田辺聖子のレビュー一覧

  • 苺をつぶしながら
    相変わらずこのシリーズは装丁が美しい。主人公が美術系の仕事だからだろうか。1部と2部は男女の恋愛だったが、3部は男女の友情とさらに今まで関心がなかった目上の女性との友情について深く描かれている。主人公の環境や登場人物はどんどん変わるが[1人を除いて)、主人公のコアは変わらず純粋なまま。最後は親友を見...続きを読む
  • おくのほそ道を旅しよう

    おくのほそ道を旅しよう

    田辺さんの面白い、読み易いお進めます。解説で 芭蕉が好きになりました。
    皆さんもお読みになること進めます。
  • おちくぼ物語

    ハピエン厨に優しい

    落窪姫は勿論、原作では笑いものにされて終わりだった四の君と面白の駒こと兵部少がラブラブハッピーエンドになるのがいい。
  • 人生は、だまし だまし
    読売新聞の広告で「この国は、本を読まない大人が増えた。だから子供みたいな国になってしまった」という内容を語ったのは、田辺聖子である。

    本書は、エッセイ仕立てだが、飲み仲間の「フィフティちゃん」と「イチブン氏」との会話を通じ、人間の生態、特に男女のあれこれを通じて、著者がアフォリズムを導き出す示唆に...続きを読む
  • 私の大阪八景
    田辺聖子さんの自叙伝的小説である。
    その1 民のカマド<福島界隈>
    その2 陛下と豆の木<淀川>
    その3 神々のしっぽ<馬場町・教育塔>
    その4 われら御楯<鶴橋の闇市>
    その5 文明開化<梅田新道>
    解説 小松左京

     昭和3年生まれの大阪のお嬢さんが戦争という時代に翻弄されながら、女性・娘として...続きを読む
  • 私的生活
    田辺聖子さんの作品好きなのに、これは初めて読みました。
    すごく私的な感想です。

    まるで、昔の私のことみたいだった。
    こんなに贅沢じゃなかったけど、何不自由ない生活、好きな人との生活のはずが、どんどん自由や、自分らしさが失われて行く感じ。
    「私が30年かけて作ってきた生活」、愛してやまない生活、それ...続きを読む
  • とりかえばや物語
    あらすじだけは知っていたけれど、初めて読んで見て、こんなに面白い話だったとはーー!
    すっごいフェミニスト小説だったんですねえ。
    口語訳も、原文にはないキャラクター名をつけられていることもあってかなり読みやすい。
  • 薔薇の雨
    好きな本で、久しぶりに再読。田辺聖子さんの本は、なぜこんなに心にすっと入ってくるのでしょう。素敵で、知的で、細やかな心の機微、子供っぽくない大人の恋をさらりと書き。きっとまた読むと思います。
  • どんぐりのリボン
    田辺さんの作品読んでると文学も芸術やなぁって染み染み感じます。トキメクような自然の風景が頭に浮かんで、急展開な出来事に一行毎に胸騒ぎを覚えて、今回も田辺さんの世界にどっぷりヤラレました。ストーリーも登場人物の年齢も全然違う(ファンタジー要素もない)んやけど「君の名は」を観終わった感覚にちょっと似てた...続きを読む
  • 歳月がくれるものまいにち、ごきげんさん
    この人の文章を読むと関西弁っていいなあ、と思う。小説もそうだけど、エッセイは本当に愛に溢れてて素敵。10年、20年前に読みたかったなあ。こういう素敵な大人になれるよう、精進します。
  • 苺をつぶしながら
    乃里子 35歳。独身に戻り、
    気楽さの喜びを噛みしめて。
    お酒に飲まれた赤っ恥も笑い飛ばして。
    気負うことなく、屈託なく、
    生きる姿が、素敵すぎる。
    元夫の剛も、気に障る所はあるけど、
    やっぱり 懐は深いい男で。
    やさしい声を出すキカイは壊れても、
    新たなキカイを取り出して、
    育んでゆける関係が い...続きを読む
  • むかし・あけぼの 下 小説枕草子
    あの「枕草子」が溶け込んでいる小説。清少納言ならばこう思うだろう、こう言うだろうことを作者が想像力全開で書いている。散らばっていた人物像、流れ、つながりをくっきりさせていてわかりやすい。おもしろかった。また道綱母、紫式部、和泉式部、赤染衛門らの人物評もおもしろい。再度もっと自分の想像力をふくらませて...続きを読む
  • 私的生活
    大失恋を吹っ切って、
    玉の輿に乗っかった。
    乃里子 33歳。幸せは、ここに あるのか?
    ゴージャスな甘い生活を
    噛み締めているはずなのに。
    甘いはず、と思い込み、
    苦味に気づかないフリしてたかもーーー。
    愛されること、愛することへの揺らぎ。
    温度差が広がってゆく やりとり。
    大御所 お聖さんの文章は...続きを読む
  • 苺をつぶしながら
    乃里子シリーズ完結編。
    剛と離婚して自由の身になり、復活した乃里子。
    個性的な友達に囲まれて生き生きしていますね。
    剛と再会しても元夫i以上にならない。
    相変わらずの剛に親近感を覚える姿が女の子だと
    思いました。
    最終的な結論は剛とのスパゲティ友達となった事。
    ドロドロしない、大人の関係がさわやかで...続きを読む
  • 私的生活
    乃里子シリーズ第二弾。
    剛と結婚して生活はゴージャスになったものの、友達との付き合いを制限され鬱屈した日々の乃里子が痛々しい。
    『言い寄る』の快活さがなくなった彼女を救った中杉氏が
    いい味出してますね。
    私も緊(しば)られるのが嫌いなので何だか彼女の気持ちがわかるような気がしました。
    結局剛も「子供...続きを読む
  • 田辺聖子の恋する文学―一葉、晶子、芙美子―
    樋口一葉、与謝野晶子、杉田久女、吉屋信子、林芙美子
    といった5人の女流作家の生涯を田辺聖子さんが見て書いた
    一冊。
    貧困に喘いだ一葉と芙美子、夫との関係に悩んだ晶子と
    久女、母親から男尊女卑の価値観を押し付けられた信子。
    それでもあきらめなかった彼女たちは創作の道に戻り力を
    発揮しました。
    その負け...続きを読む
  • 女は太もも エッセイベストセレクション 1
     「嘘つき男と泣き虫女」って本は、同じような内容でありながら途中から面白くなくなってくるような退屈な本でしたが、田辺聖子さんのこのエッセイは、下ネタいっぱいで最後まで猛スピードで楽しむことができました。
     せっかちな男性諸氏には、まったくこちらの作品のほうが向いているように思います。ところどころ、ワ...続きを読む
  • 田辺聖子の小倉百人一首
    私の百人一首の教科書です。この本で百首すべて覚えました。
    作者の人物像、時代背景などがわかりやすく解説してあります。
    子ども向けの「歌がるた小倉百人一首」もおすすめです。
  • 春のめざめは紫の巻 新・私本源氏
     田辺聖子は特に好きな作家の一人だが、その中でもこの本は何度読み返したか分からない。

     一口に言ってしまえば源氏物語のパロディであるが、本家を超える面白さがある。その理由は登場人物の魅力にある。
     光源氏は低俗で情けない人物として描かれているが、源氏を取り巻く女性たちは対照的に、鮮やかで生き生きと...続きを読む
  • 田辺聖子の恋する文学―一葉、晶子、芙美子―
    明治から昭和を精一杯生きた女流作家5人の魅力を、お聖さんが柔らかい語り口で解説している。講演をもとにした文章ということで、とても読みやすい。お聖さんの、作品への愛が伝わってくる。
    (2015.9)