唯川恵のレビュー一覧

  • 夢美と愛美の消えたバースデー・プレゼント?
    双子の姉妹の一人が、小さい頃に亡くなっている。
    11歳の誕生日に、天国からやってきた。

    突拍子も無い話。幻想小説(fantasy)としてはありだと思う。
    話も明るく、学園小説している。

    軽文学のお手本のような話。

    唯川恵による「あとがき」
    樹原くり による「こんにちはくりでーす」
    が目次にない...続きを読む
  • ゆうべ、もう恋なんかしないと誓った
    解説 鎌田敏夫。脚本家・作家。
    「恋愛は殺人と似ている、と言った人がいる。それも理由なき殺人と。」
    こういう人に支えられて、唯川恵の作品が多面的な展開をしていくことが分かる。

    掌編小説集。24話。
    最初は随筆集かと思ったけど。

    いい感じで、結論をぼやかした風の作品に惹かれる気がした。
  • 孤独で優しい夜
    割と初期の作品なので、割と単純な展開。
    登場人物が、ややぶれているかもしれない。
    あるいは体験上の人物像が強く出過ぎているのかもしれない。

    ソフトウェアを仕事にしているところがナウイのかも。
    津島粧子、根岸宗吾、美帆、入江。
    根岸宗吾が、理想的過ぎないかなとやや心配。

    解説を倉本由布が書いている...続きを読む
  • 病む月
    金沢を舞台にした短編集10話。恐怖小説っぽいものもある。推理小説仕立てのようなものもある。

    題名    初出 
    いやな女 小説すばる
    雪おんな 贅沢な恋人たち(文庫)
    過去が届く午後 小説すばる
    聖女になる日(「南の島へ」改題) 青春と読書
    魔女 小説すばる
    川面を滑る風 小説すばる
    愛されん女 ...続きを読む
  • 明日はじめる恋のために
    映画誌「ロードショー」で連載したもの。

    ロミオ&ジュリエット
    好きと言えなくて
    マンハッタン花物語
    ビューティフルガールズ
    ゴールデンアイ
    魅惑のアフロディーテ
    フェノミナン
    彼女は最高
    ショーガール
    ため息つかせて
    ザエージェント
    不滅の恋 ベートーベン
    ジェインエア
    フェイク
    アンカ−ウーマン...続きを読む
  • 夢美と愛美の謎がいっぱい? 怪人Xを追え!
    著者が読者に合わせて文章が書けることは、
    薄々気がついていた。
    ちょうど、赤川次郎のように。
    それは直木賞作家に失礼かもしれない。

    とにかく、中学生視点で楽しい物語。
    樹原くりの絵も、物語によくあっている。

    謎の怪人も、もろわかりなんだけど、
    そこが微笑ましい筋なので許せる。

    もっと書いて欲し...続きを読む
  • 彼の隣りの席
    著者は強欲だ。
    2人の正反対の理想を、同時に手にしようとする。
    主人公は同時に2人は手にできないが、
    著者は、2人を動じに著作の中に表現して自分のものにする。

    自分の理想を記述して、自分でほくそえんでいる著者のまなざしが、創造できる。著者は強欲だ。

    私がもし著者なら、「メヒコの風」という題にする...続きを読む
  • OL10年やりました
    解説は酒井順子。
    著者より10歳若いだけあって、気を使って書いている。
    「普通のOLであるということを正面から受け入れている!何ててごわい!」

    中身は随筆というか、経験談というか。
    金沢で勤めていた頃の話。

    小説に出てくるネタもいろいろあるので、
    小説を楽しむ上で読むのがよいかも。
  • 永遠の途中
    おもしろい!
    違う道を選んだ二人の女性の人生を、生々しいぐらいリアルに書き上げている。女の幸せ、嫉妬、僻み、そんなものがうまく描かれていて、グイグイ引き込まれていきました。のりこ派の自分としては、未来の自分を見ているような気持ちになり胸が痛むこともしばしば。(笑)
  • ため息の時間
    短編小説9話。
    口紅
    夜の匂い
    終(つい)の季節
    言い分
    僕の愛しい人
    バス・ストップ
    濡れ羽色
    分身
    父が帰る日

    あとがきによると、男性主人公の話とのこと。
    読んでいて、言われれば、そうかと気がつくくらい、
    女性の視点、唯川恵の視点が明確で気がつかなかった。

    初出が、小説新調、週刊朝日、小説工...続きを読む
  • 愛に似たもの
    短編8話。
    真珠の雫
    つまづく
    ロールモデル
    選択
    教訓
    約束
    ライムがしみる
    帰郷

    解説を橋本紀子が書いている。
    「あ、「わたし」のことが書いてある」
    橋本紀子って存じ上げなかったので調べてみた。
    教育学者とのこと。すごい。

    女性の自立と子どもの発達 北欧・フィンランドに学ぶその両立への道, ...続きを読む
  • 愛なんか
    1999年頃に雑誌に連載した短編小説群。
    解説を藤田香織が書いている。書評家。
    唯川恵の読書遍歴と直木賞受賞の頃のいきさつを書いている。

    「愛なんか」は、色とりどりの主人公。
    幸せな終わりではなく、人生の途中という感じの話がちらほら。
    我が儘限りを尽くしながら人間性があったり、
    人間性に押しつぶさ...続きを読む
  • シフォンの風
    江國香織が解説「あっさりとつき進む」を書いている。
    「シフォンChiffone。縦糸と横糸が同じ太さの片撚り生糸を、あらく平織りにした絹織物。非常に薄く柔らかなので、ヴェール、イヴニングドレス、リボンなどに用いる。絹モスリン。」
    すごい、解説者に、本当に解説を書かせている。

    著者が文庫版あとがきに...続きを読む
  • 息がとまるほど
    短編小説。8話。

    無邪気な悪魔
    ささやかな誤算
    蒼ざめた夜
    女友達
    残月
    雨に惑う
    一夜まで
    あね、いもうと

    「あね、いもうと」は、明らかに恐怖小説。一部推理小説のように終わりが読めなかったものがある。

    登場人物の性格に共感できない。著者が書いている人間の心理、人間であることとは何か、について...続きを読む
  • 不運な女神
    不幸な女性をたくさん記述している。
    別冊文藝春秋とオール読物に掲載したもの。
    2001年から2003年。

    初めの数題は、前の話の脇役が、次の話の主役になって、関連した話しになっている。

    唯川恵の腕が鳴っている。

    どんなに不幸な人間を主人公にしても、
    誰かを恨んだりすることがあっても、
    犯罪をひ...続きを読む
  • 愛しても届かない
    解説を 田中雅美 が書いている。
    「生活の場所で感じるさまざまなおもいをしっかり把握して,小説というかたちにしてくれる」

    たしかに、等身大という言葉が、唯川恵にはふさわしいかもしれない。

    「生きかたというものをあらためて考えさせてくれた小説である」

    場合によっては著者の分身が、場合によっては著...続きを読む
  • 今夜 誰のとなりで眠る
    真以子
    協子
    じゅん子
    七恵
    佑美
    5人の登場人物は誰が作者の分身なのだろう。

    解説を 温水ゆかり が書いている。
    「鏡に映った自分の醜い姿を見せられた気になったことを、ここで告白しなければならない」
    作家にこれだけのことを言わせる作家もすごいが、それを素直に表現できる解説者も、きっとすごいのだろ...続きを読む
  • 恋人たちの誤算
    流実子と侑里
    2人の主人公が、それぞれの人生において躓く。

    1度だけでなく何度も躓く。
    躓く。躓く。躓く。

    2人が躓いた先は同じ。
    社会の仕組みの堅さに、
    しなやかに生きていけない主人公。

    どちらも著者の分身かもしれない。

    幸運だけで著者がここまで来たのではないことが分かる。
    読み進むのが辛...続きを読む
  • めまい
    短編恐怖小説10話。

    恐い。途中で何度も読むのをためらった。

    解説の篠田節子さんは、これは「恋愛小説集」だと書かれている。
    立場が違うとそう読めるのかと、とても参考になった。

    読んでいる最中は恐いが、後味が悪くないのは、作家の人間性なのだろう。
    悪意で書いているのではなく、ところどころ善意が垣...続きを読む
  • 夢美と愛美の消えたバースデー・プレゼント?
    主人公の夢美が、11歳の誕生日の夜に、1歳のときに死んでしまった双子の愛美がとつぜんあらわれました。そして、夢美の誕生会のときに、幼馴染の翔太くんと、その友だちで、スポーツも勉強もできる一番人気の松岡くんもきてくれます。しかし、松岡くんからもらったハンカチが学校で消えてしまいます。そのハンカチはどう...続きを読む