伊藤典夫のレビュー一覧

  • スローターハウス5
    SFをはじめて読んだ。めまぐるしく場面がかわるのに読みやすく、おもしろかった。生きるとか死ぬとかいうことをよく考えるので興味深かった。徹底的な「SO it goes.」にじわじわと打ちのめされる。本から離れ現実世界に戻ると不思議な余韻がつづく。こんな体験ははじめてです。
  • 華氏451度〔新訳版〕
    70周年
    だいぶ面白かった。
    序盤はクセのある情景描写や隠喩が続いて、古い小説特有の読みにくさがあると思った。ベイティーが家に来るシーンあたりで設定の骨格が分かってきた。
    ベイティーがとても好き。即座にあれだけの引用が出てくるあたりもともとはすごく読書家だったんだと思う。そんな中仕事を割り切れたベイ...続きを読む
  • 華氏451度〔新訳版〕
    本をめぐる、もはや古典。叙情性、象徴性に満ちて描かれている焚書の時代。掴みどころがない。だからこそ想像の余地があると言えようか。本が失われた世界のあり方が不気味だ。
  • 2001年宇宙の旅〔決定版〕
    1968年の作。HALとか結末とか、こういう話だとは知らなかった。
    月面基地で、低重力だと子供の成長が早いというのは、そうなの?と思った。
  • 猫のゆりかご
    SF。
    ボコノン教という宗教を中心とした終末SF。
    登場人物は変な人ばかり。ボコノン教もおかしな宗教。ストーリーも荒唐無稽。
    とにかく奇妙な作品だが、地味に感動できて、印象的なセリフも多い。
    ヴォネガットの著作の中でも、かなり好きな作品。
  • 2001年宇宙の旅〔決定版〕
    昔、映画をみた記憶はほとんどなかったけれど、読んでいくうちに思い出してきた。HALのところは結末を知っていても読むのが怖かった。絶対に味方と思っている存在が敵になったのに、冷静に対処して、最後には許せてしまうのが凄い。
  • 2001年宇宙の旅〔決定版〕
    映画を見た後に読書。
    いちいち描写というか想像力が緻密で雄大でした。
    テンポも良くて、この訳した方の高い文章力も相まって非常に良かったです。
    ここまでのSFの展開は巨匠ならでは、と思います。
    AIの反乱
    地球外生命体
    生命の進化の極地
    どれか1つでも頭がパンクしそうなテーマを見事にまとめていたと思い...続きを読む
  • スローターハウス5
    ドレスデン無差別爆撃の話。


    ビリーが第二次大戦における米軍爆撃機隊の活躍する深夜映画を逆向きに観て、負傷者と死者を乗せた穴だらけの爆撃機が逆向きに飛び立ってゆき、爆弾や銃弾を吸い込み、新品に戻り、軍需工場で解体され、鉱物になり、それをだれにも見つからない地中深く埋める、という一連の映画逆再生のシ...続きを読む
  • 2010年宇宙の旅〔新版〕
    2001年宇宙の旅の続編(ただし小説版ではなく映画版の設定を引き継いでいる。)

    ソ連国籍のレオーノフ号に、アメリカ組のフロイドら3人がソ連宇宙飛行士たちと同乗し、2001年に乗員を失ったアメリカ船ディスカバリー号を回収することを目的に木星へ向かう。
    フロイドらはディスカバリー号の回収を行いつつ、木...続きを読む
  • 猫のゆりかご
    ヴォネガット長編3冊目は『猫のゆりかご』
    出だしからしてヴォネガット節がきいている笑

    本書には真実はいっさいない。
    「<フォーマ>*を生きるよるべとしなさい。それはあなたを、勇敢で、親切で、健康で、幸福な人間にする」 ー『ボコノンの書』第一の書第五節
    * 無害な非真実

    そうだよねえ...いやそう...続きを読む
  • スローターハウス5
    栞を使わずに7日間かけて読んだ。栞を使わないので次にすでに読み終わった場所を読んでいることもあった。題名がピチカートファイブみたいでいいですよね。かっこいい。今思いついたけどプレオー∞の夜明けとも似てる気がする。あれも戦争の話だ。
    戦争の話なんだよな。小説の存在するひとつの意味として後世に伝えるって...続きを読む
  • 猫のゆりかご
    「猫のゆりかご」ってなんだろう。

    マザー・グースの詩に
    「風が吹くと、ゆりかご揺れる、ゆりかご揺れて赤ちゃん落ちる、落ちると...」(思い出したまま)
    という恐いのがある。

    読み始めてすぐに謎はとける、がその後の展開に怖ろしい予感。
    世界が終末をむかえるのか。

    短い文章の章立て。勿論シニカル。...続きを読む
  • スローターハウス5
    普通、物語のはじまりが思い出からだったり、思い出がはさまれたりすると情緒がただようのである。が、この小説は「けいれん的時間旅行者」という思い出の進行、なんとも読者は不思議な気持ちにさせられる。

    主人公ビリー・ピルグリムは現在、過去、未来を行ったり来たりしている「けいれん的時間旅行者」。そうなったの...続きを読む
  • たんぽぽ娘
    安心して読めるSF。皮肉ではない。
    どこか暗い背景を持ち、不穏な雰囲気が漂うが、結末は…安心します。
  • スローターハウス5
    著者が体験したドレスデン爆撃がテーマ。スローターハウスとは食肉処理場のことで、旧日本語版タイトルは『屠殺場5号』となっていた。ヴォネガットらしくユーモアは散りばめられているが、決して楽しく明るい物語ではない。戦争という殺戮について語るためにはこのような形にならざるを得なかったのだろう。1章はこの本を...続きを読む
  • 死の鳥
    読中は圧倒的な悪夢におぼれるよう、読後は切ない寂寥感が残る。
    創世記をSF的別視点で書いた「死の鳥」、永遠に地獄が続く「おれには口がない」、文明の進歩を自問する「ジェフティは五つ」。
    重くて短編集の感じがしない。
  • 2010年宇宙の旅〔新版〕
    面白かったけど、謎が多いまま。

    2001年宇宙の旅は、原作と映画が後の方でずれたため、映画の内容に合わせて少し書き換えられている。
    土星だったのが木星に。などなど。

    9年前に土星(設定が今回木星へ変更)の調査に行った宇宙飛行士たちの中でボーマンだけが、星がいっぱいという言葉の後いなくなった。
    ...続きを読む
  • 2001年宇宙の旅〔決定版〕
    HALの反乱みたいな話は知っていたのでそこが主眼かと思ったら全然違った。強いAIが完成したらこんな感じかな…というのも違和感なく楽しめた。
    生命の在り方、人智を超えた生命、みたいなテーマもとても面白い。安っぽくない答えが素敵。
    ただラストはなんか決めきれなくて難解になっちゃった感じ。読者に委ねたのか...続きを読む
  • 歌おう、感電するほどの喜びを!〔新版〕
    失われたものへの郷愁、失われるものへの愛惜、人間存在というものの滑稽さへの優しい眼差し、それらを深い叙情で包み込んだ、ブラッドベリの幻想短編小説集。『明日の子供』『ニコラス・ニックルビーの友はわが友』などがお気に入り。
  • スローターハウス5
    1945年2月。捕虜としてドレスデンにいたカート・ヴォネガットは、連合国軍によるドレスデン爆撃を目の当たりにした。長年その体験を小説にしようと考えてきた彼は、ビリー・ピルグリムという男を創造する。ビリーは同じくドレスデン爆撃を生き残ったが、帰国後にトラルファマドール星人に捕まって以来〈けいれん的時間...続きを読む