池内紀のレビュー一覧

  • 魔法の学校 エンデのメルヒェン集
    エンデの短編集。どことなく、ああ、エンデだな、と感じる10編。読者の想像力に訴えかけてくる作品たち。推奨年齢は小学4・5年以上となっているが、まさにその世代の、本好きでない方にも楽しんでほしい1冊だった。個人的には表題作の『魔法の学校』と、『ニーゼルプリームとナーゼルキュス』が好き。
  • カフカ短篇集
    20世紀プラハの作家フランツ・カフカ(1883-1924)の短篇集、マックス・ブロート版からの翻訳。



    不可解な物語の意味を読み解こうとして後に残ったのは、意味というものの無意味さの感覚だった。則ち、自分たちの日常が普段依拠しているところの意味なるものが、実はたいした内容物ではなくて、無意味と...続きを読む
  • 万葉集の詩性 令和時代の心を読む
    ネットでHeveneseのラストトークを見ていて、本書に言及があったので購入。令和の語源である万葉集をほとんど知らなかったので、とても興味深く読んだ。8人の著者の、改元をきっかけに書かれた万葉集に関するエッセイ集。

    鈴木大拙は「日本人の霊性」の中で万葉集を「稚拙」だとか「幼稚だ」とか、あまり良い評...続きを読む
  • 魔法の学校 エンデのメルヒェン集
    「モモ」で有名なエンデの作品。やはり児童向け文学は素晴らしい。「とうぜんですが」とエンデは言う。魔法のための学校があり、地下や屋根裏には別世界への扉があり、動物やこびとはおしゃべりします、と。いくつになっても、とうぜん!もちろん!と思える人間でありたい。
  • すごいトシヨリ散歩
     タイトルは、もう少しどうにかならなかったのかと思う。内容の良さとは全く乖離している。
     味わいを感じられることは、まだまだいくらもある。そう感じさせる。
  • カフカ寓話集
    今日6月3日はカフカの命日ですね。
    カフカ寓話集の題名に成っていますが、他に短編集の題名の作品が有るのであえてこの題名にされたとの事でした。
    小品を中心に30話収録されています。
    カフカは妹さんの下宿に転がり込んで創作に明け暮れたそうですが、書いては捨てるの繰り返しで、しっかり物の妹さんがカフカの捨...続きを読む
  • 永遠平和のために
    かなり読みやすい。後書きにもあったが、編集と翻訳の二人の努力というか、思いが反映された明瞭な翻訳でした。ウクライナ侵攻にあてて。
  • 東京ひとり散歩
    18歳の時に上京し、大学を卒業した後、東京に本社を持つ会社に就職をした。サラリーマン時代は、25年以上が東京勤務、大学時代の4年間を加えると、何やかやで30年間、自分の活動の中心地は東京ということになる(東京に「居住」したのは、大学時代の4年間だけだけれども)。
    私の妻はタイ人だ。タイ勤務時代に結婚...続きを読む
  • 幻獣の話
    しっかりとした辞典を選ぶとしたら、「幻獣辞典」(ボルヘス)が河出文庫で出ている。原典に挑むとすれば、「東方見聞録」「山海経」などが手に入りやすい。この薄い文庫本は、それらに向かうための先導役としては打ってつけかもしれない。

    黄金の国チパングを広めたマルコ・ポーロは、「私はホントに見たんだ」と主張し...続きを読む
  • カフカ寓話集

    世間との隔絶

    ロビンソンクルーソーにしても、巣穴にしても、断食芸人にしても、世間との隔絶から自己の内面を追求せざるを得ない筆者の苦悩が表れてきているように思った。自分を理解してくれる人に囲まれているなら、これらの作品は生まれるはずがない。
  • ひとり旅は楽し
    学生時代ならともかく、社会人となり、結婚して子供でも出来ると、ひとり旅をする機会は、かなり限られる。もちろん出張も、同行者がいなければひとり旅であり、それなりに楽しいのであるが、あらかじめ殆どの予定が決まっていて、ひとり旅の自由気ままさがない。そういうまれな機会なので、家庭を持ってからの、ひとり旅は...続きを読む
  • カフカ短篇集

    人生の孤独

    筆者の話には、他者の自分に対する無理解が、現れているように思う。それは不平ではなく、あきらめでもない。それを知った上で、あがく人々への応援ともとれる。
  • ひとり旅は楽し
    写真も地図も絵すらない旅の本。文しかないのにまさに旅。最後の戻り道、旅もあまりしてないのにとても懐かしく共感しました。ガイドブックを見ないで一人旅に出たくなります。
  • カフカ寓話集
    掌編から短編まで計30作品。どの話も、カフカの姿がぼんやり浮かんでは溶け込む感じ。私の中で、特にその感覚が強かったのは「ポセイドン」。デスクワークする神というのも、それはそれで想像すると愉快。一番長い話は「巣穴」。アナグマなのかなんなのか。勝手に適当な動物を想像しながら、つくった巣穴に対する持ち主の...続きを読む
  • なぜかいい町 一泊旅行
    誰も知っている観光地というわけではない、大都市から便利な立地なわけでもない、むしろなんでこんな町へ?というようなところに出かけていき、地元の人との会話や土着の神社などを巡ったり、小説に出てくる場面を追体験したり、出身者の幼少時代に想いを馳せたりする。お金がかかるわけでもないし、実にゆっくりとした時間...続きを読む
  • ひとり旅は楽し
    ドイツ一人歩きの日本版である。みゃげは買わないがその土地での本は買う、というのはいいのかもしれない。
     最近はあげるための食べる土産物ばかりなので自分の楽しみがなくなってしまったような気がする。この原因は京都土産るいは京都おいしいものの本のせいかもしれない。
     論文には全く役立たず。
  • すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる
    老化早見表のカテゴリー3の、横取り症 整理整頓 せかせか 過去すり替えなどの症状、我にあり。過去すり替えは過去捏造に進む。
    そういう目で他者を見ると、いろいろ発見あり。「最後まで話を聴く」「人の話を取らない」心しよう。
  • 散歩本を散歩する
    池内紀 著「散歩本を散歩する」、2017.6発行。文豪たちの歩いた散歩道、文豪たちの書いた散歩道、散歩好きの著者がまとめた「散歩本」です。読んでみたい本が沢山あります。幸田文「ふるさと隅田川」、川本三郎「ちょっとそこまで」、安西水丸「ちいさな城下町」、横関英一「江戸の坂 東京の坂(全)」、坂崎重盛「...続きを読む
  • 万葉集の詩性 令和時代の心を読む
    文学や編集に携わる8名の手による万葉集エッセイ集、といえばよいか。
    出だしから中西進氏による『旧約聖書』と『万葉集』のリンクが展開され、度肝を抜かれる。良き文学とはほかの文学と共鳴するものとはいうが、まさかそんなところと響き合うとは。しかも万葉集の第一人者の一人中西進氏からそんな。おみそれしました。...続きを読む
  • ひとり旅は楽し
    池内さんの旅の指南書。
    家族もできて2人旅の楽しさも知りました。でも、ひとり旅もまた楽しんでゆきたい、そんなときの楽しみ方のさまざまなコツが書かれているなぁと感じた一冊です。日本の中にもまだまだ知らない楽しさがいっぱいあるな、とわくわくしました。
    奈良の正月堂や久米寺、西国三十三所など、いろいろなと...続きを読む