池内紀のレビュー一覧

  • 聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇
    放浪のユダヤ人作家ロート。5篇の短篇の主人公たちも放浪する。故国を遠く離れて。ナポレオンはヨーロッパをかき混ぜ、第一次大戦はヨーロッパの枠組みをぶっ壊してしまった。民族自決という名の下にバラバラになったオーストリア帝国。行き過ぎた民族主義はユダヤ人に対する憎悪を引き起こす。ヒトラーを予見させる『蜘蛛...続きを読む
  • カフカ短篇集
    シュールなギャグのように感じられるが、さまざまな情感と作者の人生観、思想が織り込まれている。
    その描写、表現は、寝ているときにみる夢のようで、織り込まれた断片は読んだ人の認識や感性により、それぞれに取り込まれていくだろう。すばらしい。
  • カフカ寓話集
    扉ページの次の絵。
    この人はもうずっと深刻なままでいる。
    このままもう立ち直ることはない。

    この人は同一人物なのか、それぞれ別人なのか、男なのか、女なのか、作者自身なのか、赤の他人なのか。ひとつのストーリーなのか。

    この人は、うな垂れ、手枷で曳きたてられ、法廷に立たされ、希望を持った次の瞬間に裏...続きを読む
  • カフカ短篇集
    どうしてわれわれは故里をあとにしたのか
    これは、万里の長城建設に携わる技術者の独白である、短篇「万里の長城」の一部分です。

    父と息子の関係を描き、結末がショッキングな「判決」、特にミステリアスな「田舎医者」、ある流刑地に、ヨーロッパから裁判制度の調査旅行に来た有名な学者が、残酷な死刑装置の説明を受...続きを読む
  • ちいさなカフカ
    著者の池内紀さんがあちこちに書散らしたものを蒐集し一冊にまとめたものらしい。
    カフカが恋人に宛てた手紙、散歩してまわったプラハの町並み、複雑な言語感覚、小役人として属した官僚機構、19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパ、ユダヤ人、宮沢賢治との共通点…。
    「この十年あまりにいろんな場で発表したものか...続きを読む
  • ドイツ 町から町へ
    著者によるドイツの紀行文集。誰でも知ってる都市から、すごくマイナーな街まで載ってて、一冊通してドイツの国家像が見えてくる感じがして面白かったです。何より著者池内さんの、各都市の風景が浮かぶようなテンポの良い文章と、豊富な見識に私は引き込まれました!!
  • となりのカフカ
    著者の近著である『カフカの生涯』を抄記した内容で、カフカの人物像に焦点を合わせ、意外な素顔と作品との関係性をも明らかにしています。カフカがいかに優秀で機械好きなサラリーマンであったか、また創作活動と恋愛とそして晩年の病気との狭間で色々と揺れ動いていたかがよく分かるでしょう。裏の顔を知って、またカフカ...続きを読む
  • カフカ寓話集
    最初の2ページを読むだけで分かる。
    ああ、カフカだと。
    物語の中に入ったと思ったら、読者はそこに置き去りにされる。
    誰も追いつけない。カフカにだけは。
    自分なりに色々な作品を読んできたつもりだが、
    カフカの世界に似た作品、世界観をもつものには未だに無い。
    なぜカフカだけがここに行き着けたのだろうか。
  • 今夜もひとり居酒屋
    フランツ・カフカやエリアス・カネッティやギュンター・グラスやヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの真髄を教えてもらった、敬愛する独逸文学者の池内紀が、まさか温泉以外にもこういう傾向の随筆を書かれるとは夢にも思ってみませんでした。

    そう、それは・・・・・
    ♪ 地球の上に朝がくる その裏側は夜だろう...続きを読む
  • 今夜もひとり居酒屋
     池内先生、うまいなぁ。
     居酒屋本たくさん出ているけれど、あまり感心しない。
     「元祖」と言われている(言われてない?)グラフィックデザイナーの方とか、物書きとしては素人の某重工メーカーにお勤めの方とか、恐ろしく文章が下手くそで、読んでいて胸がイタミまくりの方とか、いろいろと「居酒屋本」が出ている...続きを読む
  • ドイツ 町から町へ
    著者が文学者ということで、どんな場所にもどんな歴史にも文学が根を張っているという事実を噛み締めながら読みました。歴史も文学も人間が作るものなのだから繋がっていて当たり前か。ドイツには城や建造物が眩暈がするほど昔から残っていて、それらをこれからも残していくのが当然という雰囲気、新しく町を造るとき(或い...続きを読む
  • となりのカフカ
    カフカってどんな人だったの?1人の人としてどんな風に生きたのか、決して普通の作家ではなかったカフカの興味深い人生がよーくわかります。貴重なカフカの写真もたくさん載ってます。
  • カフカ寓話集
    冒頭の「皇帝の使者」が秀逸。ビックになりたいけどどうしたらいいかわかんねえーって人がいたのね。そのなれない理由もそれなりにかってに解釈して。
  • カフカ寓話集
    『掟の門』と『父の気がかり』がとてつもなく好きです。

    あたしのレビューなんて蛇足でしょう。ねぇ。
  • カフカ寓話集
    大好きなカフカの寓話集です。同じく岩波から短編集も出ています。
    五行で完結する短編「使者」がお気に入りです。
    王になるか使者になるかという選択でみなが使者を志願したという話。五行しかないですが、結構深いと私は思っています。
  • カフカのかなたへ
    カフカの翻訳では最高の地位を占める池内紀先生(個人的見解)。さわやかな切り口で、カフカの作品世界を中心にその生涯も論じられています。カフカの落書きも収録でお得な一冊。
  • カフカ短篇集
    2024/05/04再読
    以前に読んだことをまったく覚えていなかった。
    内容は盛りだくさん。たくさんのすごく短い短編といくつかの長めの短編。すべての作品が独特で、理解が困難なものもあり、一つ読み終わるごとに考え込んでしまうのでなかなか進まない。しかしその分ゆっくりと楽しめる。
    風変わりなディテールも...続きを読む
  • 魔法の学校 エンデのメルヒェン集
    ミヒャエルエンデ短編集。

    ・本を読むことに夢中になる大人、子供、動物たち。

    ・魔法の学校での様子。
    本当の望む力がある子供たちだけが使える魔法。
    自分の本当の望み。
    ムークとマーリの兄妹が魔法で出した奇妙な動物のこと。

    ・両親の言うことを聞きたくないレンヒェンが、魔女に頼んで両親がレンヒェンに...続きを読む
  • 魔法の学校 エンデのメルヒェン集
    エンデのメルヒェン集 19個のお話が集まった1冊

    ひとつひとつの短いお話の中に
    よ~く見るとキラッと光る小さな石 
    まだ光ってはいないけど 宝石の原石みたいな…

    耳を澄まして 気持ちを澄ませて 読んでみると気が付くみたいな 

    大人になるにつれて いつの間にかどこかに落としてきてしまった 忘れて...続きを読む
  • 富の王国 ロスチャイルド―ロスチャイルド一族の歴史から学ぶ上手なお金の生かし方
     本を読んでとても安心した。というのも、どのようにして、富が築かれていったか、納得できる歴史経過と理由が書かれていたからだ。
     偏見のない描かれ方は、貴重だ。日本ではそれほどユダヤ人に対しての先入観は激しくないと思うけれど、それでも、お金持ちのイメージや、高利貸しのイメージはなんとなくある。
     しか...続きを読む