汎虚学研究会
    全寮制のミッション系高校を舞台とした一風変わった青春ミステリの短篇集。汎虚学研究会という、奇妙な面々を中心に巻き起こる事件の数々はミステリ、ホラー、青春小説と幅広く、単なる事件の謎だけではない、物語としての謎が多分に含まれている。一見まばらで統一感が無さそうにも思うが、逆にこのごった煮感は他に類を見...続きを読む
  • 新装版 ウロボロスの偽書(下)
    『トランプ〜』に続き、竹本作品五作目。ウロボロスシリーズ、第一弾。マトリョーシカみたいな…でも、最終的にはブラックホールのような作品。これは一体なんだったのだろうか——。
  • 涙香迷宮
    涙香迷宮という題で、黒岩涙香かな?と思い前からいつか読もうと思っていた本。
    確かにミステリーとしては今ひとつという評価もわかるが、この本の魅力は黒岩涙香の功績や背景を知ることができる点といろは歌の暗号。自分で解くかと言われるとその気力はないが(笑)和製のダ・ヴィンチ・コードというのは的を射ている。
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  • トランプ殺人事件
    『将棋〜』に続き、竹本作品四作目。ゲーム三部作、完結編。本編も面白かったけど、こんな暗号文を作れることにより大きな感嘆を抱いた。この作品の上位互換が『涙香迷宮』なのか…。恐ろしい……。星三つ半。
  • ウロボロスの純正音律(下)
    面白かった!
    下巻はいろんな謎がどんどん解けていくので先が気になって一気に読めた。

    登場人物もみんな個性があってそれだけでも楽しいし、事件や推理合戦ももちろん面白かった。
    事件自体の謎は細かい疑問ポイントを覚えて繋ぎあわせながら読んでいけばもしかしてこういうことかも、とはわかるけど暗号だったり謎の...続きを読む
  • ウロボロスの純正音律(上)
    多数のミステリ作家やその界隈の人たちが実名で登場する。
    実のところ京極先生目当てで読み始めたんだけど面白かった。

    登場人物が多すぎるので読者があらかじめその登場人物のことを知らないと誰が誰だかわからなくなりそうだな感じはするかな…。
    逆に出てくる作家陣を知ってるうえに好きだったりするとそれだけでも...続きを読む
  • トランプ殺人事件
    コントラクト・ブリッジを題材にしたミステリー。コントラクト・ブリッジの説明文に組み込まれた複雑な暗号を解き明かす。コントラクト・ブリッジを知らなくても十分に楽しめる型破りな小説。シリーズの登場人物の須藤と典子の関係にも進展が・・・。トランプと麻雀との繋がりがあることが解る麻雀殺人事件を含む。
  • 将棋殺人事件
    将棋でも詰将棋がミステリーのメインになっている。実際の殺人事件とつながりのある噂の元を調べていくうちに詰将棋との妙な関連が疑われてくる。人間の精神の謎を含んだ奥深いミステリー小説。オセロ殺人事件の短編を含む(オセロとリバースと源平碁の違いが判る)。
  • 緑衣の牙
    智久・類子シリーズ第3作。
    綾辻さんの「緋色の囁き」とセットで楽しむとよさそう。
    読み直すかしら。
  • キララ、探偵す。
    いかに直接的な単語を使わずにそっちの描写ができるか腕の見せ所。またしても偶然の連続。矢吹ジョー(20世紀少年)。
  • しあわせな死の桜
    短編集。幻想あり、ミステリあり、これまでのシリーズに繋がりのあるものも多くて、読み応えたっぷりです。
    お気に入りは「トリック芸者 いなか・の・じけん篇」。なんてったって久々のトリック芸者シリーズ! 懐かしいなあ「そこはそれ」。この一言は最強ですよねえ。
    「漂流カーペット」も面白かったです。ううむ、ま...続きを読む
  • 新装版 匣の中の失楽
    噂に聞いてたとおり、なにが現実でなにが作中作なのか……酩酊感がすごい。
    この人物はどっちで死んだんだっけ?などもごちゃごちゃになってくるので読むときは勢いをつけて一気に読みきってしまったほうがいいと思う。
    私は、だらだらとしてしまったので結構戻って確認したりしながらになってしまった。

    結局最後はこ...続きを読む
  • 囲碁殺人事件
    あとがきで約40年前の作品と知って驚く。再刊にあたり、昭和の年号は削除したものの、その他の内容はいじっていないというが、時代の古さはさほど感じられない。描かれている囲碁規約の現在との相違点などは、十数年前の漫画『ヒカルの碁』でさえ、コミ5目半の設定(現在では6目半)であったことから、大した問題ではな...続きを読む
  • かくも水深き不在(新潮文庫)
    ミステリーだと思って読み始め、ホラーじゃないか!って泣きそうになり、ラストで強引にまとめられる(個人的には嫌いではない)感じがよいです。
    ややこしくて強引で、ひっぱられて突き放されるみたいに終わるとこがとても好き。
    解説にもあったけど、この感じがうまく説明できないんだよなぁ…