伊藤典夫のレビュー一覧

  • あまたの星、宝冠のごとく
    2年ぶりのティプトリー作品は、装丁がこれまた印象的な「あまたの星、宝冠のごとく」。この作品、初訳にしてなんと2016年刊行。早川書房の創立70周年を記念する文庫企画「ハヤカワ文庫補完計画」の一環として発表されたようですが、没後30年を経過してなお読書を魅了し続けるティプトリーになんだか感動してしまっ...続きを読む
  • 三惑星の探求
    SF。中短編集。
    人類補完機構シリーズが5作品。うち4作品はキャッシャー・オニール・シリーズ。
    キャッシャー・オニールの物語は、冒険小説の趣向が強い。
    情景描写の美しさと、キャラクターの魅力が素晴らしい。
    やはり「嵐の惑星」がベストか。ト・ルースが魅力的すぎる。
    「三人、約束の星へ」は極めて特殊なキ...続きを読む
  • 三惑星の探求
    壮大なSF、ファンタジー、神話的、宇宙史。
    その一部分を1長編と3中短編集で垣間見ることが
    できるが、残念なのはその全てを知る
    神に等しい人物が全てを明らかにする前に
    未来の世界に帰ってしまったこと。
    そして、うっかり数千年分の歴史を紛失したこと。
    作者も読者も不完全燃焼であろう。
    完全に整っている...続きを読む
  • 歌おう、感電するほどの喜びを!〔新版〕
    表題になっている一編が気になって読んだ。収録作品はどれも面白かったけど、やっぱり歌おう!が格別すてきだった。
  • 2010年宇宙の旅〔新版〕
    壮大すぎてなにがなんだかわからないといったところはあるが、やはり今回もSFらしいSFで、満ち足りた読後感。
    ハルとの最後のやりとりは緊張感がある、そして小さなどんでん返しもチャンドラ博士のユーモアが垣間見られて愛おしい。偏屈な人がここぞという時に見せる笑顔って恐ろしく魅力的だよなーと。
    そして、ハル...続きを読む
  • スローターハウス5
    わたしはキリスト教的決定論を信じるタイプである。
    運命はすでに決まっていてあとは神に導かれるまま生きるだけ だからこそ臆せずに自らをしっかり持って貴重な一日を生きることができるから。
    あの時ああしていれば、わたしがこうしたせいで、という後悔の仕方はしない。自分がどのように行動しても遅かれ早かれその...続きを読む
  • 3001年終局への旅
    クラークさんが頑張ってモノリスを終わらせた
    表紙   6点
    展開   6点
    文章   6点
    内容 645点
    合計 663点
  • 2001年宇宙の旅〔決定版〕
    月で見つかった、300万年前の知的生命体の存在の証拠
    そしてその正体を掴みに行くべく始まる土星への宇宙旅行
    宇宙旅行に同行するAIの反乱

    AIと人間、宇宙と人間以外の知的生命体
    がテーマの壮大な世界観のSF小説
    想像力をかき立てるワクワクする小説だった
  • スローターハウス5
    けいれん的に起きる時間旅行のせいで最初のうちはとても読みにくく感じたが「そういうものだ」と思ってからは引き込まれた。捕虜生活、ドレスデン爆撃の、渦中にいながらもどこか達観した、俯瞰するような視点は『夜と霧』やら『If This Is A Man』など多くの死に触れ生き延びたもの独特の何かを感じさせる...続きを読む
  • 死の鳥
    ワン・アンド・オンリーな孤高のSF作家、ハーラン・エリスンの日本独自編集短編集。
    日本人SF者として何が嬉しいかって、収録作全てが伊藤典夫氏の翻訳だということ。エリスンの作品は、全編これ暴力と狂気の世界です。猥雑で非情で容赦のないこの世界観を、悪趣味一歩手前のギリギリのラインで美しい言葉遣いでまとめ...続きを読む
  • 2010年宇宙の旅〔新版〕
    2016/11/09-2016/11/10
    星4.3

    『2001年宇宙の旅』の続編。この後に2061年、3001年と続く。

    2001年に比べて随分ダイナミックな文章になっていて、すぐ読めた。2001年の方で投げっぱなしだった疑問点がいくつか解消するような、そういう話だった。ここからどうやって20...続きを読む
  • 死の鳥
    「悔い改めよ、ハーレクィン」とチクタクマンはいった、とか、おれには口がない、それでもおれは叫ぶ、とか、いやいやいや、邦題がww
    読んでいる間じゅう不吉さが低周波のように感じられるところが大好きなマルケスっぽいんだけれど、あの乾いた感じがなくてずっとぐじゅぐじゅしててきもちわるい。でもページをめくる手...続きを読む
  • 死の鳥
    『ランゲルハンス島沖を漂流中』に挟まれる
    愛犬の感傷的エピソード、
    『ジェフティは五つ 』が突き付ける圧倒的ノスタルジー
    にもかかわらず絶対者による徹底的、無慈悲な暴力。
    それに抗う人や飲み込まれる人。
    甘く苦く切なく辛く、常識的で狂気もはらむ、
    いろいろな感情・感性を刺激させられる短編集。
  • 猫のゆりかご
     吉野朔実が子どものときに読みたかった本として挙げていたため、興味を持って読むことにした。どうしてこれを子どものときに読みたいと思ったのだろう、と疑問に思ったが、確かに小さな頃に見ていれば、価値観というか見方がひっくり返ったかもしれない(?)。
     最初はただの普通の話だと思っていたが、空想の島「サン...続きを読む
  • スキャナーに生きがいはない
    基礎知識が定まらないのと
    まだこれしか読んでいないので
    評価は難しいのだけど
    舞台や道具はともかく、物語の中にある
    人間的な部分、ロマンチックな思いは
    いまも色あせないのではないか。
  • たんぽぽ娘
    SFというか村上春樹的な話で、人間の心の機微を題材にしたものが多く、また男女の交際もかなりの頻度で物語のキーになっている。短編はどれも楽しめたものの、表題にもなっているたんぽぽ娘自体は普通のタイムパラドックスものでした。
  • たんぽぽ娘
    おとぎ話のような雰囲気のあるロマンチックなSF短編集。表題作の『たんぽぽ娘』のみ既読でしたが、やはりこれが最高の出来。
    『エミリーと不滅の詩人たち』『主従問題』『神風』『河を下る旅』も好み。
    面白くないなと思うものもあり玉石混交の感はあります。
  • たんぽぽ娘
    ・R・F・ヤング「たんぽぽ娘」(河出文庫)の 「編者あとがき」にかうある。「ヤングの短編集を編むとき、ぼくが特化したのは、ロマンスものーーというか、彼のボーイ・ミーツ・ガールものである。ほか の作家ならいざ知らず、彼の作品中ずばぬけた出来ばえを見せているのはボーイ・ミーツ・ガールものとそのさまざまな...続きを読む
  • たんぽぽ娘
    奇想コレクション最終回配本。で持っているのに
    文庫本を買ったのは、ざっくりとした短い話で
    ふわっとしたい気分になりたいときに
    ポケットに入れておけるから。
    それにしても、ちょっと前まで
    入手困難な幻の名作がうちに3冊もある。
    ネットで英語版、苦労して読んだ反動だ。
  • 猫のゆりかご
    かわいいタイトルだけど、内容は相当に人を喰っている(笑)。
    ジャンルは終末世界SFになるのだろうか。架空のボノコン教という宗教が出てくるのだが、その『ボノコンの書』の冒頭はこんなだそうだ。
    「わたしがこれから語ろうとするさまざまな真実の事柄は、みんな真っ赤な嘘である」

    すべての物事は大まじめに進ん...続きを読む