筒井康隆のレビュー一覧

  • エディプスの恋人(新潮文庫)
    七瀬3部作。
    高校生の時に読んで、忘れられない作品。
    大人になって読んでもやっぱり面白かった。
    こういうのは本当にすごい。
  • 家族八景 上巻

    繊細な絵と家族の内情

    きれいなタッチの絵で描かれる家政婦七瀬ちゃんが覗き見る家族の内情。心の声が聞こえると、どこも闇が深い。二番目の汚部屋の大家族は臭いまで漂ってきそうだ。
  • 家族八景 下巻

    こわい、こわすぎる

    紅蓮菩薩も亡母渇仰も。母親の怖さがじわじわきて怖い。夫婦も親子も関係がなかなか断ち切れないだけにタチが悪い。マンガ化してくれて嬉しい。
  • 文学部唯野教授
    大学内のポストをめぐる権力争いのパロディと、文芸批評論の講義のコントラストが秀逸。
    特に、実際の講義を模した文芸批評論は、文芸批評の歴史的な流れを追いながら、具体的にどんな「批評」を展開したのかということの、たいへんわかりやすい解説になっている。
    作中、「後期の講義内容」として取り上げられる予定のコ...続きを読む
  • 旅のラゴス(新潮文庫)
    なるほどなぁ〜〜。気がついたら一人称が『おれ』から『わたし』になっていて、遡って読み返したらそういうタイミングかと。

    最もお気に入りは『壁抜け芸人』。おもろすぎるでしょ。
  • 繁栄の昭和
     連作短編なのかと思えばさに非ず。しかし、冒頭の3編、表題作と「大盗庶幾」「科学探偵帆村」には相通じるレトロモダンな雰囲気がある。
     感心したのは「一族散らし語り」。過去作の「遠い座敷」「家」など、日本家屋に漂う薄気味悪さを書かせたら、他の追随を許さない。
     巻末「附・高清子とその時代」、色褪せぬ情...続きを読む
  • 創作の極意と掟
    創作に関する技法や覚え書きを書いたもの。エッセイ。
    実験作と言われる文学が読みたくなった。

    「反復」の章は自作『ダンシング・ヴァニティ』の解説。映画・演劇では当たり前の技法である反復を小説に持ち込んだ実験作ということ。その反復の種類を解説している。

    「人物」小説の人物リストを作るのは小説の楽しみ...続きを読む
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)
    SF小説はあまり読んでこなかったのですが、
    これは引き込まれました。若干21歳の女性が超能力者の同胞を助けようと画策し、逃げる姿や悪に立ち向かう情景を思い浮かべると、同調せずには居られなくなりました。
    七瀬シリーズの完結編かもしれませんが他作品も遡って読みたいと思います。
  • 定本 バブリング創世記
    やりたい放題。
    筒井康隆さんでなければ途中で読むのをやめていたかも。
    常時、オチに期待しながら読んでいましたが、裏切られた部分も多い。

    ただ、実験的な小説は好きなので星5。
  • 虚航船団(新潮文庫)

    不思議と引き込まれる怪作

    知人からの推薦で購読。夢中で読み進めた。

    「読めるんなら読んで見ろ」と威嚇されたような初印象。
    実際に読みづらい。しかし、引き込まれる奇妙なテンポがある。
    作者の文章力か自分が波長があったのが良かったか、両方か。
    三章は特に読みづらいながらも、視点などが切り替わる前後が支離滅裂とは思えな...続きを読む
  • 堕地獄仏法/公共伏魔殿
    久々の筒井康隆。50年以上前の初期短編集だけど全く古びない毒の強さは流石、公共伏魔殿なんかむしろ今こそ読まれるべき。そして人が死ぬ描写のリズミカルさは爽快的でいつも笑ってしまう。
  • 富豪刑事
    ミステリーとしてではなく、エンタメ、コメディとして読む本。
    独特の言い回しが筒井康隆好きにはたまらない。
  • 日本以外全部沈没 パニック短篇集
    シュールな世界とあっさりとした幕切れが特徴の短編集。地殻変動で住める場所が日本しか無くなった世界で、世界各国の首脳や有名人達が1つのバーで会話を繰り広げる『日本以外全部沈没』や、大阪の居酒屋にやってきた宇宙人と、テレビのドッキリ企画と勘違いする客達が作り出す狂気を描いた『ヒノマル酒場』など、それぞれ...続きを読む
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)
    発行年が昭和53年とあって驚き…
    今読んでも全くもって古びていない。
    描写が目に浮かぶSF苦手の私がハマった作品。
  • 読書の極意と掟
    筒井康隆さんが、幼少期から読んできた本を年代別に紹介している。
    本書を読んで、読みたくなった本を下記に記録しておく。
    デュマ『モンテ・クリスト伯』
    ウェルズ『宇宙戦争』
    ハメット『赤い収穫』
    フィニイ『盗まれた街』
    三島由紀夫『禁色』
    シェクリイ『人間の手がまだ触れない』
    オールディス『地球の長い午...続きを読む
  • 旅のラゴス(新潮文庫)
    本当に面白い本だと思う。
    ずっしりと面白いSF作品。
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    旅をすることがおれの人生にあたえられた役目なんだ。
    北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜け...続きを読む
  • 筒井康隆、自作を語る
    筒井康隆作品との出会いは、中学生の時のNHK少年ドラマシリーズの「タイムトラベラー」。原作は「時をかける少女」。やはりファーストコンタクトしたテレビドラマの方にイメージが固定されがちで、その後に読んだ文庫本からはあまり感動を得られなかった記憶がある。しかし、他の文庫本を読み進めるに連れて、どんどん筒...続きを読む
  • わたしのグランパ
    いやあ爺ちゃんカッコいいなあ。これに尽きる。
    理不尽な相手には断固として引かない。腕も立つが、何より度胸が据わっている。
    あまり使われなくなった言葉だが、硬骨漢という表現がぴったりだ。
  • 七瀬ふたたび(新潮文庫)
    火田七瀬は宮部みゆきのクロスファイア青木淳子を彷彿とさせる。超能力者の寂寥感漂う内容で、ラストは大逆転勝ちを願いましたが、残念ながら淳子と同じ結果になってしまう。七瀬に対するえげつない警察官の攻撃は恐怖でありホラーでした。読友さんの感想で、「エディプスの恋人」は七瀬シリーズ三部作のラストのようで、七...続きを読む
  • 筒井康隆、自作を語る
    第一世代はものが違うな。面白くて一気読み。筒井康隆はあたりハズレが多い印象だったが、どこかで未読作をまとめて読みたいな。