池内紀のレビュー一覧

  • カフカ短篇集
     フランツ・カフカ著。20篇収録の短編集。
     これまでカフカの小説は「変身」しか読んだことがなかったのだが、予想通りシュールな話ばかりだった。簡潔で不可解な設定、哲学や暗喩を感じさせる文章、様々な解釈を生む謎を残した結末。これが、いわゆる「カフカ的」ということだろう。
     だがそういうこと以上に、私は...続きを読む
  • カフカ短篇集
    カフカの短編集。カフカは初めて読みました。10Pそこらの掌編が15編、20〜50Pくらいの短編が5つ。
    短いものは、シュールな着想が簡潔に表れていて、楽しく読めました。
    ある程度長さのあるものは、唐突に終わったり一貫性がなかったり、散漫な印象が否めませんでしたが、視点や考えの揺れや、脈絡無く挿入され...続きを読む
  • 悪魔の話
    「のちの世の人々は、きっとこの二十世紀を支配した拝金主義の猛烈さに驚くだろう。金銭はすべてのものから、ものの個性と象徴性を奪い取る。つまりはその「魂」を剥奪する。これは何であれ姿を変えることはできるし、すべてに入りこむこともできる。しかし、何ものでもない。金銭はすべてを支配して、何ものも愛さず、すべ...続きを読む
  • 今夜もひとり居酒屋
    これは具体的な居酒屋のガイドではない。居酒屋論である。居酒屋の分析はなかなか面白く、客であることの修行を思わせる。大人が分かる文化なのだ。
  • カフカ寓話集
    結構わかりやすいことをやっている。案外とおもしろい。けど、これって歴史的な価値?以上のものなんだろうか。カフカ以外の名義で、例えば無名の若い作家の名義で新しく出版されても評価されるんだろうか。なんて思った。表現をいじれば普通にウケるかな。孤独とか不安とか。ね。
  • ニッポンの山里
    「限界集落」という嫌味な名づけられ方をしている日本の30箇所の山里をめぐる紀行文。不便で効率が悪く仕事もない・・だから益々人が住まなくなる山里は、古来は太陽が降り注ぎ水脈があればそこに定住し暮らしを立ててきた人々が暮らしを紡いできた場所だ。
    汗を流し息をぜいぜい言わせながら登った山道の先に突如として...続きを読む
  • ひとり旅は楽し
    複数の旅も確かに面白い。
    だけれども、一人ぼっちの旅も
    また、面白いのです。

    ですが、楽しむためには
    自分の体は自分で守らなければなりません。
    特に山が絡む場合には要注意。

    この中で有用な部分は
    宿泊に関してのところ。
    なかなか気付きづらいですがよく考えれば
    そう感じるんですよね。

    こういう本...続きを読む
  • カフカ寓話集
    岩波文庫のもう1つのカフカの短編集です。
    個人的には「カフカ短篇集」の方が好みですが、カフカの短編を他にも読みたいって方はこちらもどうぞです。
    岩波文庫の短編集は、手頃で手軽に手にしやすい点で、おすすめです。
  • カフカ寓話集
    初めてのカフカ作品。寓話が元々好きだったこともあり、残酷な表現も多々見られたが楽しく読めた。けれども、どこか不安になってくるお話たち。ちょっとしたスリルや奇妙な雰囲気を漂わせるお話を求める方におススメ。
  • ニッポンの山里
    20130224 忘れてしまうが確かに生活している。都会との比較に意味は無いがこれからどうするか考えるときにヒントになると思う。
  • 新編 みなかみ紀行
    発作的な旅、家族がいても関係ない。深い山に住んでいたこともあり、山や自然や鳥の声に郷愁を感じる。
    妻も、またかといった感じで旅に出ることを認める理解力。
    四万温泉の田村旅館でひどい目に。
    今とは違い、旅すること自体が大変。時間も手間もかかる。まさに非日常。
    創作誌に投句してくれる地方の同志と会えるの...続きを読む
  • 出ふるさと記 作家の原点
    まさしく池内紀である。
    この人は、どのような人でも、山でも、温泉でも居酒屋でも書く対象に限りなく優しい。
    この本は12人の日本人作家のふるさととの関わりを描いたもの。
    単に作家の生い立ちを描くのではなく、大切な人とのつながりを少ない枚数で丁寧に描いている。

    でも12人のうち作品を読んだ事のある人は...続きを読む
  • 今夜もひとり居酒屋
    居酒屋ひとり飲みのススメ。
    ここでいう居酒屋とは、いわゆるチェーン店ではない。
    ドイツ文学者のイメージしかなかった池内紀氏が実はこんな庶民派な居酒屋フリークとは。
    なかなか面白いし、ついひとり飲みに行きたくなるような良書。
  • 作家のへその緒
    序文に「人と作品のつながりのなかに一つの切れ目を入れてみた。断面を通して、たえずせいせいしたものがはっきりと見えてこないか。(略)ひとことにしていえば『創造のへその緒』であって、それをそっとさぐってみた」とある。
    取りあげているのは文学史上大きな存在感を示している12人の作家たち。親しんだ作家たちの...続きを読む
  • 海山のあいだ
    池内さんの旅エッセイは、ただの随筆ではない。人生は偶然のめぐりあわせの連続であり、それらはすべてむだなことばかりのようでいて、余分なものは何もないと感じさせてくれる。表題の章もだが、自伝的で虚実いりまじったような「自分風土記」の章が秀逸。
  • ドイツ 町から町へ
    ドイツの多くの町について数ページづつ綴られているけど、けっこう内容が濃くて楽しめる。作歌や芸術家にちなんだ話も多いので、ドイツの小説や音楽がお好きな方にお奨めです。もちろん歴史好きの方にも。
  • カフカ短篇集
    古書フェア。難解といわれているカフカがこんなに味のあるものだなんて驚き。文章が短文でどことなく旧約聖書を思わせる。チェコ語で「カラス」を意味するカフカという名前も大好きだ。

    2013年3月 再読
  • となりのカフカ
    [ 内容 ]
    カフカ初級クラス・十二回講義。
    しめくくりは修了祝いのプラハ旅行つき。

    [ 目次 ]
    サラリーマン・カフカ
    カフカ家の一日
    虫になった男
    メカ好き人間
    健康ランドの遍歴
    手紙ストーカー
    性の匂い
    ユダヤ人カフカ
    独身の選択
    日記のつけ方
    小説の不思議
    カフカ・アルバム―プラハ案内とと...続きを読む
  • なぜかいい町 一泊旅行
    [ 内容 ]
    見知らぬ町の朝は、いいものだ-旅とエッセイの名手である池内紀が、独自の嗅覚で訪ね歩いた、日本各地の誇り高き、十六の町の旅の記憶。

    [ 目次 ]
    北から南へ(フクロウの知恵-斜里町(北海道)
    日本一巡り-上川町(北海道)
    金の帯-岩内町(北海道)
    木組みと流水-金山町(山形県) ほか)...続きを読む
  • ひとり旅は楽し
    [ 内容 ]
    ひとり旅が自由気ままと思うのは早計というもの。
    ハードな旅の「お伴」は、厳選された品々でなければならない。
    旅の名人はみな、独自のスタイルをもっている。
    山下清の下駄や寅さんの革トランクにしても、愛用するには立派なワケがあるのだ。
    疲れにくい歩き方や良い宿を見つけるコツから、温泉を楽し...続きを読む