山田詠美のレビュー一覧

  • A2Z
    物事をどんどんシンプルにしてゆくことは、賢くて、潔くて、寂しいけれど、やっぱりセクシーだと何度でも思い直せる
    いろんな境界、終わり、自分のいる場所、自分の定義、あなたの定義、それらがくっきり分かってしまう、否応がなく進んでしまうからこそ、言葉を、頭を、身体をフル稼働するのは恐ろしい。
    だから素敵な人...続きを読む
  • ジェントルマン
     夢生は、漱太郎の悪魔のような一面に惹かれ、彼を愛し守り抜くと心に誓う。彼の罪を聞く自室を「懺悔室」と表現した。暗闇と罪の間にある美しさがとても良かった。山田詠美の文体でBLが読める幸せよ。
  • つみびと
    山田詠美さんの「書く力」にただただ感心するばかり。これを小説にした意図が見えない、という感想も散見されるが、ひとまずは、この重たい事件を、複数視点から、このボリューム感で書ききったという点が賞賛されるべきだと思う。最後の対談でご本人もおっしゃるように「いちいち言わなきゃわかんない」一つ一つの出来事、...続きを読む
  • ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨

    濃密で空しい未知の体験

    『ベッドタイムアイズ』について。
    心の結びつきでなく、空疎であっても、
    低次元、知性の放棄のようにみえて、
    破天荒、暴力的な、粗野な魅力を
    これほど濃密に描写されると
    強い存在感にひょっとして
    自分の生活はパワー不足のような
    気もしてくる。
    未知の世界の陶酔的な魅力と、
    自分にしっ...続きを読む
  • トラッシュ
    読みごたえがありました。
    それは本が分厚いからというのではなく、内容がヘヴィーだったから。
    こんなにこんなに言葉を尽して他人と話したり自省したりするってことが、日本人はあまりないのではないだろうか。
    けれどアメリカでの評価は掘り込みが浅い、だったそうだ。
    欧米の恋愛は、または人間関係は、それほどにヘ...続きを読む
  • ジェントルマン

    読むのやめられない!

    まず、韓国人なので日本語がとても下手な点、ご了承ください。 学生時代から山田詠美さんのすごいファンです。韓国で出版された本はすべて購入して読んできました。 まだ出版されていない本まで、このように原書で購入して読むほど、熱烈なファンです。
    (いや、ただのファンよりも、もうマニアに近いだと思います!...続きを読む
  • 愛してるよ、愛してるぜ
    10代の頃から山田詠美さんのファン。
    久しぶりに読んだ安部譲二さんとの対談集は、とてもチャーミングで、「人としての可愛げ」って、この先ずっと大事にしていきたいテーマだな〜と思いました。
    新年1冊目に読むものとして最高でした。
    朗らかな気持ちに。
  • A2Z
    恋の賞味期限.既婚者の恋。
    なんか【既婚者】【夫婦】【不倫】に対しての今までの自分の固定観念がペシャンコになった(笑)こんな夫婦…とゆうか男女関係いいな(^_-)
    「あの子はひと晩だけでは味わい尽くせない」
    「二人でいる時にどうして二人だけのことを楽しめないの?」
    「もしもここが訪...続きを読む
  • ぼくは勉強ができない
    周りに何を言われても自分の意見を持ち続ける強さがとても良い。
    まわりの大人たちがこれまで培ってきた偏見や彼らの言う常識を「そういうものなのか」とありのまま受け入れる方が多数派であり簡単であり大人になった時に大変な思いをしなくて済む方法なのかもしれない。でもそのまわりの常識や偏見に対して疑問を持つこと...続きを読む
  • A2Z
    始まり方も好きだけど終わり方も好きです。

    私はバカラのエキノックスにジョニーゴールド入れて飲みたい。
  • 賢者の愛
    普段小説を読まない自分には中々新鮮な文章だった。ドロドロの人間関係の中で、実は…が最後に見えたのが非常に面白かった。
  • A2Z
    こうあるべきという常識を簡単に、でも違和感なく覆てしまう不思議な世界観でした。
    AからZまでのたった26文字の言葉がこの物語をより味わい深いものにしてくれていて、江國香織さんの「可憐」という表現がとてもぴったりだと思いました。
    寂しさ、恋、愛、恋愛、誰でも抱いたことのある感情が的確かつ流麗に描かれて...続きを読む
  • ぼくは勉強ができない
    父親のいない子供は不幸だとか、高校生の交際は不純異性交遊だとか、大人たちが思い込んでいる偏見になぜを突きつけてくる時田秀美くん。勉強ができることが大きな価値基準になっている世の中で、僕は勉強ができないが女にはモテる、と言い切れるその価値観の相対化がすごく良い。1日25時間の人間の体内リズムを24時間...続きを読む
  • 風味絶佳
    あーえいみさんの小説だ。
    一つ読み終えるごとに顔を上げて感傷に浸る。なかなか言葉にできない。作り上げてきた私の薄っぺらい価値観。えぐられてぐちゃぐちゃに掻き回されていく感じ。この複雑な愉悦(光悦、恍惚?)に陥るお決まりパターン。うっとりする。


    1番すきなのは「アトリエ」。あーちゃんが私のようで驚...続きを読む
  • 晩年の子供
    完璧な短編集。どの話も忘れることのできない衝撃な内容になっている。子供の頃の夏休みは特別だったことを、ぼんやりと思い出させてくれる。
    私自身はこんなに晩年の子供ではなかった。
    でもなんとなくだけど、色々なことを、こうやって考えたことがあったんじゃないかな?
    子供の頃の夏を想うと、懐かしくて胸が痛む。...続きを読む
  • 快楽の動詞
    手にとった時の薄さを裏切る、内容の濃さ。
    久々に「これは面白い」と感じながら読み進めました。

    個人的なお気に入りは、文体たちの話。
    文体の擬人化という発想はもちろん、軽快に進む擬人化達の会話に、ふふっと笑いながら読みました。
  • 賢者の愛
    直巳に出会う前の真里子は私のようで、出会った後の真里子は小田さんのよう。わたしも強い感情があれば小田さんのようになれるのかな。百合への不快感がすごい。文面だけでオエッてなっちゃう。「マユちゃんの言ってること、全然解んない」という幼少期の直巳に、「解りなさい」という真里子がいい女だった、わたしもいつか...続きを読む
  • 色彩の息子
    エイミーはいい女も病んだ女もウブな男の子も病んだ男の子も書き分けるからすごい。わたしも仔羊の塊を焼きたくなったし、大丈夫な理由として、「だって、詩人だろ?」って言われたい。
  • ラビット病
    素直なおんなのこってかわいいなーー!他の作品と毛色は違うけれど、ゆりちゃんもめちゃめちゃいい女。みみみみみみ!
  • 愛してるよ、愛してるぜ
    2020年19作品目。
    途中、さんざん、2ページに一度は大笑いしたのに、安部さんの「おわりに」を読んで泣いてしまった。
    こんなにおもしろくてチャーミングな人がもういないなんて。
    山田さんとの対談、もっと読みたかった。