星新一のレビュー一覧

  • 声の網
    70年代に書かれた小説だが、作中の「声の網」とはいわばインターネットであり、その予見力は凄まじい。本格は連作短編集の形式を取っているが、一本一本の短編は、いつものショート・ショートに見られる切れ味の鋭さはなく、どれも茫洋とした結末を迎える。だがその背後で進行する徹底した管理社会への変貌と、それによる...続きを読む
  • ようこそ地球さん
    ショートショートの枠の中に、風刺の効いたブラックな世界が広がる。
    今読んでも、ぞっとするほど怖い。
    セキストラ、空への門、愛の鍵、処刑、殉教などが特に凄みを感じた。
  • さあ、気ちがいになりなさい
    それぞれの話はまったく違う展開をみせるのだが、どの話にもちゃんとオチがある。話がうまいとはこういうことかと。とても楽しめました。
  • 声の網
    めちゃくちゃ面白かった。途中までは、ひとの噂話とか秘密とか勝手に話題にするようなことはダメだよなといった教えのことかなと漠然と思っていたのだけど、途中から、電話とコンピューターのテクノロジーと人との共存が課題だったり、もしかしたら未来はAIが人格を持ち、人間が反対に支配されるのでは?って予測の話とわ...続きを読む
  • 人民は弱し 官吏は強し
    15年ぶりくらいに再読
    作者の各評伝だけでなく小説全作を合わせても著しく小説らしい作品
    かたきとしての「官吏」だけでなく
    それに対して処そうとするやりかたのあまりに特異な父親にも
    そしてそれを知ることのないまま社業を放った自身にも
    複雑な感情を乗せている
    星一という現在の目からも怪異な人物の一側面を...続きを読む
  • 声の網
    1970年代に書かれたとは思えないぐらい、現代社会にフィットした物語。
    どのような技術で実装されるかに差異はあっても、人間が環境や摂動にどう応答するかの予測は驚くほど正確だと思う。
    また、より多くの情報の蓄積を求めるという性質は「ホモ・デウス」でも予言されていて、改めて作者の先見性に驚いた。

    情報...続きを読む
  • きまぐれロボット (角川つばさ文庫)
    星新一は、本当にショートショートの神様だと思う‼︎

    一つ一つのお話が本当に短いから、読みやすい。
    これを読めば、ショートショート、そして星新一にハマると思う‼︎
  • 明治の人物誌
    再読
    自身の父親に関する人物たちの評伝
    解説にあるようにその父親が評価した側を取り上げることで
    その行動の正しさを肯定したい信条が全体を支持している
    自分のことだからそうでない側は書けなかったのだろうか
    一面でなく様々な面からの視点を一人の著者に求めるものではないだろうけれど
  • 盗賊会社
    素っ気ないほどのシンプルな文章で、飽きずに読めるショートショートが36編。もしかして実話なんじゃないかと思わせる「ぼろ屋の住人」、あまりにも悲しい「善意の集積」、そのうち現実が追いつくかもしれない予言めいた「長い人生」あたりが特にお気に入りである。
  • 凶夢など 30
    ん? ちょっと待てよ……な「考えオチ」が少し多い印象。しかしながらショッキング極まる表題作「凶夢」、ユーモラスな味わいが気持ちいい「生きていれば」、人類という存在の根底を問う壮大な巻末作「捕獲した生物」など、ビシっと決まるものもちゃんと用意されている。
  • 未来いそっぷ
    中学、高校生時代くらいに、何かの機会で手に取り一読出来ていれは、その時にしか得られない刺激になる。自分がそうでした。
    星さんのショートショートは思春期に触れるのが何よりもいい。古さと新しさが混在するからだろうと思います。

    こんな作家は唯一無二で、なかなか次の世代のショートショート作品に出逢えてない...続きを読む
  • さあ、気ちがいになりなさい
    さあ、気ちがいになりなさい。フレドリックブラウン先生の著書。奇妙だけれどとても面白くて最後までハラハラドキドキしながら楽しめる短編小説の数々。翻訳はショートショートで有名な星新一先生。星新一先生のファンの皆様には、ぜひ読んでほしい一冊です。
  • 未来いそっぷ
     1000ある星新一のショートショートを半分も読んだわけではないが、少なくとも100本以上は読んでいるので大体の傾向は分かる。
    ほとんどは何かのアイディアや発明で楽をしようとすると最後にしっぺ返しが来ると言うドラえもん的なオチが待っているのだが、中には救いようの無い悲惨なオチが待ち受けていたりして「...続きを読む
  • 城のなかの人
    SFの巨匠として名高い星新一の時代小説を集めた作品集。戦国時代の終焉を豊臣秀頼の視線で描いた「城のなかの人」から開幕し、奇妙な親子関係が織りなす成り上がりストーリィ「春風のあげく」、時代劇の悪役の定番・由比正雪に意外な人物がからむ「正雪と弟子」、SFショートショートに近い味わいを持つ「すずしい夏」を...続きを読む
  • 悪魔のいる天国
    悪魔のいる天国、ウンザリする偉大な志、心の込もったオベッカ、人間臭いロボット、そんな噛み合わせの悪さが見事なエンターテイメントとなっている一冊。個人的には、妻がキツネツキになった夫婦の治療を描いた「こん」がツボった(オチに声出して笑った)。何本か「これ前に読んだな?」と思う話に出くわしたが、あとがき...続きを読む
  • ちぐはぐな部品
    『きまぐれロボット』には一応「児童向けのSF」という枠組みがあったが、こちらはテンデンバラバラ、多種多様なショートショートが集められている。全編哀しみに満ちたSF巨編「凍った時間」、ナンセンスギャグが炸裂するファンタジー「恋がいっぱい」、欲深い男2人が痛快な大岡裁きでやりこめられる時代もの「名判決」...続きを読む
  • ようこそ地球さん
    アッと驚く大逆転が満載な42本のショートショート集。予想の斜め上を行く意外な結末であったり、我々が普段なにげなく信じている倫理・道徳であったり、日々の生活の中でスルーしている事柄であったり、そんな色々なものが、短いストーリーの中でひっくり返される衝撃たるや! そして作中で提示される逆転の数々は、いず...続きを読む
  • 気まぐれ指数
    私の大好きな<最後まで読んだらタイトルの意味が分かる>タイプの物語だった。登場人物のクセモノぶりが紹介される序盤、先行き不透明な騙し合いが展開される中盤を経て、星新一の得意技である「どんでん返し」がマシンガンのように連発される終盤は、もう驚きを通り越して抱腹絶倒もの。「ショートショートとちがって長編...続きを読む
  • 地球から来た男
    展開は完全なギャグなのに不思議な哀愁がただよう表題作「地球から来た男」、シュールを極めた怪作「ある種の刺激」、むやみにスケールが大きくてオチの方は小さくまとまるアンバランスさがたまらない「戦士」など、アイデアの豊かさに圧倒される。以前別の本で読んだ話と似通っていても、味わう驚きは重複しない。星新一は...続きを読む
  • たくさんのタブー
    肌触りは『おのぞみの結末』に近い感じ。宇宙人やUFOはほとんど登場せず、ミステリー/ホラー系が多い。毎度思うのだが、星新一の現代ものショートショートは、「もしかして、今どこかでこんなことが起きているかも?」と思わせるような、日常世界に肉薄したリアルさを感じさせる。著者のするどい観察眼の賜物なのであろ...続きを読む