唯川恵のレビュー一覧

  • テティスの逆鱗
    女優、OL、キャバクラ嬢、資産家令嬢、年齢も職業も異なる4人の女性達は様々な理由で美容整形外科に通います。

    エスカレートするその「美」の追求は、禁断の領域にまで達し「触れてはいけない何か」に近づいて行きます。

    この4人の女性達、そして彼女達を作り上げて行く美容整形外科の女医、それぞれの人物の...続きを読む
  • 雨心中
    第一章~第八章、そして最終章に至るまでに所々に隠された伏線がラストに至るまでに綺麗に繋がって作者の力量が感じられます。

    芳子と周也は当然ですがその他の登場人物カオル、ハオ 本当に憎くなる多崎、堂島の人物描写は見事でかなり感情移入して読めました。

    悲しいラストですが、その後の芳子と周也が幸せに...続きを読む
  • セシルのもくろみ
    女性心理を描かせたら抜群の唯川恵さんの長編小説です。

    何ともイジワルな女達の行動に気分が悪くなりつつも、主人公・奈央の行方が気になってあっと言う間に読み終えました。

    ラストに至っては平凡な感じですが、ヘアメイクのトモさんとの掛け合いで、ほっとする場面もあり恋愛もあり面白い作品に仕上がっていまし...続きを読む
  • 雨心中
    女の愛の業の深さ。主人公はただ愛することで、薫もただ生きているだけで複数の男性の運命を転がしていく。読み終えた後、しばらく余韻に浸れるずっしりとした作品。
  • めまい
     狂気(歓喜)の短編集!
     
     女が恐ろしいと思う話ばかりで、呼んだのは前になるんですが、貪るように読みふけってしまったことを覚えています。一本一本の話の狂気さもさることながら、きれいな文体で読みやすかったですよ。

    僕のように「嫌な気分」になりたい人には是非とも薦めたい! あと、人が崩れていく、狂...続きを読む
  • 燃えつきるまで
    すごく心臓にきました。ドキドキしました。
    失恋により負った傷を、他の人と比べて『自分はこんな風にはならない』『この人の不幸よりはマシだ』と思い安堵する気持ち。
    自分の惨めさを認めたくない気持ち。
    恋を失った時、相手じゃなくてそういう自分と向き合うのが面倒だから恋愛に億劫になるのかもしれない。
    やらな...続きを読む
  • 今夜 誰のとなりで眠る
    結婚することでの家庭を作っていく責任は負いたくないけど、彼を手放したくない真以子。
    仕事はできるが世間知らずで、ひとりで子どもを産み育てるかを決めきれない脇子。
    結婚している時、夫婦の間に常に秋生を感じていた七恵。
    何も望まず、ただ秋生と暮らしていた佑美。
    外見のコンプレックスが行動原理になってしま...続きを読む
  • 淳子のてっぺん
    登山家の田部井淳子氏をモデルにした一人の女性の人生の物語。
    出てくる色々な山を検索、想像しながら読みました。
    淳子さんだけでなく、魅力的な人々がたくさん登場しました。
    夫の正之、パートナーのマリエ、大学の友人·麗香、それからアン·ツェリンをはじめとするシェルパの存在。

    体が浮き上がるほどの風、頭が...続きを読む
  • 手のひらの砂漠
    わからない、わからない。いったいどうしてこんなことになってしまったのか。私たちは幸せだった。愛し合っていた。贅沢を望んだわけじゃない、何か特別なものが欲しかったわけでもない、ごく普通の朝起きたらおはようと言い、帰ってきたらおかえりと迎えに出て、食卓に笑い声が上がるような、そんな暮らしをしたかっただけ...続きを読む
  • バッグをザックに持ち替えて
    とても面白かった!
    自分も山登りをするのですが、初めての登山のぐったり感からの、山に徐々にハマっていく過程がほとんど同じで、共感の嵐。
    ひたすら頷きながらあっという間に読んだ。
    山の魅力を余すとこなく、とても読みやすく書かれている。
    また読み返したいな
  • バッグをザックに持ち替えて
    この間読んだ『淳子のてっぺん』の著者の山行エッセイ。
    愛犬のために軽井沢に引っ越した著者。
    しかし老衰により死亡。そのロスを埋めるように、夫が浅間山に登ることを提案。初めての登山は辛かったが、やがて山の魅力に取りつかれ、エベレストへ行くまでを作家らしい筆致で丁寧に綴られている。
    しかし、涸沢カールの...続きを読む
  • 淳子のてっぺん
    田部井淳子さんをモデルに、その幼少時代から、登山に目覚め、アンナプルナやエベレストに女性だけの隊で初登頂を果たすまでを描いた小説。

    山行のシーンが生き生きと描かれていて、また山に登りたくなった。
    一方で、初登頂という華やかな結果だけでなく、隊の中の人間模様や処々の苦労なども描かれていて、親近感もわ...続きを読む
  • 夜明け前に会いたい
    ザ・恋愛小説で、展開もなんとなく予想できるけど、金沢の情景がそうさせるのか、なんだか心が澄んで穏やかな気持ちになる本だった。芸妓や着物といった古き良きトピックも、読んでいてなんだか背筋がすっと伸びる感じ。雰囲気が好きな本。
  • キスよりもせつなく
    ぐんぐん読めるお話。今までの自分を変えたり、一歩進める恋をしたいと思える作品。
    しっかり向き合ったらわかる一面は誰にでもあるんだなと思った。
    --捨てるものは、かけらほど些細なプライド
  • 雨心中
    周也のような純粋だけど生い立ちと性格のせいで社会に馴染めない人間って、苦しみにながら生きていくしかないように思える。
    そして周也のような人間に関わってしまった女性は、自分の人生を犠牲にしてしまう…
    なんとも救いようのない話で、ラストはこうなるしかないよな、と悲しいながらも納得してしまった。

    不幸に...続きを読む
  • ベター・ハーフ
    バブル崩壊前後の出来事を織り交ぜながら、夫婦間の問題が
    ありふれた日常のように上手く書かれていました。
    男女間の考え方の違い、どこにでもありそうな夫婦喧嘩。
    お互いに溜め込んでいた不満、何かの時に湧き出てくる感じが
    身近なこととして感じられました。
  • 恋人はいつも不在
    サクサク読み進められる本。
    自分自身の境遇と重ね合わせ、想像もしやすい。
    男女の分かり合えない部分、ぶつかり合い、そしてそれを乗り越えたその先になにがあるのか、わかったような気がする。

    自分自身、3年付き合った恋人と別れたばかりに読み、少しの後悔と一歩を踏み出す力をもらえた作品!
  • 瑠璃でもなく、玻璃でもなく
    不倫と離婚を経験する2人の女性。
    どちらの女性の心情も、見事に表現されています。
    両方とも辛い経験なのに、それほど暗さを感じませんでした。
    読んだ後に「しっかりこれからの人生を考えてみよう」と思えましたが
    読む立場や考え方によっては好き嫌いが分かれる作品かもな、と思います。
  • 淳子のてっぺん
    女性登山家・田部井淳子さんをモデルにした山岳小説。
    であるとともに、夫婦愛の物語でもある。
    それは、アンナプルナへ出発する前日の会話に象徴される。留守を預かる夫への感謝の言葉とともに「必ずアンナプルナの頂上に立ってみせるから」と言う淳子に、夫が答える。
    「言っておくけど、てっぺんは頂上じゃないからな...続きを読む
  • 夜明け前に会いたい
    「自分の惚れた男が幸せになれば、自然と自分も幸せになる。すべては自分に返ってくるんだよ。そのこと、忘れるんじゃないよ」美しいけれども厳しい冬を迎えた金沢が舞台。着物と金沢が好きな私にとってはにやにやが止まらない。加賀友禅を身につけ、凛とした強さとたおやかさを持つ女性に憧れる。金沢がよく似合う女になろ...続きを読む