山本文緒のレビュー一覧

  • みんないってしまう
    12話の短編それぞれのストーリーの面白さにとどまらず、読み終えてその続きはどうなるか考えてしまうというか、後をひくというか、山本文緒さんてすごいなあと思います。亡くなられたのが残念でなりません。
  • プラナリア
    直木賞受賞作品。
    様々な年齢の女性が悩みを抱えながら、生きていく短編集。(最後の、あいあるあした、は男性が主人公ですが)
    抑えていた感情を爆発させる主人公に、共感しました。どの話も心に残るエンディングでした。私が特に良かったと感じた作品は「どこかではないここ」と「あいあるあした」です。
  • 再婚生活 私のうつ闘病日記
    「そしてわたしは一人になった」の続編。
    「再婚生活」という主題だけれど、実際は副題の「うつ闘病日記」の内容が濃いエッセイだった。
    かなり赤裸々に描かれているので、冒頭に筆者が書いている通り、精神状態がよくない人は要注意。引っ張られてしまうかも。

    わたし自身も7年ほど前にうつで退職した上、仕事でカウ...続きを読む
  • 群青の夜の羽毛布
    BOOK・OFFでタイトルに惹かれて購入。あっさりとした文体で描写のイメージがしやすく、また物語も面白かったので一晩で一気読みしてしまいました。最後のシーンではあと数ページしかないと物語が終わってしまうのを惜しむほど毬谷家と鉄男からなる物語にどはまりしてしまいました。また読みたい小説です。
  • アカペラ(新潮文庫)
    様々な家族の物語。三編とも物語を通じてそれまで家族が日常を過ごしてきた前提が変わり、その後家族がこれからどう生きるかというところで終わっている。

    読後の爽快感は得られないが、物語の家族を自分の家族に置き換えて考えたとき、自分はどの物語の登場人物のように振る舞えるか。そう言う観点で物語を読んだ。

    ...続きを読む
  • 残されたつぶやき
    山本文緒さん独特の表現や言葉が沢山詰まっていた。たわいない日常を飾らず、傍で語ってくれているような温かみを感じた。文緒さんの作品には必ず哀しみのエッセンスがある。ずっと愛読者だ。
  • 無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―

    最後の良作品

    さらりと心のうちを書かれていて、ひと息に読んでしまいました。つらい病状も、達観されておられたような、第三者目線が入っているような、そしてなんとなく暖かい。120日とちょっと、最後の日々を残してくださってありがとうございました。
    だんなさまとの無人島暮らし、病気の中ささやかな幸せがあったことも、読後に...続きを読む
  • ブラック・ティー
    本当に良かった。すごい好きなテーマでした。罪と共に生活する人たちの姿が胸にグッと来た。でも「少女趣味」は夜中読んでちょっとぞっとした。淡々と描いてくれるので、各話がすっきりと読めて、なのに余韻が残る素晴らしい作品。
  • 絶対泣かない
    山本文緒さんの、短いお話の中に色んなエッセンスをぎゅっと濃縮できる能力はすごい。仕事系小説でもやっとする感じのものを読んだあとに、清涼剤として読みました。前向きに仕事について考えられる短編集です。
  • 残されたつぶやき
    山本文緒さんの書く物語が大好きでした。辛いことを乗り越えられてからのこれから、だったのに残念でなりません…
  • ファースト・プライオリティー
    おもしろかった!みんないろんな事情を抱えて生きてるんだなぁ。

    それでも笑顔で何事もないかのように毎日ニコニコ楽しそうに生きていけることが自分の人生を良くしていける最短ルートなのかもなと思う。。

    「ゲーム」
    簡単に掌握できる恋愛ゲームは難易度ゼロだけど、人間関係だから最終的には嫌な結果しか残らない...続きを読む
  • シュガーレス・ラヴ
    骨粗鬆症、アトピー性皮膚炎、便秘、生理痛、、どれも病気ではないけど、コンプレックスを抱えながら生きてる彼女たち。
  • 残されたつぶやき
    よかったですとても。わたしはたぶん著者と気質が似ているので。既読の作品も再読したくなった。


    "みんな痩せなくっちゃ病に冒されていてちょっと変だよ、でもそう言っていいのは痩せている人だけでデブが言ったら負け惜しみらしい。いったいBMⅠ数値がいくつなら、体重を気にしておいしい物を我慢するのはくだらな...続きを読む
  • パイナップルの彼方
    「輝いているのは、幸せだからだろう。」
    「そのピカピカな流し台みたいな夢を、なつ美は実力で手に入れた。だから私は厭味ではなく、本当に心から拍手を送りたいと思っている。」
    「まるで亡命を決意したバレリーナのように、月子はキッパリそう言った。」
    「二十四時間は、まるごと私のものだった。」
    「一生ひとりで...続きを読む
  • みんないってしまう
    「みんないってしまう」というタイトルに惹かれて読んだ。好きなアイドルが活動休止した、憧れの先生が退職した、大好きな彼氏に振られた、応援しているバンドのギターが脱退した。みんな、いってしまうのだな、と思う場面が最近多くて、その大きな喪失感とか、悲しさとか、どうしてという疑問で心がいっぱいになりつつも、...続きを読む
  • 絶対泣かない
    様々な職業なで働く女性が主人公の短編集。
    私が今やってたり、今までやってきた仕事とは全く関係のない職業だけど、仕事に対する思いや姿勢がちゃんと伝わってくる。

    色んな種類の職業をひとつの小説にしてるけど、それぞれ全部味が違って良い。
    様々な状況で彼女達が選ぶ道を見て、前向きになれた。

    1番心に残っ...続きを読む
  • 群青の夜の羽毛布
    母と娘2人の闇を抱える家族の謎を、長女の彼氏と同じ視点でどんどん明らかになる。
    情と憎しみが入り混じっている異常な家族関係。展開が読めず、続きが気になり一気に読んでしまった。
    山本文緒さんの小説は本当に面白い!
  • 結婚願望
    友人にずっと勧められていた本をついに読破。私自身に結婚願望がないことから、友人は私に勧めてくれたらしい。

    そして気がついた、私、結婚願望が全くない人間ではないと!山本史緒先生が作中で「手相占いで52歳で結婚できるかもと聞いて、不覚にも喜んでしまった」とあるが、私も結婚できるかもと言われたら喜んでし...続きを読む
  • なぎさ
    人は悪くないが、それぞれに弱さを抱えている二人の主人公、著者は読者に彼らへの共感が生まれそうになると絶妙に回避してくる。温かくはないが冷たくもないまなざしで彼らの行動や心情をとことん丁寧に書き続ける。周囲の登場人物も含め、こんな、と言ってはなんだが特段の魅力のない人々を淡々と描写できるのはすごい。早...続きを読む
  • あなたには帰る家がある
    不倫の話。ストーリーもかなり面白かったが、特に一人称の切り替えが秀逸だった!
    ほぼ全員の視点で書かれるので、全員に感情移入してしまう、それが面白すぎた。