京極夏彦のレビュー一覧

  • 冥談
    全体的に仄暗く、あの世とこの世の境目が曖昧な冥い短編集。各話でそれぞれ何度も印象付けるようにループする風景や心象の描写。それが一層ふわふわとした現実だが現実でない境目をより不安定にさせているように思える。京極氏の死生観や幽霊観の私説も含まれているのでは。何にせよ、最後が曖昧な終わり方だからこそ、もや...続きを読む
  • 続巷説百物語
    一つ一つ短編として楽しめるが、読んでいると気づく、話のつながり。小右衛門の落とし前である老人火で、百介と小右衛門が初めて相対。否、初めて相対したのは死神或いは七人みさきであるか。ここで、又市たちと百介との生き方が別れてしまった様な…。まだ続編があったと思うので、購入して読みたい。
  • 幽談
    物語のラストが全て不明瞭で曖昧模糊とした短編が詰まった一冊。個人的には「下の人」がストーリーも主人公のなんとも言えない着物座った感じも好きだった。話によっては、なんとも言えない後味の悪さが残るような、じわりじわりと来るような怖さのある話が多かった。面白かった。
  • 豆腐小僧その他
    豆腐小僧双六道中とはまた違い、現代にわいた豆富小僧といくらか現代風になった他の妖怪たちとのやり取りが面白い。ラストは相変わらず邪魅に飲まれずにいた豆富小僧が事態をおさめるという、豆腐小僧と同じだったが、また雰囲気が違って良い。白蔵主が豆腐小僧では年寄り狐だったが、こちらではかなり若狐になっていて喋り...続きを読む
  • 巷説百物語
    ハードカバーからの再読。以前ハードカバーで読んだときは初の京極夏彦で、旧字体や京極夏彦独特の文体に、読むのに時間を要したが、再読までの間の時間に、いくつか京極さんの本を読んだおかげか、比較的すらすら読むことができた。妖怪話をもとに、人間の住まう『現実』を明らかにする、御行又市とその仲間たちご一行の活...続きを読む
  • 文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし
    文庫版が出たのと映画化したのに向けて、再読。これで読んだのは二度目になり、結末も分かっているのだがやはり面白かった。語り口調と、妖怪化け物についての蘊蓄のような説明が丁寧なのが良かった。豆腐小僧と達磨先生の禅問答のような掛け合いは面白くて好き。物も二つとして覚えられない豆腐小僧が、最後に頭を働かせて...続きを読む
  • 今昔百鬼拾遺 鬼 【電子百鬼夜行】
     大好きな京極堂シリーズの作品が出ていることを知らず、本屋で偶然見つけた時は嬉しくてニヤニヤが止まりませんでした。
     講談社、角川、新潮、3つの出版社から出す3部作の1作目です。今回は中禅寺敦子とみんなが大好き?呉美由紀ちゃんのが巻き込まれ、解決していく。
     京極堂シリーズの女の人って怖い人が多いで...続きを読む
  • 今昔百鬼拾遺 河童
     京極堂シリーズ、中禅寺敦子と呉美由紀の冒険、第2段です。なんと今回は多々良先生も加わります。お久しぶりで相変わらずの人の話を聞かない感じ、好きですね。
     今回のシリーズは3大妖怪とよばれる鬼、河童、天狗が題材なので、妖怪のうんちくが面白いです。わからないことも多いですが、面白いです笑
     この厚さの...続きを読む
  • 今昔百鬼拾遺 鬼 【電子百鬼夜行】
    持つ手が疲れるほどの分厚さに怯んで京極さん未体験の方にも、この程度の厚さならお試しいただけるのではないでしょうか。百鬼夜行シリーズではありますが、1冊も読んだことがなくても大丈夫。

    舞台は昭和29年。日本刀で人をバッサリ斬るという通り魔事件が発生。最初の被害者は怪我で済んだのに、犯人はどんどん腕を...続きを読む
  • 虚実妖怪百物語 序/破/急
    京極夏彦史上最長だという大長編。やはりこれは紙で、それも合本版で読まないとダメでしょう。あまり妖怪も知らないし、実名小説なのに知っている名前が少なかったけれど、十分楽しめた。基本的にはお馬鹿な話なのでなかなか笑える。作中の小ネタがわかる人なら余計面白いのかも(これだけ膨大なネタがあればいくつかは引っ...続きを読む
  • 文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし
    豆腐小僧を主人公とする面白おかしい話の中に、妖怪論が現れてくるという不思議な本。話としては割と馬鹿馬鹿しい類なのだが結構笑える。妖怪初心者にもわかりやすく、様々な妖怪について説明してくれる。京極流妖怪理論(?)を理解するには一番適した本かもしれない。ラストにかけての盛り上がりなど、『虚実妖怪百物語』...続きを読む
  • 中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。(3)
    おどろおどろしているものの、事件はサクッと解決するのでスッキリ(^^)そして神隠しではあっちゃんと千鶴子さんも登場!(゜▽゜*)次回予告で榎さんのお兄様も登場するらしい♪
  • 数えずの井戸
    番町皿屋敷とも呼ばれる、青山家の家宝を巡る愛憎劇。
    皿の表と裏、底知れぬ昏き井戸、満たされずに欠けている人々。
    真相は井戸の底。
  • 虚実妖怪百物語 序/破/急
    内輪ネタ、大いに結構!
    大好きな平山夢明先生と京極先生の掛け合いが、まさか京極先生本人の作品で読めるとは……w
    全体的なノリが最高に軽妙。
  • 文庫版 書楼弔堂 炎昼
    歴史上の人物が、本当にこんな人間だったのではないか、と思ってしまうくらいのキャラクターへの丁寧な肉付け。
    読後に歴史を洗っていると、私が作中で出会った人間たちが歴史の中にいて、今の日本を作ってきたのだと、不思議な感覚に陥る。
    登場人物への理解と人間描写の巧さ、圧倒的知識をもつ京極夏彦の素晴らしさ。
  • 巷説百物語

    巷説百物語

    懐かしいなーと思って読み直したくなりました😀
    又市の名言がかっこよすぎる👍🏻

    軽快に読めるのに内容は深い、心理描写が秀逸です!
  • 続巷説百物語
    再読。6~7年ぶり?

    忘れてしまっていた部分も多々あれども、しっかり覚えていてちゃんと「再感動」させられた部分も多数♪

    シリーズは全5作中4冊までは既読。
    再読の2作目。

    本編(?)はここで完結し・・この後「前巷説…」(前日譚)「後巷説…」(後日譚)と続いたはず。

    ※「西巷説…」は、別主人公...続きを読む
  • 文庫版 オジいサン
    一人暮らしのちょっぴり偏屈なオジいサンの日常をここまでおもしろく描けるのはすごいと思った。

    緩やかな日常生活が細やかに描かれていく中で、オジいサン自身の感情、亡くなった人、生きている人への感情の表現が細やかで、読み飽きないどころか最後はほんのり温かい気持ちになる。

    ウインナーと格闘するくだりも大...続きを読む
  • 前巷説百物語
    目次
    ・寝肥(ねぶとり)
    ・周防大蟆(すおうのおおがま)
    ・二口女(ふたくちおんな)
    ・かみなり
    ・山地乳(やまちち)
    ・旧鼠(きゅうそ)

    又市がまだ願人坊主になる前の、双六売りだったころの若い頃の事件いろいろ。
    飄々とした又市ではなく、青臭くて理想の前で右往左往したあげく、自分の至らなさに打ちの...続きを読む
  • 姑獲鳥の夏(1)
    京極夏彦の京極堂シリーズコミカライズでは、これを一番何回も読み返している。姑獲鳥の夏。小説が素晴らしいけれど、それに負けない漫画に仕上げているのが本当にすごい。こんなに描けたら楽しいだろうな、いいな、うらやましいな。

    原作もだけど、関口くんの病み具合が他より「あれ」でやばい。心配になるよ。榎木津が...続きを読む