田辺聖子のレビュー一覧

  • やりにくい女房 エッセイベストセレクション2
    「女の長風呂」シリーズを以前読んだ時に、ものすごい視点の鋭さを感じた一編「女のトイレ」が読めます。これだけでも読んでほしい!田辺聖子さんの筆力才知の深さを感じる文化文明論です。ずーっと昔に読んだのに、デパート等でトイレに行く度に思い出してました。最後の一行、駅のトイレで思い出すこと度々です。
  • 姥ざかり
    主人公の歌子さんは76歳。天満の小商人の娘で、船場の古い服地問屋に嫁入りし、終戦後腑抜けのようになってしまった舅姑、頼りない夫・慶太郎に代わって、番頭の前沢と2人で店を切り回してきた。夫が死んで17年が経ち、歌子さんは東神戸の海が見えるマンションで気ままな一人暮らしをしている。

    にも関わらず、3人...続きを読む
  • むかし・あけぼの 下 小説枕草子
    思わず涙が出る場面もありました。
    田辺聖子さんの、枕草子への愛を感じる作品。
    元々の清少納言らの結末は知っていたので、ラストはどのように書かれているのかとても興味深かったのですが、中途半端などになることもなく素敵なラストだとわたしは感じました。
  • 言うたらなんやけど
    日頃多数の女性が世間に対して思っているだろうことを田辺聖子さんが代弁してくれています。ちょうど良い加減が分かっている大人が書いたエッセイとはこのようなものだと思います。性別問わず読んでほしい本です。後書きの日付が1973年だということに気づいて田辺聖子さんの視点の凄さと世の中の変わらない状態にびっく...続きを読む
  • 日毎の美女
    田辺聖子さんのエッセイも小説も大好きで!

    このお話は本当に可愛いんです。
    なんとなく「美人は性格があまり良くない」ってことにしたい風潮があると思うんだけど(変な思い込み?)
    それに反して美女の梢さんがとても素晴らしい女性で
    なんだか面白かったなあ。こういう展開って好き!

    で、美女じゃない主人公さ...続きを読む
  • むかし・あけぼの 上 小説枕草子
    今まで生きてきた中で感じてきたことがあるであろう、言葉にならない感情をうまく言葉に表し、読み手であるわたしに感動を与えてくれました。

    まるで目の前で起こっているかのような宮中の出来事の描写が本当に素晴らしいです。
    清少納言や彼女を取り巻く周りの存在がますます大好きになります。
    下巻も楽しみ。
  • 私本・源氏物語
    源氏物語の愛すべきパロディ。コメディとして、関西弁の光の君のアホらしさ、すけべ加減に笑いつつ、ほろりとさせる部分もある。源氏でさらりと遊べる上級者向け?
  • 愛の幻滅(上)
    数ある田辺聖子さんの恋愛小説のうちで、
    もっとも共感度の高い、とても深い作品。
    大阪弁でポンポン冗談を言いあう、かつ
    愛しあう男女の仲だけど、どうしても埋められない
    溝があるよう。
    眉ちゃんの、「相手が返事に困るようなことは
    口にしない」という決意とそれを貫くのが立派。
    結末の寂しさを想うとそうそう...続きを読む
  • むかし・あけぼの 上 小説枕草子
    久々に再読。やはり面白く、胸を打つ。
    細やかな感性を写しとると同時に、別れの物語でもある。実際の清少納言がどんな人物だったのか、そんなことは些細な問題で、作者の枕草子への愛が伝わってくる。
    (2013.2)
  • 田辺聖子の小倉百人一首
    田辺聖子さんによる百人一首の解釈、そして何よりも現代語訳が大変美しく鳥肌ものです。
    この本を通して、より好きになる和歌がたくさん生まれてくるのではないかと思います。
  • 絵草紙源氏物語
    源氏物語の「桐壷」から「雲隠」までを田辺さんの要約文と岡田さんのセクスィーな絵でまとめた1冊。
    つまり、光源氏くんが生まれてから亡くなるまでをコンパクトにまとめてありました。
    文章も絵もかなり良かったよ。
    源氏物語初心者もかなり読み込んでいる人も満足の1冊だと思います。
  • ここだけの女の話
    男と女の作品が多いですが
    中には女の子の作品があります。
    いたいけな子どものちょっとほろ苦い感じの物語。
    その背景には複雑な環境もあるので
    よりいっそう彼女が引き立つのです。

    他には海外が舞台の作品が
    とても魅力的でありました。
    「金箔の町」が大人の香りがあふれて好きです。
  • ひねくれ一茶
    小林一茶の壮年期から晩年を描いた田辺聖子の力作。
    壮年期との一茶と言えば、江戸俳壇で頭角を表し、上総・ 下総で
    支援者を集めたころだが、次の飛躍のためにも経済的な基盤を
    必要とした。彼には当てがあった。
    亡父の遺産の半分は彼のものという遺書もある。
    所が事は簡単には運ばない。
    やっと一茶が遺産を相続...続きを読む
  • どんぐりのリボン
    最近活字がどうも読めなくなっていたのだが
    久々の田辺聖子はスグ読めた。
    やっぱり田辺聖子はすごいなあと思いながらの読書だった。

    個人的に結構「田辺節」はわかっていると思っており
    いつもの田辺さんとこの女の子やなあと思いながら佳境、
    ラストの展開(山の顛末)をもってきたのは意外性が強すぎて

    その衝...続きを読む
  • 鏡をみてはいけません
    読んでいるととにかくお腹が空く。そして私は、面倒な事は棚上げしちゃう律に性格が良く似てるので、とにかく共感しきりだ。
  • おかあさん疲れたよ(下)
    この小説に出てくるいろいろな場所に行ってみたいと思いながらまだ行けていない。恋愛って夫婦間でも夫婦の間でなくてもあるんだなと思う。
  • 猫も杓子も
    2012.7.23.mon

    【経路】
    田辺聖子さんの大阪弁がしっくりくると聞いて。

    【感想】
    •欲望に正直に生きる楽しさの底で、人生と孤独の関係も知っている30女の恋愛遍歴小説。
    •田辺さんの大阪弁好きがよく伝わる。「アレして」とか「ぼちぼち」でみなまで言わない美徳とか、恋人とのテンポのいい会話...続きを読む
  • とりかえばや物語
    氷室冴子の「ざ・ちぇんじ」を読んでから、ずっと原作が気になっていた。
    無理があるストーリーだけど、おもしろかった。
    夏雲の書かれ方がちょっとかわいそうだけど。
  • 日毎の美女
    美女ぞろいの会社に、絶世の美女がやってきた!
    色めきたち、鼻の下を伸ばす男性社員たち。

    そんな男たちと美女たちのやりとりを観察し、面白がる「マメちゃん」(豆を転がしたような地味な顔立ちからそう呼ばれている)。

    男は美女が好き、という厳しい現実を見つめつつ、どこかに自分の言うに言えんいいところを見...続きを読む
  • ひねくれ一茶
    おもしろうて、やがてかなしき‥‥   -2005.07.20記

    これまでそれほど興味を示さなかったことに、ひょんなことからどうしても知りたくなったり、強い関心が惹き起こされる場合がときにあるものだ。
    ひとつきほど前か、「これがまあ終の栖か雪五尺」と詠んだごとく、五十路になってから、義母や義弟とさん...続きを読む