職場への電車通勤中に気軽に読める本が欲しくて買ったんだけど、これが大当たり。
詠美さんの小説はたぶん数冊しか読んでないんだけど、周りに囚われず自由に生きていくことを作品の中でとても意識的に表現されている方だと認識している。
このエッセイ集でも、食べ物や料理の話を中心に、まるで自由気ままな彼女が本の中
...続きを読むなら飛び出してきそうな小気味よい日常風景、世間を騒がせた出来事に対する切れ味鋭い意見表明など、厳選された100篇が収録されている。
一篇一篇は短いんだけど、時折はっとさせられる一文もあって、それがまた印象に残るんだよな。例えば冷凍食品より手作りのお弁当でしょ、みたいな世間の風潮に対しては、
「手をかける イコール 全部手作り。本当にそうでしょうか。もちろん、母親がそうしてくれたことに感謝出来るのは素敵なことです。でも、完璧な手作りだけが愛情の証明ではない、と知って行くのも子供の大事な学びだと思います。」
と書き、近年よく聞かれる「未来につなぐ」的な言い回しに関してもこう苦言を呈している。
「未来に思いを馳せる前に、考えるべきことは数多くあるような気がします。未来は現在の積み重ねの先にしかないのです。今現在ある美しいものを見ないで育った子供が、未来の美を感じ取って、認識できるでしょうか。」
いやあ、カッコいいなあ。熱血ポンちゃんシリーズも読んでみたくなっちゃったよ。