山田詠美のレビュー一覧

  • 熱帯安楽椅子
    「始まりは肉体であるーーそしてなりゆきは心である」
    甘美といえば容易い。官能的で主人公が貪るように男性を求める。そして主人公の性愛を男性は娼婦のようではなく1人の女性として感受する。私は誰のものでもない、それは私は誰のものであるということと同義。主人公の強さ。
  • 賢者の愛
    女の憎悪、妬み、執着などをドロドロに煮込んだスープがこちら

    ちょうだいお化けもバグってるけどまゆちゃんも相当おかしいっす
    ここまで狂気に満ちた物語かけるエイミー恐るべし。他も読むね。
  • 24・7(トウェンティフォー・セブン)
    大人だけに許される不慮の事故というなの恋を描いた短編集。
    山田詠美氏の文章の美しさ、妖艶さ、純粋さによって登場人物達の生き様は眩しく目に映る。男達を虜にできる自陣に漲っているようで底知れぬ欲望と純粋な心を感じられる表現と物語にいつも心が動かされる。

    恋の一場面、一つの事象を表す言葉がとても好きだ。...続きを読む
  • 私のことだま漂流記
    これ読んでますますポンちゃんのファンになる。
    小学生の頃、転校生という理由でいわれなきいじめをうけてたなんて、どちらかというといじめっ子側かと(失礼)
    特に給食のパンのくだりは可哀想だった。
    そうゆうのって忘れないよね。
    そして波乱万丈の恋、ふられたことがないってどういうことかというと、”逮捕か強制...続きを読む
  • 私のことだま漂流記
    山田詠美さんも60代!…当たり前なんだけど、『ぼくは勉強ができない』を読んでて、「詠美さんは、自分とはちがう世界の人で手に届かないけどひそかな憧れ」。最近の著作(エッセイ)を読んでなかったものだから、ずーっと「永遠の不良少女」(すでに古語?)のイメージのままでした。
    でも。
    詠美さんの人...続きを読む
  • つみびと
    わたしは子供がいないし、子供が欲しいと全く思わないから感情移入が苦手なジャンルの話だった。でも、子供たちは本当に可哀想。
    言葉足らずながらも母に気に入られようと必死に話しかける5歳の子の言動には涙がこらえられない。

    そもそもこの本は、虐待や子育て福祉、教育の欠如に興味があるから読んだ。
    あと山田詠...続きを読む
  • ファースト クラッシュ
    再読。ハードカバーの時、一回読んでた。
    何度読んでも、父親の愛人の子として高見沢家に引き取られ、みなしごとして憐れみをかけられながら、成長するリキの魅力的なことといったら、そりゃあ家中の女性たち、母、長女の麗子、次女の咲也、三女の薫子、お手伝いのタカさんまでも、それぞれのアプローチの仕方で近づき、振...続きを読む
  • 私のことだま漂流記
    10~20代に1番読んだ作家さん。懐かしいタイトルが沢山でてきて本当に幸せな一気読みでした。
    とくに沼った原点でもある『放課後の音符』。私も娘ができたらぜったいに読んでほしいって思っていたからファンレターの話に痺れました。
    それと同時に山田さんが自身のサイン会に来る女の子はおしゃれで可愛いと評判だと...続きを読む
  • 吉祥寺デイズ うまうま食べもの うしうしゴシップ
    職場への電車通勤中に気軽に読める本が欲しくて買ったんだけど、これが大当たり。
    詠美さんの小説はたぶん数冊しか読んでないんだけど、周りに囚われず自由に生きていくことを作品の中でとても意識的に表現されている方だと認識している。
    このエッセイ集でも、食べ物や料理の話を中心に、まるで自由気ままな彼女が本の中...続きを読む
  • 100万分の1回のねこ
    佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」へのトリビュート短編集。
    私はこの絵本を読んでいないので、もしかしたら絵本を読んだ後でこの短編集を読んだ方がいいのかな?とも思いましたが、絵本を読んでいなくても楽しめました。
    個人的には、綿矢りささんの短編が一番好きでした。
    まさかあんな展開になるとは思わなかっ...続きを読む
  • 私のことだま漂流記
    今回の作品は小説家としての自伝小説。60歳をこえた彼女がこれまでをどう振り返って、どう表現するのか興味があって読んだ。
    書くということに対して、プロフェッショナルで誠実な人であるのだと強く感じた。
    また山田詠美の新しい小説を読みたいと思っている。
  • 吉祥寺ドリーミン ~てくてく散歩・おずおずコロナ~
    熱血ポンちゃんのシリーズを含め、今までで一番政治に関する話題が多いエッセイの気がした。まぁ、今一番、日本語がめちゃめちゃな業界だからな。
    あと、栃木の山田家の近況を知れてよかった。
  • タイニーストーリーズ
    短編だけど、ひとつひとつが湿度が高くて、
    さらりと軽く読めないものばかり。
    ゆっくり楽しめて、読後の余韻がいい感じです。
  • 晩年の子供
    山田詠美の言葉選びは、やはり唯一無二だと感じる。難しい表現や言葉は使っていなくとも、ある「うまく言えない」感情や情景の描写に、惜しげもなく文才を発揮させていると思う。この名詞を、この形容詞とともに、こんなリズムで言い表すのか、と息をのむ瞬間が多かった。
  • ぼくは勉強ができない
    10代の頃ひとに勧められて読んだ数少ない本の中の一冊。ゲームのセーブポイントみたいな存在で、時々読み返したくなる。先日、身の丈に合わない本を読んでオーバーヒートしてしまった頭をちょっとリセット。ページの向こうのリア充な世界が、残念な現実の自分と向き合う勇気をくれる。
  • A2Z
    すっきりと完結、読後感がいい。
    その立場にならないと分からない心理描写なんだろうなと思う。

    以下、気に入ったフレーズ。

    •大人の女なんかじゃない。一浩が大人の男じゃないように。演技する必要のない密室の中で、大人たちは、いつだって子供に戻る。問題は、その密室を用意してくれる人間が側にいてくれるかど...続きを読む
  • 吉祥寺ドリーミン ~てくてく散歩・おずおずコロナ~
    いつも、本や映画、漫画をたくさん取り上げて下さるので、それを知りたくて読んでいる感じです。
    今回も読みたくなるものが何冊もありました。

    エッセイの中では、芥川賞を逃した古市さんへのメッセージ、児童相談所建設に反対する地域住民への意見、オシャレになりすぎてラベルが読みにくい年寄り泣かせのドリンクへの...続きを読む
  • つみびと
    これは小説だが、育児放棄(ネグレクト)で二人の子供が亡くなった実際の事件をもとにしている。どうしてこのような事件が起きてしまったのか、母である蓮音とその母の琴音の生い立ち、それに並行して、真夏の室内に置き去りにされた幼い子たちが死に至るまでの思いを代弁するような描写が優しく、読んでいて何ともやり切れ...続きを読む
  • 晩年の子供
    私は、6ヶ月後に死ぬ。
    一人抱えた10歳の彼女の思い、取った行動は。
    人との違いは受け入れる。むしろ楽しんでいたりもする。
    大人びた視野の広さや考え方を見せる一方、自分の感覚、驚きや得体のしれなさも素直に、ありのまま表現する。
    その彼女と、思いを知らぬのほほんとした周囲とのやり取りが、微笑ましく面白...続きを読む
  • つみびと
    2010年に起きた「大阪2児放置餓死事件」がモチーフとなった物語。
    この事件は記憶には残っていたものの、詳細を知らなかったので読み終えたあとに少し調べた。事件を起こした若い母親については、生い立ちや職業など、かなり事実と近づけて書かれていることが分かった。

    親子関係の問題は連鎖する、とはよく言われ...続きを読む