筒井康隆のレビュー一覧
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40年以上前に書かれたとは思えないほどの斬新さ。関係性の中に現れる人の心の歪さ、醜悪さ、そしてそれ故の動物的な美しさは、今の時代も差程変わっていないように思う。
普遍的であるが故の真新しさをここに見た。面白い。Posted by ブクログ -
面白かった。御歳でこれらを書いたのはすごい。やはり筒井氏の短編は読み進められさせるというか、アイデアに圧倒されて表現方法にも圧倒されることが多い。一番面白かったのは『ペニスに命中』、最も印象に残ったのは『メタパラの七・五人』。メタパラ、は本当に凄かったというか、突然自身の足場がなくなったような不安感...続きを読むPosted by ブクログ
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「筒井調」満載の短編集。メタ・パラフィクションもあって、堪能した。
ひとつ不思議なのが、エッセイの「ウクライナ幻想」が「付録」として掲載されていること。著者がその昔、旧ソ連を訪れたときの思い出を、イリヤ・ムロウメツの物語とともに書いている。
ただ、その中身はと言うと、「今はただ、不幸な戦いの中に...続きを読むPosted by ブクログ -
筒井は久しぶりだけど、やっぱり異常に面白い。よくわからないところも含めて面白いのはなぜなのか。どれも好きだけど、「不在」と「小説に関する夢十一夜」が好き。昔の筒井っぽい「教授の戦利品」も。最後のウクライナのエッセイでしみじみ。Posted by ブクログ
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ところどころちょっとした違和感とか、登場人物の関係性が分かりにくいなと思ったところがありながらも、流して読んでしまったら見事に騙された!
もっと注意深く読めばよかった~と少し後悔w
有名な作品だけあって、長さもちょうどよく読みやすかった。
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映像が浮かんでくるようなSF小説。
前半は様々な超能力者との出会い、後半からハラハラの怒涛の展開で目が離せなくなります。
別れが切ない。Posted by ブクログ -
七瀬三部作の最終章。
前作では、超能力者の仲間たちが抹殺され、七瀬自身もかなり危険な状況で終わってしまった。
この本では、七瀬はある名門高校の教務課職員として働いており、前作からどのように生き延びたのか、暗躍する組織もまったく触れずに物語は進んでいくので、七瀬が主人公であるものの、スピンオフ的な作品...続きを読むPosted by ブクログ -
「旅することが人生に与えられた役目」
現代文明が滅びた後、人類は古い時代に逆戻りしたような不便さを超能力でカバーする世界に生きる。小説は遊牧民の生活と集団転移から始まる。「王国への道」ラゴスは廃宇宙船の本を収めたポロ盆地で何年もかけて本を読破。故郷に帰り学んだ叡智を人々に授けた後も旅は続く。ずっと取...続きを読むPosted by ブクログ -
ここまで平易にハイデガーの『存在と時間』を読み解くことができるのかという驚きの一冊。現存在が気遣いの存在であり空文を駆使して生きているが、そこから本来の生に戻してくれるのは死への不安である。一方で、死を絶対化していいのかという否定神学批判が展開されるのが、その後のポストモダンの思想であるというのが私...続きを読むPosted by ブクログ
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大まかに言ってしまえば、よくある豪邸での殺人事件で、
犯人は、内部の人間ではないか?と疑わざるを得ない、
ミステリー小説の歴史の中ではありきたりな体の
作品である。
しかし、そこに筒井康隆というSF作家でありブラックユーモア作品を
書くことが知られる作者の日本では世間体としてタブー視されそうな
内...続きを読むPosted by ブクログ -
ある日、少年の頭上でボールが割れた。音もなく、粉ごなになってーそれが異常のはじまりだった。強い”意志”の力に守られた少年の周囲に次つぎと不思議が起こる。その謎を解明しようとした美しきテレパス七瀬は、いつしか少年と愛しあっていた。初めての恋に我を忘れた七瀬は、やがて自分も、あの”意志”の力に導かれてい...続きを読むPosted by ブクログ
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七瀬は列車の中で二人の精神感応者(テレパス)と出逢います。
ひとりは3歳の男の子で読唇術を持ったノリオ。ノリオは継母に連れられて虐待されています。
もう一人は予知能力者の青年岩淵恒夫。恒夫とはあまりよい出逢いではなかったけれど、最後に再登場したところでは泣けました。
列車事故から救ったノリオ(継母...続きを読むPosted by ブクログ -
昭和を代表する小説家筒井康隆の短編小説論。きらめく宝石のように、小説についての名言がならぶ。ほぼ引用で要約するしかない。(下記は増補版ではなく初版の感想)
・「小説というものはいうまでもなく、何を、どのように書いてもいい自由な文学形式なのだ。意外に思われる読者もおられようが、実は小説というのは最...続きを読むPosted by ブクログ