筒井康隆のレビュー一覧

  • 大いなる助走

    全てにおいて強烈!

    是非々々一回は読むべき本、しかし、二回読む本ではありません。
    人間の汚さが、あまりにも“露骨に”書かれ過ぎてます。
    まるで、目の前に「膓」をぶちまけられた感覚…。
    私の読書歴の中でも読後の不快感は断トツのトップ…。
    でもあえて、その「不快感」を感じる価値がある本です。
  • おおかみこどもの雨と雪 角川アニメ絵本
    ・わらいあり、なみだありの、かんどうものがたりです。
    ・雨はおおかみの先生といつも森でパトロールしていて、雪はもうおおかみにならないときめています。ひさしぶりに雨が雪に森のことを話して、「雪も先生のところで森をパトロールしろよ!」と言い、雪が「行くわけないでしょ。もうおおかみにならないってきめたの!...続きを読む
  • 巨船ベラス・レトラス
     文壇をテーマにした小説らしいということで読み出したがすでにそうしたものには『大いなる助走』がある。うろ覚えで恐縮だが新進作家が文壇の俗物どもにいいようにされて最後にぶち切れて文壇皆殺しをはじめるといった話でなかったか。筒井康隆ともあろう者が同じようなものを書くとも思えぬ。と読み出してみると似たエピ...続きを読む
  • 虚航船団(新潮文庫)
     本書が単行本で出たときに買ったのだが、積ん読になったまま幾星霜。
     宇宙を航行している大船団がある。その一宇宙船に船団司令部より指令が下る。使命は惑星クォール全居住民の殲滅。
     鼬族の人口爆発により彼らによる犯罪が頻発。特に凶悪な鼬族約千名を3度にわたり惑星クォールに流刑にして約千年。鼬族は惑星ク...続きを読む
  • ダンシング・ヴァニティ(新潮文庫)
     本作は文学的実験である。しかし同時に娯楽小説でもある。実験の主たる手法は反復。
     「おれ」は美術評論家で、母親と妻、幼い娘、出戻りの妹とその娘と先祖代々の家に住んでいる。ストーリーは「おれ」の本が売れたり家を建てたり画家と付き合ったりという美術評論家の日常であるが……
     「ねえ。誰かが家の前で喧嘩...続きを読む
  • 銀齢の果て(新潮文庫)
    星1にするか星5にするかでとても悩みました。
    どうせなら、星0ということが出来ないかとも思いました。
    少子高齢化により溢れかえった老人達に暗喩ではなく本当の殺し合いをさせる社会を描いた筒井康隆さんらしい狂気とエロティシズムと社会批判に満ちた不快で仕方がない作品です。

    毎度のことですが、筒井康隆さん...続きを読む
  • 文学部唯野教授
    学問小説、と言う一風変わった形式。毎章後半に唯野教授の講義が行われ、その内容が非常に興味深い。文芸批評に強い関心があるため非常に楽しむことが出来、ナラトロジーや記号論など、力を入れて勉強をしている範囲については特に楽しめた。大学の講義を受けているような感覚だった。唯野のスタンスは、文芸と学問とのバラ...続きを読む
  • 緑魔の町
    筒井康隆の中で一番好き。SFジュブナイルのほうの文庫は表紙が気持ち悪いけど挿絵はとても良い。挿絵の人が表紙も描けばよかったのに。
    町の人に追いかけられているときの白川青年の「ぼくはきみが倒れたら捨てて逃げるぞ!」という台詞の必死さが面白い。笑った。
    主人公の武夫はさんざんな目に遭うけどきちんと助かる...続きを読む
  • 文藝春秋 2015年 6月号

    イイネ

    10年前から毎月購読していますが、本の整理が大変ですので3年前から電子ブックに変更。もう少し、普通の書籍に比べて安くなるとありがたいですが...
  • エディプスの恋人(新潮文庫)
    ふう。これはちょっとやばかったね。読んだことによって一つ諦めたものがある程に、おもしろかったよ!

    【第328回てるぞう賞 長編部門受賞】
  • ダンシング・ヴァニティ(新潮文庫)
    冒頭から初期の短篇 「しゃっくり」 を思わせる時間の反復で始まり、 おい、 これいつまで続くんだよと、 半ば呆れながら読み進めていくと、 いきなりの鮮やかな場面転換が。時間と空間、 過去と現在を自在に行き来し、まるで夢を見ているときのような、 あの脈絡は無いのに妙に生々しい感覚を味わわせてくれる作品...続きを読む
  • 文学部唯野教授
    大学教授陣の内情を滑稽な姿でもって明かしながら、主人公・唯野教授の批評文学論の講義が一章ごとに進む。
    批評文学論、中でも構造主義の物語学に興味がわいた。文学論の本も読んでみようか? 唯野教授ほどわかりやすくはないかなぁ?
  • 虚航船団(新潮文庫)
    【1章】文房具が、自らの使用用途(ひとつの役割)に拘るあまり、おかしくなってゆく…僕らと同じね。【2章】鼬の文明史。自前の毛皮があるため毛織物業が発展せず、産業革命が興らないという設定は巧い!【3章】物語のラスト。コンパスイタチは「これから夢を見る」という。彼は、戦争描写で埋め尽くされ、閉じられてゆ...続きを読む
  • 愛のひだりがわ(新潮文庫)
    ジュブナイルとされているが、大人が読んでも十分面白い。
    タイトルで勘違いされそうだが、甘酸っぱい恋愛ものではなく、片腕が不自由な少女が父親を探す近未来日本を舞台にした冒険活劇だ。徐々に大人びていく愛の成長には少し寂しさが漂う。
  • 巨船ベラス・レトラス
    久しぶりの筒井康隆。「大いなる助走」の系譜にある文壇モノ(もちろん、メタフィクション満載)。
    「巨船」が本格的に動きはじめる中盤からは、めちゃめちゃ面白くなる。筒井好きな人は必読。
  • 文学部唯野教授
    お世話になった教授にオススメされた本。正直、大学の退屈な講義をボンヤリ聞いてる位ならこの本読んだほうがよっぽど面白いし学べると思う。

    わかりやすい文学理論だけじゃなく、大学内部の権力闘争、身分と恋愛に関しても楽しめる奥行きがある。もっと早く読んでいれば…と思える本のうちのひとつ。
  • 脱走と追跡のサンバ
    筒井康隆の傑作の1つである。登場人物の自我からの脱出の顛末。自我同士の絡まり合いとぶつかり合いによる、時空がねじれ合うドタバタなのに、不思議と最後までするすると読めてしまうのはタイトルにも有るサンバをはじめとした音楽的リズムの賜である。20年ぶりに再読したが相変わらず新鮮。自我により世界が想いのまま...続きを読む
  • ダンシング・ヴァニティ(新潮文庫)
    好き嫌いが分かれる本とは思いました。私は大好きです。言葉を弄んでいるようにも見える文章をこつこつこつこつ読み進めていくと、じわじわと物語が広がっていきます。最後の辺りは物語に浸り切って涙ぐむほどです。何度も読み返してしまう本です。
  • 愛のひだりがわ(新潮文庫)
    父親が蒸発したのち、母まで病死。住み込みで働いていた先の家族にいじめられ、番犬を連れて父親を探す旅に出る愛。
    波乱万丈過ぎる愛の旅。でもいつも左腕が麻痺している愛の「ひだりがわ」には愛を守ってくれる存在が出てくる。
    愛は優しさに甘えるだけの女のコじゃなく、自分で学び成長する。

    理不尽な環境に置かれ...続きを読む
  • 俗物図鑑(新潮文庫)
    見た目の厚さの割に一気に読めます。読中はゲラゲラ笑いました。(痰壺評論家はかなりきつかったですが‥笑)俗物万歳!作者の奇才に天晴れ!